サイトは必死で学院に駆け戻った。ルイズが魔物に襲われ重篤だと言うのだ。学院に着くと、ルイズのいる医務室は立入禁止だと言う。だがサイトは制止を振り切って医務室に飛び込んだ。 室内では白衣を着たマリコルヌがルイズを太い鎖で縛り上げて吊そうとしているところだった。控え目なルイズの胸には鎖が食い込み、口には始祖ブリミルの銀の聖具をあしらった革製の猿轡が痛々しい。 「マリコルヌてめえ!」 サイトはデルフリンガーを抜いた。マリコルヌは蒼白な顔で叫ぶ。 「サイト、違うんだ!」 サイトはマリコルヌを跳ね飛ばすと鎖を即座に叩き切る。 「なあ相棒、この鎖なんだが……」 デルフの言葉も無視してサイトはルイズのいましめを全て解いた。 「サイトッ!」 ルイズは泣きながらサイトの胸に飛び込んだ。サイトはルイズをぎゅっと抱き締める。 ルイズはそっとサイトの首筋に口付けて囁いた。 「いっただっきます♪」 かぷり。 ちゅーちゅーと吸う音が聞こえ、サイトは気を失った。
「だから止めたのに」 マリコルヌは憮然としてサイトに説教する。サイトは口の中の牙をつつきながらうなだれた。 ルイズは吸血鬼に襲われたのだ。2次災害を避けるためにルイズを束縛していたところにサイトが飛び込んだのだという。 「でも、何でマリコルヌは大丈夫なんだ?」 サイトのもっともな疑問にルイズは答えた。 「たしかに吸血鬼は処女・童貞の血なら吸うわ。でも私は不味い血を吸うほど卑しくはないわ」 なるほど、サイトとルイズの周りを囲んで障壁を作っているのはコルベール以外の教師とキュルケだ。 と、その輪にシエスタが飛び込んできた。 「サイトさん!」 心配そうなシエスタの顔。途端、サイトは強烈な渇きをおぼえた。なんてシエスタは旨そうなんだ。 「シエスタ、いっただっき……」 「この馬鹿犬っ!」 サイトはいきなりルイズに吹き飛ばされる。ルイズは胸ぐらを掴んで叫ぶ。 「これ以上被害者増やしてどうすんのよ!」 「俺を吸血鬼にしたのはルイズだろ!俺の血で喉を潤しておいて何言ってんだよ!」 ルイズはうっ、と言葉に詰まる。だが再びルイズは強い表情で言った。 「わかってるわよ。それに使い魔の餌ぐらい、ご主人様が面倒みるわ」 その場の全員の目が点になる。だがルイズはサイトの頭を優しく首筋に抱いて言った。 「こここれ以上、被害は出せないし!」 ルイズの髪からふんわりと美味しそうな匂いが立ち上る。サイトはルイズの首筋に噛み付いた。 「ちょっ!そんながっつかないで!そんな吸っちゃ!あ……う…ふぅ…はあっん」 サイトは満足して離れると、惚けた声で言った。 「ルイズ……美味しかった」 「シエスタはいらないわよね?」 サイトは熱にうかされたようにうなずく。ルイズはサイトを再び優しく抱き寄せて言った。 「また喉が渇いてきたけど首筋ばかりじゃ痛いだろうから、違うところから吸うわ」 ルイズはサイトのシャツを捲りあげると乳首に吸い付く。サイトは身を捩らせながらも恍惚とした表情を浮かべた。 「サイト美味しい。全身から吸っちゃいたい」 シエスタの怒号が響く中、ルイズはサイトの両方の乳首をゆったりと賞味し続けた。
この日、お見舞いに来てサイトの姿を目にしたアンリエッタ陛下は、シエスタ謹製のスタミナドリンクを飲みながら自ら徹夜で吸血鬼の血清を完成させたという。