ゼロの保管庫 別館

23-662

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662 名前: タバサはあなたの使い魔ですっ!(1/2) 投稿日: 2007/11/18(日) 23:35:27 ID:umR4vqia ダエグの曜日の昼下がり。 ルイズとサイトは部屋の中でくつろいでいた。 トントン――部屋の扉からノックの音が聞こえてきた。 「だれ?」 ルイズが誰何すると、二人の良く知る声がした。 「タバサ」 ルイズはアンロックを唱え扉を開錠し、サイトが扉を開けた。 タバサがすっと部屋へ入ってきた。 そして、サイトの前で立ち止まると間髪いれずに話を切り出した。 「あなたに話がある」 ルイズはその光景にただならぬ空気を感じた。 「いきなり何を言い出すのよ!」 タバサは彼女をちらっと横目で見て、再び同じ言葉を繰り返した。 「サイトに話がある」

ルイズはあわててサイトのそばに駆け寄ると彼の腕に手を絡ませた。 「わたしのサイトに何の用なのよ!」 タバサは眉を寄せ短く返す。 「ルイズには関係ない――」 突然、タバサは爪先立ってサイトとの距離をつめた。 当のサイトもそばにいたルイズも何が起こったのかすぐには分からなかった。 「え?タバサ今なにを――」 サイトは狼狽して2、3歩後ずさる。 ルイズは目を吊り上げて金切り声を上げた。 「きききききキスですってぇ〜〜!!!!!」 タバサはサイトを見つめたままこういったのだ。 彼の目にはタバサのほほが極薄く朱色に染まっているように見えた。 「わたしはあなたの使い魔」

ばしんっ。ルイズは思いっきりサイトの後頭部を鞭で叩きつけるのだった。 渾身の一撃に彼は前によろけてしまう。そして目の前のタバサに抱きつくような形に飛び込んでしまったのだ。 思わぬ不可抗力にタバサは誰からみても分かるくらいにほほを朱に染めた。 自分の一撃から生じた不可抗力でも許せない状態にあるサイトにルイズは背後から股間へ右足をけり込んだのだった。 ぐひゃぁっ。脂汗を一瞬にして顔じゅうに滲ませて、彼はひざから崩れ落ちた。

ルイズは彼の背に踏み込んだ左足をどかりと乗せて、タバサに詰め寄った。 「ああああんたね。こいつはわたしの使い魔なんだから。 てゆーか使い魔の分際で使い魔を持つなんてきーたことないわよっ!」

「そんなの関係ない。私はサイトに助けてもらった。だから私は彼を守ると決めた。 理由は問わない。私は彼の使い魔になる」 「だめだめだめ。そんなのだめなんだからっ。こいつはわたしのっ――わたしのなんだから」 ルイズは思いっきり叫んだ。 「それでも私は退くつもりはない」 そう言い放つと、タバサはまだ床に転がっているサイトにいたわる様な眼差しを送った。 そして彼の傍にしゃがみこんでつぶやいた。 「私はあなたをかならず守る。でもごほうびが必要。ごほうびは私からあとでお願いする」 そういい残してタバサは部屋から出て行ったのだった。 663 名前: タバサはあなたの使い魔ですっ!(2/2) [sage] 投稿日: 2007/11/18(日) 23:36:37 ID:umR4vqia その夜。 今日の一件で随分駄々をこねていたルイズがやっと寝付いてくれた。 一方サイトは今日のタバサの一言で悶々として頭が冴えてしまっていた。 いつものようにルイズはサイトの肩に頭を乗っけてすやすや寝息をたてている。

すると部屋の窓に月明かりに照らされた大きな影が映った。 サイトは真顔になって、そっと彼女の頭を枕にもどしてやってから身を起こす。 そして素早くデルフを握り締めて窓に向かって構えた。

しかし、その影の主は意外な生き物だった―― 「きゅいきゅい。ココをはやくあけるのね〜」 タバサの使い魔、シルフィである。

彼は胸をなでおろして部屋の窓を開けた。 さわっとした涼やかな風が入ってきた。 「シルフィ、どうしたんだよ。こんな時間に?」 「おねーさまのとこに行くのねっ。きゅいきゅい」 そういってシルフィは背中を向けた。

シルフィの背に乗ったサイトは夜空へ誘われた。 空中で大きく旋回して学院の一室へと舞い降りた。 そこには、パジャマ姿の青髪の少女が待っていたのだった。

「タバサ。そんな格好ってもう寝るんじゃないのか? なんで俺呼んだんだよ?」 サイトは彼女に聞く。 すると彼女は一言、だから。と答えた。 「『だから』ってどゆこと?」 鈍感な彼は首をひねった。 「ごほうびは『私と一緒に寝る』こと」 そう言うと、タバサは彼の手首をつかんで自分のベットへ連れて行ったのだった。 彼女はベットに横になると、自分の隣の空いたところを左手でポンポンと叩いた。 「ここに寝て」

その一言にサイトは体が凍りついたように固まった。 「えと・・・たばささん?いま、なんておっしゃいました?」 「ここに寝て」彼女は繰り返す。 「だれが?」 「あなたが」彼女はサイトを指差して答える。 「だれと?」 「私と」彼女は今度は自分を指をさす。 「どして?」 「ごほうび」彼女の頬がうっすら染まった。

「はーやーくー。シてあげるのね♪きゅいき・・・」 ゴッ。タバサの杖がシルフィの脳天に刺さった。 「邪魔。外へ」 彼女は窓の外を指差して命令する。 「いったいのね〜。ひどいのね〜」 そう言い残し、シルフィは外へ飛び出した。 そして、彼女はサイトに向き直り、ベットの上にちょこんと正座すると はやく。と一言いった。

166 名前: タバサはあなたの使い魔ですっ! [sage] 投稿日: 2007/11/25(日) 23:20:17 ID:jO72RQWq サイトはおそるおそるタバサの正面で正座になった。 タバサはじぃーっと彼を凝視していた。彼が自分の目の前に正座すると タバサはそのままの形でぱたんと横に倒れこんだ。 そして、サイトに毛布をかけて、とお願いするのだった。

いきなりタバサが横倒しになった。 大丈夫か?と声をかけようとするのと同時に 「毛布をかけて」 と彼女が言ってきたのだ。 俺は彼女に毛布をかけてあげる。 すると、今度は 「眼鏡とって」という声がする。

タバサがすっと碧い瞳を閉じた。 両手をそーっと彼女のこめかみまでもっていって眼鏡のつるを摘む。 そして、耳につるの端っこがひっかからないようにちょっと上げ、ゆっくりと眼鏡を持ち上げた。 はずした眼鏡のつるを重ねて彼女の枕元に置いた。

眼鏡が取り払われた彼女の裸眼は新鮮な印象だ。 彼女の双眸がまたゆっくりと開かれた。 レンズ越しではない透き通るような碧眼がサイトの目の前にあった。 彼はその碧色に吸い込まれるように魅入っていると、その瞳の持ち主に手をつかまれたのだった。

「サイト、どうしてじっと私をみているの」 俺は我に返ってタバサの顔を改めて見た。 「い、いや、タバサの目を直にみたの初めてだったから――なんてかさ、『きれーだな』って」 感じたままを口に出した。すると、タバサは俺から少し目線をずらし、うっすらと笑みをたたえながら 「そう」 とだけつぶやいた。そして、再び俺と視線を合わせると 「早く横になって」 と催促されてしまった。

サイトは横になったが、タバサは不満顔であった。 「いっしょに毛布に入る」 彼は、彼女がくるまっている毛布には入ってなかったのである。 「で、でも・・・それはまずいんじゃ・・・」 サイトはやんわりと拒む。

彼女はそんな彼に眉間に少ししわを寄せた顔をずいと近づいて、 鼻と鼻がくっつくくらいまで接近してきた。 「ごほうび」 そう一言こぼすと彼女は毛布を彼に向かってがばっと開けた。

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