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「何ぼんやりしてんのよ」  窓の外をぼんやりと眺めているサイトにルイズは声をかけた。サイトはうん、と珍しく大人しく返事を返してまた外をぼんやりと眺める。シエスタは雪が本格的に積もる前の準備に、実家で葡萄の冬囲いの手伝いに出かけているおかげで久々の二人きりなのだ。 (まさか、あの巨乳メイドのこと!)  ルイズはサイトの肩に乱暴に手をかけた。 「ちょっと!聞いて……る」  無理やり振り向かせてから、さすがのルイズもしまったと思う。目の前にあるサイトの表情はルイズに痛みを思い出させた。  忘れるはずがない。ティファニアがサイトの心から使い魔としての不自然な制約を消したあの日。怒っていたサイトに混じっていた哀しげな目。チキュウに返してあげなきゃ、と改めて決心させた目をしている。 「サイト、何かあったの?」  ん、とサイトは生返事を返して窓の桟に積もった雪を振り払う。双月の光を反射しながら雪が舞い落ちていく。 「もうすぐクリスマスだな、と思って」 「くりすます?」  やっとサイトは窓の脇から戻るとベッドに腰かけて話し始めた。 「俺の世界の、始祖ブリミルみたいなキリストって人の誕生日でさ。俺の国は宗教とかいい加減な国なんだけど、お祭り騒ぎはやるんだよな」  ふうん、とルイズは居住まいを正して話を続けるように促した。 「ま、デートする奴多くてモテないとつらいんだよな」 「どんな子と歩いてたのよあんた!」  サイトは苦笑して返した。 「俺なんてモテなかったよ。ガンダールヴでも何でもないんだから」 「じゃあ今の方がいいんじゃない」  まあな、とサイトは苦笑する。ただ、その苦笑にいつもと違う翳をルイズは感じ取ってしまう。シエスタも誰も近くにいないせいだろうか、サイトの痛みが逆に鋭くわかってしまうのだ。 「サンタクロースってお爺さんが子供が寝てる間にプレゼントをくれる、って伝説があって。実際にゃ両親が寝てる間に置いてくんだけど」 「相棒の世界も魔法がないくせに案外伝説とか好きなんだな?」  デルフリンガーの言葉に、サイトはまあな、と言って笑った。 「サンタクロース、ね」  ルイズはサイトとデルフリンガーを交互に眺めた。


 サイトの話を総合すると、サンタクロースは赤いコートを着た白ひげのお爺さんらしい。ルイズはこっそりとキュルケの部屋に向かった。 「赤いコートであんたが着られるもの……ねえ」  キュルケは衣装箪笥をしばらく探り、一枚のコートを取り出した。胸元に大きなリボンをあしらっている。 「私が十歳ぐらいで着てたんだけど」 「何よ、私が十歳ぐらいだと言いたいわけ?」  ルイズの反発に、キュルケは余裕の声で返す。 「私の実家に、私が十歳の頃の肖像画があるけど見てみたい?」  ルイズは大人しく黙り込む。この余裕なら、本当に十歳のキュルケに負けているのかもしれない。キュルケは笑ってルイズにコートを着せる。 「あら、かわいいじゃない!」  ルイズを鏡の前でくるりと一回転させる。さすがはキュルケのコートらしく、スリットが入っておりふくらはぎだけがちらりと覗く。ふわふわと白い襟の部分は白鳥の綿毛で鮮やかな白さだ。健康な赤みを射した、きめ細やかなルイズの頬を優しく包み込む。  キュルケは意地悪に笑みを浮かべると言った。 「で、私にもサンタクロースが来るのよね」 「悪い子には来ないそうよ?」 「コートを好敵手に貸しちゃうような良い子だけど?」  うっ、ルイズが唸る。キュルケは小さく笑って言った。 「別にいいわよ。後でダーリンのお手伝いにサイトを貸してくれれば」  キュルケに貸すのはお断りだが、コルベールなら仕方ないかとルイズは溜息をついた。  次いで訪問したのはモンモランシーの部屋だ。ルイズが事情を話すとモンモランシーは快く薬瓶を三つルイズに売ってくれた。ルイズは白い木綿の袋に放り込むと夜を待った。


「クリスマスの話までしたのにさ」  サイトは落ち込んでいた。クリスマスの話までしたなら、少なくとも今夜は少しは優しくしてくれるかと期待していたのだ。それがまさか、よりもよってルイズが急用で不在ときた。ギーシュとでも飲もうかと思ったが、モンモランシーがギーシュを捕まえて放さないらしい。冬になったせいでいつもの格納庫は寒いので、夜の集合も自然に休会となっている。使い魔たちもご主人様の部屋に引きこもっているに違いない。 「まあ嬢ちゃんらしいわな」  デルフリンガーがげたげたと笑う。サイトは一人で赤ワインをグラス二つに注ぐと、一方をデルフリンガーの前に置いて愚痴を言う。デルフリンガーに茶化されつつ、夜の冷気が部屋に侵入してくるのを感じ取る。  遂にサイトはほろ酔いでベッドにもぐりこんだ。ルイズの代わりにルイズの枕を抱いて丸くなる。ほんのりとルイズの匂いが鼻腔をくすぐり、それがむしろ寂しさを強く感じさせる。  しんしんと冷える部屋。冷光を放つ双月がこの世界の遠さを改めて実感させる。もう帰れないかもしれない。そして帰れない自分の気持ちを誰がわかってくれるだろうか。ギーシュやマリコルヌと騒ぐのは楽しい。キュルケは艶っぽいしシエスタはいい娘だ。アンリエッタ様は配慮してくれるし、コルベール先生はサイトの話を聞いてくれる。  だがそれだけだ。そう、いつも一緒にいるルイズさえも。異世界から来た寂しさなんてわかってはくれない。余計に体が冷える。サイトはさらに体を丸めた。だがそれでも冷気が頬を叩く。  冷気?窓は閉めたはずなのに。と、サイトの頬を暖かい空気が撫でる。 「メリー・クリスマス」  声に目を開ける。赤いコートと帽子。分厚い編み上げ靴を履いたルイズがサイトの顔を覗き込んでいた。 「ルイ……」  名前を呼ぶ途中で、サイトの口がルイズの唇で塞がれる。優しくルイズの手がサイトの頭を撫でる。ルイズは一度口を離すとサンタの袋から薬瓶を取り出して口に含み、口移しでほんのりと甘い何かを注ぎ込む。  サイトはふわりと体が軽くなり、次いで全身の力が抜けてしまう。 「けけけっこう疲れてるみたいだし!プレゼントにマッサージしてあげようと思って」 「ありがと……で、何だか体が動かないんですがご主人様」 「あんたすぐ悪い子になるから!動けないようにちょっと薬を。規定量飲まないと効かない薬モンモンに準備してもらったの」 「なっ!」  さっきの甘いのは痺れ薬らしい。酷い奴だと言おうとした矢先、ルイズはサイトの服を上から脱がしにかかる。上半身が終わると下。パンツ一丁になったサイトをうつぶせにすると上から跨いで背中を押し始める。 「あ、これはこれで」  サイトがやっと気持ちよくなってきた辺りでサイトを仰向けにする。ルイズもコートに手をかけた。 「ママママッサージって、暑くなるじゃない?」  ルイズがばさりとコートを脱ぐ。中は以前にサイトが作ったせーらー服姿で、いつの間にかルイズはポニーテールに変えていた。 「せめて、あんたの世界に近いかな、とか」  スカートから洗濯で見慣れたはずの白いパンツが見えてサイトは唾を飲む。だが痺れ薬のおかげで首を動かすことも叶わない。 「むしろ天国……」  サイトは呟く。ルイズはお尻に当たる違和感を知らんぷりして、とんとんとサイトの下半身の上で軽くお尻を跳ねさせる。次いでサイトの体に倒れ込むと再びサイトの頭を撫でながらキスを繰り返す。  サイトの股を割ったルイズの太股が痛みのない程度の蹴りを入れる。切ない呻き声を上げるサイトの耳元でルイズは囁く。 「使い魔も普通は好きにつがい探すの、ご主人様を困らせない範囲でね」  ルイズは再びサイトに再び唇を重ね、下唇を甘噛みする。 「でもサイトのこれ、クリスマスプレゼントにもらっていい?一生私だけのもの。いい?」 「……いい」  サイトの言葉にルイズは遂にサイトの棒をゆったりと握りしめた。 「勝手に使っちゃダメだからね。自分だけでも使っちゃ駄目」  ルイズの手がぎごちなく動く。指一本すら自由に動かせないまませーらー服姿のルイズに凝視され続けて、サイトはすぐに限界に達した。ルイズは汚れた手をハンカチで拭き取りながら、再び薬瓶を袋から取り出して口に含む。 「これで明日の朝には動けるようになるから」  言って再び口移しでサイトに薬を飲ませると、サイトの頭を優しく抱いてルイズは眠りに落ちていった。サイトもルイズの体重を感じたまま、深い眠りについた。


「俺にもサンタが来たのか!いやー嬢ちゃん豪勢じゃねえか!……あ?相棒は約束しただろうって?ああしたした!この薬と同じようなの飲まされながらはっきり言ってやがった!」  翌日。ルイズサンタにモンモランシー謹製の剣磨き液をクリスマスプレゼントとして塗られながら、デルフリンガーは夜にサイトがルイズにした約束の証言者としてへらへらと笑った。