ゼロの保管庫 別館

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39 :戦場のメリー・クリスマス〜ルイズの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/11/21(水) 02:41:40 ID:M2bQ5DKm

じりりりりーっ。

けたたましい目覚ましのなる音が、まどろみを中断させる。

じりりりりりーっ…ばちゅん。

布団の中から伸びた細い手が振り下ろされ、ベルを叩いて音を鳴らすレトロな目覚まし時計の息の根を止めた。 膨らんだ布団がもそもそと動き、細い手に引き続いてピンク色の髪が現れる。

「んにゅー…」

続いて現れた寝ぼけ眼がひっくりかえった時計をさかさまに認識し、そして、冬の気温にぶるっ、と震える。

「なんじぃー?…」

そのまま布団の中に時計を引っ張り込み。 がばっ!と布団を跳ね上げると、黄色い布地にいちごのプリントの入ったパジャマが露になる。

「やっばー!」

跳ね起きたピンク色の長い髪が乱暴に踊り、あっという間にパジャマを脱ぎ去る。 真っ白なブラウスを羽織って赤いリボンを適当に引っ掛け、深い緑色の膝上のプリーツスカートをはきこみ、同じ色のブレザーをひっかぶる。 そして黒いニーハイソックスをあっという間に履いた。 その瞬間、枕元の携帯が鳴った。

わんわんわん!わんわんわん!

この犬の鳴き声の着メロは。

「バカ犬っ!モーニングコール遅いわよっ!」

相手によって変えている着信音で、電話の相手は特定できていた。 携帯に電話をしてきたのは平賀才人。 彼女の同級生で、クラスメイトで、今年の頭から付き合っている、彼氏。 才人は、遅刻の多い彼女のために、毎朝モーニングコールをしているのだった。 その彼氏は、電話の向こうで呑気に言った。

『で、今日は何月何日何曜日だっけ?』

言われて卓上カレンダーを見る。 十二月、二十四日、月曜日。 学校は、先週の金曜から冬休みである。

「さ、先に言いなさいよバカ犬ぅーっ!」

真っ赤になって、携帯にそう吼えたルイズであった。

40 :戦場のメリー・クリスマス〜ルイズの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/11/21(水) 02:42:21 ID:M2bQ5DKm 改めて私服に着替えなおし、ルイズは居間に向かう。 私服はとっくりのセーターにジーンズ。まだ外出する時間ではないから、ラフな格好だ。 居間のテーブルの上には、いつもどおり、朝食が準備されていた。

「あら、早いのねルイズ」

ひよこのエプロンを身にまとい、台所で休日なのに早く起きてきた妹を、二番目の姉が出迎えた。 ルイズと同じ、しかしウェーブとボリュームは少し上な髪の、胸のボリュームは遥かに上の、コロコロと笑う二番目の姉の名前は、カトレア。 近所でも評判の美人三姉妹の家事を切り盛りする、ペットショップの看板娘である。

「冬休みなの忘れてて、早起きしちゃった」

言いながらルイズは席につく。 今朝のメニューはハムエッグにコンソメ野菜スープに、たぶんトースト。 予想通りカトレアはトースターから焼けた食パンを二枚取り出し、ルイズの前に置かれた空の皿に一枚載せた。 もう一枚は、その隣に置かれた皿の上に載せて。 そしてカトレアは、そのさらに上に、ハムエッグを載せた。

「…もしかして」 「そう、そのもしかして」

呆れたように言ったルイズに、カトレアがそう続けた瞬間。

「ちょっとぉ!なんで起こしてくんないのよカトレアーっ!」

居間の入り口から、駆け込んでくる長い金髪の、眼鏡の女性。 三姉妹の長女、エレオノールである。 少し、いやかなり性格のきつい、製薬会社勤務の、三姉妹の稼ぎ頭である。 ちなみに三姉妹の両親は現在、二人そろって海外で働いており、今この家には彼女達三人しか住んではいない。 エレオノールは着込んだだけのベージュのスーツに、少しよれた髪のまま、カトレアの作ったハムエッグの載ったトーストをぐしゃ!と二つ折りにすると、そのまま手にとって玄関に駆けていく。

「ああっ、また電車座れないっ!寝れないっ!」

悲痛なエレオノールの叫びに、カトレアは困った顔で言った。

「ちゃんと、時間に起こしに行ったのに、起きない姉さんが悪いと思うの」 「起きなきゃ起こしたって言わないじゃないのっ!んじゃいってきますっ!」

そのままトーストを咥えて玄関に駆けていくエレオノールを、二人の視線が見送った。

「…なんで自分で起きないのかなあ」 「あら。毎朝彼氏に起こしてもらってる人の台詞じゃないわね」

なんとなく呟いたルイズに、カトレアの容赦ない突っ込みが入った。 真っ赤になってルイズは否定する。

「そそそそそそんなんじゃないってば!あ、あんなのかれ、かか彼氏じゃないってば!」 「嘘おっしゃい。ルイズの定期入れの内側とか、携帯のバッテリーの裏とか、全部彼のプリクラじゃない」 「ななななななななななんで知ってんのよぉ!」 「あら。図星だった?」

ぐう、と唸ってルイズは真っ赤なままトーストをかじりながら俯く。 この姉には勝てない。いろんな意味でそう思うルイズだった。

41 :戦場のメリー・クリスマス〜ルイズの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/11/21(水) 02:43:24 ID:M2bQ5DKm 真っ赤になりながら朝食を食べるルイズを、笑顔で見ながら、カトレアは不意にぽん、と手を打って言った。

「あ、そうそう。お姉ちゃん今日から三日間、町内会の旅行で留守にするから。  家事はルイズがよろしくね」 「え」

エプロンを脱ぎながらそう言うカトレアに、ルイズは目を点にする。 そんな話、聞いてない。

「冬休みだからいいでしょ?花嫁修業だと思って」 「そ、そんな急に!無理よ!」 「だって急に自治会長さんに誘われたんだもの。それに、姉さんもいるし大丈夫でしょ?」 「姉さん家事できないじゃない!私もそんな自信ないし!」 「だから、は・な・よ・め・しゅ・ぎょ・う♪才人くんところにいつお嫁に行ってもいいようにね」 「だだだだだだだああああかああああらあああああああ!!」

真っ赤になって否定するルイズの鼻の頭を、カトレアは人差し指でちょん、と押した。

「大丈夫。私がいつもやってるみたいにすればいいわ。  ルイズは出来る子だもの。私の自慢の妹だもの」

言ってカトレアはそのまま、ルイズをぎゅっ、と抱き締める。

「お姉ちゃん…」

抱き返そうとしたルイズの手をするりと抜けて、カトレアはいつの間にか準備してあったボストンバッグを抱えて、そして笑顔で言った。

「じゃ、あとはお願いねルイズ♪伊豆のお土産、期待しててね♪」

固まるルイズを尻目に、カトレアはあっという間に玄関を開けて出て行った。

「あーもうっ!」

怒ったようにルイズは席についた。 その瞬間。

ちりりりりーん!

軽快な音を立てて携帯が鳴る。 この音は。 先ほど出て行った、一番上の姉のエレオノールの着信音。

42 :戦場のメリー・クリスマス〜ルイズの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/11/21(水) 02:44:28 ID:M2bQ5DKm 「はいはい。何?姉さん」

携帯の相手は、即座に答えた。

『ルイズ!言うの忘れてたけど今日明日私新薬の製作レポートで泊まりだから!  カトレアにも言っといて!んじゃ!』

がちゃ。つー、つー。

一方的に言い放ち、携帯は切れた。 ルイズは誰も居なくなった居間で、固まる。 あのー。コレは一体どーゆーことでしょー。 つまり、今日と明日、家には自分しかいない。 そしてルイズは今一度、今日の日付を確認してみる。 十二月二十四日。冬休み。 今日はクリスマス・イヴ。 そしてそれを見計らったかのように、携帯が鳴った。

わんわんわん!わんわんわん!

この音は。そう、この犬の鳴き声は。 ルイズは一度携帯の画面を確認して、そして、軽く深呼吸をして。

「…な、なにか用?犬?」

やば。少し噛んだ。 そして予想通り、その用件は才人からのクリスマス・イヴのデートの誘い。 そしてルイズは、二人のクリスマス・イヴを完璧なものにするため、犬の出してきたプランに悉くケチをつけ。 そして、彼を家に呼びつけることに成功したのである。 55 :せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2007/11/21(水) 17:06:46 ID:M2bQ5DKm ルイズの家に呼ばれた才人がまずしたことは、映画の券が無駄になったことを愚痴る事。 それはルイズのお気に入りの映画の続編で、封切りとほぼ同時に才人は前売り券をゲットしていたのだった。

「ウチで前のDVD見ればいいじゃない。私人ごみキライだし」

しゃーねえなあ、と才人は映画を諦めた。 次に、才人はおいしいケーキの店教えてもらったんだけど、とルイズを誘い出そうとしたが。

「…そこのケーキだったら、昨日お姉ちゃんが買ってきたわ」

言ってルイズは冷蔵庫を指差す。 それにイヴのケーキ屋さんなんかクリスマスケーキの予約だけで、お茶なんてできないわよ、というルイズの突っ込みに、才人はこの事項もしょうがねえな、と諦めた。 じゃあ、と才人は、他の条件を探そうとした。 なんとしてでもルイズを連れ出し、ほんでもってめくるめくクリスマスの夜を、なんて思っていたが。

「…あ、あああああのね!」

急にルイズがどもりながら叫んだもので、才人は言葉を呑んでしまった。 なんだよ、とルイズを促すと、ルイズは顔を背けて言った。

「きょ、きょきょきょ今日は、か、家事を手伝いなさい!」

はぁ?という顔をした才人に、ルイズは真っ赤になって、それでも顔は才人の方は向けずに、言った。

「ま、まずは掃除!それから夕ゴハンの準備!わかった!?」

言い放ってそのまま立ち上がり、自分は洗濯機のある風呂場に向かう。

「わ、わわわ私は洗濯してくるから!ちゃんと掃除しときなさいよ!わかった?」

才人ははぁ、と気の抜けた返事をするしかなかった。

56 :戦場のメリー・クリスマス〜ルイズの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/11/21(水) 17:07:26 ID:M2bQ5DKm とりあえず、ルイズが洗濯物を干して、夕食の準備を終えて、気を落ち着ける頃には、才人の掃除も終わっていた。 まずはDVDを見よう、という事になって、居間のデッキでDVDを再生する。 居間のソファに並んで腰掛け、二人は並んで映画を見る。 才人は時折入る間抜けなギャグにわはは、と笑いを上げている。 ルイズはそんな才人に気付かれぬよう、じわじわと距離を詰めていく。

ぴた。

ルイズの肩が、才人に触れた。 そこまでいって、初めて才人はルイズの方を見た。 じっと見つめる才人に、ルイズは慌てて言った。

「な、何よ、文句でもあんの!?」

才人は一瞬驚いた顔をしたが。 なんでもねえよ、とルイズの肩を抱いた。 ちょ、ばかいぬ、何調子にのってんのよ、と言いそうになったルイズは慌てて言葉を引っ込めて。 不機嫌な顔を装いながら。

「こ、このまま一緒に見ましょ…」

才人に身体を預けたのだった。

DVDはそれから二時間半後に全てのプログラムを終えて、メニュー画面に戻った。 既に日は傾き始めており、外の景色は橙色に染まっていた。 才人は、これからどーする?とルイズに尋ねた。 ルイズは、真っ赤になりながら、それでも才人の方を向いたまま、意を決して応えた。

「あ、あのね。  今日と明日、この家私だけなの」

そして才人を見上げる。 その瞳はあまりに真剣で、才人は視線を逸らす事ができなくなった。

「だ、だからね、そのね。  こ、今夜はずっと一緒にいて…」

言ってルイズは、ぎゅっ、と才人に抱きついた。 才人はそんなルイズを抱き締め返す。 ルイズは温かい才人の腕の中、そっと彼を見上げる。 二人は視線を絡ませ、どちらともなく瞳を閉じて。 そして、唇を重ねたのだった。

57 :戦場のメリー・クリスマス〜ルイズの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/11/21(水) 17:08:44 ID:M2bQ5DKm 「ご、ごめんね。  胸、ぜんぜんなくて…」

ルイズの部屋。 真っ白な壁紙に、少し高そうな調度品が並び、それにいくつかのぬいぐるみが彩りを添えている。 その一角を占拠する、ルイズだけが寝るには少し大きいセミダブルのベッドの上で、ルイズは全裸で才人に押し倒されていた。 月明かりだけが差し込む部屋で、ルイズの真っ白な肌が青白く輝く。 才人はそんなのどうでもいいよ、と言ってもう一度その裸体を目に焼き付ける。

「や、やだ…そんなに見ちゃいや…」

真っ赤になって顔を逸らし、言うルイズだったが。 こんなにキレイなのに、見るなって言う方が無理だよ、と言って、才人はルイズの唇を奪った。 ルイズは溢れそうな歓喜の渦の中、才人の唇を貪る。 才人はそのまま、右手でルイズの身体をまさぐる。 まず、平坦な胸の上で自己主張している肉の突起を、指先で転がす。

「ふ…んっ…」

唇の隙間から甘い吐息が漏れ、ルイズが感じている事を才人に伝える。 才人はそのまま、無防備な下半身に手を伸ばす。

くちゅ…。

湿った音を立て、ルイズの股間は才人の指を受け入れる。

「んふっ!ふぅーっ!」

しかし、唇は必死に抵抗しようと、押さえつけられる唇の下から抗議の声を漏らす。 だが、そんなもので才人の陵辱が終わるはずもなく。

くちゅ、くちゅ、くちゅ…。

才人は執拗に濡れた肉の割れ目をこね回し、硬くなった肉芽を押しつぶし、ルイズを陵辱する。

「…っは、あっ…やぁ、あっあっあっ!」

唇を開放されたものの、ルイズは股間から襲ってくる快感に、喘ぐしかできないでいた。 やがて、ルイズが最初の限界に達する。

「っひ!ふぁっ───────!」

かくかくと腰が震え、自慰などよりも激しい刺激に、くたん、と力が抜ける。 そして。 完全に開かれたルイズの肉の門に、才人の剛直が押し当てられる。 痺れたルイズの身体は動かない。 そしてそのまま。 ルイズの身体に、あっさりと才人が侵入していった────────。

58 :戦場のメリー・クリスマス〜ルイズの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/11/21(水) 17:09:28 ID:M2bQ5DKm 目を醒ますと。 隣で、笑顔でサイトが顔を覗きこんでた。 私は真っ赤になって顔を逸らす。

「あ、あのねえ!なんて夢見させんのよっ!」

あーもう!恥ずかしいったらありゃしない! なによあの設定!いくら夢の中だからってあんなの!

「あれ?でも夢ん中でもルイズノリノリだったじゃん」

サイトが後ろでそんな素っ頓狂な事を言ってくる。 そう、さっきまでのアレは夢。 サイトがコルベール先生から借りてきた、『夢見の水晶球』とかいう、マジック・アイテムで、私に見せていた夢。 サイトの故郷を見せてくれるって言うから、私は好奇心をそそられてサイトの提案に乗っちゃったけど。

「の、ノリノリって!しょうがないじゃない、あんな設定にされたら誰だって!」

…よ、よりにもよって同じ学校に通ってる、恋人同士とかって! しかも、なんかサイトの故郷に会う様に他も色々変わってたし。 …でも。 あの、『くりすます』ってイベントは、なかなか面白いカンジだった。 …えっと確か、恋人同士で一緒に過ごすのよね? …あれ?あれれ? 私は、ある異変に気付いていた。

「で、ルイズ、どうだった?日本の様子は?」 「…よく覚えてない…」 「へ?」

そうなのだ。 なんか、すっごく楽しくて嬉しかったカンジは覚えてるんだけど。 サイトと恋人同士だったってのも覚えてるんだけど。 …そのほかの事がよく思い出せない。 …『ニホン』の部屋って、どんなんだったっけ?服とかこっちとどう違ったっけ?文化ってどんな感じだったっけ? その辺の記憶が、全部霧がかかったみたいにぼやけている。 まるで。 そう、夢から覚めた時、みたいな…。

59 :戦場のメリー・クリスマス〜ルイズの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/11/21(水) 17:10:13 ID:M2bQ5DKm そーいや、俺もかなりぼやけてんなあ…夢ん中のルイズ、どんな格好してたっけ…?」

言って才人はなんだか残念そうにしてる。 …ごめんねサイト。私に自分の故郷を、見せてくれようとしたのに…。 でも。 私はもう一つの事に気付いた。 私は残念そうにしているサイトに、いきなり抱きついた。

「え?何?」 「なんでもいいでしょ。せっかくベッドの上で一緒にいるんだから!ね?」

そして、慌てる彼の唇を乱暴に奪った。 そう。夢の中でも、現実でも。 私がサイトをだいすきなことに、代わりはないから。 だから。

「夢の中であんだけしたのに!」 「そ−ゆー余計な事はよっく覚えてんのね?犬?」

そして、私は笑顔で。

「夢の中でさんざんいじられちゃったから…ほら」

私はサイトの手を取って、自分の、女の子の大事な所、サイトしか入った事のない場所に、押し当てる。 そこはもう、大洪水になっていた。

「こんなになってんのよ。  もう、責任、とんなさいよね………バカ犬♪」

言って私は夢の中と同じ呼び方で使い魔を呼んで。 もう一回、サイトの唇を奪った。 今夜は、寝かさないんだから♪〜fin

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