ゼロの保管庫 別館

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それは蒼から始まった物語(1):不器用なあの子は王女様

サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ―――本名は平賀才人という。

特例により(表向き)平民から貴族、それもガリア王家に連なる一員となったこの青年の名はガリア全土だけでなく、トリステインやゲルマニアといった他国の指導者達の間でも知られた名だ。

『ガリア王ジョゼフの懐刀』 『神の盾』 『イーヴァルディの守護者』

代表的な通り名としてはこれらが挙げられるだろう。 1つ目は、ガリア王家の中でも現国王であるジョゼフと最も親しいとされている為。 2つ目は、その左腕に刻まれたルーンが始祖ブリミルが従えた虚無の使い魔の1つ『ガンダールヴ』であるから。 3つ目は、これまでに幾度となく王家や国民を襲う敵や怪物達を退け、そこに駆けつけてからは誰1人死なせる事無く守ってきた事から。

とにかく平民出身の身ながら魔法を操り、その剣捌きで激戦を潜り抜けてきたその勇姿は、尾鰭胸鰭を追加されながら全国に広まっている訳だ。

しかし、王家に直々に仕えて直接サイトの振る舞いを見た人間の評価はちょっと違う。

曰く――――ちょっと抜けててちょっと鈍い、でも自然と好かれるフツーの青年。

訂正。結構違った。

「ちくしょーっ、酷いと思わねえか?そりゃあシャルロットのお尻鷲掴みにしちゃってたのは俺だけどさー 、寝ぼけてたしシャルロットが勝手にベッドん中潜り込んでたんだから仕方ないだろ。そう思わねえ?」 「コメントは控えさせてくれ。それよりもそれがシャルル様の耳に入ったらマズくないか?いやまあサイトの功績を考えればせめて吊るし首は無いだろうが・・・」

貴族となったサイトの日課は、王家の人間を守る為に結成された花壇騎士団、その面々と共に鍛錬を積む事である。

ヴェルサルテイルの敷地内にある騎士団の詰め所にて、今は同年代であるカステルモール相手に今朝のイザベラのお仕置きへの愚痴をブチブチと言っていた。 サイト自身は認めてないのだが、イザベラによるサイトへのお仕置きは既に宮殿内の風物詩だったりする。 そして更にサイトは気づいてないのだが、顔を真っ赤にして杖を振り回すイザベラとサイトのやり取りを眺める宮殿の人間のそのまなざしはとっても生温かかったり。

一方、話に付き合わされているカステルモールの方は冷や汗ダラダラだ。

オイオイ、実際どうであれ受け取り方によっちゃそれって王家の子女に手ぇ出した風に聞こえるぞ!? しかも王家の人間を呼び捨て!?『様』はどうした『様』は!? いくらシャルロット様やイザベラ様よりも年上で小さかった頃から何年か前からの付き合いだからって、相手は王家だぞ王家!

「ジョゼフのおっさんにも少し前に何とかしてくれって頼んだんだけどさ、あのヒゲ親父ニヤニヤ笑うだけで止めてくれねーし」 「ちょっと待てぇぇえっ!自分が仕えてる国王をよりにもよってオッサン呼ばわりするなぁぁぁああっ!!それも言うに事欠いてヒゲ親父とは何だヒゲ親父とはぁっ!!」 「実際にヒゲ親父じゃねえか。第一なぁ俺のファーストキスはあのヒゲ親父に奪われたんだぞ!? 分かるか!?この俺のやるせなさがわかるか!?俺のファーストキスを返せあんのヒゲ親父いぃぃぃっ!!!」 「だから!国王をヒゲ親父と呼ぶなああぁぁっ!!」

バッソ・カステルモール。 別の世界ではある少女に密かに忠義を尽くし続ける彼も、 ここでは年が近く任務でサイトとよくコンビを組まされるが故に、高血圧とストレス性の胃炎に悩まされる20代であった。

果たしてどっちの方が、彼にとっては幸せなのやら。

一方その頃、サイトに日々折檻を加える主犯格の少女はというと。

(ああもうバカバカバカバカ!せっかく私もサイトを起こして驚かせようと思ってたのに何やってんだい私は!)

顔を不機嫌そうに歪ませつつも、内心自己嫌悪に苛まれてベッドの上でゴロゴロ転がる、微妙にアンバランスな事をしていた。 実はイザベラ、事ある毎に頭に血を上らせてサイトに折檻を加えてはいるが、実際にはサイトの事が気に入らないわけではない。 むしろ大いに気に入っている。 というか、ぶっちゃけ好きだったりする。それこそ最近になってサイトを思い浮かべながら体を慰めちゃうぐらいに。

そのきっかけはイザベラの父のジョゼフがサイトを召喚してすぐの頃。

当時はイザベラはサイトの事を単なる召使い役兼遊び道具―『道具』という辺り彼女らしいというかなんというか。 とにかく単なる目下の平民としか見ていなかったのだが、 ある日王家の人間総出でバカンスに出かけた先で年下の従妹のシャルロットと共に森で遊んでいると、偶然見張りの騎士の目をすり抜けたオーク鬼の集団が現れたのだ。 その時は2人とも杖を持っていなくて、危うくオーク鬼に襲われる寸前で駆けつけたのが、2人が居なくなった事に気づいて追いかけてきたサイトであった。 30秒と経たずオーク鬼数体をあっさり切り捨てたサイトの姿は、まさしく年下のシャルロットによく読み聞かせてやっていた『イーヴァルディの勇者』そっくりで・・・・・・

専門用語で言えばいわゆる吊り橋効果みたいなもんだが、とにかくその時からイザベラは格下の召使い兼遊び道具ではなく、1人の異性としてサイトを見るようになった訳だ。

――――もっとも妹分までもその時からサイトに惚れたと聞かされて以来、彼女とは丁々発止のやり取りをするようになったのだがそれは割愛。 ついでにサイトが『ガンダールヴ』で魔法が使えず無能王と蔑まれていたジョゼフが『虚無』の属性だと分かったのもその事ががきっかけだったり。

それはともかく。

「あーもう、もう1ヶ月も無いってのに・・・!」

何が1ヶ月も無いというのか。

それは、もう1ヶ月もしない内にイザベラとシャルロットはハルケギニアの小国トリステインにある魔法学院へと留学する事になっているのだ。

政治の為国の為、他国同士に結びつきを強くする為指導者層の子息子女が他国に留学するのは珍しくは無いしそれはイザベラも分かっている。 しかしそれでは・・・サイトと会える時間が殆ど無くなってしまう。月単位、下手をすれば年単位かもしれない。 少なくともライバルの最有力候補のシャルロットも自分と一緒だが、代わりに他の女性がサイトに近づく可能性も高いのだ。

ほら、男だろうと女だろうと、それなりに高い地位にいる人間とお近づきになろうとするのは当たり前だし。 従妹はともかく、出会った最初の頃から気になっていた男を自分が離れている間に他の馬の骨にとられて良いものか?

否、断じて否である!

そんな訳でイザベラは何がしたいのかというと、離れ離れになる前にサイトを自分のもの、自分だけの男にしようと企んでいる訳である。

留学が決まってからというもの、わざわざ使用人に頼んで城下町で売られている恋愛のハウツー本を買ってきてもらったり、 サイトの嗜好が貴族よりも平民寄りなので、餅は餅屋秘薬は秘薬屋と女中達に男の気の引き方を教えてもらったり、 サイトと一緒の時はわざと密着してみて気を引いてみたり。 これでもか!という位にチャレンジしてみたが。

率直に言って、(イザベラからしてみれば)まったく効果無し、である。

「・・・やっぱり、サイトはシャルロットみたいなタイプの方が好みなのかしらねえ」

はあっ、深く溜息。

年下の従妹は自分と違って人形のような冷たい雰囲気と美しさを持っているし、 その外見と言動に反して結構甘えん坊な部分もあって、そこが男として堪らないのかもしれない。 それに自分と違って魔法の才能もあるし。自分と違って見た目より素直だし。私なんかいつもいつも魔法で折檻しちゃうから、きっとサイトの方は私の事嫌いだろうし。 ちなみにサイトは後者はともかく前者によって人を評価することはしないから、その考えはあまり関係ないのだが。

それでも妹分に意中の男性にあそこまで迫られたら、流石にイザベラも対抗したくなる。

くっ、でも朝の目覚ましをシャルロットにやられた以上、2番煎じじゃあまり効果は見込めないじゃない。 なら21ページの相手の膝の上に座ってアーン・・・ いやいや、周りに人がいる前でそ、そんな事出来ないわよ!第一食事の時は父様もシャルロットも一緒じゃないかい! それじゃあ43ページの手作り料理・・・ これ前やって1口食べたらアイツぶっ倒れたんだったわね。 『東方』から持ち込まれたアズキって豆とウサギ肉のシチューに魔法のキノコ入れたのがマズかったかねえ?赤と白の水玉模様のだったけど。これも却下。 えーと、他には他には・・・

ベッドの下に隠しておいた男を落とすハウツー本に目を通しながら、新たな作戦を考える事小一時間。 本の後ろの方に行くほど乗っているやり方が過激になっていく内容のその本の最後尾近くのページで、イザベラの手は止まった。 周囲を確認。自分以外に敵影無し。気配も無し。オールグリーン。 そしてもう1度そのページに書かれている事を確認し、顔を真っ赤に染めてさっきよりも3倍速でゴロゴロゴロゴロゴロ・・・・・・

「しょ、しょうがないねえうん!そ、それなりに世話にはなってきたんだから少しは報いてやんないとねえ!アハ、アハハハハハッ」

周りに人が居ないというのに誤魔化す様に笑うその姿は、何気に不振人物であった。

『女が男を堕とすやり方その108:意中の男性と一緒に入浴』


ヴェルサルテイルには王家や貴族専用の豪華な大浴場と宮殿で働く平民用の蒸し風呂以外にもう1つ、離れのような感じで浴場がある。 数年前に追加されたそこは窓の無い密閉された感じの大浴場とは違いそこは湯船に面する壁が特殊加工+『固定化』重ねがけ済みのガラスなので、 外の風景を眺めながら湯船に浸れる仕組みだ。 時折ジョゼフなどがワインとつまみを持ち込んで月見酒と浸ってる事もあるそうな。 言わずもがな、サイトが自分の居た世界の温泉を思い出して作ってもらった場所である。 元々サイト専用であるが時折宮殿で働く人達の為に開放している。しかし今日はそうじゃないのでサイト1人だ。

あ゛あ゛〜、やっぱり風呂っていいよな〜。 こうこの見も心もじんわり温まるこの感覚がなんとも言えねえな〜。

小さい頃一緒に入った父親がやってたのを真似してみて、ハンドタオルを頭の上にのっけながら窓の向こうの夜空に浮かぶ双月をボンヤリ眺める。

つーか、もう当たり前みたいに感じちゃうけど元々俺が居た世界って月が1つしかなかったんだったよな〜。 なんだかこの世界に来てからの数年ってウン十年分の経験みたいな感じがするなぁ。 オーク鬼の群れとも戦ったし。でっかいドラゴンとも戦ったし。山賊とか強盗団とか殺し屋とか色々な奴とも戦ったし。 ・ ・・人も、何人か殺しちゃったし。 よりにもよって男に唇、奪われたし。 欝だ・・・・・・てか人殺した事とヤロウに初めてのチューを奪われたのが同レベルの俺って・・・ あははー、何だか湯気で視界がぼやけるなー。あれー?涙ってこんなに苦かったっけ?

グシグシと涙を振り払う。 まあ辛い事とか嫌な事とかトラウマになった事とか色々経験してきたけれど、こっちに来てから良かった事も多くある。 飯は豪華だし、未だに慣れないけど身の回りの事はメイドさん達がきっちりやってくれて助かる。 サイトを呼び出した張本人であるジョゼフは最初の頃は根暗で性格捻じ曲がってた部分があるが、今は年の離れた悪友みたいな感じで1番の親友だ。 その弟のシャルルさんも優しくて気が良いし。シャルロットが絡むと時々暴走するけど、その奥さんも良い人だし。大人版シャルロットみたいな美人さんだし。 サイトの相棒である『地下水』という自我を持つ短剣やバッソ、騎士団の仲間達もお堅いのが多いけど頼れる奴ばかりだ。 他にも王宮で働いてる従者やメイド達も、サイトにとって良い人ばかりである。 家族やネットや照り焼きバーガーが恋しい事は恋しいけれど、こんな暮らしも結構良くね?などとしょっちゅう思う。

ああそうそう、肝心な少女達の事を忘れていた。

「それにしてもシャルロットはともかく、何でイザベラってあんなにきつく俺に突っかかってくんだ?」

5歳年下のジョゼフの娘のイザベラと、7歳年下のシャルルの娘のシャルロット。 2人ともサイトが召喚された最初の頃からよく遊び相手になっていた少女達である。 いつも一緒だが2人の容姿は正反対だ。イザベラはスタイル抜群、シャルロットはロリ系。 年上なのに怒りんぼうで、年下なのに冷静沈着。 シャルロットの系統は『風』のトライアングルでイザベラの系統は『水』のドット・・・の筈なのだが、何故かサイト相手に魔法使う時はトライアングルクラス級の威力である。 激しく理不尽だ。 最初の頃は2人ともサイトに大いに懐いていたが、イザベラの方は歳を取ると次第に(サイト主観では)辛く当たるようになった。 何度か(イザベラの手料理で)毒殺されかかったり、今でも3日に1回は杖ぶん回して追っかけて魔法でぶっ飛ばしてくれる。 実はその度に慌てて我に返ったイザベラが治療してくれているのだが、ぶっ飛ばされてその時は気絶しているサイトは知る由も無い。

シャルロットの方は今でも「お兄ちゃんvv」なんて呼んで慕ってくれる―― というには最近スキンシップが過剰気味なのだが、とにもかくにもサイトに対して好意的に接してくれる。 胸に抱き疲れた状態で上目遣いでそう呼ばれた日には即刻「お持ち帰りいぃ!!」てなもんだ。 ・ ・・でもそんな事やったら即刻シャルルさんにバレて、水のスクウェアスペル3連コンボ食らいそうだから却下。

だが、そんな日々も何時までも続くとは限らない。 実際、あと1ヶ月もしない内にイザベラもシャルロットもここから居なくなってしまうのを思い出して、溜息が漏れる。

「あーあ、もうちょいでシャルロットともイザベラともお別れ、か」

やっぱり寂しい思いがある。 慕ってくれるシャルロットだけじゃなく、イザベラともしばらくの間会えなくなるのもやっぱりさみしい。 意地悪で横暴だがイザベラの事は嫌いではない。むしろ大切だ。 サイトの居た世界じゃ高校1年生位の年齢なのに色っぽい身体だし。顔も怒ってばっかりで分かりづらいけど、よく見ればかなり綺麗だって分かるし。 それに素直じゃないけど、本当は面倒見が良くて優しい女の子だって事も分かってる。ちょっと感情表現の仕方が凶悪なだけで。 何たってサイトは昔からずっと、彼女のそばで見てきたのだから。

つーかぶっちゃけると、サイトはイザベラの事が好きだ。シャルロットも同じぐらいに好きだけど。

でもイザベラの方は俺を嫌ってんだよなあと、サイトにとってのイザベラの自分に対する接し方を思い出してがっくりと肩を落とした、その時である。 脱衣所に通じる扉が開く音が、エコーをのせて響いた。 またジョゼフが酒持って月見酒飲みに来たのか?なんて考えながら振り向いて。

立ち込める湯気の向こうに見えたのは、白い肌と、巻きつけたタオルで変形しているたわわな胸と、艶やかな長い青色の髪と。 広いおでこの、自分を嫌ってる筈の少女の、タオル1枚だけに身を隠したお姿であった。 顔が赤いのは既に浴場に篭った熱気に早くも茹った為か、それとも男の前で裸身一歩手前を晒した照れと羞恥ゆえか。

「せ、背中流しに来てやったよサイト!」 「イザベもがぶがげべぱっ!!」

噂をすれば何とやら?ないきなりの登場に驚いて、立ち上がろうとして足を滑らせて湯に沈む。 気管に入ったお湯にむせ返りながら身体を起こして、改めて入ってきた少女の姿を上から下まで見つめる。 そしてパニくってるのか現実感が無さ過ぎるのか、サイトの考えは一気に遠くへと飛ぶ。

あれ、これってもしかして幻覚? あそっか、ジョゼフのおっさんが『イリュージョン』でも使ってんだな? ・ ・・だからって娘の裸作り出すのはやり過ぎじゃね? でもいつも思うけどリアルだよなー、この幻――――

「な、なんだい、ジロジロ見てんじゃないよ!は、恥ずかしいじゃないか・・・」

うわ、顔真っ赤。か、かわええ・・・ でもやっぱり幻だよな。だってあのイザベラが俺の前でこんな反応するわけねーもん。 ・ ・・ん?でも幻なら何で歩く音までしっかり聞こえんだ?そこまでリアルには再現できないって―――

つるっ

濡れた床に、イザベラは足を滑らせて前のめりにバランスを崩した。 思わず幻(と、サイトは思っている)だという事も忘れて、サイトも受け止めようと飛び出し。

ふにょんvv

や、やわらけー。

そんな感想が第一に出てくる体勢で、サイトはイザベラの身体を受け止める事になった。 平たく言うと、サイトの頭がイザベラの双丘に埋まっている。 そんな感触、幻なら感じるわきゃあない。

「ってえ、本物!?」 「〜〜〜〜!!?!?!さっさと離れな、バカ!」

サイトの絶叫に我に返ったイザベラに思いっきり突き飛ばされ、再度今度は背中から湯船にダイブ。 階段状で意外に深い湯船の中でもがいて何とか身体を起こしたサイトはお湯を滴らせながら文句を言おうとし、そしてハッと気付いて慌てて回れ右。 イザベラの方はたった今サイトに埋められていた胸を隠すようにしてへたり込んでいる。 ・ ・・代わりに自分で選んだ丈の短いバスタオルから、眩いばかりに白い太ももとかぶりつきたくなりそうに張ったお尻が覗いているのには気付いてない。

思わずチラチラ横目で見てしまいそうになる青年を責める無かれ、男なら目の前に色っぽい格好の美少女が居れば否応無しに反応してしまうのは当たり前だろう?

とりあえずまず最初に聞くべき事は。

「な、何でイザベラが居るんだよ!?」 「!べ、別にいいじゃないの!私の勝手でしょうが!」 「良い訳ねえだろ!俺が入ってる最中にそっちまで入ってきちゃダメだろ!」 「しょうがないじゃないの、アンタが入ってるなんて気付かなかったんだから!」

嘘である。しっかり脱衣所でサイトの服が置いてあるのは確認済みだ。

「ま、こ、こうなったからにはしょうがないわね。このまま一緒に私も入るよ」 「ちょっとタンマ!せめて俺が出るまで待ってくれ!」 「いいから!アンタはそのまま入ってな!これは王女の私からの命令だよ!」 「そ、そんなの関係あるかぁ!」 「・・・・・・は、はん、もしかして私が裸で居るもんだから気にしてるのかい?」

そのとーりです。既に腰の相棒は裏切る寸前です。 ヤッバイ、イザベラに元気になった俺のマイサンが見られた日にゃ去勢されちゃうぞ!? 嫌だ、まだ未使用なのに!

イッパイだ。本当に今のサイトはイッパイイッパイだ。 だから恥も外聞も無く、正直にぶっちゃける事にしたのは仕方が無かったんだろう。

「当たり前だろ!いつもの格好だけでもすっげえ綺麗で色っぽくて結構ヤバイのに!!イザベラの裸なんか見せられたらホントもー危ないんだって!主に俺の理性!」 「え?何だって!?綺麗?色っぽい!?」 「そーなの!もーギリギリなの!イザベラも自分の魅力自覚しろよ!あーもーとにかく早く出てってくれ、好きな子に無理矢理襲い掛かるなんて真似したくねえんだからさ!」

頭を掻き毟りながらサイト、魂の大絶叫。 なにせイザベラは位置づけ的には義理の妹みたいなものだ。 大切な女の子だとハッキリ言えるし・・・血は繋がってなくても、そんな子に劣情をもよおしたらヤバイんじゃねーの?ってなもんだ。

あーもーぶっちゃけちゃったどうしようおもいっきりへんたいさんあつかいされちゃうだろーなー。 きっと『何言ってんのよ!』なんて怒ってトライアングル級連発、いや風呂ん中で杖持ってないみたいだから往復ビンタ、いやいやイザベラだからきっとオラオラ、むしろ無駄無駄?

などといつもより10割増の大折檻を敢えて黙って受け止めてやろうと、言いたい事を言い切った男の笑みを浮かべてサイトは顔を上げて――― すぐに、ポカンとした間抜け面に変貌した。

いやだってあーた、いつもの如く目三角にしてぶっ飛ばしてくる筈の女の子がさ。 顔真っ赤にしながら満面の笑顔で泣き崩れてるってなんでさ、どーしてさ、何故にそうなってるのさ?

オロオロしつつサイト、「えーと、大丈夫か?」ととりあえず聞いてみる。 返ってきた返事は、いきなりドアップになったイザベラの唇だった。 結局サイトのセカンドキスも自分からではなく他人からであった。もっとも最初との違いは相手が妹代わりの美少女であることだが。 うわーい2度目も奪われちゃったー、でも相手がイザベラだし結構いいかもー、と考えた所で慌てて我に返って離れる。が。

「サイトぉ・・・」

3度目のキス。涙の味がしました。ついでに胸とはまた違うプニプニした柔らかさにサイトの愚息が大いに反応。 腰に巻いていたタオル越しに当たって、イザベラの自分の存在を大いに主張してくれている。 数十秒か数分か、2度目よりもかなり長く続いたキスをようやく終えて、興奮しすぎてベクトルが逆に移ったのかそれとも愚息に更に血が行って代わりに頭の血が減ったのか。 幾分冷静になったサイトは、同じく少し頭が冷えたらしい表情のイザベラに問いただす。

「なあイザベラ、どうしてこんな事・・・?」 「仕方、ない、じゃないの・・・アンタが私の事そんな目で見てくれてるって分かって、好きだって言ってくれたら、もう私だって収まんなくなったんだからさぁ」

なんて、甘い、声。

「いやいやだからさ!もう限界だから!イザベラに酷い目遭わせたくないんだって!」 「いっつもそうだねえサイトって・・・見栄ばかり張って、無理して人の心配して。今だっていつもアンタに酷い事してる私なんかに気使ってさ」

サイトの胸に額を押し付ける。 召喚されてからの間に鍛えられて、少なくない数の傷跡が残る彼の体。

「なら―――」 「そんなアンタが・・・私は好きなんだよ」

呆気無く、そんな事が言えた。 予想だにしなかった言葉にへ?へ?と呆けるサイトにイザベラは蕩けた笑みで望みを告げる。 本にはそこまでの事なんて書いて無かったが、そんな事ぁもうどうだっていい。 今までずっと大好きな彼に酷い事してきたんだから・・・その分、しっかりまとめてお返ししてあげないと。ね?

「だからね、私が大好きなアンタが、私の事をメチャクチャにしてくれたって、その方が私は嬉しいんだよ?」

あーもう、とサイトは空を仰ぐ。湯気の向こうには天井しか見えなかったが。 ずっと傍に居てきた可愛い可愛い女の子に、そんな事言われたら。 もう、我慢できるかっつーの!!

「イザベラぁ―――――ッ!!!」 「キャーッvv」

なんだか嬉しそうな、悲鳴が上がった。

じゅぷっ・・・ぐちゅっ・・・じゅぷぷっ・・・んちゅっ・・・ ちゅぱっ・・・ちゅぷ・・・んじゅっ・・・ちゅっ・・・

音だけ聞くととっても卑猥っぽい瑞々しい音が大浴場に響く。 実際問題2人のやってる事はとっても卑猥で大人向け、子供はゴーホームな生殖行動である。 今のサイトとイザベラの体勢は互いの股間辺りに顔を埋めた、いわゆるシックスティナイン。 サイトは今はもう脳内にて埃が被ったエロ本&そういうジャンルのビデオで覚えた知識を掘り返しながら、イザベラの秘裂に指を差し込んでみたり舌を突き入れたりしている。 そこが湿ったというよりもはやしっかり濡れた音を立てているのは、大浴場に篭った湯気と熱気で掻いた汗だけが理由では無いと思う。

なんつーか、うん、 クラスの友達が持ってきた裏ビデオとかああいうのでモザイク無しで女のココって見た事あって、その時の女優のココってなんだか黒ずんで微妙な感じだったけど。 イザベラのはピンク色ですっげー綺麗だよなー。弄ってみるとピクピク動くし。イザベラも可愛い声出すし。 そーいや髪の色が青いとこっちの毛の色も青いのな。

舌を突き入れながら分泌液を吸ってみると、イザベラのキュッと締まったお尻が大きく跳ねる。 お尻を両手で押さえ込んで揉みながらその下の窄まり辺りを親指で撫でてやると、今度は小刻みに震えながら分泌液の量が増す。 ちょっと頭をずらしてみれば、愚息を咥えている彼女の何だか一生懸命な表情な表情がチラッと見えた。

舐めて、咥えて、吸って、揉んで、口の中で頬に擦り付けて。

・・・イザベラさーん。あーた一体どこでそんなテク覚えたとですかー? 実は既に1回出しちゃったのだが、サイトの白い欲望を咽つつも吐き出す事無く大半を飲み込んで、小休止してまた口での奉仕を再開されて電光石火で復活済みである。 ま、この5年間、疾風怒濤の如く騒動に巻き込まれたから殆ど発散できなくて溜まってるからねえ。

「イザベラ・・・?」

あまりのテクに思わず動きを止めたサイトは、声を掛けられて振り向いたイザベラの表情を見て・・・グハッ、と悶絶しそうになった。 青い目は蕩けまくり、白い肌は紅く火照り、唇からはサイトの愚息にタップリコーティングを施した涎が口の端から垂れてアーチを描いていた。 そして極めつけは1度発射した時に飛んだ白いソレが、張りのあるほっぺとか広いおでことかに付着してそのままである。

まあハッキリ言えば、蕩けたイザベラの顔にサイトのザーメ・・・ええいこれだと何だか書きづらい、とにかく白いのがぶっかけられていたのだ。 とにかく拭おうともせずに精液を顔から垂らしたままのイザベラのその姿が、何だかとってもいやらしい。

あーもーたまんねーなーおい、とばかりにサイトは身体を起こすと、湯船の淵に腰かける形でイザベラを膝の上に乗せる。 そのまま向かい合わせの体勢で抱きしめながら精液を拭ってやると、するとイザベラが指についてる分を自分から舐め取った。 指がたった今まで愚息をあれやこれやしてくれた口に包まれるその微妙な感触に、サイトは震える。

「なーイザベラさぁ、なんかちょっと手馴れてなくないか?いやあの咥えてもらってすっげえ気持ちよかったけど」 「貴族子女の嗜みみたいなものよ・・・結婚する他の貴族の男を喜ばせるためのね」

サイト、ちょっとムカッ。

「でも・・・アンタが気持ちよかったんなら私は嬉しいよ。覚えてよかった」

そして続けて放たれた言葉にサイトのご機嫌急上昇! ついでに愚息のテンションも更にヒートアップ。イザベラの太ももの間からぴょこんと突き出て圧倒的な存在感を放ってます。 ピクピク動いて、充分戦闘可能だと無言のプレッシャーを放出中である。

「あ・・・・・」 「・・・えーっと、そのね、ここまでしといて今更だけど本当はこういうのは結婚しても3ヶ月の間はやっちゃいけないんだけどだけどね・・・」 「―――イザベラ」

膝の上で俯きながら紅い顔でモジモジする少女の姿に悶えて叫びたいのを我慢しつつ、脳内でその様子を永久保存版として記録しつつ。 サイトは最後に、問いかけた。

「いくからな?もう押さえらんねーからな?嫌がっても止まらないかもしんないからな?」

帰ってきたのは、微かに青臭さと苦味が混じった、けれどとことん甘いキス。 何分かりきった事言ってのよと、いいから好きにすれば良いじゃないのと。 言外にそう言われた気がして苦笑しながら、イザベラのお尻を持ち上げて秘裂に愚息の先端をあてがう。

行くぞ!マジで行っちゃうぞ俺! ・ ・・でもこういうのって一気に入れるよりゆっくり入れちゃう方がむしろ長く痛みが続いてキツイって聞いたような読んだような。 剣で刺される時も一気に深くやられるよりもジワジワされる方が痛いもんだし、これも似たようなもん?だからゆっくりだとイザベラも辛いよな。

イザベラの身体を押し付けると同時に、サイトもいきなり腰を思いっきり突き上げた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

声にならない悲鳴。多分に濡れてたせいか、意外とすんなり奥まで入った。 それでも幾らか抵抗感はあったし、やっぱり思いっきり入れられたのは痛かったのか、背中に回されたイザベラの爪が立てられてサイトも結構痛い。 まあ痛いのに離れてるからいいんだが、今はむしろ。

人の身体とは思えないくらい熱く、うねって、きつく締め付けてくる膣内の感触――快感に、あっさりとサイトの限界は訪れた 2度目の爆発。

「――!?〜〜〜!〜〜〜〜!!!?」

下半身で生まれたいきなりの熱に、イザベラの身体が、跳ねる。 溜まりに溜まった分、1回の量と時間がえらい事になっているお陰で、開通したばかりのイザベラのそこはすぐに溢れかえった。 ハジメテの証の血と混じってピンク色のカクテルが隙間から溢れていく。

「あふい・・・サイトのみんな、みんなあふいよぉ・・・」

熱に浮かされた声。 ソレが再び、サイトの理性という名のブレーカーをぶっ飛ばす! ぐちゅっ!ぐじゅっぐじゅっぐじゅっ! きつい締め付けもなんのその、自分の出した精液と、イザベラ自身の分泌液が溢れかえったお陰で滑りがよくなった秘裂に何度も突き立てる。 自分の腰を動かすだけではなくイザベラも両腕で抱えて持ち上げたり下ろしたりと出来るのはこの数年間鍛えられたゆえか。

「あひっ!?らめっ、うごかひちゃらめっ!おくまでいっぱひ、いっぱひとどいちゃう!おかひくなっちゃうぅ!」 「いーややめないね!第一メチャクチャにシテいいって言ったのイザベラだろ?なら俺が望みどおりメチャクチャにしてやるよ!」 「ひんっ、あっ!サイっ、トぉ!サイトぉ!」

突き刺される度、子宮口に当たって重い衝撃と快感に貫かれる。 引き抜かれる度、サイトの先のえらの部分が膣内を擦って電撃が走る。 勝気さも意地っ張りな部分も、初めての快感にその全てのたががぶっ飛んだイザベラがいつの間にか自分から腰を動かし始めたのも無理はない。 パンッ、パンッ、パンッ、パンッ――とリズミカルに肉がぶつかり合う音が浴場によく響いていた。

「すっきぃ・・・だいしゅき、サイトだいしゅきだよぉっ!」 「俺も・・・イザベラが好きだっ!」 「ひんっ、うれひい、うれひいの!いっぱい、もっといっぱひサイトのちょーだひぃ!!」

サイトの言葉に殊更きつく締め上げる。 そして迎える、三度の限界。

「ひあああぁっ!いっぱいっ・・・またサイトのが、いっぱひらよぅ・・・・・・」

2度目の体内で溢れかえる熱い奔流に・・・イザベラは意識をあっさり手放すのだった。 そして何度も抉られた秘裂からは、ゴプリ・・・と大量の精液が溢れ出てくる。 意識の無いまま幸せそうな笑みを浮かべる腕の中のイザベラの様子に、サイトも何だか微笑ましげに唇を歪めて、額にキスを落とした。


「お兄ちゃん・・・・・・」

脱衣所で一部始終を覗いていた少女は、呆然としたようにポツリとそう呟いていたのにはサイトは気付かなかった。 だがへたり込んだ彼女の床の周りは、何故かびしょ濡れだった―――

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