ゼロの保管庫 別館

25-195

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195 名前: 香水の降臨祭(1/2) [sage] 投稿日: 2007/12/24(月) 14:18:06 ID:NUc1o116 わたしは彼を学院の中庭に呼び出した。

約束した時間より少し早めに来てしまったので、彼の姿はまだなかった。 今夜は降臨祭の夜。 彼に確かめたい。わたしの心の糸に触れた彼の本当の心が知りたい。

冷やりとした空気がわたしの頬をなでつける。

待たせてしまったんだね。僕のモンモランシー。 わたしは声のするほうに身体を向きなおった。

遅いっ。

まだ約束の時間より余裕のあるはずだ。 単にわたしが早く来すぎただけでギーシュは何も悪くない。 だけど、裏返しの言葉がわたしの口から零れてしまう。

彼はバツ悪そうに頭をかいて、わたしに許してもらうべく、言葉を並べている。

違うの・・・あなたは悪くないわ。 その言葉はわたしののど元で止まって口から出て行こうとしない。

どうして言えないの?その訳もわたしは分かっている。 不安――あなたの言葉の魔法がわたしの心の糸を揺らした。 なのにあなたはわたし以外の女の子とも親しくする。

もっとわたしのそばに もっとわたしをみていて もっとわたしにふれて

女の子はわがままなの。好きになった男の子の余所見なんて許したくはないの。 媚薬を使ってでも好きな男の子は自分だけを見ていてほしいの。

彼がわたしの不安に気がついてくれたらいいけど、たぶん無理。 わたしからあいつに心からあふれるままの言葉をぶつけるしかない。 裏返しじゃなく、そのままの言葉を。

「モンモランシー・・・」 半分泣きそうな彼の表情にわたしは言葉をぶつけることにした。

「ねぇ。ギーシュ――わたしのこと本当に好き?」 「もちろんさ。モンモランシー、君を好きさ。愛してるんだよ」 彼はわたしの手をとり口づけ、喜色満面に即答した。

「そ、そう。でもわたしは不安なの。他の女の子と仲良くするあんたを見てるのつらいわ」 「うーん。僕だって女の子とも話しをするさ」 「わかってる。・・・でも愛されているという実感がないの」 「そんな・・・」 「ねぇ、証拠みせて。わたしを愛しているという証拠」 彼は腕を組んで悩みはじめてしまった。 「そんな悩まないと・・・だめ?」 わたしは唇を噛んだ。なんて鈍感な男(ひと)なんだろう。 こいつといい、サイトといい・・・ 業を煮やしたわたしは彼に言った。

「抱いて」

196 名前: 香水の降臨祭(2/2) [sage] 投稿日: 2007/12/24(月) 14:19:20 ID:NUc1o116 わたしのこの一言で彼の顔が真っ赤になる。

「な、ここでするのかい。寒いと思うよ」

やっぱり勘違いしてる。わたしは口元を緩めて答える。 「違うわよっ。抱 き し め な さ い。」

「そーいうことだったのかい。驚かさないでくれよ・・・」

彼の腕がわたしの身体を包み込んだ。 やさしい温もりがわたしの不安を溶かしていく。 わたしは彼の背中に手を回した。 そして彼を見上げる。

「今夜は・・・わたしを離しちゃダメ」 「わかったよ」 「約束して」 きゅ。彼の背に回した両手に力を込める。

「約束する」 彼もさっきより強めにわたしを抱きしめてくれた。

「キス・・・して」

わたしは彼に口付けをねだった。

「愛してるよ。ぼくのモンモランシー」

彼の熱い唇がわたしの不安の出口を塞いでくれた。

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