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・サイトは一度教皇の魔法で帰ったけど親に会う間もなくなんらかの方法で帰還 ・そのあと東に遠征。紆余曲折の後、聖地の門に行く。でも帰れず。 ・エロパロスレなのに申し訳ないんだが、状況的にエロ到達はちょっと先。

464 名前:未来予想図[sage] 投稿日:2007/12/31(月) 02:33:05 ID:HUOQ29UL 「しょうがねぇよ。聖地の門でもムリだったんだし……。それに俺はお前と一緒にいたい から戻ってきたんだ。だから、もう気にすんなよ、ルイズ」  そういってサイトが浮かべた微妙な笑顔が、ルイズの頭から離れない。

 ルイズは自分の家の自分の部屋、そのベッドに寝転んでぼんやりと天井を見上げた。

 遠征の結果と無事の報告。  そのために、ルイズらは王宮に次いでラ・ヴァリエール公爵邸に向かった。  報告を兼ねた食事会が開かれたが、才人は眠いと言って早々に部屋へとひっこんだ。

 ルイズにはわかっている。才人が部屋に戻った理由が。  ……たぶん今頃、一人で物思いにふけっているのだ。

 聖地に至れば元の世界に帰れると思っていたのに……サイトは帰れなかった。  あの門は一方通行で、こちらから渡る事は不可能なのだという。  それを聞いたサイトは……目を見開いて言葉を失っていた。  どれほどの絶望を味わったのか、ルイズには想像もつかない。  トリステインに戻る間、いつも通りの様子を崩さずにいたサイトは、どんな思いでいた?  ……聞きたかったけれど、それをすることで傷を抉るような事はしたくない。  だから、ルイズはあえて彼の部屋に出向かなかった。

 教皇聖下の虚無『世界扉』は、一度通った者を二度通す事はできないのだという。  一度『世界扉』で帰った才人には、もう使用できない。

「サイトを帰してあげたいのに……私ってば、いつまでたっても結局ゼロだわ……」

 ルイズの目元は乗せた手の甲で隠れていたが、その頬をぽろぽろと雫が伝った。  なにか、手はないだろうか。もう、本当になにもないのだろうか?  他に、他の……なにか、彼が帰る、その方法は。

 私は……サイトを幸せにしてあげたい。  私だって幸せになりたいけど、私だけが幸せになったって、嬉しくない。  サイトが、元々もっていた幸せを、失ってほしくない……。  ただ幸せに、ではなくて、家族といつでも会える、その上での幸せをあげたい。  そう願わないなら、きっと本当の意味でサイトを思っている事にはならないんだわ……。

 思い詰めたルイズはふらりと起き上がって、肌身離さずにいる始祖の祈祷書を開いた。  ぱらぱらと、いつものように白紙のページをめくっていく。  破壊系統の私の虚無ではやっぱりだめなのか、とルイズが半ば諦めかけたその時。  眩く輝く文字を、ルイズは目にした。

「帰れない、か……一度吹っ切れはしたけど、本当に可能性、全部潰れちまったんだなぁ」  才人はあてられた部屋のベッドに転がったまま、小さくため息をついた。  もう帰れないと思ったら、やっぱり父や母の顔はこれ以上なく恋しく思えた。  でも……もう二度と見られない。  一度帰った時に、会っておけばよかっただろうか。  ……いや。あの時は、ああするしかなかった。  そうでなければ、両親の代わりにルイズに会えなくなっていたかもしれない。

 ……もう、そろそろ、食事会は終わっただろうか。  才人はもう会えない大事な人のかわりに、会える大事な人に無性に会いたくなった。

 部屋をでて、なんどか教わって覚えたルイズの部屋にたどり着く。  扉越しに、ルイズの声が聞こえた。  だれか部屋に来ているのかと思ったが……その韻が呪文のそれだと気がついて、才人は 慌ててルイズの部屋に飛び込んだ。

465 名前:未来予想図[sage] 投稿日:2007/12/31(月) 02:33:48 ID:HUOQ29UL 「ルイズ! どうした!?」  ばたん、と蹴り開けんばかりの勢いで才人はドアを開けた。  かなりの音がしたにもかかわらず、ルイズは見向きもせず、呪文を唱えつづけた。

 フィル・ウリュ・スリサーズ・アンスール・ラド・ケン……

 ルイズの唇から聞き覚えのない虚無のルーンが紡がれていく。  途方も無い魔力がその小さな体の中でうねり、行き先を求める。  それは杖の向く先、壁に一点生まれた小さな光点に、集約されていく。

 ギョーフー・ウンジュー・ハガラズ・ニィド……

 ルイズはただただ一心に虚無の詠唱を続ける。  才人は壁に窓にと目をやるが、何一つ怪しいものは無い。 「おい! なにやってんだよ、ルイズ! 敵なんかいねぇじゃねぇか!」  叫んで肩を掴むが、ルイズは弱々しい笑みを一瞬だけ才人に向け、再度光点を見据える。

 イス・ヤラ・ユル・ペオース・アルジー、ズ……

 ぐっ、と声が詰まって、一瞬呪文が止まりかける。  光点に向かう杖はそのままに、ルイズは左手を自身の腿にやった。  何をしているのかと才人がみると、爪が食い込み、その傷から血が溢れ出した。  その血は次々にじゅうたんに落ちて、そこを赤一色に染めていく。 「ル、ルイズ……?」  ルイズの腕はがくがくと震えるほど、その内に力を篭めていた。

 ――精神力がきれても無理に詠唱を続けると、気絶しちゃうの。

 以前、ルイズが自分に言った言葉が、ふと脳裏に蘇る。  目を見て、その確信を得る。ルイズの焦点は定まらずにぐらぐらと揺れていた。

 こいつ……意識途切れそうなのを、無理やり唱え続けてる!

 その結論が才人の中に生まれた瞬間、ルイズの唇の端から一筋血が流れた。  本来であれば気絶するほどの負荷を無視して、そのまま続けたらどうなるのか……。  いま流れた血もその一端かと思うと、才人の背にぞくりと冷たいものが走る。 「ルイズ! もうやめろよ!」  掴んだままだった肩をぐっと引っ張ると、ルイズは大きくバランスを崩し、膝をついた。  それでも杖は光点に向けて、そしてそれを必死に睨んでいる。 「なにしてるかわかんねぇけど、そこまでして唱える何があるってんだよ! ルイズ!」  才人はルイズの正面に膝をついて、両肩を掴んで、叫んだ。 「……教えろよ! 俺、お前がいなくなっちまったら、一体何のためにこっちにいんのか わかんねぇよ! 何のために生きてけばいいんだよ! なぁ!!」  ルイズは詠唱を止めず、また、さっきの言葉に答えないまま、才人の背に腕を回した。  こんな細い腕のどこにあるのかわからないほどの強い力で締められて、息がつまった。  どれほどの苦痛が彼女の体の内を巡っているのか、想像もできない。  才人の肩に顎をのせて、さらにルイズは呪文を続ける。

 スーヌ・ティワズ・ベオーズス……エオー、マン……ラグーズ……

 才人は震えながら、ルイズの体を抱きしめる。 「ルイズ……ルイズっ! 頼むから、もう……」 「どうしたの!? 何が……ルイズ!?」  はっと扉の方を振り返ると、開けっ放しのドアからカトレアが飛び込んできた。  才人が大声で叫んでいたのが、カトレアの部屋まで聞こえたらしい。

466 名前:未来予想図[sage] 投稿日:2007/12/31(月) 02:34:08 ID:HUOQ29UL  呪文が完成したのは、そのときだった。

 フレイヤ、オシェラ……ザガ、ズ…………フォルセティ

 最後は途切れ途切れになりながら、それでも強引に呪文を完成させ、ルイズは杖を振る。  チリチリ、と大きな羽虫のような音がした。  小さかった光点は大きな姿見程の範囲に広がり、壁の一箇所を黒く染め上げた。

 ルイズはそれを確認するように見ると……杖を手放し、その場に崩れ落ちた。 「……ルイズっ!!」  才人とカトレアは思わず悲鳴のような声でルイズの名を呼んだ。  ぐったりと青い顔で倒れ臥したルイズに、カトレアはすぐに呪文を唱え始めた。 「イル、ウォータル、デル……」 「ちぃ、ねえさ、ま……やめ……お体、が……」  すぐに治癒の呪文を唱え始めたカトレアを、意識も朧げなまま、ルイズは止める。  しかしカトレアは呪文を止めようとはしない。  さらに何人もの水の使い手が騒ぎを聞きつけて集まり、ルイズの身を癒した。  しばらくして、カトレアまでもが咳き込んで、倒れた。  ――才人は、手術室の前で待つ家族のように……ただ待つ事しかできなかった。

「う……ん」 「……おはよう、ご主人さま。……で?気分はどうだよ」 「サイ、ト……?」  やけに不機嫌な声の元を探して、ルイズはベッドに横たわったまま見回した。  才人は、ベッドのすぐ横に寄せた椅子に座り、ルイズを見ていた。  窓の朝日を背にし、その顔は半ば影に隠れていたが、少しほっとした風な顔つきだった。 「私はもう大丈夫よ。……それより、ちぃねえさまは?」 「あのあと、倒れたよ。……すぐ処置したから、今はもう大丈夫らしいけど」 「そう……ご無事でよかったわ。ちぃねえさまにも皆にも、あとで謝りに行かなきゃ……」  言ってから、ルイズは気だるげに体を起こし、部屋をくるりと見回した。  虚無の魔法で生んだ黒い鏡面はまだそこにあって、ルイズはほうっと息をつく。  そして再び才人を見ると、その顔はいつの間にか不機嫌そうに歪められていた。  才人は椅子から立って、ベッドの上、ルイズのすぐ横に乱暴に座った。  そして……ルイズが目を丸くする前で、才人は怒りに顔を歪め、身を震わせた。 「……お前、一週間も、眠りこけやがって……! 何を無茶してたのか、言いやがれっ!」 「お、おい相棒、"虚無"の使いすぎでダウンしてたんだから、もちっと優しくしてやれよ」 「うるせぇ! 黙ってろデルフっ!」  見かねたデルフリンガーが口をはさんだが、才人はそれを跳ね除けた。

 自分になにも言わず伝えずに、勝手に無茶をしたルイズが許せない。  ルイズに事情を伝えてもらえない、信頼してもらえなかった自分が許せない。  そして……ルイズが倒れても、見ている事しか出来なかった、その力不足が許せない。

 とにかく今の才人は、ルイズが起きるまで溜め込み続けた怒りで頭がいっぱいだった。

「さぁ、言え。まず、なんの虚無唱えたのか言え。あれはなんだった。爆発か?」 「……新しい、虚無よ」 「どうして唱える前に、俺に相談しなかったんだよ」 「……相談したら、アンタは止めたでしょう?」 「当たり前だろ!?」 「だからよ」  きっぱりといわれて、才人はそれ以上言えなくなった。 「…………じゃあ、次だ。……なんで、血吐くほど体にガタきても唱え続けた?」  それを問うと、ルイズは一拍ほど目を見開き考えて、それから答えた。 「……そうね。どうしても叶えたい夢だったからよ」 「夢?」

467 名前:未来予想図[sage] 投稿日:2007/12/31(月) 02:34:29 ID:HUOQ29UL 「サイトが私とずっと一緒にいて……でも、ご両親とも会いたい時に会える、そんな夢」 「な、なんだよ、それ……」  才人の顔ににじんでいた怒りが、困惑のそれに変わる。 「アンタが幸せで、そんなアンタと一緒に幸せに暮らせたら……私、世界一の幸せ者ね」  そんな事を、何のてらいもなく言って微笑するルイズにどきりとした。  しかしそれでもまだ、才人は納得がいかない。 「それと、今回の無茶と……どう関係があるってんだよ」 「……新しい虚無は、"界壁破壊"……上手く詠唱できてれば、あの先はサイトの部屋よ。 もう、これとは別の虚無の魔法で塞がない限り、ずっと繋がったままのはずだわ」  サイトの部屋、という言葉に才人は思わず目をむき、息をのむ。  ルイズがあれほどの無茶をやってのけた理由は……コレか……。  様子の変わった才人を気にとめず、ルイズは説明を続けた。 「虚無の系統は唱え切らなくても効果を発揮する、特殊な魔法よ。その効力は唱えた長さ で変わるわ。……もし、この魔法を唱えきれずに開放したら、どんな形で効果を発揮する かわからなかったわ」 「……あんな長い呪文、唱えきる自信あったのかよ」 「あったわよ」 「……お前、ぶっ倒れたじゃねぇかよ」 「それは呪文使った後でしょ」 「大体、あんな長く唱えられるほど精神力溜まる状況はなかったはずだろ」 「……その答えなら、ここにあるわよ」  言って、ルイズは才人の手を取り、自分の胸に押し付けた。 「お、おい。……なな何してんのルイズ」 「ちょっと、何照れてるのよ……。違うわよ」 「どう違うんだよ」 「さっきの答え。……あれを唱えきるだけの思いが、ココにあったから、よ」  そう言って才人の掌ごとぎゅっと胸を押さえ、ルイズは目を伏せた。  やっと健康な色に戻った白い肌が、ゆるいウェーブの髪が、朝日に照らされていた。  その姿は慈母像か何かのようで、才人は言葉を失った。

 しばらくしてルイズが手を放すと、才人はその手をそっと背に回した。 「……みんな、お前のこと、すっごく心配してたんだぞ」 「うん……とっても申し訳ないことをしたと思うわ」 「俺だって……心配した」 「わかってるわ。……詠唱中、ずっと邪魔してたじゃない。主人の呪文の詠唱を邪魔する 使い魔なんて前代未聞だわ。……でも、ちょっとだけ、嬉しかったけど」  ルイズの幸せそうな笑顔に、才人は頬を染めてうっと詰まった。 「……な、何かお前さ……ちょっとヘンじゃねぇ?後遺症とかなわけ?」  さっきまでの雰囲気が一瞬で吹き飛び、ルイズは才人を睨みつけた。 「なによそれ。どこがどうヘンだって言うのよ」 「素直すぎ」 「…………ええ、そうねぇ。きっと今日くらいね。貴重だと思ってちょうだい」  ルイズはそう言って、才人の腕の中でふくれっつらをした。  才人はそんなルイズを見て微笑むと、躊躇いなくルイズの顎を上向け、口付けた。  朝の光が差し込む中、二人は情熱より安らぎから、しばらくキスを続けた。

「……あー。……そういえばさ」 「んっ……何よ?」  急にキスをやめられたルイズは、不満げな顔をした。 「……あれ、ほっといても大丈夫なのか?」  才人はそう言って、壁のでろでろ黒いやつを指差した。 「さぁ……向こうではどうなってるのかしら。想像つかないわね」 「こっちと同じとして……母ちゃんがコレみたら、驚いてお祓い頼むかもなぁ……」 「……それより見るなり卒倒しなければいいわね……」 「うーん……早いとこ行ってみないとマズそうだな……」 「あ、サイト。入る前に棒とかつっこんで、ちゃんと安全を確認してね」 「……お前さ、さっき自信あるって言ってなかったか?」 「……だ、だって。入ったら体溶けちゃった、とかなったらイヤじゃない」 「あ、あのなぁ! 自信あんのかないのかどっちかにしてくれよ!」