ゼロの保管庫 別館

26-241

最終更新:

familiar

- view
だれでも歓迎! 編集

241 名前:Lv.見習[sage] 投稿日:2008/01/10(木) 01:28:29 ID:KrNoLSDX  あぁ、なんか……くすぐったい。  腹のあたりかな……なんだろう?

 こそばゆい感覚に才人が薄く目を開くと、  淡く優しい光の中を、桃色がふわりと横切った。  ……あぁ、ルイズだ。ルイズの髪。  俺より早く起きるなんて、珍しいじゃねえの。  それに……なんで仰向けになってる俺の視界に居るんだ、お前。

 声には出さずにぼんやりと、その桃色を目で追う。

 ははあ、お前、さてはなにか嫌な夢でもみたんだろ。  それで不安になって目が覚めたってとこだな?

 才人はフッ、と思わず口元を緩める。

 またみんなにバカにされてた頃の夢か?  どの魔法使っても全部爆発しちまう夢か?  あぁ、それとも、夢の中で俺が死んじまったりでもしたんかな。  いつまでも気にしすぎなんだよ、お前。  その調子じゃ、俺、いつまでも罪悪感感じちまうっつの。  今はもう、ずっとそばにいるってのにさ。

「サイト……?」  聞こえたのは、やはりというべきか、なにやら不安げな声。  ぼやけた視界の中に、ご主人さまの大粒の鳶色が入ってきた。 「……おはよう、ルイズ」 「おはよう」  それだけ言うと、ルイズはまた視界の端に消えた。

 ……ん? ルイズ、さっきからなにして? それに、なんで腹のあたりにいんのよ?  さっきの声を聞く限りでは、ルイズはなにやら不安げだった。  それなら抱きしめてでもやりたいところだが、寝たままでは微妙に手が届かない。  というか、それを望んでるなら胸の辺りに来てるだろう。

 そんなご主人さまの妙な行動への疑問は、すぐに解消された。  ジーっ、という、才人には耳慣れた、しかしハルキゲニアでは聞かない音で。

 あれ……この音って……まさか社会の窓を開ける音デスカ?

 思った瞬間、才人は跳ねるように身を起こした。  視界に飛び込んできたのは、出しっぱなしで寝るわけのない、自分のアレ。  生理現象的に目覚めのよろしいそれを、ルイズは近距離からまじまじと見ていた。  急速に先程までの眠気がすっとぶ。

「何やってんの、お前!?」 「あ、その……ちょっと、協力してもらおうと思って」  言いながら、唐突に両手できゅっと握られる。  心の準備もしていなかったので、思わずぴくりと反応させてしまった。  うお、ご、ご主人さま……指細いネ。ちょっと手がひんやり……じゃなくて! 「ばっ、バカ、触んな! そんなとこ! てか見んな!」 「わ、わたしだってほんとはイヤよ!」  握ったままの手を胸元に寄せながら、ルイズはぱっと目をそらした。  頬が薄紅色に染まっている。 「じゃあなんで!」 「……後で教えてあげる」  そういうなり、ルイズは突き出した舌を先端に押し付けた。  脳を直接刺激するような感覚に、戦慄する。 「うあ……や、やめっ!」

242 名前:Lv.見習[sage] 投稿日:2008/01/10(木) 01:28:51 ID:KrNoLSDX  ルイズの頭を押しのけようと、才人は手を伸ばす。  ……くんっ、と何かが引っかかった。……手が、届かない。  才人がばっと自身の両手をみると、多少の余裕をもってベッドの支柱に縛られていた。  ぐいぐいと何度か引っ張って見るが、なかなかにしっかり縛ってある。  左右の手はあわせられない程度の長さで、解く事もできそうになかった。 「な……なんでっ?」 「あのね、たぶんサイトは抵抗するって聞いたから」 「誰にだよ」 「……ヒミツ」  ちゅぷ、と水音をたてて、唇に包まれる。  ルイズのぽってりした唇。  それが、今、俺の……コレを……。  頭がかぁっと、火でも灯したように熱くなる。

 ……あぁ、これは都合のいい願望夢なんじゃなかろうか?  貴族だ公爵家だと言うルイズが、こんな早朝に、こんなはしたない……けしからん……。  …………でも、今ルイズがしている、やらしい顔は、とんでもなく愛しい。  夢であって欲しいのか否か、自分でも、ワケがわからなくなってきた。

 ルイズは才人のモノを刺激しつつ、時折目線をちらとあげて様子を見る。  すると当然、ずっとルイズを見ている才人と目が合うわけだが、  そうするとルイズ、恥ずかしそうにぱっと目をそらす。  それでも手や口を休めない。恥ずかしそうに俯いて、でも才人を放さない。  羞恥に伏せた目は、長い睫毛に彩られて、えもいわれぬ色香を醸し出し、  俯き加減のまま刺激されると、ついでに流れ落ちた髪までもがさらさらと触れてくる。

 ルイズは記憶を確かめながら、と言った風な拙い動きだったが、  そこにルイズへの思いと、縛られて抵抗できないシチュエーションが加算される。  息が上がる。熱い衝動がこみ上げる。  いや、でも……聞かないと。その前に、何でこんなことしてるのか、聞かないと……。  喉からひっきりなしに漏れる呻きを才人は気力で押さえた。 「な、なぁ……ルイズ」  どうにか搾り出した声はやはり熱っぽく掠れた。 「んむ……? ……なによ、わたしやめないわよ」  ルイズは一度口の中に包んでいたそれを吐き出して、答える。 「わ、わかった。そこは譲る。……ほんとはイヤだけど、譲る。好きにしてくれていい。 けどさ……、せめて理由くらい教えてくれよ」 「だから後でって言ったでしょ?」 「いや、今。それくらいいいだろ、俺は先に譲ってるんだし」  少し粘ると、ルイズは仕方ないわね、とため息をついた。 「私の成長のためよ」  きっぱりと、そう答える。  才人は、その言葉を解するのに10秒ほどかかった。 「成長……って、俺、やらしい事の練習台にされてんのかよ? 誰にする気だ、こんな事」 「ち、違うわよ。勉強じゃなくて、わたしの成長よ。せ・い・ちょ・う。わかるでしょ?」 「……いや、ぜんっぜんわかんね」  きっちり区切って言われても、聞き取れはいるので意味がない。  会話をしながらもルイズの手は絶え間なくあちこちを摩ってくるので、聞くのに集中は できないが、別にそれが原因で意味を取れてないわけでもない。 「じゃあ、アンタも知らなかったのね」 「何を?」 「ミルクを飲むと成長するって言うじゃない」 「言うね。てか前にやってたよなお前。それで?」 「み、ミルクはミルクでも、ほんとは牛のお乳じゃないんですって」 「……まさか?」  イヤな予感。今更もう逃げようがないけど。 「こ、コレを刺激して出てくるのが、そうなんですって」  ルイズは真っ赤になって、目を伏せて、震える声で言い切った。

243 名前:Lv.見習[sage] 投稿日:2008/01/10(木) 01:29:11 ID:KrNoLSDX  ……だ、誰だ、ルイズにそんなシモ系のガセネタ教えたのは!  あぁぁ、ルイズのヤツ、信じきってんのかよ……!  才人は頭を抱えたかったが、縛られていて手が届かない。 「わ、わたし、背も……胸も、ちっさいじゃない? だからね」 「ま、まて。それガセだから。科学的根拠以前の問題だから、それ」 「……カガクテ・キコンキョ?」 「つ、つまりウソなの! それは!」 「え……そ、そんなことないもん! だってキュルケが……あ」  ……キュルケか。コレの原因は。  犯人の名前を聞いた時点で、才人にはその光景が目に見えるようだった。

「ねぇルイズ、あなた知ってるかしら?」 「急になによ、キュルケ」 「あなたの背とか胸が小さい理由」  てな感じで、キュルケは思いついたように唐突な話をふってくる。 「知るわけないでしょう。ていうか、小さいって言わないでよね」  そこでルイズはきっとむすっとした顔をするんだ。 「ふふ。他の小さい子との共通点考えてごらんなさいな」 「……共通点?」 「みんな男性経験ないのよ」  とかって言って、キュルケは髪をかきあげて、うふん、とかポーズをとったりして。 「だったとして、それが背とか……ぉ、お乳とかにどう関係あんのよ」  なんて、呆れた顔しつつ、でも興味そそられちゃった風にルイズは答えて。 「男性の(* ピー *)からミルクがでるんだけど、摂取するとスゴいのよ」  とかって、キュルケはめちゃくちゃな事を言い出して。 「な……っ! は、はしたないわね! そんなわけないでしょう、ヘンなこと言わないで!」  ……って風にルイズは真っ赤になって反発する。 「ほら、タバサとか全然そういうことなさそうでしょう?」 「……た、たしかに……って、だったら姫さまの素敵な体つきはどうなるのよ!」 「お姫さま? 王族って、将来嫁ぐ時のために、そっちの教育も受けるものよ?」  とか言って言いくるめられて、ルイズは青くなったりして。 「え……えぇ? じゃあ……本当に?」 「そ。……まぁ、でもあなたじゃ知っても意味なかったかしら?」 「なな、何でよ」 「だって、はしたないとか恥ずかしいとかって言って何もできないでしょう? 誇り高い 名家、ラ・ヴァリエール公爵家の三女、ですものね」  とかって、ルイズをバカにするような言い回しをわざとして。 「そ、そんなことないわ!」  ルイズは負けず嫌いだからここで思わず反発しちゃうんだろうな。 「じゃあやってみる? 面白そうだから教えてあげてもよくてよ」 「つ、ツェルプストーに習うのは癪に障るけど、仕方ないから教わってあげるわ」  なんて感じに以下略。

「なぁ……お前さ、キュルケにからかわれたんだよ」 「そんなことないもん」  生真面目なルイズは、そっちの講義もさぞかし真面目に受けたに違いない。  こちらの反応を見ながら、動きはどんどん的確になっていく。……まさに優等生だ。  才人はもう、既に土俵際に追い詰められ、よろけているような状態だった。 「だって聞いたことねえよ。……アレを飲むと成長するだなんて」 「でも、確かに牛のお乳は効かなかったわ」 「……ルイズにゃこんなの絶対出来ないと思って言ったんだと思うぞ」 「で、出来てるじゃない、わたし。さすがね。……なんかぬめぬめするし、ニガイけど」  そりゃ、もう先走ってますから……。 「……うん、そうかそうか。なら、もうこの辺でやめてみない?」  つーかマジやめて。ヤバイ。ほんとに飲まれちゃう。 「やめてみない。一度はじめたことを放るのは性に合わないの」  そだね。お前、どこまでも真面目だもんね。

244 名前:Lv.見習[sage] 投稿日:2008/01/10(木) 01:29:32 ID:KrNoLSDX 「けど……そろそろホントにまずそうなんですケド」 「そのためにしてるんじゃない」  そう言って、ルイズは再び深く咥え込んだ。  それはさながら溶鉱炉に突っ込まれた鉄。今にも熔けてしまいそうな錯覚を覚える。  うぅ、と呻いて、才人は熱っぽい目を細めた。

 あぁ、頭だけなら……今なら、届くかも……。  半ば無意識に伸ばした手が、ルイズの桃色の髪を揺らす。 「んぐっ」  才人の行動に驚いたのか、口の中は少し狭まった。  ルイズの頭に手を回して衝動のままに軽く突きこむと、絡まった舌に強く擦れる。  頭が灼けつくような感覚に、ご主人さまご所望のそれを、口中に放った。

「けほ、けほっ……うぅ、まず。……それに、飲み込みづらいわ」  大した量ではないそれを、苦戦しつつどうにか飲み下して、ルイズは言った。 「…………無理して飲まなきゃいいだろが」  荒く息をつきながら、才人は少し疲れた声で答えた。 「だって、成長したいんだもん」 「…………お前、気にしてるもんなぁ、背とか」 「……誰かさんが大きいお乳好きじゃなかったら、ここまで気にしなくて済んだわよ」  ルイズが拗ねた顔でつぶやいたそれを聞いて、才人は文句を飲み込んだ。

「あら、サイト」  広場でいつものように素振りをしている所に、やってきたのはキュルケだった。  来た。張本人来た。……文句の一つも言ってやる。  そう思いながら、才人は待ち構えた。 「あのな……ルイズにヘンな入れ知恵すんなよな」  才人は、精一杯、不機嫌な顔と声を作った。  ここでうっかりニヤけたりして……さとられてしまっては困る。 「あら? じゃあさっそく頑張ったのねぇ、あのコ」  キュルケはまるで悪びれた風でもない。 「それで、欲求不満は解消できて?」 「……はい?」 「この間言ってたじゃないの。ルイズが一日中気になっちゃって、たまってる、って」 「…………はあっ??」 「ふふ。あのルイズが原因じゃ、あたしが慰めてもしょうがないものね」  言って、ナイスバディを見せ付けるようにキュルケは髪をかきあげた。  まるで意味がわからない。わからない、が……。  なにかが引っ掛かる気がして、最近のキュルケとの会話を回想した。

「あら、いやだ。今日はずいぶん寝不足みたいじゃない」 「まあね」  目の下のくまをみて、キュルケは顔を曇らせた。  その時の会話も、才人が外で素振りをしている時だった。 「どうしてそんなに寝不足なわけ?」 「最近、ルイズが一日中、昼夜問わず……」  誰それの胸を見てたーとか言って、虚無ぶつけてくるから、あんま寝てなくて。  ついでにそれのせいで、普段歩いてる時もビクビクしてたから気疲れもプラスでさ。  ……と正直に言ってバレたら後で殺されそうなので、才人は言わなかった。 「まあ、(ルイズの視線とかが)気になって……たまってんだよ(疲れとかストレスが)」 「ふぅん、大変なのね」 「まあね」

「……こ、この会話を曲解したのか……」 「なぁに? どうしたの」  確かに。確かに言葉が足りてない。けど。 「あのな! たまってたのは疲れ! アッチの話なんかするわけねえだろ!」  思わず叫んだ才人を、通りすがりの生徒がじろじろと見ていった。

245 名前:Lv.見習[sage] 投稿日:2008/01/10(木) 01:30:31 ID:KrNoLSDX 以上。

自分で書いてて難だが、冒頭の才人の語りは死にかけにしか見えね。 でもそれがイ(ry ……騙された人、いる?

そういえばタイトル忘れてました。 「人に夢と書いて儚い」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

人気記事ランキング
目安箱バナー