ゼロの保管庫 別館

26-657

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657 名前: ルイズならきっと本編でもやってくれる [sage] 投稿日: 2008/01/24(木) 23:13:53 ID:gYLu1wKD  部屋に戻ってきたら、ルイズが鼻ちょうちんを膨らませて寝ていた。 「……は?」  才人は目を見開いてその光景を凝視する。  ベッドに寝転んだルイズは、大口開けて涎を垂らし、実に幸せそうな表情で寝こけている。その小 さな鼻から、ルイズの顔並に大きな鼻ちょうちんがふくらんだり縮んだりしているのである。才人は ごくりと唾を飲み込んだ。 (馬鹿な……! あんな、漫画みたいな鼻ちょうちんが、実在しているなんて!)  体が強張るのを自覚しながら、才人は慎重に一歩足を踏み出す。足音一つ立てようものなら、ルイ ズが起きてあの芸術的な鼻ちょうちんがパチンと弾けてしまう気がする。一歩一歩、慎重に足を運ん でいく。  傍らに立ってルイズを見下ろすと、鼻ちょうちんはやはり巨大であった。間違いなくルイズの鼻か ら出て、彼女の呼吸に応じて大きくなったり小さくなったりしている。 (スゲエ、ホントに鼻汁の膜なんだな、これ……! よく割れないもんだ)  全身が熱くなる。夢にまで見た鼻ちょうちんが目の前にあると思うと、足が震えて尻餅を突いてし まいそうだ。  しかも、それを作っているのはルイズなのである。己の思い人が成し遂げた大業を思って、才人は 深く息を吐き出した。 (チクショウ、俺としたことが……! カメラを持ってねえ! この素晴らしい一枚絵を保存するの は無理ってことか)  ならばせめて自分の目に嫌というほど焼き付けておこう。そう思って、才人は無心にルイズのこと を見つめ続けた。  ぷぅぷぅ音を出しながら、鼻汁の球が膨らんだり縮んだりする。才人はうっとり夢心地になった。  そして、ふと、心の底から抑えがたい衝動がこみ上げてくるのを感じる。 (……割ってみてえ……!)  恐るべき悪魔の囁きであった。もしも才人が人差し指でこの鼻ちょうちんを突いたら、一体どう なってしまうだろう。 (こう、パチンと音がして鼻ちょうちんが割れるだろ。顔中鼻汁塗れになったルイズが『なに、な に!?』って驚きながら飛び起きるだろ。それを見て俺が大爆笑するだろ。なんて愉快なんだ!ああ、 割りてえ、割りたくてたまらねえ!)  才人は唾を飲み干して、震える腕を上げた。人差し指を突きたてて、ゆっくりとルイズの顔に…… あの鼻ちょうちんに近づけていく。 (行くぞ、行くぞ……! 割るぞ、割っちゃうぞ俺!)  じょじょに人差し指の先が鼻ちょうちんに近づく。  あと50センチ。ルイズは気付かない。  30センチ。ルイズは幸せそうに高いびきだ。  10センチ。腹を掻いている。  5センチ。涎がシーツに到達した。  1センチ。あとわずかで、才人の爪の先が鼻汁に触れる。 (行け、突き破れ、俺!)  その瞬間。 「お風呂の用意できましたよーっ!」  バタン、と勢いよく扉が開いた。同時にルイズが驚いたように飛び起きて、鼻ちょうちんが才人の 目の前ではじけ飛ぶ。 「ギャーーーーーーーーーーーーッ!!」 「な、なに、なにが起きたの!? って言うか、なんか顔ぬるぬるする!?」 「うわっ、ミス・ヴァリエール汚っ! ……どうしたんですかサイトさん、この世の終わりが来たような顔して」 「シエスタァァァァァッ! テメェェェェェェッ!」

 ……これが、シエスタが才人に振られた直接的な原因だった。  男のロマンを打ち砕いた罪は重いのである。たとえ彼女がメイドさんだったとしても、それは関係 のないことなのだ。

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