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569 名前:萌えろ!トリステイン学園[sage ] 投稿日:2006/09/17(日) 01:11:07 ID:bc66ugOj 風光明媚な山の上に、その学園はある。 というよりも、山全体が、学園そのものであった。 幼稚園から大学までを擁するマンモス学園。 その名は、『私立トリステイン学園』。

平賀才人は転校生である。 賞罰ナシ。彼女ナシ。好奇心旺盛なことが欠点でもあり、長所でもある、そんな17歳。 父親の転勤に伴い、住み慣れた東京を離れ、人里離れた「春ヶ木沢」にある、「トリステイン学園」に転校してきた。 ここの高等部は、良家の子女が通う全寮制の高校である。 当然才人も、今日からここの寮暮らしだ。

「えーっと、ここだっけか」

トリステイン学院の寮は、春ヶ木沢の街から少し離れた位置にあった。あったのだが。

「あー、平賀才人君ね。確かに承ってるけど、ごめんねえ」

受け付けてくれたやけに若い寮の管理人は、ミス・ロングヒルと名乗った。 なにがごめんねなんだろう、と才人が疑問に思っていると。

「今寮が満室なのよー。街の方で部屋探してもらえないかしら」

はい?どういうことなんですか、そんな話聞いてませんよ、と才人が言うと、

「連絡に手違いがあったのかしら?あのボケ学園長にも困ったものねー」

知り合いの不動産業者に連絡は取ってあげるから、とミス・ロングヒルは言ってくれた。

どうやら、全寮制とは銘打っているものの、少し事情が違うらしい。 ミス・ロングビルの言によれば、全寮制であるのは良家の子女を扱うからであって、今はそれほど「良家」でもやかましくない。 春ヶ木沢以外からの入学者の一部は、確かに寮以外の部屋に住んでいたりするし、春ヶ木沢の住人なら、自宅から通うものもいる。 ただ、確かに遠方からの入学者が多いので、「全寮」と銘打っているとのこと。要するに建前なのだ。 その建前でとばっちりを食った才人は、まあ不運だったと思いなさい、とはミス・ロングヒルの弁。

春ヶ木沢の街に降りた才人は、ミス・ロングヒルの教えてくれた不動産業者に行ってみる。

「…や、休み?」

紹介された不動産業者の名は「ギトー不動産」。その入り口には「本日体調不良によりお休み」との張り紙。 不動産業者が休みということもありえないが、その理由がさらにありえない。 こんな業者に部屋を紹介されたら、犬に亡夫の名前をつけた未亡人が管理人のアパートにでも入れられそうだ。 才人は仕方なく、そのへんのコンビニで手に入れた住宅情報誌を流し読みしていた。 すると。

わふわふっ!

「わわわっ!?」

巨大な毛の塊が、正面から才人にのしかかってきた。才人は避けられず、押し倒されてしりもちをついてしまう。 白と黒に塗り分けられた、巨大なモップ、と表現すればいいだろうか。それが今、才人の上にのしかかっている。 その巨大なモップはもふもふと才人の顔の匂いを嗅ぐ。息が生臭い。 才人の頭はいらん分析結果をはじき出した。こいつはオールドイングリッシュシープドッグ。よく海外のドラマなんかで暖炉の前に寝そべっているアレだ。

「くっそ、どけよこの犬!」

しかし犬は言うことを聞かず、もふもふと才人の匂いを嗅ぎ続ける。

「あらあら、だめよデルフちゃん」

570 名前:萌えろ!トリステイン学園[sage ] 投稿日:2006/09/17(日) 01:12:21 ID:bc66ugOj モップの上から、影がさした。 その影は桃色がかったブロンドの、ウェーブのかかった髪の女性だった。 高価そうな薄紫のカーディガンを羽織り、薄黄色のレースのついたワンピースを着ている。 その手には、犬用のリード。その先が繋がっていないことから、どうやらこの犬の飼い主であることが推測できた。

「ほら、その子困ってるじゃない?どいてあげなさいな」

飼い主の言葉に、モップはわふ!と応えると才人の上からどいた。 しかし、主人の下に戻ることはせず、才人の横にちょこなんと座り込み、でっかいはたきみたいな尻尾でアスファルトをばふんばふんと叩いている。 どうやら才人が気に入ったらしい。

「うっわ、べたべただよ」

才人の前髪と住宅情報誌は、モップの吐き出したよだれでべたべたになっていた。

「あらあらごめんなさいね。うちのデルフちゃんがとんだ粗相を」

言って女性は上着のポケットから小さなハンカチを取り出し、才人の前髪を拭く。 あ、なんかすごいいい匂いがする…。 才人が少しぽーっとしていると、なかなか落ちないわねえ、と呟いていた女性は、才人が手に持っていた住宅情報誌を見て、言った。

「あらあなた、この街でお部屋をお探しなの?」 「あ、はい。一応そうですけど」 「ならうちにいらっしゃいな。ちょうど一部屋空きがあるわ」

にっこり笑って言った女性は、カトレアと名乗った。

カトレアの家はこの春ヶ木沢の名士で、大地主の家らしい。 不動産を何件も持ち、このこぢんまりとした2階建てのアパートもまた、その一軒らしいのだ。 アパートの名前は「かとれあ」。どうやら彼女の名前にちなんでつけられたらしい。

「私がここの管理人をしているの」

言ってカトレアは「管理人室」と書かれた部屋のドアを開け、才人に「おいでおいで」と手招きする。 才人は彼女の言うがままにドアを潜る。後ろからデルフがついて来た。

「こら、お前は外だろ」

才人は追い出そうとするが、デルフは言うことを聞かない。その巨大な尻を床に下ろし、動く気配はない。

「あらあらダメよ。デルフちゃんはここの王様なんだから」

カトレアの言葉に、デルフは嬉しそうにわふ!と応える。 犬のクセに王様かよ、と才人が半分呆れていると、カトレアが続ける。

「この子すっごい寂しがりやでね。人がいないとダメなの。だから、このアパートではどこでも出入り自由なの」

その台詞と同時に、カトレアははいこれ、と才人に鍵と書類を手渡した。

「あなたのお部屋の、103号室の鍵と、各種契約書ね。家賃は月3万円、敷金礼金は0。デルフちゃんがノックしたら入れてあげること、以上かしら」 「え、いいんすか?オレまだ何も」 「どうせここより条件のいい物件なんてないわよ。それにあなたはここに住んだほうが幸せだわ、たぶんね」

嬉しそうにカトレアは笑う。

571 名前:萌えろ!トリステイン学園[sage ] 投稿日:2006/09/17(日) 01:14:31 ID:bc66ugOj なんだろうこの自信は、とか思ったが、書類に書いてある102号室の間取りと、条件を鑑みるに、どう考えても相場より安い。 ここに決めた方がよさそうだ。

「じゃあ、ここにします」 「決まりね。お姉さん嬉しいわ。じゃ、各種契約書は1週間後くらいまでに出してね。荷物の手配はそちらでお願いできるかしら?」

とりあえず、住む場所が落ち着いて才人はほっとしていた。

「103号室、103号室、っと」

103号室は4部屋ある1階の、管理人室の二つ隣の部屋だった。101号室がないことから、どうやら101号室を管理人室として使っているらしい。 管理人室を出て数メートルの場所に、そのドアはあった。 あんな綺麗な管理人さんと一つ屋根の下かあ。 少し鼻の下の伸びた才人を、足元から聞こえるわふわふ!という音が現実に引き戻した。 デルフは管理人室から出てきた才人についてきていた。本気で才人が気に入ったらしい。

「あのなあお前、管理人さんのとこに戻らなくていいのか?」

わふ!デルフは前足で器用に103号室のドアを指す。開けろ、という意味らしい。 しょーがねーなー、と思いながら才人はドアを開ける。真っ先にデルフが中に入り、突き当りのリビングまで入り込み、わふ!と鳴いた。

「誰の部屋だと思ってんだよ」

まあいいか、凶暴な犬ってわけでもないし、と才人は前向きに考え、デルフのいるリビングまで進む。 デルフは西側、つまり104号室側を向きながら、ばしばしとはたきのような尻尾を床に叩きつけている。

「?なんかあんのか?」

才人がそちらを向くと、そこには奇妙なものがあった。 それは、壁に空いた大穴。それを無理やりカーテンで隠している。 一体何があったんだ、と思う前に、才人にとって驚愕の事態が起こった。 デルフがもう一度わふ!と鳴くと、そのカーテンの向こうから女の子の声がしたのだ。

『デルフー?そこにいるの?』

カトレアのそれとは違う声。幼さを含む、少女の声。 デルフはもう一度わふ!と鳴く。

『待ってよ、今シャワー浴びたとこなんだから』

その声に反応し、デルフはさらにわふ!と鳴くと、カーテンめがけて飛び掛った。 カーテンはいともたやすくビリビリと破け、その向こう側の風景を才人に見せる。

そこにいたのは、桃色の髪の、タオルを一枚身体に巻いただけの、胸の小さな、少女。

「い…」 「い?」

一瞬の硬直のあと、彼女は叫んだ。当然である。

「いっやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァ!」

声と一緒に飛んできた中身の入ったペットボトルをまともに食らい、才人は気絶した。

572 名前:なかがつ[sage ] 投稿日:2006/09/17(日) 01:16:17 ID:bc66ugOj なんていうかパロりすぎて名称以外ゼロ魔じゃない気がす(ry 続き書いていいもんか悩んでます…orz もしOKなら続きは後日うpしましゅ