ゼロの保管庫 別館

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だれでも歓迎! 編集

541 名前:1/8[sage] 投稿日:2006/09/30(土) 20:43:50 ID:mXZ15+S3 「やぁっちまったぁぁぁぁ」 ガンダールヴで無くなった衝撃から立ち直ったあと、最初に感じたのはその事だった。 命の恩人を疑った挙句、ほとんど痴漢の様な暴挙…… 「いや、あれどう考えても痴漢だし……」 しかも自分の命を救ったのは、親の形見…… 「うぁぁぁ、会わせる顔ねーよ……」 「ほとんど極悪人だな、相棒」 抜身のまま壁にかけてあるデルフが、気軽に言ってくれる。 「そもそも、お前がちゃんと話してたら、あんなに疑うことも無かったのに」 「わすれたんだから、しょーがねーよ、相棒」 そのためにあの子に……テファにした事を思い出すと…… ……幸せな気分になった。 「はっ、違うだろっ俺っ。」 「………相棒……オトコノコって切ないねぇ……」 反論できない。 「……まぁ、ガンダールヴで無くても……恩返しはしないとなぁ……」 「そうだなー、相棒今のままじゃただの痴漢だもんな。」 「……黙っててくださいデルフさん」 相棒に止めを刺されそうだ…… 小さな足音が部屋に近づいてきてる。 ……まだちゃんと顔を会わせる自信がない…… デルフを手振りで黙らせて、あわてて寝たフリをする。 小さなノック 「あの……はいりますね。」 どうぞ、お入りください、寝たふりのまま心の中で答える。 ドアが開いて、ゆっくり足音が近づいてくる。 「………眠って……ます……か?」 「おぅ、寝てるよ。」 ナイスフォロー相棒。 「そうですか……」 あれ?テファがベットに座った…… え?布団がめくられて…… ちょ、ちょちょちょっとまって。ボタンが…… 「テ、テファっ」 あわてて飛び起きる。 びっくりした表情で、テファの手が止まった。 「あ、起きましたか。」 「……はい起きました。」 ……眠っていると綺麗な女の子が服を脱がしてくれる。 ここはどんな天国ですか?やっぱり俺死んだ? 「あの……テファ?」 「はい?……あ、あの……」 「あ、サイト。ヒラガサイトだよ」 「サイトさん?」 「いや俺もサイトでいいよ、テファ」 一瞬驚いてから、おずおずと 「サイト」 と、呼んでくれた……嬉しい……世の中には見た目は互角でも、人のこと犬って呼ぶ娘もいるのに…… 「サイト……それでね」 ちょっと言い難そうにテファが続けた。 「なに?何でもするよ。」 にっこり笑いながらテファは続けた。 「脱いで」 俺の世界は凍りついた。

542 名前:2/8[sage] 投稿日:2006/09/30(土) 20:44:30 ID:mXZ15+S3 聞き間違いだろうか…… 「えと……なんて?」 「脱いで、サイト」 ………ゴクリ、喉が鳴る。 「えっと……テファさん?」 「……脱いでくれないと……出来ないです」 頭の中がピンク色になった。 「テ、テ、テ、テファっっっ」 「動きづらいなら……わたしが……」 またボタンが外されて行く。 「じ、じじじ自分で出来るです」 やっぱりここは天国か?震える手でボタンをはずし、上着を脱ぎ捨てる。 風に晒された背中に、暖かいナニカが当たった。 「テ、テファ」 「はい、動かないでくださいね、サイト」 気持ちいい感触が背中を……って 「テファ?」 「あ、動いちゃだめですよ、サイト」 テファがお湯を絞ったタオルで俺の体を拭いてくれている。 「………何を期待したんだ……俺のバカバカバカ」 「?」 顔を真っ赤にしながら自責する俺を、テファは丁寧に拭いて言ってくれる。 「サイト、拭いてほしいところとかある?」 ………これ以上注文できません。 「ありがとう、テファ。気持ちいいよ。」 ちょっと赤くなったテファが、持って来てた桶でタオルを絞りなおした。 背中、首、顔、胸。時々タオルを絞りながら、指先まで丁寧に綺麗にしてくれる。……えー、このままいきますと…… 「あの……サイト……どうする?」 「…………」 色々な期待があいまって、喉がカラカラで喋れなくなる。 「……動ける?」 「はいっ、動けます」 はっ、頭が空っぽの状態だったので、つい返事を…… 「じゃぁ、続きは自分で……のほうが良いかな?」 ちょっと惜しかったけど、確かに気がらくだ。 「うん、ごめんねテファ、こんな事までさせて。」 「ううん、いいの」 にっこり笑う……天使?俺やっぱり死んだ? 「お湯、ちょっと熱めだから、もう少ししてから使ってね。」 え? 「じゃあ、お休みなさい、ゆっくりやすんでね。」 「まって、テファ。」 昼のように手をつかむ……今度はそっと。 「……赤くなってる……」 熱めのお湯……自分は普通に使ってた。 「だって……絞ったらちょっと温くなるから、ちょうど良いかなって。」 ……熱かったろうに…… 「大丈夫よ、気にしないで。」 ………胸が熱くなる。 「あの……ありがとう。」 「ううん、いいの。困った人がいたら……助けなきゃ、ね?」 俺の手をそったはずしたテファが、慌てた様に部屋を出る。 「そのまま置いておいてくれたら良いから。」 ドアの隙間から見えたテファの顔は、赤かった気がする。 「いい子だよな」 「だなー」 「流石に下半身はなー」 ズボンを脱ぎながら、デルフに話しかける。 「相棒の意識がないときは、してくれてたけどな。」 え?

543 名前:3/8[sage] 投稿日:2006/09/30(土) 20:45:02 ID:mXZ15+S3 恥ずかしさのあまり、数時間悶絶。 「し、仕方がないことだよ……な。」 やっと立ち直った直後に…… 「だよなー相棒。下の世話までさせて、今更だよな」 ……2週間で何か色々大切なものを失ってしまった気がします、ママン。 しくしく泣きながら、壁に向かって三角座りする俺に、デルフが一生懸命はなしかけていたが…… 切なさのあまり立ち直れなかった。 ……… …… … あれから、三日(もちろん体は自分で拭いてる) 「やっと少しは動けるようになってきたな……」 「だなー相棒、たくさん相手してくれて嬉しいぜー」 話すくらいしかすることないからなー 「あ、起きてるのねサイト……大丈夫?」 「うん、もう平気。ありがとテファ」 今日も今日とて、お湯と桶。 「テファ、風呂って有る?」 ゆっくりお湯に浸かりたい気分だった。 「……サイトって……貴族?」 「え?」 「暖かくなってきたら、側を通っている川で水浴びするけど……」 そういえば、地球じゃないんだよな…… 「冬場は大体こうしてるわ……ごめんね」 「い、いや、いいよ。ごめんこっちこそ。そうだよな、それが普通だよな。」 「ううん、ごめんね。」 ……俺、ここに来てからろくでもないな…… 黙り込んだ俺を励ますように、テファが続けた。 「もう少し体が治ったら、水場まで案内するね。」 「うん、ありがとう。」 「水浴びにはまだ早いけどね。」 「そんな無茶したら、倒れるって。」 「そうね、もう魔法は使えないし。」 「……ごめんな」 「あ、いいの、気にしないで、私が魔法上手ならもっと治るの早いと思うけど。」 「テファって魔法使えるの?」 「……下手………なの」 しょんぼりと俯くテファ… あぁぁぁぁだから俺って…… 「いや、魔法なんて使えなくても平気だしな」 「……ありがとう」 あー、気を使ってるのばれてる…… ふ、とテファが聞いた。 「………あの……サイト…」 「?」 「どこか汚れてる?」 クルリと回りながら、テファが心配そうに聞いた。 「お風呂……そう言えば入ってないなって……」 ………自分が神々しいとまで評した女の子が、不安そうに自分を見上げてる。 「きっ、綺麗だよ。テファは」 緊張する…… 緊張が伝わったのか、赤くなったテファが小さくありがとうと呟くのが聞こえた。 「早く暖かくなると良いわね」 テファが優しい目で話しかけてくれる。 ふと思いついたことが有った。 「ちなみに、川ってどの辺り?」

544 名前:4/8[sage] 投稿日:2006/09/30(土) 20:45:33 ID:mXZ15+S3 「さー風呂作るぞー」 「………唐突だな、相棒。」 次の日の朝早くから、早速川の辺りまで行ってみる。 「いや、恩返しになるかなって」 女の子だもんな、風呂嫌いじゃなさそうだし。 「……覗くの?」 「覗かねーよ。」 多分。 デルフと話しながら、川沿いを下流に向かって歩く。 「ん〜、この辺で良いかな?」 「いやー待てよ相棒、ここ掘るの大変そうだぜ」 「この辺は?」 「水はけが良過ぎるかもな、入ってる間に湯が抜けると、悲惨だぜ?」 妙に詳しいデルフに相談しながら、場所を選定する。 村から離れすぎると、かえって危ないし。 「お……ここは?」 「ん〜〜よさそうだね、あの辺なら木がブラインドになって、相棒も覗けないし」 「……そのネタしつこいぞデルフ」 場所が決まる。 シャベルみたいな気の利いたものがなかったので、借りて来た木の板でゴリゴリ掘り始める……しんどい。 「……無理かも……」 「だなー、そんな先の鈍い木の板じゃなかなか掘れねーだろうな。」 「先が鋭いといいの?」 「あと金属で、持つところがしっかりしてて……」 「ほうほう」 「なぁ……相棒」 「なにかね?デルフリンガー君」 「なんで、俺の柄とか刀身の根元にシャツ巻いてるんだ?」 「……先が鋭くて、金属で、持つところがしっかり」 「……むわぁぁぁぁてぇぇぇ、相棒!おりゃあ伝説の武器だぞっ」 「…新たな伝説がまた一ページ」 「風呂桶掘った武器なんて称号いらねぇぇぇぇ」 「……諦めろよ、デルフ」 「い、いやだ、断固として抗議するぞ、相棒」 「………」 「無言で振り上げるなぁぁぁ、む、胸か?あの胸かぁ?」 「なぁ……」 ……俺の手が止まったのに安心してデルフが返事をする。 「な、なんだぁ?相棒」 「みょーにルイズの口調の真似が上手くないか?」 「まぁ、貴族の嬢ちゃんとはたまに話すしな」 「どんな?」 「ん〜〜だから、風呂の話とかさ。」 「……あ、」 「?」 「あれはお前のしわざかぁぁぁぁぁ」 そのまま地面に突き立てる。 「しまっ……あっー」 デルフの泣き声を音頭に地面をどんどん掘り進める…… 伝説の武器は地面掘るのも優秀だった。

545 名前:5/8[sage] 投稿日:2006/09/30(土) 20:46:05 ID:mXZ15+S3 夕方近くまで掛かって、川から水を引く水路、風呂桶部分、排水用水路を掘りぬいた。 「うぅぅぅぅぅ、汚されちゃった、デルフ汚されちゃった。」 ……なんか泣いてる。 「地面掘った武器なんて、きっと俺くらいじゃねーか?」 「いや、結構きっと、まだあるって。」 「本当か?相棒」 「いや、スコップとか、鍬だって武器になるらしいし」 「それ、逆だーーー、慰めになってねーーー」 「いやー流石伝説、結構掘ったのに、歪みひとつない」 「7万の軍勢より、地面掘るほうがつらいぞぉぉぉ相棒!」 武器としたらそうなのか? 「ま、それはさておき」 「いや、頼むから置くな相棒」 「後は……これと……薪かな?」 川原で大きめの石を幾つか拾う。 風呂桶の横に石を準備して、シャベル代わりに持ってきていた板をどけて水を引き込む 「よし」 「……順調だね……相棒……伝説のプライドを汚してまで掘っただけはあるやーね」 ……しつこい 「よし、デルフ、一番風呂だ」 風呂桶にデルフを突っ込む 「……相棒、これまだ水じゃねー?」 「薪取って来るなー」 そのまま村に帰る。 「相棒のおにぃぃぃぃぃ」 帰る際の道しるべもばっちりだ。

546 名前:6/8[sage] 投稿日:2006/09/30(土) 20:46:36 ID:mXZ15+S3 「あ、テファ」 「サイト?今までどこにいたの?」 ちょっと息を切らしたテファが問い詰めてくる。 「ちょっと川のほうに、それより……」 「それより、じゃないっ。」 ……あれ?テファが泣いてる……… 「怪我が治ったところだから……どこかで倒れてたらどうしようって……」 ……しまった………驚かそうと思ってたのが裏目に出た。 「ご、ごめん……テファ」 確かに俺が悪い。 「………ど、怒鳴ってごめんなさい……でも……」 「うん、俺が悪い……」 「……ん、わかってくれたら、もうしないでね……サイト」 ……俺、着々とこの子に頭が上がらなくなってるな。 「あーそれで……さ、」 「なぁに?」 「薪もらっていい?あと火と」 「?うん、いいよどれくらい?」 「一抱えくらいかな?あと、子供たち集めといて」 「????」 「着替えと、タオルもたくさん用意しといてね」 「え、ええ……」 「んじゃ、後で呼びに来るからー」 「サ、サイトー、どういう事なの〜?」 「あとでねー」 薪の場所は知ってるし、火も手に入れて……デルフの元に戻った。

547 名前:7/8[sage] 投稿日:2006/09/30(土) 20:47:08 ID:mXZ15+S3 十分石が焼けるころを見計らって、村まで戻る。 「今日の相棒はひでーや………」 「悪かったって……相棒なんだから恩返し手伝ってくれよ……」 「もうちょっとやり方ってもんが……」 テファが子供たちをつれて川沿いに歩いてくる。 「あれ?迎えに行くところだったのに」 「……サイト、とりあえず集めたけど?」 小さい子達が……不振げに俺を見上げてる。 「説明してくれる?」 「見たほうが早いよ、ここまで来たらすぐだから、こっち」 来た道を戻る。 ………気のせいか小さい子達の視線が痛い…… 「……こいつ、テファねーちゃんいきなり襲ったやつだぜ」 「こんな森のほうにテファねーちゃん連れてくるって……」 「ヤツはやる気だ……」 「みんなで、テファねーちゃんを守るぞ」 「わたし、フライパン持ってきたわ」 ……信用ねー 「鬼畜にふさわしい扱いだよな」 ……相棒も容赦ねー 焚き火が見え始める。 「?あれのこと?サイト?」 「うん、側まで行けばわかるよ」 側に寄ったテファが息を呑む。 自慢げな俺を…… 「わかんねーよ」 「なんだよ?これ?」 「自慢げなくせに、わっけわっかんねー」 ……子供たちは容赦なかった… 「サイト……これ……」 「うん」 デルフを焚き火に突っ込む 「ま、まて相棒、今度は……」 そのまま焼けた石を風呂釜の中に転がす。 「火箸かぁぁぁぁ」 いくつか転がしたところで、風呂に手を突っ込む。 「で、どう?」 テファの方を見ようと…… 「で、どう?じゃねーよ」 「こいつ、なにがしてーの?」 「次に怪しい行動とったら、このフライパンが……」 ……が、餓鬼ども……… 「……ありがとう……サイト」 うぅ、流石テファだ……分かってくれたみたいだ。 「でも、病み上がりに無茶したのはダメよ?」 ……釘は刺された。 テファが子供達に説明をして、何人かづつ入ってみる。 最初は恐る恐るだった子供達だったけど…… 「やるじゃん、サイト!」 「見直したぜ!サイト」 ……順応は早い 「ただの痴漢じゃなかったのね!」 「そうだな、痴漢グレートとかか?」 …………勘弁してください。

548 名前:8/8[sage] 投稿日:2006/09/30(土) 20:47:40 ID:mXZ15+S3 テファが子供達をお風呂に入れて、俺が村まで送る。 それを何セットか繰り返して、全員終わったころには日が暮れていた。 「おつかれーテファ。」 「ううん、これ作るほうが大変だったでしょう?」 ……いや、多分テファの方が大変だったと思う。 小さい子の風呂があんなに大変だとは…… 「いや、テファの方が大変そうだったけど?」 「?なにが?」 ……分かってらっしゃらない…… 「小さい子の相手、大変じゃない?」 「?ううん、全然……あの子達は……怖がらないし」 小さく続いた言葉に、テファにとって、あの子達の大切さが分かった。 「……あ、そうだ」 「?」 「温くない?」 「まだ暖かいわ」 「んー焼いてた石、もうないし……テファ、まだ入ってないよな?」 「……わたしは…今度でも……」 「ん、いや、これ、お礼だし。」 「えぇぇぇぇぇ……これっ、お礼だったの?」 「うん、助けてくれてありがとう。ささやかながら……一つ目のお礼かな?」 「……ありがとう、サイト」 「俺、村に戻ってるから、ゆっくり入ってから戻ってきなよ」 「あの……」 はっ、デルフとのやり取りを思い出す。 「の、覗かないよっ」 「……えっ………あっ」 げ、薮蛇、考えてもいなかったみたいだ。 「いや、本当に覗いたりしないから、あそだ、あの子達見張りに連れて来ようか?」 ………デルフ………第二風呂釜設営計画立案中だぞ…… 「え、ううんいいの。みんな寝てるだろうし。」 ……そういやそうか…… 「……じゃあ、村に戻ってるな」 「……まって、サイト」 ? テファがもじもじと俺を呼び止める。 「なに?テファ」 「……一緒に入らない?」

39 名前:1/6[sage] 投稿日:2006/10/03(火) 02:26:59 ID:1fAfJHeu (一緒に入らない?) ………そう聞こえた………いや、まてサイト。 体を拭いてもらったときのことを思い出せ。勘違いは恥ずかしいだけだぞ。 「………いや……かな?」 「…い、いいの?」 「……その……一人だけ入るの悪いし、その……」 ……勘違いじゃなかったですか…… 「怖い……し」 「え?」 「……今の季節、肉食の大きいのは冬眠してるけど……怖い……よ」 …うぇ……そんなの出たですか………迂闊に山とか森とか歩くものじゃないな…… 「その……夜の森って………何か出そうで……」 テファの方にばかり気を取れられていたけど、言われて見ると…… 先の見えない真っ暗な闇に、どこかでなってる風の音…… 「一人で……置いて行かれると………」 確かに……これはちょっと人でなしだ。 「ごめん……あ、でも待ってようか、一緒に入らなくても」 ちょっと恥ずかしいし。 「……覗き放題だな、相棒」 無言でデルフを地面に刺す。 「い、いやだぁぁぁ、もう地面はいやぁぁぁぁ」 おぉ、トラウマ。 「あの……ね、折角だから……ゆっくり入りたいなって……ダメ?」 子供の相手をしていたため、地面にしゃがみこんでたテファが見上げるように…… ダメです!ダメです!!ティファニアさん。 美人がそんなことをしてはいけないと、魂の師匠も言ってます。 いけない魔法使いです―――サイトは魅了された。 「じゃ、じゃあちょっと薪足すね、石も増やして、のんびり入ろう」 ……俺は何を……… 「本当?、ありがとうサイト、うれしい。」 夜の闇が一瞬退いた。そんな錯覚を覚えるほど綺麗な笑顔… ……ま、いいか。これだけ喜んでくれるんだから、ちょっと位恥ずかしくても。 「あーじゃあ、ちょっと薪足したり用意してくるね。」 「あ、手伝う?」 「いや、いいよ石拾ったりもするし、……それくらいはね」 「……ありがとう、サイト」 ……些細なことでやわらかく笑ってくれるのは、男にとってとても働き甲斐のあることだと思う……見習ってくれ……ルイズ…… 薪をくべて、新しい石を幾つか放り込む。 テファは……あれ? 「あ、サイト」 茂ってる木から何かの実をもいで来た。 「あのね、サイトそこの木にこれが生ってたの。」 柔らかそうな果物だった。 「時期的にはまだちょっと早いけど、美味しいのよ。」 見たことのない果物に興味を引かれて、テファに駆け寄る。 果物特有の甘い香りがした。 「美味しそうだね、なんて言うの?」 「これはねー、も………」 そこまで言った瞬間、何かが跳ねる水音がした。 「きゃっ」 あたりに果物を散らしながら、テファが怯えてしがみ付いて来る。 そのまま、視線を音の方に……あれ?

40 名前:2/6[sage] 投稿日:2006/10/03(火) 02:27:32 ID:1fAfJHeu 「テファ」 恐る恐る川を見るテファが可愛い。 「大丈夫、魚が跳ねただけみたいだよ。」 「そ、そうなの?」 ぐおっ、体を密着させたまま、テファが川を見る…… もちろん、テファの胸が俺の腕の中でグネグネと形を変える。 (り、理性……りせい……リセイ……リ…セィ…) 「……よかったぁ……」 しかも、腕の中で微笑まれた日には…… 「相棒、転がってるぜー果物」 (はっ) テファが慌てて果物を拾い始めた。 「ご、ごめんなさい、サイト。わたし……気が小さいね」 デルフ……余計なことを……いや……助かった……か? 「あ、手伝うよ、テファ」 「ありがとう、サイト」 ……ひょいひょいと、拾い上げていくって…… スカートの裾を入れ物代わりにするのは目に毒です、テファ。 「あ、おれ、あっちに運んどくね」 持てるだけ持って、風呂のそばに置く。 「ありがとう、サイト。助かったわ」 ……分かった……テファ、警戒心がないんだ…… 男が居る前で、あんな行動……。 しみじみとテファを見る。 「な、なに?サイト」 「いや……綺麗だなって……」 良くこれで、ここまで無垢に育ったなぁ…… 「な、え、う、あうあ……」 真っ赤になってる。 「さ、お風呂入ろうか、テファ」 「って、……サイト……からかった?」 ……そんなつもりは無いけれど、 「また魚が跳ねないうちにね、テファ」 「ひ、ひどい、サイト…………うれしかったのに……」 ま、またこの人は…… 「じゃ、俺あっち向いてるから……」 「……うん……」 しゅるしゅると、紐が解ける音…… ごそごそと、多分服を脱ぐ音……… パサッって小さな……音……これは… うあぁぁぁぁ、俺今すごい変態だ…… お湯がくみ上げられる音に続いて、ザーっと流す音…… 続いて、何かが水に沈む音…… 「あの……サイト」 「はいっ」 「わたしも……あっち向いてるね」 「はいっ」 振り向いて、ギクシャクと風呂に近づく…… 広めに作ってて良かった……小さい子多いからそのほうが良いだろうと思ってたんだけど…… 自分が助かったな…… っと、入る前に 「あ、テファ、まだ脱いでないからこっち見て。」 「なに?サイト」 「石ころがすから、気をつけてね」 「うん、ありがとう、サイト」 さて、 「あいぼぉぉぉ、俺こんなのばっかりかよぉぉぉ」 この上なく頑丈な棒で、石を転がした。

41 名前:3/6[sage] 投稿日:2006/10/03(火) 02:28:04 ID:1fAfJHeu デルフを適当に立て掛ける 「サンキュー相棒、いつでもどこでも役に立つな」 「うれしくねーやい、くそっそのうち仕返しするぞ、相棒」 そんな俺達を、テファが楽しそうに見てる。 「仲いいのね、あなた達」 「……そんなことないわ……サイトは私の体だけが目当てなのよっ」 「……デルフ、そこまですねなくても……」 「今日一日で、どれだけひどい目にあったか……」 「サイト、デルフさんに、何かしたの?」 「いや、デルフで掘ったんだ、これ」 「うぁ、ひでえ相棒、こんな恥を人に広めるなんて……」 デルフが本気で嫌そうな声を上げる。 「……秘密にしとく?」 「おぉ、話せるね、娘っ子、どっかの痴漢とは大違いだ」 「マテ、デルフ、誰が痴漢だ?」 「だれだろーね、相棒、抱きつかれてにやけてたの、誰も気づいてないと良いな」 ……こっこいつ…… 「あっ……ご、ごめんなさいサイト…」 「いやいや、娘っ子、相棒は喜んでたから問題ねーや」 「そうなの?」 「おぉよ、どれだけにやけてたのか見せてやりたいね」 くっ、分が悪い…… 「テファ……」 「な、なぁに?サイト」 声をかけて注意を引く、そして。 「脱ぐけど……見たい?」 「きゃっ、ご、ごめんなさい、あっち向いてるね」 デルフが舌打ち……舌も無いくせに…… これ以上デルフに喋られない内に、どんどん脱いで、湯に掛かる。 急いで湯船に……って、テファ……背中からでも谷間が見えますよ… 「お、お待たせ、テファ浸かったよ」 背中合わせに湯に浸かる。真面目に理性が持たないかもしれない。 「ありがとう……サイト」 「え?」 「気持ちいいね」 「……うん」 「最初ね、サイトが自分が入りたいから作ったと思ったの……ごめんね」 「いや、良いよ、……そう思われそうな言動だったし」 背中に軽い感触が……背中と背中がくっついてる……てか、もたれてる? 「こんなにゆっくりお風呂に入るのって、久しぶりよ……サイト」 ……あれ?昔は入る機会あったんだな……テファ。 「あ、そうだ、ちょっとまってね」 お湯に浸かったまま、脱いだ服のほう…つまり、俺の視線側に…… 慌てて目をそらす。 ……正確には顔をそらす……視線が追うのはしょうがないさ、なあ? 「サイトはい、美味しいよ」 さっきの果物みたいだけど…… 「あの……テファ……」 「あ、ごっごめんなさい……」 慌てて背中側に回り込む、 「ご、ごめんねサイト」 いえ、眼福でした。 「これ……美味しいよ」 背中側から、にゅっと手が……さっきの果物が皮を剥かれて乗っている。 「あ、美味しそう、ありがとう、テファ」 ……受け取るときに、背中に柔らかい何かが当たったのはきっと気のせい…… だって、ルイズでもシエスタでも届かない距離だしっ。

42 名前:4/6[sage] 投稿日:2006/10/03(火) 02:28:36 ID:1fAfJHeu 焚き火の焔がゆらゆら揺れていた、 後ろに女の子が居る状態で、くつろげるはずも無かったけど…… (忘れてたけど、俺今日一日中労働したし、病み上がりなんだよな……) 体中の疲れがお湯に染み出していくような、独特の感覚…… (あーしまったな……気持ちいぃ) しかも、綺麗な歌が聞こえてきた…… 清水の流れるような美声が、完璧な旋律で…… テファが気持ちよさそうに歌ってる…… (うれしそう……風呂……作ってよかったなぁ……) 芯から暖まりそうな、お風呂。 さっき食べた果物が腹をいい具合に満たしてる。 視界はゆっくりゆらゆら踊る炎。 とどめは、天上の歌声…… ヤ、ヤバイ……寝そう…… 今にも目蓋が落ちそうだ……テファと話を…… だめだー、こんなに気持ちよさそうに歌ってるのを邪魔できねー デ、デルフ……あーどっちにしろテファの邪魔だぁぁ くっ……我慢だ………眠気が何だ…… ここしばらく、寝てばっかりだった……多少は我慢できるはず…… 人間は寝溜め出来ないという事実は無視。 ……根性で……… 耳から理性が解かされる…… 段々目蓋が落ちてくる…… も、ダメ…… ぐー

43 名前:5/6[sage] 投稿日:2006/10/03(火) 02:29:15 ID:1fAfJHeu いきなりサイトさんがもたれ掛かってきた。 「え……」 「あ、娘っ子静かに」 デルフさんが小さな……声?かな?で話しかけてきた。 「わりーね、娘っ子、相棒限界みたいだわ」 「え?」 「一日、これ掘ってたからね、疲れ果てて寝ちまった」 背中にもたれたまま、静かな寝息が聞こえる。 「まだしばらくは、お湯さめねーだろうから、もうちょっと支えてやっててくれねーか?」 「ええ、良いですよ」 私や村の子の為にお風呂作って疲れちゃったのね……… そーっと振り向いて、お湯に落ちないように抱きとめる。 「相棒起きてたら、おおよろこびだーね」 ………確かに……起きてたら無理かも。 正面からだと、胸がサイトさんの枕みたい…。 「わりーね、娘っ子」 「いいえ……でも、デルフさん」 「ん〜?」 「やっぱり仲良しですね」 「なっ、おめーそりゃぁ………」 「ダメですよ、わたし貴方が大騒ぎするところも、治って喜ぶところもみてましたし」 「ぐ……」 「……秘密にしときますね」 「…………助かるよ」 デルフさんが黙り込む…… 私はまた歌いだす、すごく久しぶりに、胸の奥から幸せを感じる…… 優しい人たちだ……助けてよかったよ、お母さん。 サイトが起きない様に、小さな声で…… 寝かしつけるように、やさしい歌を。 途中で、一緒に歌う声が……デルフさんだ。 一曲歌い終わる。 「上手ですね」 「お前さんほどじゃないよ」 「そんな事無いです」 「平和だねー」 「そうですね」 「いつまでも続くと良いねー」 「……戦争ももう終わったんですよね……」 「とりあえずはなー」 「………ゆっくり……傷治して行くと良いですよ」 「……なぁ……相棒……ずっとここに置いちゃくれねぇか?」 「……むりです……きっと」 「そうか……」 「わたしはうれしいけど……」 「?」 「ルイズさんの所に……」 「……そうかもな………」 あれだけの怪我をしてても、ずっと思い続け、つぶやき続けたルイズさんってどんな人なのかしら? そんなことを思いながら、眠っているサイトさんを抱き寄せる。 大きいお人形さんみたい。 そしてわたしは、また歌いだす。

44 名前:6/6[sage] 投稿日:2006/10/03(火) 02:30:09 ID:1fAfJHeu 天国に居る夢を見た。 良い香りがして、暖かくて、綺麗な音楽が聞こえてくる…… 体のあちこちが柔らかくて暖かいものに触れて…… って?あれ? うすーく目を開ける テファの顔が見えた。 え?顔?背中合わせだった気が……寝た俺を……ってことは…… この顔に当たる、柔らかくてボリュームの有る感触って…… てか、腕が……お腹に……背中に、足がぁぁぁぁぁ ぴったり密着ですよ、 しかもテファが歌うたびに胸を伝わって、綺麗な音が直接頭に染み入る…… 「なー相棒まだおきねー?」 「よく寝てます、……大変だったのね」 いや、実は起きてます。 「実は起きてるんじゃねーか?」ぐぉ、デルフ鋭い。 「え?でも?」 「お前さんの胸の中が気持ちよくてうごけねーんじゃねーかぁ?」 「え?え?」 「いや、わかんねーなら……まだいいや」……助かった……… 「こういうのって、うれしいの?」 はい、とっても。 「お前さん、その気に成ったら、国が傾くね、きっと」 まったくだ、 「????」 「ま、誰にでもするなよ」 「んーじゃあ、サイトにしかしないね」 ぐはぁぁぁぁぁ、 「そろそろ起こしたほうがいい?」 「なんかほうっておいてもいい気もしてきたけどな……」 ……デルフにばれてる気がする。 「そのまま、壁にもたれさせて……」 デルフの指示で、この世の天国が俺の隣から去っていく…… 「十分に距離をとったら、こういうんだ『きゃぁぁ、痴漢よぉぉぉ』って」 「えっと……」 いや、なんかテファに言われるとショックで死ねる気がする。 「お、おはよう、テファ」 「あ、起きたの?サイト」 「おー、起きてたの、相棒」 ぐぉ……デルフにはばれてるっぽい。 「ま、そろそろ上がれや、二人とも。あ、その前に」 「相棒、俺も泥だらけだから、ちょっと洗ってくれや」 「錆びない?」 「さびねーよ、伝説の武器だぞ?6000年の業物だぞ?」 風化してそうだ……まぁ……いっか デルフを抜いてジャブジャブ洗う。 「おー気持ち良いね、おんせんてーのは最高だ」 「……剣の癖に……」 適当な壁にデルフを立て掛ける。 「んじゃ、お前さんから上がるといいよ」 「あ、はい……あの……サイト……」 「あ、あぁっ、あっち見てるね……」 テファが遠ざかるお湯から上がって……って……デフルに映って覗けるぅぅぅぅ さっきまで密着してた体が、お湯を拭き取られ……下着を……服を……つい黙って、最後まで観察してしまう……目は……逸らせない。 「さて、次は相棒が上がる番だな?」 え? 「うんわたし、あっち向いてるね」 え?え?え? 「まぁ、上がれるかどうかは別にしてな……」 デ、デルフ……おまえわざとっ……許すけどっ。 テファの「まだ?」って声を聞きながら、この窮地をどう乗り越えるか……俺はのぼせるまで悩み続けた。

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