ゼロの保管庫 別館

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だれでも歓迎! 編集

694 名前:ものかき『短編』投下 ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/10/03(火) 11:51:21 ID:Sfuo01+Y

『短編・カトレア』

カトレアは窓の外を眺めていた… 優しい日差しは庭の木々を照らし…時折り吹く心地良い風がその葉を揺らしていた。 どこからか羽音が聞こえたかと思うと一羽のつぐみが窓枠の隅に舞い降り… …しなやかな動きで差し出した指先を、そっと優しいキスをする様に啄ばんだ。 「あなた…まだみんなのところに戻っていなかったの?」 カトレアは少し悲しげな顔で尋ねた。 「そう…でも、帰らなくてはいけないわ…きっと…あなたを待ってる…」 「私なら…大丈夫」そう微笑みかけると… ツグミはクイっと小首を傾げた後…木漏れ日の中へと姿を消した。

午後の日差しはカトレアには強すぎ、散歩は専ら早朝か夕刻に限られていた… それでも遠出は出来ず、せいぜい庭先が今のカトレアの世界の全てだった。 その日も夕刻になってからの外出だったが…二頭立ての馬車で少し遠出を… というのがカトレアの思惑だった。夕刻に湖畔に水を求めて集まる動物達… 目的地は領地の外れにある小さな湖。時折りそこで動物達と戯れることを とても楽しみにしていた。

その日はいつもと様子が違っていた…湖の辺が何やら騒がしい…動物達が… あの子達の怯えた声が聞こえる…。 馬車を止め、馬達に「いい子で待っていてね」と伝えると湖畔へ向かった。 するとそこには自分の背丈の2倍はあろうかという竜の姿が、夕日を背に 黒いシルエットを描き出していた…。 なるほど…みんなそれで怯えていたのね…。 恐れるそぶりも無く竜に近づくカトレアに、隣にいた男が声を発した! 「いけません!なだめすかしてはいますが、今は危険です!離れて!」 初対面のしかも男性相手で戸惑ってはいたが、動物の事なら話は別である。 それでもカトレアは、おずおずと言葉を紡いだ。 「その子、怯えています…それに、右足に怪我を…」 男は驚いて竜の右足を見た!「あ、いつの間に…なんでお前言わないんだ?!」 「主人に余計な心配を掛けたく無かった…そう言っています」 「言葉が判るのですか?」 少し戸惑いながらもカトレアは正直に話した…動物達と会話が出来るのだと。 男はカトレアの前に膝を付くと、仰々しく言葉を継げた。 「恐れながら私も同じく動物の気持ちがわかるのです」そして… 「しかしながら私はメイジではありませんので治癒の術を持ちません…」 そこまで聞いたカトレアは…メイジでもないのに竜を操る男に興味を持ったが、 治癒が先決とばかりに「わかりました、では私が…」とだけ言った。

竜の足の治癒が終わった頃には、もうすっかり日は落ちていた。 「感謝致します…ミス…」 「カトレア…カトレアです」 「感謝致します、ミス・カトレア」 竜にまたがり飛び立とうとする男に向かい、カトレアは聞いた… 「あの、あなたのお名前は?」 「こんな平民に名前をお聞きになられますか?光栄に存じます」 「急ぎますゆえ竜上より失礼致し…」言葉尻を遮ってカトレアが言う、 「構いません」 「私の名はジュリオ!ジュリオ・チェザーレと申します」 そう告げると一瞬で竜は虚空に舞い上がり見えなくなってしまった。 その男の目は両眼の色が違う、いわゆる月目であった。その月目の様な 二つの月に照らされた小道を馬車に向かって歩きながら呟いた… 「ほんと…竜の心を読んでいるのね…」

カトレアは病弱で学院にも通っていなかった…すなわち学院の授業、 必須科目…サモンサーバント(召喚魔法)を行った事が無かった…。 ルイズは虚無の担い手で才人を召喚した…。 もしかしたらカトレアも…。

全ては二つの月と始祖ブリミルだけが知っている…。                   -終-

『短編・シャルロット』

タバサは馬車に揺られていた…。 アルビオンの先遣隊を撃破した際に入手した「アントバリの指輪」。 彼女の瞳は、その通り名「雪風」のごとく涼しく冷たかったが、 その奥には決意に満ちた熱い炎を滾らせていた。 彼女は指輪を水の妖精に返す前に試したい事があったのだ…。 その為に…故郷のガリア王国へと馬車を走らせていた。

領土内に入りしばらくすると…行く手をガリア王国の衛兵が阻んだ。 「王弟オルレアン公がご息女…シャルロット嬢とお見受けいたします」 タバサは黙ったままコクリと頷いた。 何の前触れも無く急に危険な任務に従事させられる事には慣れている。 どうせまたそんな事だろうと思っていると様子が違っていた…。 「ジョゼフ国王陛下、直々のお呼び出しで御座います」 「先導致しますので、付いて来られますようお願いいたします」 いったい何事だろう?指輪の事はバレていないはずだ…。 不信感を募らせながらも従う他、道は無かった。

「やぁ久しぶりだねシャルロット」 黙ったまま膝を付きその場に控えた…。 「相変わらず心は閉ざしたままだね…まぁそれも仕方ない」 タバサの瞳には嫌悪の光が誰の目にもありありと見て取れた。 「そんな目で見ないでおくれ…今日は君の母君の事で来て貰ったんだ」 「……」 「まぁ…とにかくこちらにおいで」 やたら豪華な扉を開けると、そこには大きなゲーム版と…その奥に、 天蓋付きの趣味の悪い装飾で飾り付けられたベッドがあった。 「また…?」 「そうだよ、もう慣れただろ?」 タバサは幼少の頃より度々ジョゼフの性欲の処理係にされていた。 母親の為に任務に従事する事と変わらないんだと言い聞かされて。 「さぁ服を脱いで横になるんだ!」 タバサは少し躊躇しながらも無表情で言われた通りに素直に従った。 「あぁシャルロット!可愛いシャルロット…」 まるで人形を弄ぶように、まるでおもちゃで遊ぶ子供のように…。 タバサの感情は遥か昔に既に失われていた…少しも気持ち良く無い! 快感を感じる事も…そこには女性の悦びは無かった。 ジョゼフは成長の遅い胸に不満を漏らしながらも楽しんでいた。 無抵抗の無垢な少女を犯すのが好きだった…その点でタバサは、 ジョセフにとって最高の性欲の処理対象だったのである。 「いくら心を閉ざしても…身体は嘘をつけないようだね」 例え身体が反応し、股間を濡らしていても悔しさは感じなかった… 「早くすればいい…」 こんな最悪な時間は早く終わって欲しかった。 しかしそれをジョセフは許さず…長い長い時間をかけて嬲った。 「シャルロット…君のココは相変わらず狭くてキツいね…」 ジョセフは強引に挿入し腰を激しく振り…やがて膣内に吐き出した。 「さぁ今度はその可愛い口だ!」 体液で汚れたモノをタバサはその口と舌で綺麗に舐め取ると… 再び勃起したモノを口に含んだ。下を絡ませ吸う様にしゃぶり、 激しく頭を前後させて射精を促した! 「上手だよシャルロット…うっ!」 と言うとジョセフはタバサの口内に二度目の射精を行った。 それを零さずに一滴残らずコクリと…残さず飲み込むタバサ…。 「次は…その小さな可愛い手で大きくしておくれ」 既に次の台詞が分かっていたかのように手でしごくタバサ。 「よしいいぞ・・・さぁ尻をこっちに向けるんだ」 手を離し素直に四つん這いの格好で尻を突き出すタバサ… 腰をしっかりと支えバックから挿入するジョセフ! 野獣の様に荒々しく、まるで物を扱うように乱暴に犯す…。 長い長い時間をかけ5度もの射精に大満足したジョセフは、 戯れにタバサの無防備な尻穴に指をそっと入れてみた。 ピクン!と、明らかに今までと違った反応を見せるタバサ。 「そうかそうか!シャルロットはこっちもイケるのか!」 自分の意外な反応にタバサ自身も驚いていた。 「しかし楽しみは次回に取っておくとしよう」 「さすがに疲れたからな…今日はもういいぞシャルロット」 聞くまでも無くタバサは既に服を着始めていた…。 「私が憎いのだろう?犯されて悔しいのだろ?」 「……」 「さぞや屈辱であろうな!」 「その征服感こそが至高の悦びなのだよ」 「もっと泣き叫び、懇願し、感じる様を見たいのだがな…」 ジョセフの高笑いを背にタバサは無表情に部屋を後にした。 いつか…いつかきっと…

実家に戻り「アントバリの指輪」で母親の治癒を試みたが… 期待する結果は得られなかった。 この指輪さえあれば…決意も固くここまで帰って来てみたが… やはり… その夜…自室で枕を濡らした、激しく嗚咽した…。 こんな事がいつまで続くんだろう… ジョセフ国王には逆らえない…いつかトリステインさえ敵になる。 キュルケともゲルマニアとも敵になる日がやってくる…。 タバサの心は激しく揺れていた…。

『エピローグ』

やがてタバサがガリア王国を裏切り…才人に命を助けられ… その身も心も捧げる決意をするのは…まだ先の話であった。            -終-

『番外編・破壊の杖』(1)

「この固定化の魔法はやっかいね…」 小さな呪文を唱え石壁にそっと手を触れても反応が全く無かった。 モノは試し!と再度挑戦を試みたが…二度目は触れただけで弾かれた。 「耐性魔法の学習処理まで施しているなんて…」 弾かれて痺れの残る右手を悔しそうに見つめながら、唇をかみ締めた。 なす術の無い事を悟った彼女は…仕方なくその夜は素直に退散した。

事の始まりは他愛の無い街の噂話だった…。 魔法学院に保管されている『破壊に杖』以外にも『破壊の杖』があるらしい。 聞き耳を立て、情報を集め、ある貴族の家に潜り込み、真偽を確かめた…。 「あの時とは違う!今なら私は…破壊の杖の使い方を知っている…」 ここには邪魔をするガキ達もいない!もう二度とドジは踏まない! 土くれのフーケの心に火を付けるには充分過ぎる”新たなお楽しみ”だった。

場末の酒場でフーケは男を前にくだを巻いていた! 「飲みすぎだよ…マチルダ」 「今ではその名で呼ぶのはアナタだけだわ…」 「嫌かい?」 「別に!名前なんて…どうでもいいわ」 「そ、れ、よ、り!」指先を男の鼻先に突きつけてイラついて言った。 「で?手伝ってくれるの?くれないの?」 酔った女性に敵う者などいやしない!男はやれやれと言った風に答えた。 「わかたっよ、他ならぬ君の頼みだ…協力するさ」 「ありがとぉ〜♪アナタのそういう所、大好きよ〜♪」 彼女は椅子を倒さんばかりの勢いで立ち上がり…男にキスの雨を降らせた。 「まずは…報酬の前払いを!」「気が早いのね♪いいわ…行きましょう♪」 腕を絡ませたまま…2人は連れ立って二階に取った部屋に向かった。

薄明かりのベッドの中で2人は抱擁し…激しく唇を重ね舌を絡ませる… 貪る様に激しく身体を求め合い…大き目のベッドはギシギシと音を奏でた。 長い長いキスの後…唇を話すと…混ざり合った唾液が長く糸を引いた。 キスの雨は頬から首筋…鎖骨へと移り、やがて大き目の胸に至る…。 両手に少し余るその胸を優しく揉みながら乳首に舌を這わせ、口に含む。 赤子のように吸うと…「あ…あん…ソコ…いい」と、艶のある声が漏れた。 舌先で転がすように愛撫した後、軽く噛んで刺激を与え、反応を楽しんだ。 身体をのけ反らせ…我慢できず…更に下への愛撫を要求するフーケ…。 唇は胸の谷間からヘソを経由して、充分すぎるほどの時間を掛けてから… ようやくと下腹部に至り…その舌先は薄目の茂みへと分け入った。 「あ♪ソコ…ソコがいいの♪もっと…もっと…お願い」 既に濡れて滴り落ちている液を、下からすくい上げるように舐め上げる。 「あ…い、いい…気持ちイイ…」 口の周りをベトベトにしながら谷間の上部に隠された敏感な種に触れた! ひときわ大きく身体が跳ね、腰を激しくくねらせ狙いが定まらない… 細くくびれた腰を抑え両足の間に顔を埋め…刺激に強弱をつけ続けた。 「も、もうダメ…ち、ちょっと待って!お願い…も、もう!」 そんな言葉に耳を貸す訳も無く、ここぞとばかりに一気に攻め立てた! 一瞬全身がこわばったかと思うと… 「い、いやぁ〜イク…いっちゃう!いっちゃう!」 と、大きく喘いだ後…噛み殺すように小さな声で「くぅ…」と言い、 ぐったりと身体が崩れるように弛緩した。 「ずるい…」フーケが枕で顔を半分隠したまま少女の顔で呟いた。 頬を染めながら…「今度は私が…」と言いながら男を強引に押し倒し、 自ら上に覆いかぶさり、またがった! 充分に準備が出来ている男のモノを…自らの手で握って秘部に導く。 挿入の瞬間小さく一言「あん♪」と漏らしたが…一気に腰を下ろした。 狂ったように激しく腰を動かすフーケ! 「あん♪この方が私らしいわ♪さぁ…いつでもイッていいわよ♪」 「君は強いがりで…可愛いね…」 可愛いと言われて途端に恥ずかしくなったが気を取り直して言った! 「う、うるさいわね!私の中…気持ちいいでしょ?イッていいのよ♪」 「無理して強がらなくもいい…少なくとも、僕の前では…」 下から何もかも見透かされたような目で見られ、羞恥心が増した…。 不覚にも…心の琴線に触れる優しい言葉にフーケの方が先に果てた。 二度目の絶頂にぐったりと全体重を預けるフーケを優しく抱きしめながら、 男はゆっくりそして優しく激しく腰を動かし…髪をなでキスをしながら、 その精をフーケの中に注ぎ込んだ…。 自らの体内に男の精が流れ込む感覚を心地良く味わいながら… フーケは今まで味わった事の無い幸せを感じていた。 これまで寂しさにまかせて行きずりの男と身体を重ねた事もある。 生きる為に貴族の嫌な男と寝た事もある。 でもこの人は、今までに出会った他のどの男とも違っていた… この人なら…きっと… きっと… フーケは深い眠りに落ちた。

『番外編・破壊の杖』(2)

ジュール・ド・モットの屋敷はトリステインの南西の外れに建っていた。 中流の貴族ではあったが…王宮直属の勅使の任を仰せつかる事も多く、 権力を笠に着ては平民のメイドを雇い入れ、夜の相手をさせたり…、 書物を集める事を趣味とした「書物コレクター」として有名だった。

「いい?タイミングを間違えないでね」 「いったい誰に言ってるんだい君は…抜かりは無いよ」 地下の宝物庫の石壁に向い杖を構え…今まさに呪文を唱えようとしていた。 小さく呟く呪文は固定化の魔法に阻まれるが、そこに更に呪文が重なる! 重なり合う魔法はやがて相乗効果を生み、固定化の魔法を相殺した。 すかさず錬金によって穴を開けた石壁に固定化の魔法が追い討ちを掛ける! かくして見事なコンビネーションにより強固な石壁に大穴が開けられた。 「どうやら上手くいったようだね」 「さぁ…頂くものを頂いたら、さっさと退散しましょ♪」 ジュール・ド・モットの収集品は書物に限らず、金と権力に物を言わせ、 世界中の珍品を集めている事でも知られていた…。 その中に「破壊の杖」がある…というのがフーケの得た情報だった。

「さぁて…どこかしら〜?」 やがて縦横10サント・長さ30サント程の装飾箱に「破壊の杖」と書かれた 怪しげなものを見つけた。以前見たものに比べてやけに小さいわね… と思いながらも、魔法の杖にも小さな物や大きな物があるんだから… これはこれでいいのだろう…と、懐に入れると屋敷を後にした。

宿屋の部屋で祝杯を上げる!フーケは久しぶりの仕事に上機嫌だ。 嬉しそうなフーケを見ながら男は目を細めて興味無さ気に尋ねた…。

「なぁマチルダ…これが破壊の杖…なのかい?」 「書いてあるんだから、たぶんそうなんじゃない?」 「君は以前に見たことがあるんだろう?」 「大きさは小さいけど、大事そうに箱に入ってるし…」 「威力がその物の大きさに比例するとは限らない…という事か」 「じゃ、早速お宝を拝見しましょう♪」

アンロックの魔法を掛けると錠前が外れ、金具が弾ける様に曲がった。 「こ、これって…!?」 箱の中には固定化の魔法で綺麗な状態で保存された…見慣れたモノが… 「ね、ねぇこれって…もしかして…」 「ま、まぁ…それだろうな…」 そこには男性性器を模った奇妙な物体が入っていた。 「やけにリアルね…死体から切り取った…とかでは無さそうね」 「これが君の言う『破壊の杖』かい?」 恐る恐る手に取りマジマジと眺める。見慣れぬ装置に手を触れると、 それはくねるように動き出した…驚き、フーケは思わず手から落とす。 それを寸での所で受け止め男が言った。 「おいおい、仮にも『破壊の杖』だ!暴発したらどうする!?」 「大体これのドコが破壊の杖なの?どう見たって…」 と言葉を続けようとして顔を赤らめ…言いかけた言葉に詰まる。 「使ってみりゃ分かるさ…たぶんね」 「使うって?まさか?」 「さっきから…そう思ってるんだろ?マチルダ…」 見透かされた心を隠すように強がって見せるが…想像しただけで… フーケの股間は既に濡れていた。 「それとも…僕がいない時にコッソリと試すつもりだったのかな?」 思った事を全て言葉に出され…はにかんで頬を赤らめた。 「今夜の主導権は握らせて頂くよ…」 「無茶な事はしないでね…怖いんだから」 「何かあったら、すぐにやめるさ♪」 ランプを消すと闇に包まれ、窓から差し込む僅かな月明かりだけになった。 いつものように優しいキスから胸への愛撫に移ると… ヘソから下腹部へと愛撫を移す…上から下へ…ゆっくりと…時間を掛ける、 舌先で茂みを分け入り、滴る液をすくい上げるように舐め…谷間に舌を。 そして一番敏感な谷間の上の種に触れる…。 身体が軽く…ピクン!と波打つ…。 「アナタの攻めは…いつも同じね…でもそれが安心…心地良い…」 これが彼のいつものパターン…。しかし今夜はそこからが違った…。 「でも今夜は違うよ…コレがあるからね…」 敏感な種に刺激を与えながら…と同時に「破壊の杖」が挿入されたのだ。 「ひぁ!」 声にならない声を上げて身悶えするフーケ! 男はフーケの反応を楽しむように「破壊の杖」をゆっくり出し入れする。 「あ!凄い…こ、こんなの…初めて!」 更に男はフーケの尻穴に指を当てて軽く刺激を加える… 今までに無いほど乱れるフーケは我を忘れる程の快感に酔いしれていた! 敏感な種を舐められ、破壊の杖を挿入され、尻穴まで刺激されたフーケは 「もっと…もっと…凄い…凄い…」 絶頂間近なのを感じ取った男は…破壊の杖の出し入れのスピードを上げた。 「いや…もうイク…イク…いっちゃう…ダメ…ダメ…」 「もう私…ダメ…いっちゃう…ダメ…だめ…もう…壊れちゃうぅ〜!」 そう叫ぶと絶頂に達し…果てた。

ぐったりしたフーケの髪をなでながら…男は呟いた… 「『壊れちゃう』…か…なるほど…これはまさしく『破壊の杖』だ…」 「…確かに…そうかもね…ジャン」 「僕をそう呼ぶのも君だけだよ…」 「ワルド様…と呼ばれる方がいいの?」 「名など…とうに捨てた身だ」 「同じ穴の狢…ってところかしら」 ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドはクスリと笑った。 「さぁ…二回戦よ♪」フーケが言った。

           -終-

『傷跡』

才人は久しぶりに風呂に入っていた! 「いやぁ〜やっぱり風呂はいいよなぁ〜生き返るぅ〜」 「まったく…その言葉通りだったわね…」 珍しくルイズは「背中を流してあげる」と付いて来た。 どういう風の吹き回しか知らないが…ご褒美のつもりだろうか? 九死に一生を得て生還した日から…ルイズはとても優しかった。 「ホントに…凄いキズ…ここも…こっちも…」 ルイズは才人の傷をひとつひとつ確認するようにその指で触れながら呟いた。 「大した事ねぇよ!それに全部ほとんど治ってるし」 「でも…でも…こんなに痕が残ってる…」 「まぁ多少は仕方ないだろ?」 「治癒魔法でも…ここまでしか…いったいどれだけの大怪我を…」 「終わった事だし、もう何ともないから」 ルイズは涙目になりながら…更に背中の傷を愛しそうに指で辿る…。 「ルイズ…くすぐったいよ」 「こっち向かないで!」 振り向こうとした才人を激しい口調で制する! 「才人…あなた…自分のした事わかってんの?」 「まぁ一応」 残された人の気持ちを…私の気持ちを…本当に分かってるの?ねぇ才人…。 感極まり…肩口の大きな傷に口付けるルイズ…。 「ちょ、おま…何やって…」 「黙って!大人しくしてなさい!」 頬を伝わる涙が…ポトリ…ポトリ…と背中に落ちる。 「ルイズ…お前…泣いて…」 「黙ってなさいって言ってるでしょ!」 才人は仕方なくルイズの言葉に従い…その身を任せた。            

  • 考えていたけど、なんかネタ被りそうだから続きは保留-

『魅惑の妖精亭』

「さぁ〜みなさぁ〜ん!いよいよお待ちかねのこの日がやってきたわ!」 店長のスカロンが怪しく腰をくねらせながら激を飛ばした。 「はい!ミ・マドモワゼル!」 全員が直立不動の姿勢のまま口を大きく開き叫んだ。 「はりきりチップレースの始まりよ〜♪」 拍手と歓声が開店前の店内に大きく響いた。 「優勝者には…この」 と小舞台横の紐を勢い良く引くと、観音開きの薄手の幕が開いた! 「我が家の家宝!この魅惑の妖精のパンツを進呈しちゃうわ〜♪」 舞台の中心には、どうみても代わり映えのしないパンツが鎮座していた。 「このパンツにはね♪な〜んと『魅了』の魔法が掛けられているの♪」 「素敵です!ミ・マドモワゼル!」 全員が声を揃えて囃し立てる! 「んん〜トレビア〜ン♪」 スカロンは妙な格好でパンツに向ってポーズをとった。 「このパンツさえ穿けば…どんな相手でも魅了の魔力でメロメロよ♪」 「さぁみんな!頑張るのよ〜♪」 「はい!ミ・マドモワゼル」 「よろしい!では皆さん…そろそろ開店の時間よ!」 一呼吸置いて… 「お客さまをお迎えする準備を!しっかりね♪」 入り口を挟む形で整列する一同。本日一番のお客様のお出迎えだ! かくして『魅惑の妖精亭』はオープンの時間となった。

店は繁盛していた! チップレース期間中は宣伝にも力が入り、店の外ではマリコルヌが 看板を持って…街の隅々まで宣伝活動に精を出していた。

初日第一号の客はモンモランシーだった。 従業員全員に出迎えられ、少し顔を上げ…満足気に絨毯の上を歩いた。 品定めするように一同を見渡し…やがて目を留め1人の手を取った。 「アナタを指名するわ」 仰々しく頭を下げギーシュは答えた。 「いつも指名ありがとう♪僕の愛しいモンモランシー♪」 「お世辞はいいわ!席にエスコートして頂戴」 ギーシュはモンモランシーの手を取り…テーブルに着いた。 ヘルプ役のヴェルダンデが素早くお絞りを用意する…「モキュ♪」 「飲み物はいつも通りでいいのかな?」 「えぇ構わないわ」 ギーシュは手際よくウェイターに告げると隣に座り談笑を始めた。

2人目の客はキュルケだった。タバサを従えズカズカと入ってきた。 キョロキョロと見渡したと思うと 「ダーリンはドコ?」 と聞いた。タバサは興味無さ気に隣で本を読んでいる。 従業員が答える前にタバサがポツリと言った 「…今日は同伴」 「え〜そうなの?ざぁ〜んねぇ〜ん!って?何でアンタが知ってんのよ」 「…先週言ってた」 「あっそう…じゃ仕方無いわね。今日はコルベールを指名するわ♪」 落ち着いた余裕のある雰囲気で進み出たコロベールを引きずる様に キュルケはテーブルに着いた。 「アンタどうすんの?」タバサに尋ねる。 「…このままでいい」隣で本を読みながら視線も逸らさず答える。 「ミス・タバサは相変わらずですね」 目を細めて笑うコルベールの顔を無理やり自分に向けさせて… 「私の事だけ見ていればいいの♪ねぇコルちゃん♪」 「お飲み物は…」と言い掛けると 「いつものやって見せて♪」と、胸元を人差し指でグリグリした。 音楽などで騒然としている…そういう時にウェイターを呼ぶ合図。 普通は手を掲げライターなどを付ける!古いが定番の方法だ。 コルベールが手を挙げ指を弾くと青白い綺麗な炎が上がった! 「いつ見ても綺麗でステキだわぁ♪」頭をなでながらケラケラと笑うと 呼ばれたウエイターに…最高級のワインを注文した。

店内にケティが入ってきた時には一瞬空気が凍りついた…。 彼女のお気に入りのギーシュの隣には既にモンモランシーがいたからだ。 彼女は2人に一瞥をくれると、何事も無かったようにワルドを氏名した。 「ご指名ありがとう♪僕の可愛いケティ♪」 「まぁお上手♪やっぱりオトナの殿方は違いますわね♪」 わざと大声でギーシュに聞こえる様に嫌味を込めて言い放った。 「まぁまぁレディがそんな大声を出してはいけませんよ♪」 「まぁレディだなんて♪」 「良いシャンパンを取り寄せたんですが…いかがでしょう?」 「えぇ頂くわ♪」

初来店のミス・ロングビルは躊躇していた…誰を指名しようかしら? 思いつかないまま彼女は「指名は無しで…おまかせします」と言った。 テーブルに案内され「しばらくお待ち下さい」と座らされ緊張した。 やがて…「ようこそ♪いらっしゃいませ♪」と1人の男性が現れ、 「本日ご相手を務めさせて頂きます…オールド・オスマンです♪」 そこには白く長い髪と口ひげをたくわえた老人が立っていた…。 ミス・ロングビルは絶句した。 指名をせず店に任せたのは自分だ…これも仕方ない…と我慢した。 「ミス…いやミセスですかな?本日はご来店感謝致しますぞ♪」 「ミ…ミセス?この私が?まだまだミスですわ!」 「それは失礼!ここに来られたのは独り身が寂しいからですかな?」 と言いながら…ロングビルの太股と尻を堂々と撫で回す。 「な、なにをするんですか?!」 「そんなに怒りなさんな…そんな事だから男運に恵まれず…」 彼女はとうとう湧き上がる怒りを抑えきれず、老人を蹴り倒し! ゲシゲシと何度も足で踏みつけた! 「あ、ごめん、やめて、痛い!あ、ご無体な…許して!」

周囲は…あ、またやってる…オスマンはこの商売向いて無いな! と…日常の風景と言った感じで見ていた。 もしかして、あの爺さん…ああいうプレイが好きなんじゃないか? その手の店に移ればいいのに…と失笑を買っていた。

アンリエッタが現れた時…誰もがその美しさに目を奪われた… その身なりや立ち振る舞いに、ただならぬものを感じ取った皆は、 我先にと指名を取るべく取り囲んだ! くるりと見回した後…アンリエッタは静かに尋ねた 「ウェールズ…ウェールズ・テューダーはいるかしら?」 「承知致しました…」 彼女は手を引かれVIP席へと案内された。 「ようこそ♪僕のアンリエッタ♪」 「あぁ逢いたかったわ…」 「君はまるで…どこかの国の姫君のように美しい」 「あなたこそ…どこかの国の王子様のように凛々しいですわ」 「今夜はゆっくりしていけるんだろ?」 「えぇ…そのつもり…ゆっくり話を…したいわ」 パチン!と指を鳴らすとあらかじめ用意されていたワインがやってくる。 それを慣れた手付きでグラスに注ぎ…ヘルプの男にこう告げた… 「他のヘルプに付くといい。今宵は彼女と2人きりで語り明かしたい」 アンリエッタは頬を染め…静かに乾杯した後、それに口を付けた。

ジュリオ・チェザーレはこの店のナンバーワンだった。 端正な顔立ちに左右の目の色が違う月目…その容姿に似つかわしくない 気さくな性格…その接客ぶりが人気の所以だった。 その日も彼は同時に数人の女性の相手をそつなくこなしていた。 「世の女性は等しく美しく…その恩恵を受けるに値するんだ♪」 歯の浮くようなセリフもここでは当たり前の言葉。 「僕は動物達と話すことが出来るんだ…心が判るんだよ♪」 「まぁステキ♪」 「女性の心はとても繊細で難しい…でもある程度は読めるよ♪」 「まぁ…では私の心を読んでくださいまし♪」 「そうだね…う〜ん…そうだね…君は僕を独占したいと思っているね♪」 「きゃぁ!いやぁ〜ん♪」顔を赤らめ「バレちゃったぁ」と大騒ぎ。 彼の周囲はいつも笑顔で溢れ賑やかだった。

「その本はよぉ!」 「300年程前のアイオケの賢者が書いたもんを復刻した物だ!」 「…そう」 「続編もあるんだぜぇ!」 「…どこに?」 「知りたいかぁネェちゃん?」 「…知りたい」 「今はトリスタニアの書庫にあるはずだぁ!この前の客から聞いた!」 「…ありがとう」と言った後、ふと思い出したように 「150年程前の本なのだけど…」 「俺にわかる事なら何でも聞いてくれぇ!」 デルフリンガーとタバサは、それなりに話が弾んで(?)いた。

その時だった… まるで店中の喧騒を打ち破らんばかりの勢いで同伴組みが現れた!

            *つづく* 才人とルイズの同伴出勤は珍しくなかったが、必ずと言っていいほど 毎度…口論をしながらの賑やかな登場である。 「だからぁ!ちゃんとエスコートしなさいってば!」 「してるじゃねぇか」 入り口の扉を開けたきり、なかなか入って来ない2人の姿が見えた。 「ただ連れ歩くのはエスコートって言わないの!」 「ちゃんと扉は開けてやったろ?いいから早く入れよ」 頬をぷっくり膨らませ、突っ立ったまま頑としてその場を動かない! しなやかな動きで片手を差し出しながら 「手を引いて!」 「はぁ?」 「手を引きなさいよ!」 「なんで?」 「だぁかぁらぁ!手を引いてエスコートしなさいっての!」 しぶしぶと手を取ると店内へとエスコートする。 「一々面倒臭ぇなぁ」 途中何度かウエイターに席を確認し…中央奥のテーブルへと付いた。 「アンタ全然慣れないのね?!」 「しょうがねぇだろ!媚を売るのは苦手なんだよ」 「そんな人がなんでこんな仕事をやってるのかしら?」 「嫌味かよ?」 才人は店内では一番の新人で、女性の扱いも決して上手い方では無い。 本来ならまだまだ他のホストのヘルプ役の下働きなのだが… ぶっきらぼうな物言いと媚を売らない態度が女性受けするのだろうか、 一部の物好きな固定客が付き、そこそこの人気だった。 ルイズもその中の一人で、文句を言いながらも指名を繰り返していた。 今日は、そのルイズとの同伴出勤日という訳である。 「何度教えてもちゃんと出来ないんだから」 「ちゃんとやってるだろうが」 「この前のキュルケの時はちゃんと出来てたじゃない!」 「キュルケは文句言わねぇからな」 「わ、私が悪いって言うの?」 「そうは言わねぇけど」 「私が相手じゃ不満だっていうのね?」 「そうやって、いちいち突っかかるからだろ?」 ルイズは注がれた酒を一気に飲み干すとテーブルにダンッ!と置いた。 「毎回せっかく指名してあげてるのに!」 もう一杯注げとグラスを前に突き出しながら言った。 「もう少し何とかならないもんかしら?!」 片手でグラスに注ぎながら才人が聞く。 「何とかって?なんだよ?」 才人から視線を逸らし…ほんの少しだけ頬を赤らめて… 「だ、だから…もう少し…優しく…とか」 「はぁ?もう酔ったのか?」 「バカ!無神経!鈍感!」 「もしかして俺に優しくして欲しいのか?」 「べ、別にそういうわけじゃないけど」 「どっちなんだよ」 「だから…毎回指名してるんだから…少しは…」 「ハッキリしねぇな」 「な、なによ!その言い方!」 「別に、無理して指名してくれなくたっていいんだぜ」 「べ、別に無理して指名してる訳じゃないわよ!」 「他にいい男はい〜っぱいいるだろ?いつもなんで俺なんだよ?」 「そ、そ、そ、それは…」 「それは〜?」 才人が悪戯っぽくルイズに聞いたと同時に突然店内に大声が轟いた! 「才人さんを指名します!」 店の扉を両手で開け放ったシエスタが開口一番発した言葉であった。 案内役が歩み寄り…丁寧に対応をする。 「才人くんは既に指名されて接客中です。もし宜しければ僕が…」 「宜しくありません!才人さんをお願いします!」 「でも彼は今日同伴の固定客が付いているので…お待ち頂くしか…」 「誰ですか?」 「は?」 「同伴した相手は誰なんですか?」 腰に手を当てて一歩も引く気配を見せないシエスタに圧倒されながら 「ミス・ヴァリエール…ルイズ嬢ですが…」 「…やっぱり」 自分の手には負えないと思ったか…他の従業員達に助けを求めるが、 誰も目を合わせようとしない。 ルイズとシエスタとの才人指名争奪戦は、もはや誰にも止められない。 「同席します!」 ルイズは上客で今日は才人も同伴出勤だ。少し待って貰って掛け持ち、 なら何とかなるだろうが…同席は難しい。 「それは困ります…今日は同伴してますし…少し時間を頂ければ」 「頂けません!同席します!」 相手の言葉尻を否定し、シエスタは譲らない。 「少々お待ち下さい…伺って参ります」と言うのが精一杯だった。

「あら?あの子また来てるのね?」 キュルケがワインを飲みながら楽しそうに言った。 「同席できるくらいなら私が先にしてるわよ♪」 コルベールが少し不安そうな顔で見つめる… キュルケはその頭をペシペシと叩きながら妖艶な微笑を浮かべる。 「安心して…今日はアナタを指名したんだから♪」 「ありがとう…キュルケ…」 隣で本を読んでいたタバサが言葉を繰り返す。 「今日『は』…」 コルベールは苦笑いをした。

モンモランシーは女の子が来店する度に余所見をするギーシュに対して、 得々と説教を始めていた。そんな最中でも余所見をするギーシュ…。 シエスタを見たギーシュの「彼女また来たんだ♪」というその一言に、 モンモランシーはとうとうマジギレ… 「ふざけてると一服盛るわよ!」と脅しまで掛けられてしまった。 彼女の「一服盛る」は危険である…と察したギーシュは渋々ながらも、 真面目にモンモランシーの相手を務めるしかなかった。

ルイズが来てからというもの…ワルドは落ち着かない… 「ワルドさま?」 「あ、あぁすまないケティ♪」 ケティは目ざとくワルドの視線の先にルイズを見て取ると言った。 「ワルドさまは…あの手のツンデレがお好み?」 「な、何を突然!」 「それとも未成熟な子がお好きなのかしら?」 「ば、ば、ば、バカな事を言うもんじゃないよ…」 ケティは下から見上げる視線で…一語一語ゆっくりと言った。 「ロ リ コ ン ♪」 核心を突かれ絶句するワルドに追い討ちを掛ける! 「私知っていますのよ♪」 「な、何のことかな?」 「ワルドさまが小さな子を…お騙しになるのが…お得意なコト」 「き、き、き、君は誤解をしているよ」 「若い子に気を持たせて…捨てては乗り換える…イケナイ人…」 「だから誤解だと…」 「決して惚れてはいけない人…裏切りのワルド…有名ですわ♪」 「い…嫌な評判だね…」 「そうお思いなら…余所見などなさいません事ですわ♪」 「すまなかった…古い友人に良く似ていたものでね」 「まぁ…そうでしたの?勘違いしてごめんなさい…」 「いや忠告ありがとう…今宵は君だけが僕の全てだと誓うよ!」 (ふん所詮は小娘…ガキはチョロイな!用が済んだら次の子だ) 「まぁ嬉しいことですわ♪」 (あ〜ぁ私って男運悪いのかなぁ?また浮気男…しかもロリコン) 「さぁ飲んで…ケティ」 (この調子なら次回も指名が取れそうだな…) 「えぇ頂くわ♪」 (あれで誤魔化したつもり?もう二度と指名するもんですか!) 「君の美しさに乾杯」(決まったな!) 「…乾杯♪」(うわ、キモッ!)

VIP席で2人の世界に入り込んでいるアンリエッタとウェールズ。 「君はいつも僕を指名をしてくれる…でも…」 「でも?…でも…何ですか?」 「僕がいない時…出勤していない時はどうしているんだい?」 「決まっていますわ!そのまま帰ります」 驚いた顔をしてウェールズは言った。 「他の人を指名してくれてもいいんだよ?!」 「そんな…私にはアナタだけ…他の人など…考えた事も…」 つまり…自分がいない時に…このVIP対応の客は帰ってしまっている。 それは「『美味しい客』を逃がしている」事以外の何物でも無かった。 ウェールズは少し瞳に涙を浮かべながら言葉を噤んだ… 「とても悲しい事だけれど…もし、もし、僕が居ないなら…」 「居ないなら?」 「君には他の人を指名して貰いたい!君に寂しい思いをさせたくない」 「そんな…私…」 「僕の願いは君の笑顔…寂しそうな顔は…見たくないんだ」 「寂しくなんて…」 「君がここで楽しんでくれれば…僕も嬉しい…そう思える…」 「でも…他の人など…」 「…君を帰し…独りにさせるなんて…心が痛むんだ…」 「そんな…」 「君には…僕だけでなく…新しい人との楽しみも味わって貰いたい…」 「アナタがそう言うのでしたら…次からは…」 「ありがとう…僕のアンリエッタ」 「その代わり…」 「その代わり?」 「誓って下さいますか?永遠の変わらぬ愛を…」 こんな店に来て何を言ってるんだ?これだからお嬢様育ちは面倒なんだ。 まぁそれだからVIPでもあるんだが…みすみす上客を逃すのも困る。 「私は誓います…永遠の変わらぬ愛を」 「愛と言う言葉を軽々しく口にするものではないよ…」 「私は…たとえ他の人を指名したとしても…この心はアナタにだけ…」 「わかった…ありがとう…気持ちは有り難く受け取っておくよ」 ウェールズの胸元に頭を付け…すがり付くようにして言う。 「お慕い申し上げておりますわ…」 「あぁ…その気持ちは…僕も同じだよ」 「嬉しい…」「でも…」「誓っては下さらないのね…」 「…………」(あくまでも商売ですので…後々の面倒は困るんすよ…)

              *つづく*

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