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14 名前:220 サイト×シエスタ 1/5[sage] 投稿日:2006/10/15(日) 22:03:35 ID:KjuIrP/V 貴族の相手は大変だ。身の回りの世話や部屋の掃除、帰郷の手配、手紙の配達… 夕食の準備なんてまるで戦争… 始祖は不平等だ! そう叫びたい… まあそれでも働くけどな…

異世界から、何が悲しくてこんなトコに来たのか、平賀才人は此処にいた。 ある日の夕方の事だ。いつもの様に交差点を曲がれば、自分の家が見えた筈。本を見ながら歩いていたので前は見ていなかった。 目の前に別世界への扉が開いているのにも気付かず、その中に入ってしまったのだ。 どうしてそんなモノがあったのかはわからない。が、次に視線を上げれば 自分の世界とは違う世界の建物が建っていた。昔、教科書で見た西洋の建築物に近い建物が。 異世界だと気づくのにそれ程の時間は掛からなかった。

その後は途方に暮れた。言葉は通じるが字は読めず、食事を摂るにも金が無い。 路上で恵んでもらおうかとも思ったが元は現代っ子。その勇気も無かった。

それから二日位だろうか。空腹で衰弱し、朦朧とする意識の中、最後に一際大きな建物を見て、体が倒れた。 消えゆく意識の中、近くに駆け寄って来た人物が、柔らかな腕を頭の後ろに回して抱き起こしてくれたのを覚えている。

16 名前:220 2/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/15(日) 22:05:48 ID:KjuIrP/V 正に命の恩人。その相手とは… 「サイトさん!」 「はいぃっ!」 「忙しいんですから、早くお皿を並べて下さい!」 「ご、ごめんなさい!」 この子。名前をシエスタと言う。

次に目を覚ましたのは翌日の朝だった。ベッドに寝かせられた自分の頭を起こすと、傍らには椅子に座って、うたた寝をしていたシエスタが居た。 その彼女を起こし、ひとしきり自分の状況を説明すると、あっさりと言うことを信じ、 身の回りの世話や、貴族の世話人としての仕事まで都合してくれたのだ。

そんな生活に慣れて来た最近、だらけてしまうのも仕方ないとは思うのだが…

「私も自分のお仕事があるんですから、サイトさんも頑張って下さい!」 少しでもサボっている様に捉えると彼女は檄を飛ばす。 「は〜い…」 「貴族の方にそんな返事をすると起こられますよ!」 「はい!」 と、まあ命の恩人として、先輩として彼女には感謝している所である。 此処はトリステイン魔法学院。どうやら貴族専門の学校、要するにお坊ちゃまやお嬢様の学校らしい。 無礼があると大変らしいので、シエスタにはよく注意やお小言を言われるのだ。 テーブルに皿を並べ終え、また厨房に引き返す。

17 名前:220 3/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/15(日) 22:06:36 ID:KjuIrP/V 「おう!サイト!又怒られてやがったな!」 フライパンを振りながら、気さくに話し掛けてきたのはマルトーと言う男。 どうやらメイドや給仕の親分格らしいのだが、その豪快な性格は皆の信頼を集め、サイトはおろかシエスタまで多々世話になったと言う。 「あんまりシエスタを怒らせるなよ!夜の相手もして貰えなくなるぜ!」 「そ、そんなんじゃないって!」 「「がっはっは!」」 地声が大きいせいで厨房の全てに会話が聞こえてしまい、皆の笑いを誘った。 「呼びました?」 タイミング悪くひょこりとシエスタが顔を出す。 「おう、シエスタ!お前とサイトの仲が気になってな!」 「「な、なんて事を言うんだ!(ですか!)」」 「なんだ、やっぱり仲がいいじゃねぇか」 焦ったように二人の声がハモったのを見て、皆は更に笑い出した。 サイトとシエスタは赤面し、次の皿を取り、逃げ出すように厨房を後にした。

「こ、困ったな…そんなんじゃないのに…」 「え…ええ…」 お互いの顔を見合わせた。 赤い。 「…」 「…」 「は、早く並べちゃいましょう!」 「そ、そうだな!」 駆け出して食堂へ向かう。 既に何人かの生徒はテーブルに着き、談話を始めていた。

18 名前:220 4/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/15(日) 22:07:32 ID:KjuIrP/V 「あっ!」 焦っていたせいか、サイトは絨毯の歪みにつまづいて、転んでしまった。 皿の上の液体が宙を舞い、一人の貴族の服にかかる。 「きゃっ!」 「あっ!スミマセン!」 「何してるのよ!」 その貴族は虫の居所が悪いらしく、勢いよく席を立ってサイトを睨みつけた。 サイトよりかなり背は低いが、プライドの高そうな顔つきと鬼の形相にサイトはうろたえてしまう。 「あ、あの…」 「アンタ見ない顔ね!新入り?今まで何をして来たの!」 「そ…その…」 「どーすんのよコレ!」 その迫力で呼吸も出来なくなりそうになった、その時、 「どうも申し訳御座いません!」 サイトの前にメイド服の女性が、割って入って来た。 シエスタだ。 「アンタがコレの教育係?」 「はい…」 「どーすんのこの服?」 「…弁償させて頂きます…」 深々とシエスタは頭を下げたまま、誠実に伝えていく。 「その服もちゃんとお洗濯してお返し致しますので、どうか今日の所はお許し下さい…」 チラリとサイトに目をやった。サイトは意を汲んで、その傍らに立ち、 「すいません!もう二度と致しません!」 とシエスタに負けない程深く頭を下げた。

「ふん…」 一応怒りを収め、その貴族は席に着き直した。

19 名前:220 5/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/15(日) 22:08:33 ID:KjuIrP/V サイトはその貴族の、桃色のブロンドが流れる後ろ姿にもう一度頭を下げ、シエスタと共に厨房に戻った。

「ごめん…」 「いいんですよ。次からは気をつけて下さい」 シエスタは大きな失敗をした時の方が、優しい言葉を掛けてくれる。 こういう時、もっと彼女を好きになるのをサイトは感じた。まだ夕食は始まったばかりである。

やっと貴族の夕食が終わり、その後に皿洗いを終えると、今度は使用人達の夕食の支度だ。 今日は二人が配膳当番では無いので、しばし二人きりで支度を待つことにした。

見れば、シエスタは手に薬瓶の中のクリームを塗っている。 「ソレなに?」 「ええ、手荒れが酷くならないように、手入れをしてるんです」 一種のハンドクリームだな。と、サイトは思い、興味深げにそれを見ていた。 「せっかくですから、サイトさんにも塗ってあげますよ」 「え、俺はいいよ?」 「ほら、遠慮なさらずに…」 シエスタはサイトの手を取り、そのクリームを手のひらにつけて、優しく塗り込んでいった。 柔らかい手だな… サイトはその手の感触に心奪われていく。 「俺も塗ってやるよ」 「ええ!?」 「ほら…お返し…」 サイトは手の中に余っているクリームを塗り返した。 その内、指を絡めてしまう様になり、沈黙してしまう。 「…」 「…」 夢中で手を絡めあって、何かしてしまいそうなその時、 「おーい!飯だー!」 と仲間の声がした。 慌てて指を離し、平静を装う。

俺…何してんだろ…

私ったら…いったい…

実は二人はまだ、何なかった。

281 名前:220 1/4 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/20(金) 23:06:49 ID:Ny0/XuGv

>>19 夕食を終えて二人は部屋に戻った。魔法学院はその広い敷地に使用人用の寮も持っている。 当然、学院生用の部屋と比べれば粗末な部屋ではあるが、きちんと手入れをすればそこそこ快適に使えるのだ。 悪くても鏡台やベッド、日の射す窓や適当な机は用意されている。大概の部屋が多人数部屋だったりするのだが、シエスタは女の子と言う事もあり一人部屋だった。 ついこの前までは。

「ただいま〜」 「お帰りなさい…って私が言うのも変ですね?」 「いや、いいよ。なんか落ち着くし」 二人揃って部屋の扉を開けた。つまり今、シエスタの部屋には同居人がいるのだ。 勿論、サイト。 拾われて(?)以来、ずっと同じ部屋で暮らしている。当初はサイトも遠慮し、マルトー親父など大変な反対をしていたのだが、 「私が面倒を見るんです!」 と言う、彼女にしては珍しく強い主張により、結果二人は同室となったのだ。 因みにサイトの看病が行われたのもこの部屋である。

「今日も疲れたぁ〜」 サイトはベッドに腰掛け、そのまま上体を倒した。クスリ、とシエスタが笑う。 「どうもお疲れ様でした」 棚から実家より取り寄せた茶葉などを取り出し、シエスタはお茶の用意をした。

282 名前:220 2/4 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/20(金) 23:07:29 ID:Ny0/XuGv 部屋には小さな釜程度は備えつけてあり、その上にシエスタは適当な鍋を乗せ、予め汲んで置いた井戸水を火にかけた。 サイトはベッドに横になったまま天井を見つめ、なんとなしにシエスタが何をしているかを感じていた。 「あ、サイトさん?」 「ん?」 「ちょっと向こう向いてて下さいね?」 「ん…ああ」 サイトは寝返りを打ち、シエスタから視線を逸らす。 警戒心が無いっていうか…俺も男なんだけどなぁ… 心の中でそうぼやきながら、衣擦れの音をサイトは背中で聞いていた。

シエスタはサイトが部屋に居るにも関わらず、平然と服を着替えている。 一応視線を逸らす様に言っているのだが、信頼しきっているのか部屋から追い出しもせず、寝間着や部屋着に着替えて見せるのだ。 視線を向けても気づかない時もある。時折誘っているのかとも思ってしまうが、彼女の優しさを知っているサイトはそうは思えず、出来るだけ覗くのも遠慮していた。 ガマンだ…ガマン…

私…いつでもいいんですよ… シエスタはいつも、そんな事を思いながら服を着替えていた。

283 名前:220 3/4 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/20(金) 23:08:14 ID:Ny0/XuGv メイド服と胸の下着を下ろし寝間着を着る。 頭からすっぽり被る寝間着は母のおさがりのせいか少し大きめで、裾は床に着く程に長い。腕の袖にも充分な余裕があった。 「いいですよー」 サイトは体を起こす。 やっぱり可愛いな… 少し大きめの寝間着は、まだあどけない彼女を愛くるしく見せ、彼女のフワフワとした雰囲気と良く似合っていた。 この服では胸は強調されないが、いつも以上に母性が出ているな、とサイトは思う。無論メイド服も好きなのだが。 シエスタはカチャカチャと陶器の当たる音をさせて、机に二人分の茶器を並べていった。 「用意ができたから、座って下さい」 「ああ」 こうして一日の反省をした後、就寝である。

少々サイトは不眠気味だった。それもその筈、この部屋には壁際にベッドが一つしか存在しない。 二人の性格を考えれば当然、片方だけが床で寝る事など出来ないだろう。 ならば… 無防備すぎる… 腕の中に潜り込んで来た存在を、出来るだけ優しく抱き締めてサイトはそう思っていた。 一つのベッドに二人が寝ているのだ。 ベッドが足りなかったと言うのは方便だろう。 事実、シエスタの寝顔はサイトが見る限りいつも幸せそうである。

284 名前:220 4/4 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/20(金) 23:10:49 ID:Ny0/XuGv 「サイトさん…」 寝言でいつも、シエスタはその名を呼ぶ。 その度に体をすり寄せて、甘える様にサイトの腕の中で丸くなった。 やっぱり…俺が好きなのかな…

これだけ接近されていると、サイトはなかなか寝付けなかった。 握り締めたくなる白い手。 半開きの美しい唇。 年の割には発育の良い胸。 何故かする甘い香り。 聞こえてくる寝息は、サイトの理性を危うくしてしまう。 男である以上、下半身の暴走は止められない。定期的に「処理」しておかなければいつ「シエスタ」を食してしまうかわからないのだ。 まだ唇さえ奪っておらず、女性経験の無いサイトだからこそ、その場合の行動にサイト自身恐怖してしまう。 本能と理性が闘い、その疲れでやっとサイトは眠りに落ちる事が出来る。

完全にサイトが眠りに落ちた後、その隣で寝ていた筈のシエスタが上体を起こした。 横で寝ている彼を切なく見つめて、小さく呟く。 「ごめんなさい…」 暗闇に小さな水音がした。 「いつでもいいのに…」 少し残念そうに言って、寝間着の裾を口にくわえる。 声を出さない様にする為だ。

そのまま寝ているサイトに馬乗りになった。持ち上げられた裾からは下着が丸見えである。

332 名前:220 1/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 01:49:51 ID:LFAwhiUB

>>284 シエスタの、「思い」を募らせていく時間が流れていった。

サイトは肌寒さを感じて、重い瞼を少しだけ開ける。 気づいているのかいないのか、シエスタは隣で上体を起こし、ベッドから床に脚を下ろした。 その体をもう少し抱いていたい思いをこらえ、扉に向かう彼女を見送った。 あ、朝風呂か… 昼夜を共にしているとサイトにも行動は読めてくる。 シエスタは大抵この時間、誰もが寝静まった時間を狙い、サウナ風呂に入るのだ。勿論、女性である為と、他の皆に気を使っての事である。 シャンプーなんか無いはずなのに…何であんないい匂いするんだろ… 寝ぼけた頭でサイトは、シエスタの心地よさを思い出していた。 女の子らしいし…可愛いし…いい匂いするし… シエスタは一度風呂に向かうと、数十分は帰って来ない。 この時、漸くサイトは「処理」に移る事が出来た。 「シエスタ…」 その時、周りに散ってしまう欲望に、サイトは気づいていない。

シエスタが戻って来る頃には、もう起床時間となっている。 起床自体は自由なのだが、仕事に加えて自分達の食事や洗濯、掃除などは昼間、貴族の相手で潰されてしまうのだ。 結局、早めに起床せざるを得ない。

333 名前:220 2/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 01:51:33 ID:LFAwhiUB シエスタはサイトが寝ている事を確認し、新たなメイド服に着替えてから、シーツをはがして揺り起こした。 「サイトさーん?起きてくださーい」 「ん…」 「もう朝ですよー?」 「ん…もう?」 「はい。今日はシーツのお洗濯もしなきゃなりませんから、早く起きて下さい」 「はい…はい…」 つらそうに体を起こし、片手で頭の後ろを掻きながら、サイトはベッドから降りた。 「朝は寒い季節ですから、辛いでしょうけど、お洗濯はしますからね?」 まだ温もりのあるシーツを素早く畳み込んで、床に置く。 これで二度寝は出来ず、否が応でもサイトは目を覚まさなければならない。 「掃除とお洗濯、どうします?」 「ん?どっちでも…」 サイトは伸びをして、軽く窓に目をやった。朝とは言え、日は昇りきっている様には見えず、外は寒そうだ。 あんまり洗濯はしたくないな…でも… シエスタに目を戻す。 シエスタもしたくないだろうし… そんな気遣いを覚えて、サイトは返事をした。 「俺が洗濯するよ」 「いいんですか?お外はまだ寒いですよ?」 「うん…俺がやるから、シエスタは掃除を頼むよ」 「わかりました」 シエスタは頷いて、部屋の隅から洗濯カゴを取り出した。

334 名前:220 3/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 01:52:32 ID:LFAwhiUB サイトはそれを抱え、次いでにシーツを放り込んで、扉を開けた。 暗闇の廊下はひんやりと冷たかったが、パーカーのおかげで、上半身は意外と温かかった。しかし下半身の冷えは否めない。 「寒っ…」 サイトは洗濯カゴを抱き込むようにして持ち、足早に廊下を駆け抜けていった。

シエスタはサイトが帰って来た時、冷えている事を予想して、暖炉の薪に火をつけた。 暑くなり過ぎないよう、暖炉の火を火箸で調整して薪も最小限にしておく。 それから少しの間窓を開け、換気をした。冷たい空気と、まだ成長しきらない日差しが入ってくる。 外には震えながら洗濯場に向かうサイトが見えた。 「寒そう…」 壁に立てかけてある箒を持ち、床を掃いていく。日差しによって埃の舞い散る様が見えた。 その間も気になって時折、窓から洗濯場にいるサイトの姿を覗く。 大丈夫かしら… 床を掃き終えた後、小さな金属の籠(バケツ)を取り出し、汲んで置いた井戸水をその中に流し込んだ。 雑巾をその中に浸すと、冷たさでみるみるうちに手は赤くなるのだが、その冷たさをこらえて窓を磨いていく。 「え?これって…」 何枚目かの窓を磨いた時、シエスタが「ソレ」に気づいた。

335 名前:220 4/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 01:53:18 ID:LFAwhiUB 「さみぃ…」 サイトは井戸水のポンプの前で、両手を自分の体に回し、かがみ込んで全身でその寒さと戦っていた。 日差しはまだ明るいだけで、太陽光線はまだ温かみを与えてくれない。 透き通った空気は、冷たすぎて鼻が痛いほどだ。 備え付けてあるタライに水を溜め、洗濯板と洗剤を取り出し、まずはシーツを洗っていく。 「手が痛ぇ…」 寒さを耐え、木で出来た凹凸に布をこすりつけ、洗った物を片っ端からもう一つの籠に突っ込んだ。 次いでにパーカーを洗おうかとも思ったが、 「その服(パーカー)のお洗濯は私がします」 とシエスタが言っていたのを思い出し、やめておく。 勿論、カゴの中にシエスタの下着は入っていない。そういう物はちゃんとシエスタ自身が洗っていた。 干場に一通りの洗い物を干す頃、ようやく太陽ははっきりとした温もりを与え始めた。 空っぽになった洗濯カゴを抱え、サイトは部屋に戻った。

「お帰りなさい」 「ただいま…寒かったぁー」 「ふふ、お疲れ様です」 部屋の中はほどほどに温められ、サイトは自分が解凍されていく様に、体の力が抜けていくのを感じた。 シエスタは何やらお湯を沸かしている。 サイトは椅子に座り、伸びをした。

336 名前:220 5/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 01:54:26 ID:LFAwhiUB 「はい。どーぞ」 サイトの前に、湯気の立つコップが置かれた。 中を覗けば、白く濁った液体が入っている。鼻にかかるのは発酵した匂い。 「…コレなに?」 「ヤマジャケって言います?」 「ヤマジャケ?」 「はい。本当なら風邪を引いたときに飲むお薬みたいなんですけど、体が温まるからっておじいちゃんが良く飲ませてくれたんです」 サイトはそのコップをじっと眺め、片手で持って啜ってみた。 「…ふぅ…」 体が溶けるような暖かさと、柔らかな口当たり。 「お米から出来てるそうですよ。サイトさんはお米が嫌いですか?」 「いや、俺がいた世界じゃよく食べてた」 「そうなんですか?」 これは…甘酒だ… サイトは故郷の味を、不意に口の中に入れてしまった。 なんで…シエスタが? 「おじいちゃんが飲ませてくれた?」 「ええ」 「今、おじいちゃんはどうしてる?」 「随分前に…」 「あ…ゴメン」 ふるさとへの思いが沸いてきた。 シエスタは不思議そうにサイトの顔をのぞき込んでいる。 サイトはその視線に気づいた。 あまり帰りたい風に見せちゃいけないかな… 察されない様に、明るい表情で礼を言う。 「ありがとう。温まった」 「よかった…嫌いな味だったらどうしようかと…」 サイトはかぶりを振って、気分を変え、一日をやり遂げる気持ちを整えた。 頬を軽く叩き、シエスタに目をやる。 「じゃあ…今日も頑張るかな…」 「そうですね!」 シエスタの挨拶は気持ちがいい。こうして一日が始まっていく。

586 名前:220 サイト×シエスタ 1/5[sage] 投稿日:2006/11/18(土) 21:45:06 ID:sz6F31Qn サイト×シエスタの続きです。シエスタ分の不足を感じて。

…慣れない事はしない様にしましょう…

「もう!サイトさんったら!」 狭い部屋の中は慌ただしく動く二人と、シエスタの剣幕のせいで修羅場となっていた。 「えぇと!俺の下着、俺の下着…」 「そっちの引き出しにしまってあります!」 部屋の隅のタンスにサイトは飛びついて、片っ端から衣服を出していく。 時間は早朝とは言えない程日の登った朝だ。 「よし、後は…」 「後はなんですか?」 「無い!多分!」 「じゃあ早くまとめて…ってきゃああ!」 サイトの取り出した衣服の中には純白と薄い蒼色の、絹地の物が混ざっていた。 シエスタは急いで取り上げ、それを自らの鞄の中に押し込んだ。 「これは私のしょうぶ…」 「しょうぶ?」 「い、いいですから早く行きますよ!時間に遅れたく無いんです!」 よそ行きの帽子を片手でかぶり直し、白いブラウスの上に茶のコートを着込み、大きな荷物を片手にしたシエスタがドアの前に立つ。 「あ、ああ」 サイトの方も大きな荷物を片手で持って、急いで靴を履きなおした。 ドアを開けシエスタが駆け出すと、サイトが態勢を整えないままそれに続く。

587 名前:220 サイト×シエスタ 2/5[sage] 投稿日:2006/11/18(土) 21:45:50 ID:sz6F31Qn 「ふぅ…」 「ふぅ…」 「間に合いそうです…」 「そっか…」 帰郷用に、特別に手配された馬車に乗ってサイトとシエスタは並んで座り、背もたれに体を預けた。 足元には荷物をおいた。窓からは昼が近付いた事がわかる日差しが入り込み、その温もりはサイトの眠気を誘う。 整地されてない故の馬車の揺れと蹄の音は、心地よいほどだった。 その眠気に誘われながら、自分が今何故シエスタの帰省に付き合っているか、サイトは思いだしていた。

「今度のお休み、長いんですね」 「ああ」 日程表を見ているのは、シエスタとマルトー親父だった。並んだ二人の後ろから、文字のわからないサイトが話を聞く。 「そうなんですか?」 「ああ、珍しい話じゃねえんだ。季節毎に少し長い休みが貰えるのは」 「なんで?」 「とりあえず俺たちの仕事が結構大変だって、お上がわかってるからじゃねえか? 慣れれば貴族に仕えるなんて割の良いモンだ。休みは貰える、チップは貰える。ま、平民って分別はちゃんとつけなきゃなんねえがな」 余計な話も挟みつつ、さり気なくマルトー親父はサイトに注意を促した。 「貴族」には絶対逆らうな。と。

588 名前:220 サイト×シエスタ 3/5[sage] 投稿日:2006/11/18(土) 21:46:52 ID:sz6F31Qn さっとサイトに説明をすると今度は、シエスタの方へマルトー親父が向き直る。 「どうだ?そこそこ日にちがあるみてえだが?」 「ふぇ?」 いきなり話を振られ、シエスタが間の抜けた返事をした。 「そろそろ帰省の時期じゃないか?」 「あ、そうでした」 「「旦那」も紹介しなきゃならねぇだろう?」 「だ、旦那ぁ!」 やたら大げさな反応をしてしまったのはサイトだった。マルトー親父がそれを見てクックッと笑う。 「おっと、誰もお前とは言ってないぞ?サイト」 「サイトさん!誤解されちゃいますよ!」 「あ…ゴメン…」 今度はいきなりシュンとしてしまった。 どちらかと言えばシエスタの「誤解されちゃいますよ!」が効いている。 ああ、やっぱり誤解だったんだ… と。 尋常ではない落ち込み方をしたサイトを見てシエスタは、自分が何を言ってしまったか気が付いた。 「あ、違いますサイトさん…その、サイトさんじゃなくてマルトーさんが…」 「俺が悪者か」 「だから…サイトさんが嫌いって訳じゃなくて…むしろサイトさんの事はアレって言うか…」 「…お前ら」 言葉が耳に入らず、落ち込むサイトと慰めるシエスタ。

そんな二人を見てマルトーは二人用の馬車の手配を心に決めたのだった。

589 名前:220 サイト×シエスタ 4/5[sage] 投稿日:2006/11/18(土) 21:47:51 ID:sz6F31Qn 今考えるとマルトーさんのせいだなあ… ぼんやり、幌を眺めながらサイトは回想していた。 横ではシエスタが何かゴソゴソしている事が解るものの、そちらを向く気にはなれず、意識を溶かす事に集中する。

「サイトさん?」 「ん…」 「ほら、朝ご飯まだでしたよね?」 横からシエスタが顔を覗かせて来た。 「うん…」 何故か力が入らない。 「ダメですよ?ちゃんと朝ご飯は食べないと」 「う…ん…」 かろうじて返事をしたものの、夢の狭間まで来ていたせいか、はっきりとした返事は出来なかった。少しだけシエスタが困った表情をしている。 「もう…あ・さ・ご・は・ん!」 「ふぇ?」 「はやい内に食べてくれないと怒りますからね!それとも食べさせてほしいんですか?」 勝手に首が落ちた。それを「うん」と取ったのかシエスタが、驚いた風の表情を見せる。 「え?」 「…」 「サイトさんったら…仕方ないですね…」 「…」 「じゃあ…朝ご飯です」 その瞬間、一瞬サイトの記憶が消えた。ただし残った、唇の柔らかな感触。 「今日は…おいしかったですか?」 「うん…」 意識などないはずなのだが、勝手に返事をして、体が動く。

590 名前:220 サイト×シエスタ 5/5[sage] 投稿日:2006/11/18(土) 21:48:40 ID:sz6F31Qn 「やだ…もう…」 気がつくとサイトの右手が、シエスタのふくよかな胸を掴んでいた。 柔らかで、夢にまでみた筈の膨らみ。 「これはゆうごはんですよ?」 手をはねのけるような事はしなかった。幾ら揉んでいても、シエスタは文句どころか、期待した瞳でサイトの手を受け入れている。 「あん…」 「…いい?」 「…いいですけど…ゆうごはんもちゃんと…」 「食べる」 「じゃあ…」 そのまま、シエスタがサイトを引き込む様に、二人は横になった。

「…サイトさん?」 「…ん?」 「サイトさん?サイトさん?」 馬車の動きは規則正しい。蹄の音がはっきり耳に入った。 「サイトさん?」 「…夢か」 「え?」 キョトンとした顔で、シエスタが袖を引っ張るのを止める。サイトは軽く伸びをして、周りを見渡した。 まだまだそれらしい村は見えていない。 「寝てたんですか?」 「うん…多分…」 ハッとしてサイトは、伸びを止めた。自分の体の異変に気づいて、体を縮こませる。

まずい… 「男」が反応していた。 サイトはその後、体の燃えと格闘するハメになった。

シエスタの唇と、自らの唇が濡れている事に気付かずに。

続く

多分こっちが本当の自分ですorz