ゼロの保管庫 別館

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だれでも歓迎! 編集

277 名前:1/3[sage] 投稿日:2006/10/20(金) 22:21:26 ID:jEtM2Dfi 取り戻す……そのつもりだった……なのに…… 「お疲れ様、おひめさま」 額にルーンの浮いた女が私を笑っている…… 際限なく出てくるガーゴイルに、一人では手の打ち様が無かった。 「威勢が良いことだな、わが姪御よ」 ずっと……アイツはそこに居た。 近寄れないのが解っているように…… 「なんなら、これをやっても良いぞ」 魔法薬……まさかっ。 「余の命令によって与えられた毒だ、当然解毒剤も持っておる。」 ……半ば確信していたことをあっさりと認められ、頭の中が灼熱する。 「おまえ……が」 「不幸な事故も、な」 「父さま……も」 「よく出来た弟……だったなぁ」 殺してやる殺してやる殺してやるころしてやるコロシテヤルコロシテヤルゥゥゥゥ 数体のガーゴイルに押さえられ、杖まで取り上げられていては、どうしようもない…… 「そうだな、シャルロット、これを飲めばこの薬をやらんことも無い」 ジョゼフは懐から別の薬を取り出す……毒? 「毒ではないよ、そんな手間などかけんさ。」 いつでも私を殺せる……なのに? 「どのみち、君に選択の余地はない。」 ……せめて……自分の手で、奪い取った薬を飲み干す。 ジョゼフはニヤニヤと笑いながら、 「うむ、ミューズ彼女を開放してきたまえ。」 先ほどの薬瓶を渡す、……ガーゴイルを操っていた女が……立ち去る? ……身体さえ動けば……こんな好機……逃がさないのに…… 悔しい…… 目の前まで歩み寄ってくる……嫌味な男。 「そろそろ……ではないかな?」 嬉しそうに……なにが……え? 胸の奥に……何かが沸き起こる……なに?これ? 「先ほどの薬はな、シャル……いやわが姪御よ」 あえて、血の繋がりを強調する……ど……うし…て? 「惚れ薬だよ、単なる」 頭の中が真っ白になる……うそっ……だって、それじゃ…… 「まぁ、存分に余に見惚れてくれよ」 見ているだけで、頭が痺れる……胸が熱くて……切ない…… 「やぁぁぁぁぁぁぁ」 こんな……父さまと母さまを……こんなぁぁぁぁ 「ちなみにな、最近余に特技が増えた」 素敵、伯父様……違うっ、ちがう、ちがうぅぅぅっ 「人の記憶を消せる……」 き、記憶……を? 「今、あいつらの事を消したら……たのしかろぉなぁ」 ひっ、父さま、母さまの記憶……私を繋ぎとめる鎖…… それを断ち切ると……自分の心を内側から犯すような宣告に私は恐怖し…… もう一つの大切な枷に……頼った。 「ぃ……ゃ、やぁぁぁ、助けて、サイトっ」 自分の身より、私の事を庇ってくれた……ルイズが居るのは知っているけれど… 『何度も助けてくれた、お前を』そう言って、自分の命より私を優先した…… 多分……この薬の効果と同じ……私の胸に芽生え始めた小さな小さな思い。 確かにそれは、薬に押し流されそうな私を繋ぎとめていた。 「サイト、サイト、サイト、サイト、サイト……」 私が私で居るために……小さく小さく呟き続ける……恐ろしい一言が聞こえるまで。 「そうか……では、その『サイト』と、『父母』どちらを消そうか?」 私は……恐怖のあまり呼吸すら……忘れた。

278 名前:2/3[sage] 投稿日:2006/10/20(金) 22:21:59 ID:jEtM2Dfi よく出来た弟だった…… そして……憧れの人だった。 二人が結婚する時、御座なりな祝いしか述べれなかった…… 「にいさんは口下手だから。」 笑って余を庇うアイツの周りには、いつも沢山の人が居た。 兄の癖に、魔法も使えぬ無能よと、あの人だけは笑わなかった。 余が望む……心の底から望むものは、いつも手に入らない。 此度は……間違えぬ様に……いつもいつも……そう思う。 あの人を手に入れようと……弟を殺して手に入ったのは、どこまでも空虚な後味。 余は……あの弟が好きだったのだ、あの輪の中に入りたかった…… 兄でなければ。 殺してから気づく……なんとも無能に相応しい…… アイツの居ない日常は、毎日毎日砂を噛むような……。 手に入ると思ったあの人は、娘と共に静かに暮らしていた。 邪魔な娘だった。 弟の血を引いているから、殺すのは忍びない。 始末しようとしたら、……あの人が壊れた。 何が悪いのかさっぱり解らなかった。 でも、壊れたあの人には誰も近寄らなかったから、そのままにしておいた。 しかし……お陰で……二人の血を引くコレが手に入った…… 壊したくなかった……どこかに大切に仕舞っておくつもりだったのに…… 「サイト……いやだよ、助けて……助けてサイト……」 コレも……もうどこかの誰かのなのだろうか…… 虚無で全て消せば……私のものになるのだろうか…… 虚無で壊すと治らないのが難点だ……難しい。 そうだ、 「のう、どちらが良い?選ばせてやろう」

279 名前:3/3[sage] 投稿日:2006/10/20(金) 22:22:38 ID:jEtM2Dfi おじ様が何か言ってるぅ…… チガウ……チガウ どちらなら……抗いきれるだろうか…… サイト……父さま……母さま…… 「『サイト』を……消して。」 父母の敵に……簡単になびく事は……無い…… 胸の奥の痺れが、ソウダロウカ?と警鐘を鳴らす。 でも…… 「そうか、そうか、シャルロット」 うれしそうに…… 「では『父母』と消してやろう」 「うそっ、いやぁぁぁぁぁぁあ」 「お前は。『サイト』を捨てたのだしなぁぁ、そんなの、消しても残しても同じだろう?」 「だめぇぇぇだめだめだめだめだめ」 私は……サイトを裏切った……命の恩を捨てることを選らんだ…… その罰……きっとそうなのかもしれない……でも 「いやっ、父さまも母さまも、忘れたくない、忘れたくないよっ」 伯父様が……杖を振って……そして……

―――――――――

「いやだぁ、伯父様ご冗談ばっかり」 「いや、いや、シャルロット余は真面目だ、一緒に寝ないかね?」 「だめですよー、わたしっ好きな人が居るんです」 「例の『サイト』君だね?」 「えぇっ、ですから、だあぃすきな伯父様とも、一緒に寝たりしないんですよー」 「ふむぅ、残念だ」 「でも、どうして私、トリステインに通ってたのかしら?伯父様ご存知?」 「いいや、まったく知らんよ」 楽しそうにおじ様が笑ってる。 「まぁ、余には時間がたっぷり有るのでな、色々楽しむとするよ。シャルロット」 おじ様が楽しそうだから……きっと今日は素敵なことがいっぱいあるねっ

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