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586 名前:1/7[sage] 投稿日:2006/10/29(日) 04:24:31 ID:PIj79Lv4 懐かしい夢を見た、始めて会った頃の記憶。 ……わたしが自分で言ったことを思い出す。 ……サイトが何かを言い返して……そして…… うなされて目を覚めた、慌てて周りを見回してサイトを見つける。 シエスタはいつも先に起きて、わたしとサイトの朝の支度をしている。 だから……いつもこの時間はゆっくりサイトを見つめられる。 サイトの寝息を聞きながら、もう一度サイトの隣に寝転がる。 (ずーーーーっと、こうしていられたらしいのに) サイトがおきないようにそっと、サイトの前髪に指を絡ませて遊ぶ。 シエスタが起こしに来るまで、毎日こうしているのが最近の日課。 「ミス・ヴァリエールそろそろ……って、またですか」 触っているだけなのに我慢できなくなって、サイトにキスしようとする頃に決まってシエスタが入ってくる。 「……変な本能でも付いてない?」 「毎朝、サイトさんを襲ってる人に言われたくないです。」 「おおおおお襲ってなんか無いわよっ」 「へーそうなんですか?」 「そ、そうに決まってるじゃない」 にっこり笑ったシエスタが、サイトの手を取って胸に当てる。 そのまま眠ってるサイトに唇を寄せる。 「なに、いきなり襲ってるのよっっっ」 「ほら?」 ……ズルイ。 「あれ……おはよー、ルイズ、シエスタ……」 わたしの声でサイトが目を覚ました。 ……わたしの方を先に呼んだ……メイドは後ー。 ちょっとうれしい。 「ってぇぇぇぇぇぇ、シエスタ」 「いやん、サイトさん手、動かしちゃだめです。」 あ、当てっぱなしぃぃぃぃ 「離れなさいっ」 名残惜しそうなサイト……悔しい。 「朝っぱらから、さかってるなぁぁぁ、いぬっ!」 とりあえず踏む。 「まてぇぇぇぇ、起きた所で全然展開分からないぞ、ルイズ」 ……もっともな気もしたけど…… 「うれしそうだったから、有罪よっ!」 結局サイトが謝るまで踏み続けた。

587 名前:2/7[sage] 投稿日:2006/10/29(日) 04:25:07 ID:PIj79Lv4 またやっちゃった…… 自己嫌悪、付き合いの長い友達のような気がする。 理由は随分変わったけど、わたしは結局いつもこう。 昔は魔法が使えない自分が嫌いだった。 今は素直になれない自分が嫌い。 気まずくなったので、サイトより少し先に食堂に向かう。 切ない所が〜〜って叫んでたけど…… シエスタがいるから大丈夫…… ……いるから不安に思った方がいいのかしら? 食堂の前まで来て、今更引き返すのも恥ずかしくて席について待つ。 ……サイト遅い。 まだちょっとしか待ってないけど。 食堂にはまだ一年生しか居ない。 一年しか違わないし、人によったら年も上なのに、随分幼く見える気がする。 周りの席の子とざわざわと話している。 『……ェ…サ…ト……って』 ……何か気になることが聞こえた……気がする。 「サイトさま、おやさしいですわねー」 「今日も差し入れもって行きますわ」 ……息を詰めて会話に集中する。 「でも、ミス・ヴァリエール邪魔ですよね」 ……悪かったわね。 「知ってます?サイトさま昔、公衆の面前で鞭で打たれたり」 「あー知ってます、獣用の首輪つけられてたり」 「そうそう、人前でボコボコ蹴られたり、殴られたり」 ……し、したけどっ、昔の話じゃない。 「あれって……ミス・ヴァリエールの趣味ですわよね?」 なぁっ……ち、ちがうっ 「シュヴァリエに成る前はそれで……」 「今は差し入れすらさせてくれずに、べぇぇぇぇったり」 「調子いいですよねー」 ちがうもんっ、わたしは……ずっと前から…… 「普通、あんなにべったりする相手にそんなこと出来ませんよね?」 「好きだからーとか?」 「えーそんな、変態みたいな」 へ、変態……わたし、変態? 「あー、でも案外サイトさまの趣味だったりしてー」 「えーサイトさまが変態?」 ……ちがうもん、サイト変態じゃないもん。 わたしの事は良いけど…… わたしの所為でサイトが馬鹿にされるのは悲しかった。 サイトや皆が来るまでの間ずっと聞き続けた一年生の会話は、 私の心を切り裂いていた。

588 名前:3/7[sage] 投稿日:2006/10/29(日) 04:25:39 ID:PIj79Lv4 「元気ないですねー」 授業に出ずに部屋に帰ったわたしを、シエスタが出迎えてくれる。 何も言わずにベットに潜り込む。 「体調悪いんですか?」 「うるさい」 何も聞きたくなかった。 昔サイトにあんな酷いことをしたのを忘れたかった。 何も考えたくなかった。 泣きたかった、シエスタが居るから泣けないけど。 どうすればサイトに許してもらえるだろう? サイト気にしてないのかな? お詫びに同じことをサイトにしてもらう? ……多分わたしは嫌じゃないから……お詫びにならない。 サイトのすることなら何でもうれしいと思う。 でも……わたしはサイトに今までずっと酷いことをしてきた。 それに……… 不意にベットが沈み込む。 布団を被ったままのわたしの後ろに、シエスタが寝転んでいた。 「なに?」 どこかに行ってほしい。 「サボってるんです」 ………わたしもそうだから、何も言えなかった。 「何か有りました?」 「してほしいこと有りますか?」 返事せずに放っておいたら、シエスタは何も言わなくなった。 でも……どこかに行ったりもしなかった。 何も言わずにずっと側に居てくれる。 背中が温かくて泣きそうになる。 シエスタは優しい。 サイトも優しい。 わたし一人だけが二人の側に居る資格が無い気がする。 声を殺して泣いてたら、シエスタが優しく抱きしめてくれた。

589 名前:4/7[sage] 投稿日:2006/10/29(日) 04:26:10 ID:PIj79Lv4 「サイト……どこかに行っちゃうかもしれない」 ミス・ヴァリエールが泣きながら話し始めた。 貴族だけど、わたしのライバルで、 サイトさんが居ないと死んじゃうくらいサイトさんが好きで、 綺麗で強気な女の子。 「分かったの」 「なにがですか?」 「サイトに言えない……言ったら……居なくなる」 サイトさんは多分何を言われても、ミス・ヴァリエールの側を離れない。 ちょっと切ないけど、それでいいと思ったから。 『2番目でいいですよ』ってサイトさんには伝えてある。 「大丈夫ですよ?何があったのか分かりませんけど」 泣き止むまで抱きしめようと思って、背中に回した手で背中を撫でる。 「サイト、シュヴァリエに成ったから」 「それで態度が変わる方じゃなかったですよ?」 わたしも最初怖かったけど、サイトさんはサイトさんだった。 「違うの………わたし……最初に」 なんだろう? 「最初に言ったの『誰があんたを養うと思ってるの?誰があんたのご飯を用意すると思ってるの?ここ誰の部屋?』って」 うわぁ、ミス・ヴァリエール強気だ……でも 「その通りじゃありませんか?」 「違うの……もう」 どう違うんだろう? 「シュヴァリエは……お金貰えるもの」 あ 「サイトもう、私の側に居なくてもいいの、町に下りて一人で暮らしても大丈夫だし、お金出して部屋を借りても良いし、それに今はシエスタが居るからっわたし……要らないの」 「部屋を借りるのは、無駄なお金使うなっていったけど……本当はっ……どこにも……」 ……そうか… 「シエスタはサイトに付いて行くし、わたし………一人だよ」 怖かったんですね、ミス・ヴァリエール 「今までずっと、サイトに酷い事した、暮らすところが無いからって弱み利用して、 食事だって抜いた、まるで動物みたいに扱ったからっ」 ミス・ヴァリエールの体が震えだした、考えるだけで怖いことのように。 「わたし、きっとサイトに嫌われてる。好きだって言ってくれたのも、言わないと生活できなくなるからっ」 ………何も言わずに力づくでミス・ヴァリエールを引き起こした。 布団を剥ぐ。 一瞬嫌がったけど、真剣な私の顔を見て黙り込んだ。 向き合ったまま……頬を張った。 パチンという音が部屋に響く。 多分あまり痛くなかったと思うけど……驚いた表情でわたしを見つめていた。 「サイトさんは、下げたくない頭は下げない人でしょう?」 ミス・ヴァリエールの視線が彷徨いだす。 「サイトさんの言葉を疑うのは可愛そうですよ?」 ……わたしにこんな事言わせないで下さい。 「そんなに怖かったら、サイトさんに聞いてみましょう、ね?ミス・ヴァリエール」 わたしの顔を見なくていいように…… わたしに顔を見られずにすむように抱きしめると、ミス・ヴァリエールは堰を切ったように泣き出した。

590 名前:5/7[sage] 投稿日:2006/10/29(日) 04:26:43 ID:PIj79Lv4 随分時間が経った、シエスタはまだわたしの為に側に居てくれた。 幸せだった、ちぃ姉さまが増えたみたい。 「ねぇ、シエスタ」 「はい、ミス・ヴァリエール」 「後で聞いてみる」 「そうですね」 「……たまには帰ってくるよね?」 二度と会わない、お前なんか嫌いだ……そんな風に言われたら……どうしよう? ガンダールヴじゃ無くなったとき、すぐ帰ってこなかったのは、帰って来たくなかったからだったら…… 「そんな心配いりませんよ」 シエスタ……優しい。 サイトが帰ってくるまで、わたしはずっとシエスタに甘えていた。

591 名前:6/7[sage] 投稿日:2006/10/29(日) 04:27:19 ID:PIj79Lv4 「サイト!」 部屋にはいった途端、ルイズに怒鳴られた。 「あ、ルイズ、休んでたみたいだけど、身体の調子とか?」 「いいから、黙ってそこに座りなさい」 椅子を勧められる。 妙な迫力に押されて、おとなしく座ってしまう。 「サイト、あんたシュヴァリエよね?」 ……なんだろう?いまさら? 「そうだけど?」 シエスタが苦笑しながら俺のマントを掛けてくれている。 「年金貰ってるわよね?」 「馬とか買っただろ?」 思いつめたように見つめながら、分かりきったことばかり聞いてくる。 「分かってるの?」 ルイズの指がいらだつように、トントンと動いている。 「なにがだよ?」 ルイズが怯む。でも、それも一瞬で。 「出て行きたかったら、いつでも出て行けるのよ、って言ってるのよ、分かってんの?」 なに言ってるんだろう? 「そーだけど?なんでいまさら?」 「出て行きたかったら、出て行っていいのよ、って言ってるの」 「どっかいったほうが良いの?」 なにか知らない間に、またルイズを怒らせたんだろうか? 「違うわよっ、無理してここに居なくてもいいの、って」 話が見えないけど…… 「今ならシエスタも居るし、一人で何でも出来るでしょっ」 「ここに居たら駄目なのか?」 ルイズが出て行けっていうんなら仕様が無いけど。 「俺、ルイズの側に居たいんだけど?」 「な、なんでよ?」 ……何回言わないと分かってくれないんだろう。 「ルイズが好きだから」

592 名前:7/7[sage] 投稿日:2006/10/29(日) 04:27:51 ID:PIj79Lv4 サイトが……好きだって言ってくれた。 前よりずっとうれしい。 わたしを拒絶出来るサイトが、わたしを好きだって言ってくれる。 使い魔と主じゃなくて、 平民と貴族じゃなくて、 ルイズとサイトとして、好きだって言ってくれる。 さっきまで暗く感じていた部屋が、一気に明るくなる。 何かに凍えていた体が、内側から温かくなる。 「しょーがないわねー、そこまで言うなら置いてあげるわよ」 「じぶんできいてきたんじゃねーか、なんなんだよ、いきなり」 うれしかった、一日暗かったのが馬鹿みたい。 シエスタがこちらを見て……微笑んでく……れる。 優しく笑ったままのシエスタが、ごく自然に廊下に出る。 わたしの頭の中で、何かが怒っていた。 慌てて自分も廊下に出ると、シエスタが走ってる。 あ、……わ……たし……なに…を…… 分かりきったことを確認するために、思い足取りでシエスタの後を追う。 廊下の隅で……シエスタが泣いていた。 昔のわたしみたいに、泣き声も上げずに。 ……ワタシノバカ。 慰めてくれたシエスタの前で……サイトに何を聞いたんだろう。 微笑んでくれたシエスタは、何を考えていたんだろう……。 わたしはいつも自分の事ばかりで…… 優しいサイトとシエスタの側に、やっぱり自分の居場所が無い気がした。

594 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/10/29(日) 04:34:40 ID:PIj79Lv4 あ、肝心なこと書くの忘れました、続きます。