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766 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/11/06(月) 21:20:53 ID:Nhzg7O8d 「ふぅ……」 彼は、深いため息をついた。 真っ赤な上着に体にフィットした黒いズボン、白髪で鍛え上げられ引き締まった体つき、腰には上着と同じ真っ赤な布を巻いていた。 「あんた誰?」 彼の顔をまじまじと覗き込んでいる少女。 年齢は12、3と言ったところだろうか。黒いマントの下に、白いブラウス、グレーのプリーツスカートを着た体で、自分より遥かに背の高い目の前の男を凝視している。 「キミが私のマスターか。驚いたな。魔方陣や触媒も無しに私を召喚するとは。まぁ、仕方ない、これも守護者としての定めだ。目的は達したことだし、な」 「ちょっと、質問に答えなさいよ!あんた誰!」 腕を組み、訳の分からないことをぶつぶつとぼやいて、自分の質問に答えようとしない彼に彼女は苛立ちを感じながらももう一度聞いた。 「ああ、私はエミヤだ」 「貴族……じゃないわよね、かといって平民の服装とも違うし」 周りを取り囲んでいる少年少女たちも、怪訝な顔つきで二人を見ている。 「ルイズ、『サモン・サーヴァント』でいったい何を呼び出したの?平民?それとも新種の獣だったりして」 誰かがそう言うと、彼の顔を凝視している少女以外の全員が笑った。 「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」

767 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/11/06(月) 21:23:01 ID:Nhzg7O8d ルイズと呼ばれた少女は、もう一度召喚の儀式を行いたいと教師らしき人物に必死に訴えていたが、それは認められないようだ。 呼び出した以上、エミヤと契約を交わさなければならない、ということらしい。

ルイズは、手に持った小さな杖をエミヤの目の前で振り、呪文らしき言葉を唱え始めた。 「届かないから屈みなさい!」 古今東西、契約の方法はさまざまある。 英霊として存在しさまざまな儀式を体験したことのあるエミヤにしてみれば、屈んだところにいきなりキスをされようと特にあわてることではなかった。 体が熱を帯びてくる。おそらく主人との魔力回路が繋がったりしているのだろう。

しばらくすると体は平静を取り戻した。 しかし、エミヤはそこで信じられないものを目の当たりにする。 自分の左手の甲に紋章が浮き出ているのだ。英霊であるエミヤの体に紋章を刻むなど、並大抵の魔術師では不可能のはずだ。 「これで全員終わったな。では教室に戻るぞ」 先ほどの教師と思える男の言葉に、周りの少年少女たちは従い遠くに見える建物のほうへ飛んでいった。

「あんた何者?」 ルイズの自室で、通算三度目になる質問がされた。 「英霊だと言っているだろう。英霊である私が、君の召喚に応じた。それ以上でもそれ以下でもない」 「だから英霊って何なのよ!なんで私ばっかり人間を使い魔にしなくちゃならないわけ?」 「人間ではなく英霊だと言っているだろう。マスター、きみは運がいい。私を召喚したのだから、これから先困ることはないな」 エミヤは腕を組み、自信満々に言う。 「そのマスターって呼び方やめて。ルイズでいいわ。それで?あんた何が出来るのよ」 「大抵の命令には従おう」 「じゃあ掃除、洗濯、その他雑用をやらせてあげる」 「なに?英霊にそんなことをさせるつもりか」 「あんた私の使い魔でしょ、これ洗濯しといて」 何かを投げつけられる。レースのついたキャミソールに、白いパンティ。それを、信じられないといった面持ちで手に受け止めるエミヤ。 過去には危険な任務もあった。主人を助けるために体を張ることだって稀ではないし、目的達成のために犠牲になることだってあった。そんな英霊に、掃除、洗濯、その他雑用をさせるなど世界初だろう。

768 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/11/06(月) 21:25:05 ID:Nhzg7O8d 次の日、教室ではエミヤに注目が集まった。人間を使い魔にするなど古今東西例の無いことらしい。 もちろん尊敬の眼差しではない。教室にいる生徒たちはルイズの背後に立っているエミヤを見て、にやにやと笑いを浮かべ、さすがはゼロだ。などと言うひそひそ声が聞こえてくる。 講義を行う教師が入ってきて、教室は静かになった。 教師が彼らの言う魔法について講釈をしていた。『火』『水』『土』『風』を四大系統とよび、それらを操るのが魔法だという。 なるほど、前の世界とは違うな、とエミヤは思った。 彼らの言う魔法は、エミヤの居た世界では魔術に分類されるのだが、それをここで言ったとしてもややこしくなるだけなので、思うだけに留めておくことにした。

この教師は『土』系統の魔法使いらしい。講義は進み、教師は石ころを真鍮に変えるなどの魔法を披露した。 次は生徒にやらせるらしい。 教師が誰にやらせるか、教室中を見回している。自信のある生徒はここぞとばかりに手を挙げて、自分の腕を披露しようとした。 だが、ルイズは手を挙げない。 「どうした?手を挙げないのか?」 「うるさいわね、黙ってなさい」 「さっき聞いた話だと、魔術師にはそれぞれ得意な系統があるようだな。ルイズ、きみはどの系統を得意とする魔術師なんだ?」 「いいから黙ってなさいって言ってるでしょ!」 後ろを振り向いてエミヤを睨み付ける。 そんな挙動をしてるルイズに教師は目をつけた。 「ミス・ヴァリエール。授業中ですよ」 「すいません……」 「では、あなたにやってもらいましょう」 見せてもらおうか、というエミヤの促しに、ルイズは困ったような表情を浮かべた。 それでも意を決したように立ち上がり、教室の前へと歩いていく。 前のほうに座っていた生徒たちは椅子の下に隠れはじめた。 教壇に置いてある石ころに手をかざし、緊張した面持ちで手をかざす。目をつむり、短くルーンを唱え、杖を振り下ろす。 その瞬間、教壇の上に置いてあった石ころは爆発した。

769 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/11/06(月) 21:28:31 ID:Nhzg7O8d 教室の片付けが終わったのは、昼休みの前だった。めちゃくちゃになった教室の掃除は罰としてルイズが命じられた。もちろん使い魔であるエミヤもそれを手伝う。掃除が終わった後、食堂へ向かう道、エミヤはルイズをからかった。 「ククク、やっと周りの言っていたゼロの意味がわかったよ。まさかきみのような魔法能力ゼロの者に召喚されるとはな。いったいどんな繋がりがあるのかまったく想像がつかない。それにしても爆発したあとの煤塗れの顔はひどかったぞ。 おや?お嬢様、随分と黒い化粧ですね。私の居た世界でもヤマンバは滅びたというのに。」

途中で数人のメイジが輪を作って話しをしていた。その横を通ると、その輪の中にいた一人のメイジが近づいてきた。 「やぁ、ルイズ。掃除は終わったのかい?罰として魔法を使うのは禁止されていたみたいだけれど……どちらにせよ、ゼロのルイズには関係のことだったね」 嫌味ったらしいセリフにカチンとくる。ルイズはキッっと睨み付けるが、そんなことは意に介さず、メイジは続ける。 「そういえば昨日のサモン・サーヴァントでも平民を召喚していたね」 ルイズの後ろに居たエミヤのほうをチラっと見る。フッっと鼻で笑う。 「きみにはお似合いの使い魔だ」 そうして輪の中に戻っていこうとした。ルイズはというと、顔を真っ赤にして怒りをあらわにしていた。目を吊り上げ、屈辱と怒りに体を震わせている。 「私のマスターを馬鹿にするのは止めてもらおうか」 エミヤがルイズの前にでる。輪に戻ろうとしたメイジは立ち止まり、振り返る。 「平民の使い魔風情が、貴族の僕に何かいったかね?」 「たかが貴族の魔術師風情が、私のマスターを馬鹿にするな、と言ったんだ」 「貴族に対してそんな口を聞くとどうなるか分かっているのか」 「どうなるか教えてもらおうか」 「よかろう。貴族に対する礼儀を教えてやる。ヴェストリの広場で待っている。来たまえ」 メイジの友人たちが、わくわくした顔で後に付いていく。エミヤも付いていこうとしたが、ルイズに捕まれた。 「何してんのよ!なに勝手に決闘なんか約束してんのよ!」 「なに、いい機会だ。きみにも私の力を見せておこうと思ってね」 「謝ってきなさい。今ならまだ許してもらえるかもしれないわ」 「なにを馬鹿なことを、いいから見ていろ」 「ああもう!使い魔の癖に勝手なことしないで!」 エミヤはメイジの後を追う。ルイズは、エミヤの後を追いかけた。

770 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/11/06(月) 21:30:39 ID:Nhzg7O8d ヴェストリの広場で、メイジとエミヤは向かい合っている。周りを、噂を聞きつけた生徒たちが取り囲んでいる。メイジは薔薇の杖を振るい、観客たちにこたえている。 「さて、それでは始めるか」 メイジが薔薇の杖を振ると、先端から一枚の花びらが宙に舞ったかと思うと、甲冑を着た騎士の形になった。 「ほう、人形使いか?」 「人形じゃない、ゴーレムだ」 女戦士の形をしたゴーレムが、エミヤに向かって突進してきた。 その右の拳を、エミヤはひらりと避ける。 二度三度と攻撃を繰り出してくるゴーレムだったが、その全てをエミヤはかわしていく。 「なかなかすばしっこいじゃないか。これならどうだ」 メイジは薔薇の杖を振るい、さらに三体のゴーレムを追加した。 広場はゴーレムとエミヤの攻防に沸いていた。四体のゴーレムの攻撃全てを、一度も受けることなく避けている。周りから見れば、それは平民が必死になって逃げているだけのように見えた。 そんな中、周りの人垣を押しのけるようにルイズが現れた。四体ものゴーレムに襲われている自分の使い魔を見て、血の気が引いた。 「もう止めて!決闘は禁止されているじゃない!」 「禁止されているのは、貴族同士の決闘だよ。それにこれは礼儀のなっていない使い魔を躾けているのさ」 「あれは私の使い魔よ!」 「主人の躾がわるいから、貴族に対してなめた口を聞くんだ。かわりに僕が躾けてやっても問題はないね」 そう言ってメイジがエミヤのほうを見ると、余裕の表情をしている。確かに自分のゴーレムの攻撃は一度も当たっていない。それに気づき、はっとすると、エミヤがにやりと笑った。 「くっ!よかろう!」 薔薇の杖を振り、さらに三体のゴーレムが追加された。合計七体のゴーレムがエミヤに襲いかかる。そのうちの二体に左右から攻撃を仕掛けられ、エミヤの動きがとまった。

 ――鶴翼、欠落ヲ不ラズ  ――心技、泰山ニ至リ  ――心技、黄河ヲ渡ル  ――唯名、別天ニ納メ  ――両雄、共ニ命ヲ別ツ

ゴーレムの拳がエミヤを捉えた瞬間、ルイズは目を閉じた。 広場にざわめきが広がる。恐る恐る目を開けると、そこには胴体が真っ二つに分かれたゴーレムが二体倒れていた。エミヤの手には二本の剣が握られている。 そこから先は一瞬だった。 四体のゴーレムをバラバラに切り刻み、メイジが残りの一体を自分の盾に置こうと呼び戻した、が、それすらも間に合わず、ゴーレムは首と腰で三分割された。 そのまま流れるようにメイジへ剣を振りかぶる。 切っ先を目の前に寸止めし、訪ねる。 「続けるか?」 完全に戦意を喪失したメイジは、震える声で言った。 「ま、参った」

771 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/11/06(月) 21:34:26 ID:Nhzg7O8d ゼロの使い魔とFateを混ぜてみました。 エミヤはすでにFateの世界後という設定です。 エミヤを召喚できた理由については、今後明らかにしていきたいと思っています。