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628 名前:明日はクリスマス1/3[sage] 投稿日:2006/11/19(日) 17:30:33 ID:uTq0+fox  才人はベッドの上に横になりながら、地球から持ってきたノートパソコンの画面を見ていた。時刻表示のアイコンにカーソルを合わせて浮かびあがる日付を確認して才人は溜め息をつく。  今年もあの日がくるのだ。毎年この時期になると憂鬱になる。 「ああ、マジで嫌だ……」  明日は恋人たちが待ち望んでいる一日。  そうクリスマスなのだ。  もちろんこっちの世界にそんな風習があるはずがない。それでも、才人はクリスマスという響きに精神をやられてしまっていた。  俺は今年も一人寂しくケーキを食べるのか……。あ〜ん、とか言いながら自分の口にケーキを運んで。そしてそのケーキは何故かしょっぱくて。 「もう死ぬ! 死んでやる!」  才人はベッドから立ち上がって、壁にかけてあるデルフリンガーを手に取った。左手の甲に刻まれたルーンが光る。乱暴に鞘から引き抜いて、デルフリンガーの切っ先を首に当てた。 「おう、相棒さみしかったぜ……って何やってんの?」 「俺は死ぬ、死んだほうがいいんだ」  才人の声は震えていた。 「いや、よくわかんないんだけど、やめたほうがいいって」 「止めないでくれ!」 「何で突然自殺なんてしようとしてるんだ? 理由はなんだい」 「それは……」  才人は答えようとして言い淀んだ。今考えてみるととても恥ずかしい理由で死のうとしていたことに気がついたのだ。  彼女がいないから死ぬって何だよ自分。もうちょっとましな理由で死のうぜ。  いや、ちょっと待て。俺にも彼女候補はいるじゃないか。  そのとき、蝶番の音がして扉が開いた。

629 名前:明日はクリスマス2/3[sage] 投稿日:2006/11/19(日) 17:39:50 ID:uTq0+fox  桃色のブロンドに鳶色の瞳。整った顔立ちをした美しい少女。  ルイズが帰ってきた。 「ルイズ!」  飼い主を見つけた子犬が吠えるように才人は叫んだ。 「な、何よ」  そんな才人の行動にルイズは動揺した。 「ルイズ明日暇か?」 「は?」  どういうことだろう。才人が明日暇かなんて聞いてきたことは今までなかった。何か企んでる?  ルイズは才人を睨んだ。だが、才人は笑っているだけで特に怪しいところはない。  普通に自分の明日の予定を聞いてるだけなのか。  え、それって。もしかして、ででで、デートの誘い?  ルイズは下を向いて、顔を赤くした。  才人とデート……。  デートというと演劇を一度才人と見に行ったことがあった。  生まれて初めてお芝居を見に行ったときも、一応才人とのデートだったが、今回は違う。  あのときは自分のほうから誘ったが、今回は才人のほうからである。前回は演出にこだわりすぎてムードも何もなかった。  でも、次はもう大丈夫。あんな失敗はもうしない。そうルイズは心に誓った。 「なあ、ルイズ聞いてんのか?」 「え、ええ聞いてるわよ」 「で、どうよ明日暇なの?」  あさっての方向を見ながら、ルイズは頬を赤く染めた。 「べ、別にどうしてもっていうなら、時間を作ってあげないこともないわよ」 「マジで! じゃあ明日の夜は時間あけとけよ」

630 名前:明日はクリスマス3/3[sage] 投稿日:2006/11/19(日) 17:43:35 ID:uTq0+fox  夜!? ということは……。  ルイズの脳裏に、はてしなくアレな映像が浮かんできた。  大人の顔をした才人がベッドの上で手を招いて自分を誘ってくる。ルイズは下を向きながらもベッドに寄っていく。すると才人が右手を引いて突然押し倒してきた。 「な、何するのよ犬」 「ルイズ、愛してる」  才人はその言葉と同時に唇を奪った。初めは軽く。そして次は激しく。  ルイズは声を出そうとするが才人の唇がそれを遮る。貪るように才人がルイズを求めていく。もうどうにでもなれと思ったとき、唇を割って才人の舌が口の中に侵入してきた。 「ぇ、あぁ」  声にならない言葉が出てくる。そんなことは気にせずに才人はルイズのささやかな胸へと手を伸ばす。 「え、そこはだ……」  止めようとしたルイズの静止の言葉は、才人の唇に遮られる。ゆっくりと確かめるように才人の手がルイズの胸を掻き回していく。そのときも口の中を犯すのはやめない。 「ぁ、ふぇ」  唇が一瞬離れたときにルイズの吐息が漏れた。才人は服の上から揉んでいた手の動きを止めて、その手を服の中へと忍び込ませる。  ひんやりと冷たい指先がルイズの白い肌を這っていく。初めて味わうその感覚に、ルイズはびくんと背筋を伸ばす。  才人の指がルイズの胸に到着した。人差し指でかたくなった突起の部分を回すようにいじくる。 「はぁ、はぁ」  才人の指使いに合わせて吐息が漏れる。ルイズの頭の中は理性のストッパーが外れ、快楽に支配されていた。 「サイト、もっと……」  みずから、快楽を求め始める。 「ってだめ!」  アレな妄想をしていたルイズは、やっとのこと現実に戻ってきた。 「え、何? 俺なんかした?」  現実世界の才人がルイズの叫び声に慌てる。ルイズは止まっていた時間を取り戻すかねように深呼吸をした。 「な、何でもないわよ! 犬は早く寝なさい!」  恥ずかしい妄想をしていた自分にいらついて、ルイズは才人に八つ当たりをした。 674 名前:明日はクリスマス1/3[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 13:56:32 ID:uQ/r2zzr  今日はクリスマス当日だ。幾人ものモテない男たちが、身を縮め体をがくがく震わせながら早く終われ早く終われと呪文のように繰り返す、魔の一日である。去年まで自分もその男たちと同じように過ごしていた。  だが、今年は違う!  中身はどうあれ外見は美少女の資格を持つ女の子とクリスマスを過ごすのだ。  となると、不安になるのは失敗したときのことだ。こういうイベントは経験不足なので正直どうすればいいのかわからない。  ええとまず、ケーキだろ。あと、クリスマスツリーに。それと、ワインも必要だな。  まずケーキだが、それは厨房のマルトーさんに頼めばどうにかなりそうだ。ワインも大丈夫だな。問題はクリスマスツリーか。  才人は、ベッドの上で上体だけを起こしてうんうん唸っていた。隣ではルイズが寝息を立てている。ルイズの横顔を見ながら、黙っていればかわいいんだよな、と才人は思った。 「今日はクリスマスか……」  才人の口からそんな呟きが漏れた。 「何よ、そのクリスマスって」  横を見ると、まだ眠そうな顔をしたルイズが目をこすっていた。 「なんだよ、起きてたのかよ」 「いいから教えなさいよ、クリスマスって何?」  才人は少しの間考えた。恋人たちが過ごす大事な一日だと正直に告白したら、このばか犬そんな日に私と過ごそうとしていたのあんたと私は主人と下僕でしょ!とか言われそうだ。  どうしよう……。そうなれば、また一人クリスマスに戻ってしまう。 「早く答えなさい、何なのよクリスマスって」  ええいもうどうにでもなれ! 「地球での風習で、ケーキを食べなから恋人たちが愛を語らう大事な日のことだよ……」  殴られるのは覚悟していた。でも、ルイズはいっこうに動く気配がない。不思議に思い隣を見てみると、顔を赤くしてルイズが固まっていた。

675 名前:明日はクリスマス2/3[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 13:58:20 ID:uQ/r2zzr  こここ、恋人たちが愛を語らう……。  ルイズの頭の中は沸騰寸前だった。頬も耳も真っ赤だ。  考えるまでもないが、恋人たちとは自分と才人のことである。自分では決して認めようとしないが、ルイズは才人のことが好きなのである。だから、恋人たちというその言葉に、ルイズはやられてしまった。  ちょっと待って、そんな日にシエスタでもなく私と過ごしたいということは……。  その意味を知って、ルイズは倒れそうになった。 「ルイズ?」  ルイズの様子がおかしいので才人は声をかけた。 「ななな、何?」  おかしい。あきらかに変である。 「お前なんか変だぞ」 「な、なんでもないわよ。ほら着替えるから部屋出て行って」 「あ、ああ」  様子がおかしいルイズを気にかけながら、才人は部屋を出て行った。

676 名前:明日はクリスマス3/3[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 14:01:26 ID:uQ/r2zzr  部屋に一人になってから、ルイズは枕を胸に抱いて考え始めた。  才人と愛を語らう。一応ルイズも女の子なので、好きな人に大好きだとか愛してるだとか、言われてみたいのだ。それはもう、言われてみたい。自分からは恥ずかしくて言えないけど……。  ルイズは才人に好きだと言われる場面を想像してみた。 「なあ、ルイズ」 「何よ」  才人は照れくさそうに鼻をかきながら、 「俺、お前のこと好きみたいだ」  と笑った。 「な、なによ突然」 「最初お前に召喚されたときはさ、なんだこの高飛車な女はと思ったよ」 「悪かったわね……」  才人はそっぽを向くルイズを見て微笑んだ。 「でもさ、一緒にいるうちに段々そのツンツンしてるところもかわいいなと思えてきたんだ」  ルイズは恥ずかしそうに視線をそらした。 「その女の子はいつも危険なことに首を突っ込んで、その度にこの子を守らなくちゃって思えてきてさ」 「それは……」  ルイズの言葉を遮って才人は続ける。 「でも、俺はそれでよかったと思う。好きな人を守るのって、男にとって名誉なことだもんな」 「サイト……」  才人は真剣な目をしてルイズを見つめる。 「ルイズ、これからもお前のこと俺が守っていいかな?」 「……うん」 「なあ、妄想しているところ悪いけどさ、娘っ子。そろそろ時間やばいんじゃねえの」  デルフリンガーの声に、ルイズははっと現実世界に戻った。