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ふぅ…… もう何度目か分からないため息を吐く。 「陛下、またため息を吐かれて。一体如何なさったのです、何か心配事でも?」 ここはトリステイン王宮の執務室。 目の前に座ったマザリーニ卿が心配そうな声でそう問うてきた。 原因はわかっていた。ココのところ毎夜みる夢の所為だ。 ....サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ 以前彼等が国境を超えガリア王国の姫を助けたとき、ルイズの実家ラ・ヴァリエール家での出来事が蘇る。 ラ・ヴァリエール公爵夫人の竜巻を受け大怪我をしているにも関わらず、ルイズの事を心配していた彼。 治癒しているわたくしの事より、ルイズに関心を向けていた彼。 そんな彼を見て決心したはずだった。 それなのに…… 「マザリーニ卿、ちょっと伺ってよろしいかしら?  わたくし、ここ数日毎日同じ夢を見るのです。これって何か意味があるのでしょうか?」 若き女王にそう尋ねられたマザリーニは頷きながら 「そうですな、夢というのは己の深層意識を現していると聞いた事がございます」 ....深層意識...つまりアレはわたくしが望んでいる事... アンリエッタは頬が熱くなるのを感じながらマザリーニの言葉を待つ。 「どの様な夢なのかにもよりますが、陛下が心の奥底で望まれている事が表れたのではないでしょうか。  宜しければ夢の内容をお教え頂けますかな?」 実は..と言いかけて思い至る。 このような事、マザリーニに相談できる内容ではない。 「えっと・・すいません。殿方にお話できる内容では御座いませんので」 頬を染めて言うアンリエッタに対し、マザリーニはそれなら同じ同姓の者に相談してはどうかと言い残し退室していく。 しばらくして銃士隊の隊長であるアニエスが現れた。

「アニエス、貴方に尋ねたい事があるのです。  女王としてではなく一人の女として」 そう言い、先ほどマザリーニにした話を今度は詳しく話し出した。 ....幼き日、ラグドリアンの湖畔でウェールズと誓約を交わそうとしたこと   自分が望む言葉を言ってもらえなかったこと   そのシーンをここ数日、夢で毎夜見ること   そして、相手がウェールズではなく別の男に置き換えられていること   しかし、相手がサイトであることは伏せておく 「マザリーニ卿は、夢は深層意識の現れだと申されておりましたが」 アンリエッタの言葉に、アニエスは頷きながら 「そうですね、私も聞いたことが有ります。  夢とはその者の深層意識が強くその者に語りかけているのだと」 言葉を聞いたアンリエッタは、頬を赤く染め呟く。 ....やはりアレはわたくしが望んでいる事なのかしら アンリエッタのその表情を見ながら、アニエスは続けた。 「ですが、それが必ずしも肯定の意味をもたらすわけではありません。  否定的な意味でもその様な夢を見ることもあるらしいです」 ....二律背反 アンリエッタの中で言葉が渦を撒く。 ....わたくしは彼を諦めきれないのかしら?それとも…… 「恐れながら陛下、そのウェールズ皇太子に代わっている相手というのは?」 尋ねられ、頬を真っ赤に染め上目使いにアニエスを見る。 「誰にも言わないで下さいね……その……サイト殿……なんです……」 ...サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ ウェストウッドの森で剣を教えた、黒髪の少年。 彼を名前で呼ぶと与えた“試練”で自分に剣を叩き込んだ時の呆然とした表情を思い出し、何故だか胸に暖かいものがこみ上げて来るのだった。