ゼロの保管庫 別館

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だれでも歓迎! 編集

お久し振りでございます。ハルバードでございます。そして拝啓自由な旅人様、お誘いしていただけるなんて、至極光栄です。ですが、なぜか雑談用掲示板にコメントに書く事が出来ません。ごめんなさい。なので誠に申し訳ありませんが、書かさせていただく事ができるようになるまでお待ち下さい。そして、こんな私めの作品を読んで頂き、誠に有り難うございます。しかも、“お勧め“という お言葉まで…。私、歓天喜地してしまいました。もし他の方々も読んでくださると非常にうれしいです!もしお気に召さなければ、どうか、お許し下さい。もし読んで頂けたなら何か御意見御感想を書いてくださるとうれしいです。そしてもし仮に、続き を楽しみにしていただけるなら!必ず!続きを書かさせていただきます。それでは 4作目を投稿させていただきます。 〜ゼロの裁判〜 [?]依頼人編 ≪…本当にここにいる弁護士に頼めば私は救われるのだろうか?≫           オルレアン法律事務所の前でたたずんでいた初老の男性はしばらく地図を見つめていた。          ≪…知人に紹介してもらって言うのもなんだが、あきらかにうさん臭いぞ…。……だいたいあのすごい事件で有名になった名弁護士、シャルル・オルレアンがこんな貧乏臭い貸ビルに事務所構える筈がない…よな?≫             だが、地図の示しているオルレアン法律事務所は確かに この貸ビルだった。≪……じっとしてても仕方ない、か…≫ 彼の名前はオリバー・クロムウェル。彼はアメリカ人である。ちなみに年齢は(50)。 そして彼は事務所に続く階段を登っていった。 …彼は事務所の扉の前でノックをした。しばらくすると、 ガチャ。扉が開いた。そして中から、眼鏡をかけた長い青髪の美女があらわれた。≪ほー。 これはなかなか美人だなぁ。≫と考えていると早速声をかけて来た。 「…依頼にきた方でしょうか?」 うむ、と頷く。「ええ。シャルル弁護士はいらっしゃいますか?」と聞く。「どうぞ中に入ってお待ち下さい。」そう言って中に引っ込む。私も中に入っていった。        …この事務所に入ってすぐに目に付いたのは、かなり若い黒髪の青年の挨拶(いらっしゃいませぇぇ!)ではなく、中が思ってたよりもきれいだった、という事でもなく、(もちろん美女の事でもない。念の為。)なぜか机に突伏し、スンスン泣いてるなんとも情けない青髪の男だった。何せ、何かをぶつぶつ呟きながら机をガンガン拳でぶっ叩いて時折「ちくしょ〜」とか呻いている。《…競馬か何かで負けたのか?。…しかし、シャルル弁護士はどこにいるんだろう?》と思っていると、「どうぞおかけ下さい。」と言われる。私は美女に導かれるままに、事務所の来客用のソファに座る。意外に柔らかい。 そして美女が自分の前のソファに座る。「本日はどのような依頼でここにいらしましたか?」と可愛らしい声で聞いてきた。しかし私は依頼の事ではなく、先程から気になっていた事を口にする。…私の事件をシャルル弁護士以外に話したくはない。         「…あの、」「はい。」「…失礼ですが、あなたがシャルル弁護士でしょうか?男性だ、とお聞きしていたのですが。」すると少しキョトーンとしていたが、ああ。と 納得し「私は父ではありません。助手です。」シャルロットと申します。と続ける。《父? じゃあこの美人さんはあのシャルル弁護士の娘さんか! はぁ〜。さぞかし出来がいいのだろうなぁ。なにせ、あのシャルル弁護士の娘さんで、助手をもこなしているのだから。》「…父を 呼んで来ましょうか?」と言って立ち上がる。「ええお願いします。」《呼んで来ましょうか?じゃあ出かけてなくて、別室にいるのか。 娘さんがいると言う事はあそこで事務している若い黒髪の青年ではないだろう。あの娘さんと同じぐらいにしか見えないし。あっちでスンスン泣いてる 奴は…まあ、問題外だな。あんな情けない男がシャルル弁護士のわけがないし!うん!…しかし、どんな人なのだろうか。…シャルル・オルレアン弁護士(42)。私が知っているのは名前と年齢、あの有名な事件を担当した、かなり腕のいい弁護士、ぐらいしか知らない。当然顔も見たことない。》しかし私の予想を見事に裏切って、娘さんはまっすぐにあの情けない男にトトトとかけよる。しかも「父様、父様。」と肩をゆすっている。 《う、嘘だろ…》私は早くも猛烈に帰りたくなっていた。 「父様、父様。」 チッ。なかなか起きない。うーん。…… えい。私は椅子を回して、力いっぱい父の向こう脛を蹴り飛ばした。もちろん依頼人と サイトには見えないように。サイトに嫌われるのは嫌だもの。「ギャッ」悲痛な叫びをあげたけど、無視。「父様。依頼人。」そう言って依頼人の方に手を向ける。すると父は依頼人を一瞥するが、「ふーん。あっそ。」と言ってまた机に突伏する。 ぴきっ。少し…いらつく。でも我慢。えい。今度は父の尻を力いっぱい抓り上げる。隠し持ってたペンチで。「ぎにゃああああああああああ」しまった。やり過ぎた。サイトも依頼人もびくっってなったし。反省。「父様? い、ら、い、に、ん。」「シ、シャルロット?今何したの? ものすっごい痛かっ…。」私は父の肩を握り締めて、 「待、た、せ、て、る。」と凄む。 「わ、わかったよぅ。」そう言って、やっと立ち上がり依頼人の所へ歩いて行く。 ふぅ。全く…。 あ。お茶淹れなきゃ。 「すみません。お待たせ致しました 。ちょっと立て込んでいましてね。 」…まっったくだ。「それで今日はどうされました。」 と言ってニヒルに微笑む。…私は正直に驚いた。さっきまでの情けない男が嘘みたいだった。なぜか、この男になら、全てを任せても万事うまくやってくれる、と思わせる何かを感じる。これが できる男のオーラなのだろうか…。…よし、任せてみようじゃないか。「実は…。」 そしてオリバー・クロムウェルは事件の概要を話始めた。        それでは説明しよう。      事件が起こったのは1週間前。4月10日午前1時頃。深夜、自動車事故により一人死者がでた。死亡したのはウェールズ・テューダー(27)。職業:保険金会社ウェールズの社長。容疑者 オリバー・クロムウェル。(50)職業:テューダー家のお抱え運転手。事件が起こった場所はウェールズ宅の地下駐車場。目撃者は2人。ウェールズの妻アンリエッタ・テューダー婦人(25)、そしてその友人、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ウ゛ァリエール。(24)その日はウェールズの誕生日パーティであった。会社の部下達も集まるパーティは既に終わっており、本人の意向で妻と友人達だけでのささやかなパーティを楽しんでいた。パーティの終わった時間は午後11時頃。明日も仕事だった為に早めに切り上げた。終わった後はパーティに来ていた人達をそれぞれ見送った。そしてクロムウェルを見送る時に…。 …それは起こった。本人 は“飲んだ記憶は無い”と否定しているがクロムウェルは酒を飲んでいた。(彼は酒を飲むと記憶が無くなるタイプで、事件当時の事をよく覚えていない。が、その事だけは覚えているらしい。)目撃証言によると、クロムウェルが車に乗るりこむなり、アクセルを思いっ切り踏み抜き、車が通るゲート を開けていたウェールズを思いっ切り撥ねたらしい。彼は急いで病院に運ばれたが 治療の甲斐虚しく死亡した。そしてクロムウェルは訴えられた。容疑は道路交通法違反と業務上過失致死罪で。尚、クロムウェルが敗訴した場合、慰謝料等で約1億円支払わなければならない。もちろん彼にそんな大金は出せない。つまり、決して負ける事が許されない。だからこそ、彼は知人に高い金を払ってまで紹介してもらったのだ。“正義を貫く逆転弁護士”の異名を持つ弁護士、シャルル・オルレアンを。        尚、アンリエッタ婦人がまだ訴える手続きをし終えて無いのはわざとである。今までやってきた運転手への慈悲で自分の弁護士を捜す事ぐらいは許したいからだそうだ。 「…以上が今回の依頼したい事件です。」そう言ってクロムウェルは話終えた。         シャルル弁護士はいつになく真剣な表情をし、話を聞いていた。しかも途中から“一緒に聞け”とジェスチャーでサイトとシャルロットを呼んだ。話を聞きながら何かを考えているようだったが何を考えているかは誰にも分からなかった。       しばらくしてシャルル弁護士は娘が淹れた 粗茶(サイトとクロムウェルは上等な抹茶。シャルロットは紅茶のアールグレイを飲んでいた。)を啜りながら答えた。    「話は大変わかりました。しかし残念ですが、この依頼では私が担当弁護士として法廷に立つ事は出来ません。」キッパリとそう言った。また粗茶を啜りながら。もちろんクロムウェルは激昂して立ち上がる。「ああ!そうですか!お時間とらせてすいませんでしたな!なるほど!ご高名なシャルル弁護士殿はこの程度の事件では受ける気にはならんですか!はっ。何が“正義を貫く逆転弁護士”だ!聞いて呆れますな!」 そう言って帰ろうとするクロムウェルをシャルル弁護士は引き止めた。「…少しお待ち下さい。どうやらあなたは勘違いをなさっているようだ。…いいですか?私は、『私が担当弁護士として』法廷に立つ事は出来ません。と言ったんです。つまり、私は助手として立たせていただきたいのですよ。 あなたの立つ法廷でね。」クロムウェルは目を丸くして聞き返す。「はあ? それじゃあいったい誰が弁護士として法廷に立つのですかな?」“その言葉を待っていた”とばかりにやりと笑い、答えた。「私以上の弁護が出来る弁護士ですよ。」ゴホン。「ご紹介しましょう。我が事務所のNo.2の弁護士、平賀才人君です。」そう言ってにこやかにサイトの方に手を向ける。当然、「「「はああああああああああああああああああああああ?!」サイトとシャルロットとクロムウェルがハモる。「なぜですかな !シャルル弁護士?! 」「まだ訳は話せませんが、安心して依頼して下さい。私も助手として立つのですから。まぁ、万が一負けそうになったら責任を持って私がなんとかします。それでも負けたら…。そうですねぇ。あなたの支払わなければならない金を全額、我が事務所が全責任を持って支払いましょう。………どうですか?」「まぁ、そこまでおっしゃるのなら…。」そう言ってクロムウェルは承諾した。「有り難うございます。それでは手続きですが……。」 1時間後。午後6時頃。クロムウェルは平賀才人弁護士への弁護を正式に依頼し、帰っていった。                しばらくして、シャルル弁護士は所長の椅子に座り、残っていた粗茶を啜りながらサイトとシャルロットの抗議を聞いていた。「どういう事ですか!先生!俺、助手としてすらも法廷に立った事無いんですよ?!そんな俺をどうして立たせるんですか!」「サイトの言う通り。どうかしてる。あんな勝つのが難しい事件で、依頼人を救える訳ない。しかも初めての法廷で!」すると今まで涼しい顔で聞いていたシャルル弁護士は急に険しい顔になり、初めて答えた。「『初めてだから』こそ、だ!」とシャルル弁護士は怒鳴り、立ち上がる。途端に2人は静かになる。「…いいか?才人君!君は『一度も』法廷に立った事が無いんだぞ?!それが弁護士にとってどれ程致命的か!だから私はこっそり才人君を立たせられる事件を必死に捜していたんだ!…残念ながら立たせられる事件は見つからなかったが。…でもやっと見つかった。それが今回の依頼だ。…なにせあのクロムウェルさんの依頼はきちんと正しいことを調べたら100%勝てる事件だからね。」そう言って椅子に座る。そして少し疲れたように話し出す。「…大丈夫。才人君なら出来る。私にはわかるんだ。」そう言ってサイトの目を見つめる。「…後、明日から調査を始める。才人君。今まではお留守番だったけど 明日からは君もくるんだ。……明日は今日みたく遅刻するなよ。」そう言って立ち上がり鞄をもつ。「ああ。もう2人共帰っていいよ。私も帰るから。」そしてシャルル弁護士が扉を開けて家に帰ろうとすると、サイトが少しだけ泣きながら呼び止める。「…先生。すいませんでした。……後、有り難うございます。」それを聞くと、 微笑んで後ろを向き、手を降って出ていった。 シャルロットはサイトが泣きやむまでサイトの頭を撫でてやっていた 。 〜終〜 次回、〜調査編〜に続くかも? いかがでしたでしょうか?もし、よろしければ御意見御感想をお待ちしております。

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