三手角雁木

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三手角雁木」(2008/03/22 (土) 17:40:38) の最新版変更点

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*雁木実戦譜 ***三手角雁木 角を展開して持久戦模様の雁木の差し回し。 先手: 居飛車 後手: 三手角雁木 ▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲6八銀 △4二銀 ▲7八金 △4三銀 ▲4八銀 △5四歩 ▲5六歩 △3二金 ▲5八金 △6二銀 ▲6六歩 △6四歩 ▲2五歩 △5三銀 ▲6七金右 △4一玉 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △5二金 ▲9六歩 △9四歩 ▲3六歩 △6二飛 ▲7七桂 △7四歩 ▲6九玉 △6一飛 ▲4六歩 △3三角 ▲3七銀 △5一角 ▲1六歩 △8四角 ▲5七銀 △7三桂 ▲7九玉 △6五歩 ▲6八金引 △6四銀 ▲6五桂 △同 桂 ▲同 歩 △同 銀 ▲6四歩 △同 飛 ▲9七角 △6三飛 ▲6四桂 △6二金 ▲3八飛 △9五歩 ▲8六角 △9六歩 ▲9八歩 △7六銀 ▲3五歩 △8五銀 ▲3四歩 △8六銀 ▲同 歩 △6四飛 ▲4八銀右 △7六桂 ▲6七歩 △6八桂成 ▲同 玉 △4九角 ▲7六桂 △5八金 ▲7九玉 △5七角成 ▲同 銀 △3八角成 ▲6四桂 △7六桂 ▲5二銀 △同 銀 ▲同桂成 △同 金 ▲6一飛 △5一銀 ▲6八金 △同 金 ▲同 銀 △8八金 ▲6九玉 △4七馬 ▲5八金 △6八桂成 ▲同 玉 △7八飛 まで98手で後手の勝ち 【棋譜解説】 初手からの指し手 ▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲6八銀 △4二銀 ▲7八金 △4三銀 ▲4八銀 △5四歩 ▲5六歩 △3二金 ▲5八金 △6二銀 ▲6六歩 △6四歩 ▲2五歩 △5三銀 ▲6七金右 △4一玉(第1図) これまでに右四間飛車を主体とした攻める雁木について解説してきた。しかし実戦では、そうそうすんなりと右四間が決まって破壊力で圧倒!という展開には中々ならない。今回はやや持久戦指向の三手角雁木の差し回しを解説してみよう。第1図までで雁木が大体完成。本譜では▲2五歩を△3三角と受けずに進行。 #ref(gangi1.jpg) 第1図以下の指し手 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △5二金 ▲9六歩 △9四歩 ▲3六歩 △6二飛 ▲7七桂 △7四歩 ▲6九玉 △6一飛(第2図) ▲2四歩から一歩交換は先手の常套手段だが、雁木は気にせず進める。先手はあくまで居角のままで進めていく。実は相手とは何度か対局済みでこちらが雁木だということはバレているので、先手なりの雁木対策なのだろう。実際、雁木には居角は有効で、雁木の角を自角で迎え撃つ差し回しは雁木側もやりづらい。しかし、居角のままだとどうしても玉の囲いに制約が出てしまうデメリットもある。居玉・居角のまま対雁木に駒組みを進めていく構想は良いが、やはり居玉のままではいずれ苦しくなるだろう。 ▲7七桂は意表の一手だった。確かにここに桂をはねられると、△6五歩からの仕掛けが非常にやりづらい。雁木の攻めを完全に封じる狙いだろう。だが同時に後戻りできない桂跳ねは桂頭の弱点と7筋の防御の弱体化を抱えることになる。雁木としてはそこを咎めていく指し方を目指したい。△7四歩はその第一歩で、△7三桂から無理やりにも△6五歩の仕掛けも見せているが、狙いは他にもあり。△6一飛が継続手だ。 #ref(gangi2.jpg) 第2図以下の指し手 ▲4六歩 △3三角 ▲3七銀 △5一角 ▲1六歩 △8四角 ▲5七銀 △7三桂(第3図) 先手の▲7七桂がなければ△6五歩▲同歩△同飛▲6六歩△6一飛と一歩手にしながら飛車を一段目まで引くのが手筋。本譜はその筋が無理なのですぐに△6一飛としている。▲4六歩は△4五歩を防いで雁木の攻めを完全にシャットアウトする狙い。攻める雁木でも解説したが、無理やり△4五歩をついて開戦できないこともないが、本譜では相手玉が角筋から遠く居角のため、その効果は薄いだろう。そこで、△3三角~△5一角~△8四角と角を3手で一気に右辺へ展開する。三手角雁木と言われる所以だ。雁木囲いの特徴の一つとして、このように囲いの隙間をスルスルと角が自在に動けるのが特徴だ。三手角雁木の場合も狙いは右四間飛車とからめて6筋だ。玉を睨んでいないので激しい急戦模様にはならないが、持久戦含みでじっくりと差し回し、先手の手薄になった左辺をねらっていく。このように△4六歩を突かれたり、雁木右四間からの急戦を封じられるような展開では三手角雁木でじっくり指す構想も有効だ。 3九への角の成り込みが見えているので▲5七銀と角道を遮断するのも自然なようだが、そこへ△7三桂。角頭を守りつつ、△6五歩からの仕掛けを狙っている。 #ref(gangi3.jpg) 第3図以下の指し手 ▲7九玉 △6五歩 ▲6八金引 △6四銀 ▲6五桂 △同 桂 ▲同 歩 △同 銀 ▲6四歩 △同 飛 ▲9七角 △6三飛 ▲6四桂 △6二金 ▲3八飛 △9五歩(第4図) △6五歩の仕掛けに▲6八金と下がった狙いがよく解らなかったが、低い陣形で迎え撃とうという構想だろうか? △6六歩と取り込む手もあるが、攻めは飛角銀桂からという格言に従い、△6四銀と攻め駒を追加していく。必然の桂交換から▲9七角~▲6四桂と飛先をおさえこんでくるが桂は勿体無いか。▲6四歩で十分? 次に△6六銀▲同銀△同角となると大変なので△3八飛と3九の地点を受ける。右に展開した角がよく働いてきた展開だ。こういう流れになれば雁木指しやすい。じっくり△9五歩と角頭にあやをつけていく。 #ref(gangi4.jpg) 第4図以下の指し手 ▲8六角 △9六歩 ▲9八歩 △7六銀 ▲3五歩 △8五銀 ▲3四歩 △8六銀 ▲同 歩 △6四飛 ▲4八銀右 △7六桂(第5図) 雁木としては8六の角を追い払い、△6四飛と桂をはらうことができれば勝ちだ。そこで繰り出した銀で角をいじめにいく。△6六銀と銀交換で相手に銀をわたすと面倒そうだ。先手も▲3五歩から袖に振った飛車を活用すべく攻めに出る。角・桂を犠牲にしつつ攻めあうも先手の飛車先はやや重く早い攻めができない。3七の銀は棒銀風に攻めに使う手もあるがそれでは遅すぎるので▲4八銀と飛車先を通しつつ、△5七角成と角を切る手にも備えた一手だろう。三手角雁木ではスパッと角を切って駒を補充して攻める手が常にある。特に相手が居角の場合は玉の囲いが窮屈かつ薄い場合が多いので、さらに狙える場面も多いかもしれない。△7六桂と守りの要の金を攻める。 #ref(gangi5.jpg) 第5図以下の指し手 ▲6七歩 △6八桂成 ▲同 玉 △4九角 ▲7六桂 △5八金 ▲7九玉 △5七角成 ▲同 銀 △3八角成 ▲6四桂 △7六桂 ▲5二銀 △同 銀 ▲同桂成 △同 金 ▲6一飛 △5一銀(第6図) △7六桂に▲5八金や▲6七金△なら△4九角、▲6九金なら△8八角、▲7七金なら△6五桂と、どう逃げても手が続く。▲6七歩と仕方なく受けるが、△4九角がさらなる急所攻めだ。以後、飛車交換から再度△7六桂と玉を縛ってじっくり寄せを目指す。先手も▲6四桂と伸ばした手を生かして▲5二銀とからんでくるが、ここで落ち着いて△同銀▲同桂成△同金。一見なんということのないごくごく自然な流れ。だがこのような流れは雁木にはよくみられる受け筋だ。玉の両小ビンに金が二枚いてそれらを上にいる銀がしっかりヒモをつけている。故に玉の小ビンからせめられても自然に受けさばいて玉は安泰。雁木囲いならではのさばきだ。この捌き方はしょっちゅう出てくるが、別に難しくもない自然なさばきなので、身に付けよう(と言うまでもないが)。先手の攻め駒は切れてこちらも駒を補充できた上、玉の小ビンは未だ金2枚(あるいは金銀)がしっかり守っていて安泰。角でも桂でも王手がかけづらい形だ。雁木の終盤ではよくみられる形。このときに雁木からの早い攻めがあれば勝ちやすい! だが、攻め筋が無ければこの形も固くはないのですぐに崩されて負けてしまう。まさにここが「勝負の分かれ目よん!」 #ref(syoubu.jpg) ところで、雁木は玉の横がスカスカなので飛車に弱いため飛車交換は御法度。対振り飛車に使えないのもそのためだ。しかし、ここまで終盤にくればもう関係ない。実際に飛車を打たれても直ぐによるわけではないし、普通に合駒をするか、△4二玉とヒョイと上に逃げれば良い。雁木は陣形がスカスカしているので、前述のように角がスムーズに通れたり、玉もすりぬけて逃げ出すこともできるのだ。本譜は△4二玉に▲4一銀がイヤミなのでガッチリ受ける。雁木のこの金並びは銀の割り打ちや▲4四桂という筋もよく狙われるので注意。 #ref(gangi6.jpg) 第6図以下の指し手 ▲6八金 △同 金 ▲同 銀 △8八金 ▲6九玉 △4七馬 ▲5八金 △6八桂成 ▲同 玉 △7八飛(結果図) 持久戦模様で雁木もかなり崩されたが、まだまだ粘りがあり、直ぐにはよりそうもない。あとは慌てずに格言どおり、玉を包むように両側から寄せていけば自然に勝ちになるだろう。 雁木囲いはハッキリいってもろい、うすい! 雁木の固さを生かして攻め合い勝負!などという展開にはまずならない。ボロボロに崩されながらも連結した金銀が以外に粘りがあってその連結がくずされている間に攻めて勝つ!というパターンが多いと思う。もしくは囲いの隙間をぬって早逃げで入玉を目指す手もある。固さ&速さ重視の近代将棋ではこのようなうすい将棋は敬遠されがちだが、だからこそ雁木を指しこなし続ければ、受け攻め総合的な棋力もアップするかもよ!? #ref(gangi7.jpg) ところで、だ。 この三手角雁木、kureはあまり採用しない。あまり上手く指し回せた事がないからだ。 序盤からスピード感が重視される近代将棋においては3手もかけて角を展開するというのは、やはり、あまり筋良い将棋とは言えないだろう、持久戦指向とはいえど。実際、三手角雁木でのkureの勝率はあまりよくない。(雁木自体では同レベル相手なら6割5分くらいとなかなか勝ってるよ!) やはり、勝ちにくい戦法だと思える。 まぁ、kureの指し方が下手糞なだけだろけどさ・・・。   -[[kureの雁木を指しこなす講座]]  
*雁木実戦譜 ***三手角雁木 角を展開して持久戦模様の雁木の差し回し。 先手: 居飛車 後手: 三手角雁木 ▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲6八銀 △4二銀 ▲7八金 △4三銀 ▲4八銀 △5四歩 ▲5六歩 △3二金 ▲5八金 △6二銀 ▲6六歩 △6四歩 ▲2五歩 △5三銀 ▲6七金右 △4一玉 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △5二金 ▲9六歩 △9四歩 ▲3六歩 △6二飛 ▲7七桂 △7四歩 ▲6九玉 △6一飛 ▲4六歩 △3三角 ▲3七銀 △5一角 ▲1六歩 △8四角 ▲5七銀 △7三桂 ▲7九玉 △6五歩 ▲6八金引 △6四銀 ▲6五桂 △同 桂 ▲同 歩 △同 銀 ▲6四歩 △同 飛 ▲9七角 △6三飛 ▲6四桂 △6二金 ▲3八飛 △9五歩 ▲8六角 △9六歩 ▲9八歩 △7六銀 ▲3五歩 △8五銀 ▲3四歩 △8六銀 ▲同 歩 △6四飛 ▲4八銀右 △7六桂 ▲6七歩 △6八桂成 ▲同 玉 △4九角 ▲7六桂 △5八金 ▲7九玉 △5七角成 ▲同 銀 △3八角成 ▲6四桂 △7六桂 ▲5二銀 △同 銀 ▲同桂成 △同 金 ▲6一飛 △5一銀 ▲6八金 △同 金 ▲同 銀 △8八金 ▲6九玉 △4七馬 ▲5八金 △6八桂成 ▲同 玉 △7八飛 まで98手で後手の勝ち 【棋譜解説】 初手からの指し手 ▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲6八銀 △4二銀 ▲7八金 △4三銀 ▲4八銀 △5四歩 ▲5六歩 △3二金 ▲5八金 △6二銀 ▲6六歩 △6四歩 ▲2五歩 △5三銀 ▲6七金右 △4一玉(第1図) これまでに右四間飛車を主体とした攻める雁木について解説してきた。しかし実戦では、そうそうすんなりと右四間が決まって破壊力で圧倒!という展開には中々ならない。今回はやや持久戦指向の三手角雁木の差し回しを解説してみよう。第1図までで雁木が大体完成。本譜では▲2五歩を△3三角と受けずに進行。 #ref(gangi1.jpg) 第1図以下の指し手 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △5二金 ▲9六歩 △9四歩 ▲3六歩 △6二飛 ▲7七桂 △7四歩 ▲6九玉 △6一飛(第2図) ▲2四歩から一歩交換は先手の常套手段だが、雁木は気にせず進める。先手はあくまで居角のままで進めていく。実は相手とは何度か対局済みでこちらが雁木だということはバレているので、先手なりの雁木対策なのだろう。実際、雁木には居角は有効で、雁木の角を自角で迎え撃つ差し回しは雁木側もやりづらい。しかし、居角のままだとどうしても玉の囲いに制約が出てしまうデメリットもある。居玉・居角のまま対雁木に駒組みを進めていく構想は良いが、やはり居玉のままではいずれ苦しくなるだろう。 ▲7七桂は意表の一手だった。確かにここに桂をはねられると、△6五歩からの仕掛けが非常にやりづらい。雁木の攻めを完全に封じる狙いだろう。だが同時に後戻りできない桂跳ねは桂頭の弱点と7筋の防御の弱体化を抱えることになる。また自角の活用も難しくなる。雁木としてはそこを咎めていく指し方を目指したい。△7四歩はその第一歩で、△7三桂から無理やりにも△6五歩の仕掛けも見せているが、狙いは他にもあり。△6一飛が継続手だ。 #ref(gangi2.jpg) 第2図以下の指し手 ▲4六歩 △3三角 ▲3七銀 △5一角 ▲1六歩 △8四角 ▲5七銀 △7三桂(第3図) 先手の▲7七桂がなければ△6五歩▲同歩△同飛▲6六歩△6一飛と一歩手にしながら飛車を一段目まで引くのが手筋。本譜はその筋が無理なのですぐに△6一飛としている。▲4六歩は△4五歩を防いで雁木の攻めを完全にシャットアウトする狙い。攻める雁木でも解説したが、無理やり△4五歩をついて開戦できないこともないが、本譜では相手玉が角筋から遠く居角のため、その効果は薄いだろう。そこで、△3三角~△5一角~△8四角と角を3手で一気に右辺へ展開する。三手角雁木と言われる所以だ。雁木囲いの特徴の一つとして、このように囲いの隙間をスルスルと角が自在に動けるのが特徴だ。三手角雁木の場合も狙いは右四間飛車とからめて6筋だ。玉を睨んでいないので激しい急戦模様にはならないが、持久戦含みでじっくりと差し回し、先手の手薄になった左辺をねらっていく。このように△4六歩を突かれたり、雁木右四間からの急戦を封じられるような展開では三手角雁木でじっくり指す構想も有効だ。 3九への角の成り込みが見えているので▲5七銀と角道を遮断するのも自然なようだが、そこへ△7三桂。角頭を守りつつ、△6五歩からの仕掛けを狙っている。 #ref(gangi3.jpg) 第3図以下の指し手 ▲7九玉 △6五歩 ▲6八金引 △6四銀 ▲6五桂 △同 桂 ▲同 歩 △同 銀 ▲6四歩 △同 飛 ▲9七角 △6三飛 ▲6四桂 △6二金 ▲3八飛 △9五歩(第4図) △6五歩の仕掛けに▲6八金と下がった狙いがよく解らなかったが、低い陣形で迎え撃とうという構想だろうか? △6六歩と取り込む手もあるが、攻めは飛角銀桂からという格言に従い、△6四銀と攻め駒を追加していく。必然の桂交換から▲9七角~▲6四桂と飛先をおさえこんでくるが桂は勿体無いか。▲6四歩で十分? 次に△6六銀▲同銀△同角となると大変なので△3八飛と3九の地点を受ける。右に展開した角がよく働いてきた展開だ。こういう流れになれば雁木指しやすい。じっくり△9五歩と角頭にあやをつけていく。 #ref(gangi4.jpg) 第4図以下の指し手 ▲8六角 △9六歩 ▲9八歩 △7六銀 ▲3五歩 △8五銀 ▲3四歩 △8六銀 ▲同 歩 △6四飛 ▲4八銀右 △7六桂(第5図) 雁木としては8六の角を追い払い、△6四飛と桂をはらうことができれば勝ちだ。そこで繰り出した銀で角をいじめにいく。△6六銀と銀交換で相手に銀をわたすと面倒そうだ。先手も▲3五歩から袖に振った飛車を活用すべく攻めに出る。角・桂を犠牲にしつつ攻めあうも先手の飛車先はやや重く早い攻めができない。3七の銀は棒銀風に攻めに使う手もあるがそれでは遅すぎるので▲4八銀と飛車先を通しつつ、△5七角成と角を切る手にも備えた一手だろう。三手角雁木ではスパッと角を切って駒を補充して攻める手が常にある。特に相手が居角の場合は玉の囲いが窮屈かつ薄い場合が多いので、さらに狙える場面も多いかもしれない。△7六桂と守りの要の金を攻める。 #ref(gangi5.jpg) 第5図以下の指し手 ▲6七歩 △6八桂成 ▲同 玉 △4九角 ▲7六桂 △5八金 ▲7九玉 △5七角成 ▲同 銀 △3八角成 ▲6四桂 △7六桂 ▲5二銀 △同 銀 ▲同桂成 △同 金 ▲6一飛 △5一銀(第6図) △7六桂に▲5八金や▲6七金△なら△4九角、▲6九金なら△8八角、▲7七金なら△6五桂と、どう逃げても手が続く。▲6七歩と仕方なく受けるが、△4九角がさらなる急所攻めだ。以後、飛車交換から再度△7六桂と玉を縛ってじっくり寄せを目指す。先手も▲6四桂と伸ばした手を生かして▲5二銀とからんでくるが、ここで落ち着いて△同銀▲同桂成△同金。一見なんということのないごくごく自然な流れ。だがこのような流れは雁木にはよくみられる受け筋だ。玉の両小ビンに金が二枚いてそれらを上にいる銀がしっかりヒモをつけている。故に玉の小ビンからせめられても自然に受けさばいて玉は安泰。雁木囲いならではのさばきだ。この捌き方はしょっちゅう出てくるが、別に難しくもない自然なさばきなので、身に付けよう(と言うまでもないが)。先手の攻め駒は切れてこちらも駒を補充できた上、玉の小ビンは未だ金2枚(あるいは金銀)がしっかり守っていて安泰。角でも桂でも王手がかけづらい形だ。雁木の終盤ではよくみられる形。このときに雁木からの早い攻めがあれば勝ちやすい! だが、攻め筋が無ければこの形も固くはないのですぐに崩されて負けてしまう。まさにここが「勝負の分かれ目よん!」 #ref(syoubu.jpg) ところで、雁木は玉の横がスカスカなので飛車に弱いため飛車交換は御法度。対振り飛車に使えないのもそのためだ。しかし、ここまで終盤にくればもう関係ない。実際に飛車を打たれても直ぐによるわけではないし、普通に合駒をするか、△4二玉とヒョイと上に逃げれば良い。雁木は陣形がスカスカしているので、前述のように角がスムーズに通れたり、玉もすりぬけて逃げ出すこともできるのだ。本譜は△4二玉に▲4一銀がイヤミなのでガッチリ受ける。雁木のこの金並びは銀の割り打ちや▲4四桂という筋もよく狙われるので注意。 #ref(gangi6.jpg) 第6図以下の指し手 ▲6八金 △同 金 ▲同 銀 △8八金 ▲6九玉 △4七馬 ▲5八金 △6八桂成 ▲同 玉 △7八飛(結果図) 持久戦模様で雁木もかなり崩されたが、まだまだ粘りがあり、直ぐにはよりそうもない。あとは慌てずに格言どおり、玉を包むように両側から寄せていけば自然に勝ちになるだろう。 雁木囲いはハッキリいってもろい、うすい! 雁木の固さを生かして攻め合い勝負!などという展開にはまずならない。ボロボロに崩されながらも連結した金銀が以外に粘りがあってその連結がくずされている間に攻めて勝つ!というパターンが多いと思う。もしくは囲いの隙間をぬって早逃げで入玉を目指す手もある。固さ&速さ重視の近代将棋ではこのようなうすい将棋は敬遠されがちだが、だからこそ雁木を指しこなし続ければ、受け攻め総合的な棋力もアップするかもよ!? #ref(gangi7.jpg) ところで、だ。 この三手角雁木、kureはあまり採用しない。あまり上手く指し回せた事がないからだ。 序盤からスピード感が重視される近代将棋においては3手もかけて角を展開するというのは、やはり、あまり筋良い将棋とは言えないだろう、持久戦指向とはいえど。実際、三手角雁木でのkureの勝率はあまりよくない。(雁木自体では同レベル相手なら6割5分くらいとなかなか勝ってるよ!) やはり、勝ちにくい戦法だと思える。 まぁ、kureの指し方が下手糞なだけだろけどさ・・・。   -[[kureの雁木を指しこなす講座]]  

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