予選その3 vs 向かい飛車

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*kureの24名人戦奮闘記 予選その3 ***予選その3 さて1週間ぶりの名人戦。先週は2局しか消化できなかった。土日は頭痛が痛くてバッドコンディションだったため対局を控えていた。今週は5局は消化して全部で半分の局は消化したい所だ。3局目の相手はjonb_tv氏(現R896、最高R938)。今週が初参戦の模様。Rも高く手強い相手になりそうだ。振り飛車党で四間飛車と向かい飛車が得意なようである。名人戦初の対抗型になりそうな予感だ。kureは相居飛車より対抗型のほうが好きなので望むところである。 【名人戦6級リーグb 予選03局目(2010/01/08)】  先手▲ kure90 後手△ jonb_tv 初手からの指し手 ▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △3三角 ▲4八銀 △2二飛 ▲6八玉 △4二銀 ▲7八玉 △6二玉 ▲5八金右 △7二玉 ▲9六歩 △9四歩 ▲7七角(第1図) 本局もkureの先手。これで3局連続先手である。運がいいのか何なのか。4手目に後手はさっそくの△3三角。後手△3三角戦法というやつか。書籍にもなっている立派な戦法である。これには早々に角交換して△同桂とさせ、その桂頭を狙って攻めるというのがプロでもさされている対抗策のようで後手苦戦のようである(参考1図)。 #ref(yosen03-s1.jpg) kureはあまり実戦経験がないので、普通の対抗型のつもりでやっていく方針にした。後手は△2二飛と向かい飛車を表明。想定の範囲内である。通常は▲2五歩を見て向かい飛車に振ることが多いのだが、▲2六歩型のままでも成立するのかどうか。気になるのは後手が角道を閉じないままのダイレクト振り飛車である。角交換するならしてみろの気合だ。 もし先手が▲2五歩型なら▲3三角成には△同桂~△2五桂!▲同飛△2四歩と2五桂ポンからの逆襲がありそう。しかし▲2六歩型ではそれがないので先手から角交換したほうがよかったかどうか。だが、後手の言いなりになるようで不満なのでこちらも無視して駒組みを勧める。▲9六歩とついて振り穴にするかどうか打診。△9四歩と突き返してきたので普通に美濃るようだ。そこでこちらも▲7七角から左美濃を目指す。後手角道を通されたままでは穴熊は危険であるし、kureはあまり居飛穴は得意ではない。 #ref(yosen03-01.jpg) 第1図以下の指し手 △同角成 ▲同 桂 △3三桂 ▲8八玉 △8二玉 ▲7八銀 △7二銀 ▲6六歩 △5四歩 ▲6七金 △2一飛 ▲8六歩 △5三銀 ▲3六歩 △4二金(第2図) するとすぐに後手から角交換を仕掛けてきた。先手は手順に桂を跳ねて左高美濃へ。美濃や銀冠で桂をはねる方がよいかどうかは難しい所である。大山名人などは銀冠は桂を跳ねないほうが固いともおっしゃったとか。後手は直後に△3三桂。ふむ、やはり後手はこの桂を跳ねたかったようだ。先手から角交換していれば1手損の上、手順に桂を跳ねられて2手得の換算になるところであった。 序盤からこのような駆け引きをしかけてくる、やはり後手は強そうだぞ!その後、お互い美濃に組んでいく。先手は▲8六歩とついて場合によっては銀冠まで目指す。このままの状態ではお互いに仕掛けづらいので仕方ない。後手は△2一飛と引き飛車。桂を跳ねたかったのはこのためか。振り飛車の常套手で、角交換時の角打ち込みのスキをなくす好手だ。△4二金で後手陣は完璧にスキを消す。が、その代償に片美濃と玉の固さを犠牲にしている。先手としてはこの固さの差をとがめる方針で指し手を考えていきたい。 #ref(yosen03-02.jpg) 第2図以下の指し手 ▲1六歩 △1四歩 ▲3七銀 △8四歩 ▲2五歩 △8三銀 ▲2六銀 △4四銀 ▲1五歩 △同 歩 ▲同 香 △同 香 ▲同 銀 △7二金 ▲2四歩 △同 歩 ▲1二角(第3図) ▲1六歩の様子見に後手も△1四歩と答える。お互いの駒組みはほぼ飽和状態。先手は銀冠に組み替える方針もあるが、角打ちのスキが増えそうだ。意を決してここから仕掛けることにした。狙いは△1四歩と端歩をつかせたので棒銀だ! ▲2五歩を決めて▲2六銀と一気にいく。後手はそのスキに銀冠に組み替えるようだ。通常なら相手が仕掛けてきたときに銀冠に組み替えるのは△6一金が浮いていて危険だが、ここでは飛車のヒモがついている。これも△2一飛の効果だ。▲2六銀に対し△7二金と銀冠を完成させるヒマがあったのに、後手は△4四銀! なんだコレは。▲3五歩からの仕掛けを警戒した受けだろうか。が、先手の狙いは1筋からの棒銀である。△3三桂型で端が弱くなったのを咎めようという狙いなのだ。 予定どおり▲1五歩から仕掛けて▲1五銀まで一直線。後手は端は放置して△7二金と締める。銀が5段目まで出れば棒銀は成功といわれるが、▲2四歩、果たしてどうか。というのもここで△同歩に▲同銀としてもこの銀の相手がいないのだ。▲3三銀などとしても飛車を素抜かれるし、▲2三銀成も確実そうだが手が遅い。が、ここで▲1二角が先手の狙い筋。角成が受からず先手が一本とった形で、先手指せそうと思った。 #ref(yosen03-03.jpg) 第3図以下の指し手 △1一飛 ▲1三歩 △2五歩 ▲2三角成 △2六香 ▲同 銀 △同 歩 ▲同 飛 △3八角 ▲1二歩成 △7一飛 ▲4六香(第4図) △1一飛には▲1三歩とがっちり抑える。飛車角交換は果たしてどっちがいいのかはわからなかった。が、後手は交換はせず△2五歩。▲2四飛から先手だけ竜をつくられては後手は勝てない。先手は楽に馬を作って次の▲1二歩成が厳しい。そこで△2六香の反撃。▲1八飛では単純に△2九香成もあるが、△2七角▲1七飛△1六歩とこちらの飛車も押さえ込まれる。飛車角交換で不満なさそうだが、先手は高美濃なので飛車での横からの攻めに耐久力がなさそうだ。飛車を渡すのは怖い処。 そこで▲2六銀だ。遊び駒になりそうな銀をさばいてしまうのだ。棒銀戦法は棒銀そのものが遊び駒になってしまっては大失敗なのだ。それならば多少の駒損でも銀を捨ててしまうほうがまだ棒銀が働いたというもの。香歩との二枚替えなので不満もない。後手は△3八角とぼんやりした角打ちだが、これは角成を見せつつ△2五歩に▲1六飛と寄る筋も消している。とりあえずは一本、▲1二歩成を決める。△7一飛と逃げるのはひどく、こうなっては▲1三歩を打った時点で飛角交換に応じた方が良かったか。先手は▲4六香。先に▲2四飛と飛車を押さえ込まれる前にさばくほうがよかったか。 #ref(yosen03-04.jpg) 第4図以下の指し手 △5三銀 ▲2四飛 △4七角成 ▲4九香 △3八馬 ▲3四馬 △4九馬 ▲4三香成 △4七歩(第5図) ここで△2五歩と飛車を抑えられるとイヤだった。▲2八飛に△2七銀で飛車と桂を取られて危なそうだ。先手も銀が取れるが香を取替されて、角銀だけで後手銀冠を崩すのは大変そう。片銀冠といえどもまだまだ固いのだ。後手は銀を逃げてくれたのですかさず▲2四飛と走る。これで後手と違い先手飛車は活躍が見込めそうだ。 次に▲3四馬~▲4四香が狙い。△4四歩と受けても▲4三香と強引にいくつもり。そこで後手はその香を馬で取りにきたが、▲4九香が用意の一手だ。以下、狙いの▲4三香成がきまってハッキリ先手優勢。後手は△4三歩とと金を作って攻める狙い。△7一飛がしぶとく受けに効いてきそうだ。はたしてどちらの寄せが早いか? #ref(yosen03-05.jpg) 第5図以下の指し手 ▲3三成香 △同 金 ▲同 馬 △4八歩成 ▲2二飛成 △5八と ▲7九金 △5九馬 ▲7五桂 △6八銀(第6図) ▲4三香成を手抜かれて少し困った。△同金▲同馬△6二銀という展開を予想していたが、果たしてこの成香でどの駒を取るべきか? 結局は銀をとっても金をとっても次に▲2二飛成と鳴り込んで先手がよかったのだが、良くばって1つでも多く駒をとろうと▲3三成香。どうもこれがハッキリ悪手。相手玉とは反対方向に駒をすすめるとはいかにも筋が悪かった。。。 これで一気に形成互角に戻ってしまったようだ。しかし後手もこれに△同金と付き合ったのはまずかった。先手の狙いどおり香1枚で桂金をゲットできて不満ないが、▲同馬とした馬の位置が攻防においても微妙な位置。早い寄せに参加できそうにない。 ▲2二飛成とようやく敵陣へ入り込むが後手片銀冠、思った以上に固そうだぞ・・・。 後手のと金も早い! 完全なスピード勝負だ。だがこの時点でkureはあまり自信がなかった。スピード勝負ではなんとなくこちらが負けそうな予感が・・・。▲2二飛成は先に▲7五桂△7四銀▲4三馬△6二銀と利かすだけ利かせてから▲2二飛と成り込むのがスピード負けしない手順だった。手順前後の▲7五桂を手抜かれて△6八銀と後手もスピード勝負! #ref(yosen03-06.jpg) 第5図以下の指し手 ▲6三桂成 △7九銀不成 ▲同 玉 △6八金 ▲8八玉 △7八金 ▲同 玉 △6九馬 ▲8八玉 △7八銀 ▲7二成桂 △同 銀(結果図) まで90手で後手の勝ち ここでも先手悩んだ。どっちがいいのか、どっちが早いのか? さっぱりわからなかった。時間もお互い秒読みである。それでも東大先生の判断ははっきり先手よし。が、▲6三桂成がバッタリの悪手。一挙に後手勝勢に! 素直に▲8三桂成でよかったのだが、△同玉で次にどうすればいいのかがわからなかった。東大先生の手順は▲8三桂成△同玉▲6八金上△同と▲同金△同馬▲6七金△5九馬で先手十分。 後手もチャンスを逃さず△7九銀不成から一気の寄せに。△7八銀と玉の腹銀で必死を形づくるが単に△8七銀で即詰みだった。一手スキで助かったと思っても、先手からの即詰めはないので万事休す・・・。 待望の居飛車振り飛車対抗型の将棋、自分でも得意と思っていただけあって珍しく中盤終わりまでほぼ互角。むしろ先手が少しずつ良くなっていったのだが、終盤一手の悪手で一気にひっくり返る。まぁこれこそ将棋の醍醐味。負けはしたが、個人的には満足いく将棋は指せたつもりだ。 #ref(yosen03-07.jpg) 開始日時:2010/01/08 21:22:00 棋戦:名人戦6級リーグb 予選03 戦型:居飛車左美濃・向かい飛車 先手:kure90 後手:jonb_tv ▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △3三角 ▲4八銀 △2二飛 ▲6八玉 △4二銀 ▲7八玉 △6二玉 ▲5八金右 △7二玉 ▲9六歩 △9四歩 ▲7七角 △同角成 ▲同 桂 △3三桂 ▲8八玉 △8二玉 ▲7八銀 △7二銀 ▲6六歩 △5四歩 ▲6七金 △2一飛 ▲8六歩 △5三銀 ▲3六歩 △4二金 ▲1六歩 △1四歩 ▲3七銀 △8四歩 ▲2五歩 △8三銀 ▲2六銀 △4四銀 ▲1五歩 △同 歩 ▲同 香 △同 香 ▲同 銀 △7二金 ▲2四歩 △同 歩 ▲1二角 △1一飛 ▲1三歩 △2五歩 ▲2三角成 △2六香 ▲同 銀 △同 歩 ▲同 飛 △3八角 ▲1二歩成 △7一飛 ▲4六香 △5三銀 ▲2四飛 △4七角成 ▲4九香 △3八馬 ▲3四馬 △4九馬 ▲4三香成 △4七歩 ▲3三成香 △同 金 ▲同 馬 △4八歩成 ▲2二飛成 △5八と ▲7九金 △5九馬 ▲7五桂 △6八銀 ▲6三桂成 △7九銀不成▲同 玉 △6八金 ▲8八玉 △7八金 ▲同 玉 △6九馬 ▲8八玉 △7八銀 ▲7二成桂 △同 銀 まで90手で後手の勝ち -[[kureの24名人戦奮闘記]]
*kureの24名人戦奮闘記 予選その3 ***予選その3 さて1週間ぶりの名人戦。先週は2局しか消化できなかった。土日は頭痛が痛くてバッドコンディションだったため対局を控えていた。今週は5局は消化して全部で半分の局は消化したい所だ。3局目の相手はjonb_tv氏(現R896、最高R938)。今週が初参戦の模様。Rも高く手強い相手になりそうだ。振り飛車党で四間飛車と向かい飛車が得意なようである。名人戦初の対抗型になりそうな予感だ。kureは相居飛車より対抗型のほうが好きなので望むところである。 【名人戦6級リーグb 予選03局目(2010/01/08)】  先手▲ kure90 後手△ jonb_tv 初手からの指し手 ▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △3三角 ▲4八銀 △2二飛 ▲6八玉 △4二銀 ▲7八玉 △6二玉 ▲5八金右 △7二玉 ▲9六歩 △9四歩 ▲7七角(第1図) 本局もkureの先手。これで3局連続先手である。運がいいのか何なのか。4手目に後手はさっそくの△3三角。後手△3三角戦法というやつか。書籍にもなっている立派な戦法である。これには早々に角交換して△同桂とさせ、その桂頭を狙って攻めるというのがプロでもさされている対抗策のようで後手苦戦のようである(参考1図)。 #ref(yosen03-s1.jpg) kureはあまり実戦経験がないので、普通の対抗型のつもりでやっていく方針にした。後手は△2二飛と向かい飛車を表明。想定の範囲内である。通常は▲2五歩を見て向かい飛車に振ることが多いのだが、▲2六歩型のままでも成立するのかどうか。気になるのは後手が角道を閉じないままのダイレクト振り飛車である。角交換するならしてみろの気合だ。 もし先手が▲2五歩型なら▲3三角成には△同桂~△2五桂!▲同飛△2四歩と2五桂ポンからの逆襲がありそう。しかし▲2六歩型ではそれがないので先手から角交換したほうがよかったかどうか。だが、後手の言いなりになるようで不満なのでこちらも無視して駒組みを勧める。▲9六歩とついて振り穴にするかどうか打診。△9四歩と突き返してきたので普通に美濃るようだ。そこでこちらも▲7七角から左美濃を目指す。後手角道を通されたままでは穴熊は危険であるし、kureはあまり居飛穴は得意ではない。 #ref(yosen03-01.jpg) 第1図以下の指し手 △同角成 ▲同 桂 △3三桂 ▲8八玉 △8二玉 ▲7八銀 △7二銀 ▲6六歩 △5四歩 ▲6七金 △2一飛 ▲8六歩 △5三銀 ▲3六歩 △4二金(第2図) するとすぐに後手から角交換を仕掛けてきた。先手は手順に桂を跳ねて左高美濃へ。美濃や銀冠で桂をはねる方がよいかどうかは難しい所である。大山名人などは銀冠は桂を跳ねないほうが固いともおっしゃったとか。後手は直後に△3三桂。ふむ、やはり後手はこの桂を跳ねたかったようだ。先手から角交換していれば1手損の上、手順に桂を跳ねられて2手得の換算になるところであった。 序盤からこのような駆け引きをしかけてくる、やはり後手は強そうだぞ!その後、お互い美濃に組んでいく。先手は▲8六歩とついて場合によっては銀冠まで目指す。このままの状態ではお互いに仕掛けづらいので仕方ない。後手は△2一飛と引き飛車。桂を跳ねたかったのはこのためか。振り飛車の常套手で、角交換時の角打ち込みのスキをなくす好手だ。△4二金で後手陣は完璧にスキを消す。が、その代償に片美濃と玉の固さを犠牲にしている。先手としてはこの固さの差をとがめる方針で指し手を考えていきたい。 #ref(yosen03-02.jpg) 第2図以下の指し手 ▲1六歩 △1四歩 ▲3七銀 △8四歩 ▲2五歩 △8三銀 ▲2六銀 △4四銀 ▲1五歩 △同 歩 ▲同 香 △同 香 ▲同 銀 △7二金 ▲2四歩 △同 歩 ▲1二角(第3図) ▲1六歩の様子見に後手も△1四歩と答える。お互いの駒組みはほぼ飽和状態。先手は銀冠に組み替える方針もあるが、角打ちのスキが増えそうだ。意を決してここから仕掛けることにした。狙いは△1四歩と端歩をつかせたので棒銀だ! ▲2五歩を決めて▲2六銀と一気にいく。後手はそのスキに銀冠に組み替えるようだ。通常なら相手が仕掛けてきたときに銀冠に組み替えるのは△6一金が浮いていて危険だが、ここでは飛車のヒモがついている。これも△2一飛の効果だ。▲2六銀に対し△7二金と銀冠を完成させるヒマがあったのに、後手は△4四銀! なんだコレは。▲3五歩からの仕掛けを警戒した受けだろうか。が、先手の狙いは1筋からの棒銀である。△3三桂型で端が弱くなったのを咎めようという狙いなのだ。 予定どおり▲1五歩から仕掛けて▲1五銀まで一直線。後手は端は放置して△7二金と締める。銀が5段目まで出れば棒銀は成功といわれるが、▲2四歩、果たしてどうか。というのもここで△同歩に▲同銀としてもこの銀の相手がいないのだ。▲3三銀などとしても飛車を素抜かれるし、▲2三銀成も確実そうだが手が遅い。が、ここで▲1二角が先手の狙い筋。角成が受からず先手が一本とった形で、先手指せそうと思った。 #ref(yosen03-03.jpg) 第3図以下の指し手 △1一飛 ▲1三歩 △2五歩 ▲2三角成 △2六香 ▲同 銀 △同 歩 ▲同 飛 △3八角 ▲1二歩成 △7一飛 ▲4六香(第4図) △1一飛には▲1三歩とがっちり抑える。飛車角交換は果たしてどっちがいいのかはわからなかった。が、後手は交換はせず△2五歩。▲2四飛から先手だけ竜をつくられては後手は勝てない。先手は楽に馬を作って次の▲1二歩成が厳しい。そこで△2六香の反撃。▲1八飛では単純に△2九香成もあるが、△2七角▲1七飛△1六歩とこちらの飛車も押さえ込まれる。飛車角交換で不満なさそうだが、先手は高美濃なので飛車での横からの攻めに耐久力がなさそうだ。飛車を渡すのは怖い処。 そこで▲2六銀だ。遊び駒になりそうな銀をさばいてしまうのだ。棒銀戦法は棒銀そのものが遊び駒になってしまっては大失敗なのだ。それならば多少の駒損でも銀を捨ててしまうほうがまだ棒銀が働いたというもの。香歩との二枚替えなので不満もない。後手は△3八角とぼんやりした角打ちだが、これは角成を見せつつ△2五歩に▲1六飛と寄る筋も消している。とりあえずは一本、▲1二歩成を決める。△7一飛と逃げるのはひどく、こうなっては▲1三歩を打った時点で飛角交換に応じた方が良かったか。先手は▲4六香。先に▲2四飛と飛車を押さえ込まれる前にさばくほうがよかったか。 #ref(yosen03-04.jpg) 第4図以下の指し手 △5三銀 ▲2四飛 △4七角成 ▲4九香 △3八馬 ▲3四馬 △4九馬 ▲4三香成 △4七歩(第5図) ここで△2五歩と飛車を抑えられるとイヤだった。▲2八飛に△2七銀で飛車と桂を取られて危なそうだ。先手も銀が取れるが香を取替されて、角銀だけで後手銀冠を崩すのは大変そう。片銀冠といえどもまだまだ固いのだ。後手は銀を逃げてくれたのですかさず▲2四飛と走る。これで後手と違い先手飛車は活躍が見込めそうだ。 次に▲3四馬~▲4三香成が狙い。△4四歩と受けても▲4三香と強引にいくつもり。そこで後手はその香を馬で取りにきたが、▲4九香が用意の一手だ。以下、狙いの▲4三香成がきまってハッキリ先手優勢。後手は△4三歩とと金を作って攻める狙い。△7一飛がしぶとく受けに効いてきそうだ。はたしてどちらの寄せが早いか? #ref(yosen03-05.jpg) 第5図以下の指し手 ▲3三成香 △同 金 ▲同 馬 △4八歩成 ▲2二飛成 △5八と ▲7九金 △5九馬 ▲7五桂 △6八銀(第6図) ▲4三香成を手抜かれて少し困った。△同金▲同馬△6二銀という展開を予想していたが、果たしてこの成香でどの駒を取るべきか? 結局は銀をとっても金をとっても次に▲2二飛成と鳴り込んで先手がよかったのだが、良くばって1つでも多く駒をとろうと▲3三成香。どうもこれがハッキリ悪手。相手玉とは反対方向に駒をすすめるとはいかにも筋が悪かった。。。 これで一気に形成互角に戻ってしまったようだ。しかし後手もこれに△同金と付き合ったのはまずかった。先手の狙いどおり香1枚で桂金をゲットできて不満ないが、▲同馬とした馬の位置が攻防においても微妙な位置。早い寄せに参加できそうにない。 ▲2二飛成とようやく敵陣へ入り込むが後手片銀冠、思った以上に固そうだぞ・・・。 後手のと金も早い! 完全なスピード勝負だ。だがこの時点でkureはあまり自信がなかった。スピード勝負ではなんとなくこちらが負けそうな予感が・・・。▲2二飛成は先に▲7五桂△7四銀▲4三馬△6二銀と利かすだけ利かせてから▲2二飛と成り込むのがスピード負けしない手順だった。手順前後の▲7五桂を手抜かれて△6八銀と後手もスピード勝負! #ref(yosen03-06.jpg) 第5図以下の指し手 ▲6三桂成 △7九銀不成 ▲同 玉 △6八金 ▲8八玉 △7八金 ▲同 玉 △6九馬 ▲8八玉 △7八銀 ▲7二成桂 △同 銀(結果図) まで90手で後手の勝ち ここでも先手悩んだ。どっちがいいのか、どっちが早いのか? さっぱりわからなかった。時間もお互い秒読みである。それでも東大先生の判断ははっきり先手よし。が、▲6三桂成がバッタリの悪手。一挙に後手勝勢に! 素直に▲8三桂成でよかったのだが、△同玉で次にどうすればいいのかがわからなかった。東大先生の手順は▲8三桂成△同玉▲6八金上△同と▲同金△同馬▲6七金△5九馬で先手十分。 後手もチャンスを逃さず△7九銀不成から一気の寄せに。△7八銀と玉の腹銀で必死を形づくるが単に△8七銀で即詰みだった。一手スキで助かったと思っても、先手からの即詰めはないので万事休す・・・。 待望の居飛車振り飛車対抗型の将棋、自分でも得意と思っていただけあって珍しく中盤終わりまでほぼ互角。むしろ先手が少しずつ良くなっていったのだが、終盤一手の悪手で一気にひっくり返る。まぁこれこそ将棋の醍醐味。負けはしたが、個人的には満足いく将棋は指せたつもりだ。 #ref(yosen03-07.jpg) 開始日時:2010/01/08 21:22:00 棋戦:名人戦6級リーグb 予選03 戦型:居飛車左美濃・向かい飛車 先手:kure90 後手:jonb_tv ▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △3三角 ▲4八銀 △2二飛 ▲6八玉 △4二銀 ▲7八玉 △6二玉 ▲5八金右 △7二玉 ▲9六歩 △9四歩 ▲7七角 △同角成 ▲同 桂 △3三桂 ▲8八玉 △8二玉 ▲7八銀 △7二銀 ▲6六歩 △5四歩 ▲6七金 △2一飛 ▲8六歩 △5三銀 ▲3六歩 △4二金 ▲1六歩 △1四歩 ▲3七銀 △8四歩 ▲2五歩 △8三銀 ▲2六銀 △4四銀 ▲1五歩 △同 歩 ▲同 香 △同 香 ▲同 銀 △7二金 ▲2四歩 △同 歩 ▲1二角 △1一飛 ▲1三歩 △2五歩 ▲2三角成 △2六香 ▲同 銀 △同 歩 ▲同 飛 △3八角 ▲1二歩成 △7一飛 ▲4六香 △5三銀 ▲2四飛 △4七角成 ▲4九香 △3八馬 ▲3四馬 △4九馬 ▲4三香成 △4七歩 ▲3三成香 △同 金 ▲同 馬 △4八歩成 ▲2二飛成 △5八と ▲7九金 △5九馬 ▲7五桂 △6八銀 ▲6三桂成 △7九銀不成▲同 玉 △6八金 ▲8八玉 △7八金 ▲同 玉 △6九馬 ▲8八玉 △7八銀 ▲7二成桂 △同 銀 まで90手で後手の勝ち -[[kureの24名人戦奮闘記]]

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