大会観戦記 第171回

171回大会

大会も171回を迎えた。私など10回大会くらいから顔を出し始めたメンツである。
相当な昔のように思えて、随分と続いてる大会と思ったものだ。

図1はbigineer氏とMobius氏の対局。
図に至るまでの手順は見ていないが、既に見たこともない形でおもしろい。
先手が中飛車で、▲5五歩の位を取っていないのも気になるが、
後手の玉の囲いも異様な感じだ。
  図1
問題は、図で銀で取るか、玉で取るか。
実戦は▽同玉~▽7四歩▲5五角の王手飛車を食らった。
大ポカで一気に将棋は終わってしまった。

これは普通の感覚でいけば▽同銀である。
あとは▽3三銀と壁銀を解消し、▽2二玉~▽3二金上と囲う。
▽同玉だと王手飛車がつきまとい、▽8五まで歩を伸ばしているのに
飛車先の歩を切ることができない。残念であった。


図2はyuuiti氏とtrgf氏の対局。
後手が棒銀で8筋から戦いを起こしている。
図2

以下の指し手
36 7六歩打 ( 0:11/00:00:36)
37 8八銀(77) ( 0:24/00:00:29)
38 8六銀(75) ( 0:10/00:00:46)
39 8三歩打 ( 0:03/00:00:32)
40 8三飛(82) ( 0:14/00:01:00)
41 8七歩打 ( 0:05/00:00:37)
42 7五銀(86) ( 0:14/00:01:14)

▽7六歩打はやや疑問。この形では打たない。
▲8七歩と追われ▽7五銀と、持ち駒になるはずの銀が立ち往生してしまった。
▲8三歩と叩かれ飛車を浮かされたのも角打ちを生じさせ痛い。
素直に▽8六銀から交換していればよかった。
以下yuuiti氏が落ち着いて指し、完封してしまった。

図3はamori氏とkappa氏の対局だ。
kappa氏が駒組みを進め▽7四歩としたところ。
図3
以下の指し手。
49 3四歩打 ( 0:06/00:01:51)
50 2二角(33) ( 0:03/00:01:25)
51 3七桂(29) ( 0:12/00:02:03)
52 7三桂(81) ( 0:02/00:01:27)
53 2四歩(25) ( 0:15/00:02:18)
54 2四歩(23) ( 0:05/00:01:32)
55 2四金(35) ( 0:02/00:02:20)
56 6五歩(64) ( 0:18/00:01:50)
57 5七銀(66) ( 0:23/00:02:43)
58 5五角(22) ( 0:17/00:02:07)
59 5五角(88) ( 0:02/00:02:45)
60 5五飛(51) ( 0:01/00:02:08)

居飛車は金をぐいぐい前線に出し完全に押さえ込もうとする。
それが▲4五と▲5五の位から伺えるのだが、▲3四歩が無策だったか。
図では▲4四歩から角道を遮断し、▲3四金~で左翼を封じるのがよかっただろう。
実戦は後手にスパッと捌かれて手も足も出ずに終わった。▲2四金も遊んでいる。
ここまで押さえ込んで勝負形にしていただけに惜しい。

図4はとろろ氏とG5OPor氏の対局。
違和感を感じる。
▽4五歩は大抵▲4六銀とぶつかっているはずなのだが。
すなわち▽4五歩の反発はゆるく、反発とも言い難い。
居飛車が良くなりそうだ。
図4
以下の指し手
31 3三角成(88) ( 0:07/00:00:34)
32 3三飛(32) ( 0:02/00:00:29)
33 2二角打 ( 0:04/00:00:38)
34 4三銀(34) ( 0:28/00:00:57)
35 3三角成(22) ( 0:03/00:00:41)
36 3三桂(21) ( 0:00/00:00:57)
(図5)
手順中▲2二角打では▲6六角打の方が優るが、どっちでも問題ないだろう。
問題なのは図5であった。ここは先手有利である。

図5での第1感は▲3三飛成である。▽4四角など▲同竜で問題ない。
あとは▲4一飛車と打ち下ろせば桂得で銀取り。銀が逃げれば後に▲5五角が生じる。
以下の指し手。
37 6六銀(57) ( 0:04/00:00:45)
38 3四歩打 ( 0:14/00:01:11)
39 3一飛打 ( 0:13/00:00:58)
40 2五桂(33) ( 0:16/00:01:27)

▲6六銀でおかしくなった。不利とまでは言わないが相当逃している。
こういう勝負所で強気で指すことが大切なのだ。
そしてもったいない一着となったのが図6である。
図6
ここで▲1三竜寄がおかしく、竜が逃げるなら、▲2一竜上だ。次に▲6一竜が強烈。
すぐに▽4七角成は落ち着いて戦えない。いったん後手は▽4一歩としても▲2五歩。
▽4七角成も二枚替えだが、▲9五歩の端攻めでもしておいて十分だ。
勝ったのはとろろ氏だった。

図7はtetti氏とpoppo氏の将棋だ。
先手の中飛車に後手が三間飛車で対抗して図になった。
実戦の進行は図で▽2二角と引き▲1二歩▽1四歩▲1一歩成となった。
▽2二角はどうなのだろうか。ここは▽3六歩と突くくらいだったか。
▲同歩であれば▽4六角と捌く。駒損でも30秒将棋だから指せるだろう。
図7

決敗戦

久しぶりに大会を観戦したが人数が少ないのがいつも気にかかる。
これなら組み合わせや棄権者によっていきなり決勝や決敗もありえる。
永世称号を持った者が決敗を取ってしまう可能性はなきにしもあらず・・・
私も過去にひどい目に合ったのだ。

決敗とくれば短手数で決着がつくイメージがある。
大ポカや見落としがあってすぐに決まることが多いからだ。

図は後手が▽4四角と自陣角を打ち下ろした局面。決敗にしてはなかなかの好手である。
先手は歩切れで後手からの角の睨みがあり、▲6五歩と桂を取れず不利な局面だ。
さらに先手の▲3九銀が出遅れているのに対し、後手がバランスよく組み上げている。
37 8八銀(79) ( 0:05/00:03:30)
38 7五歩(74) ( 0:05/00:01:56)
39 6五歩(66) ( 0:10/00:03:40)
40 7六歩(75) ( 0:02/00:01:58)

▲8八銀とした後の、▽7五歩はもったいない。
先手は▲6五歩と桂を取って盛り返した。
ここは▽6六角とすれば桂が生きる展開だ。次に▽5七桂成を狙っている。
図で▲8八銀は▽6六角があるため、▲6七金直か▲8八角の粘りで指すべきである。

そして上図、やや先手持ちの局面か。▲6四歩の攻めもある。(取れば▲8二角、逃げれば▲6三桂)
ここでG5氏は▽8八角成▲同玉に▽7七銀打と攻めた。何がなんでも無理筋である。
銀と桂の交換で攻めが切れてしまった。

上図はなんとか攻めを繫ごうと歩を垂らした所。
手筋ではあるが持ち駒が歩だけでは流石にどうにもならない。
しかし先手の次の一手がいけなかった。
55 7七歩打 ( 0:03/00:05:41)
56 7七歩成(76) ( 0:02/00:02:43)
57 7七金(67) ( 0:05/00:05:46)
58 7七桂成(85) ( 0:02/00:02:45)
59 7七金(78) ( 0:01/00:05:47)
60 7六歩打 ( 0:02/00:02:47)
▲7七歩打がいただけない。7七の地点は後手がそこに単純に成って攻める所だ。
合わせるのは、後手からそこに駒を打たれる心配があるときのみである。
桂と金を交換され、さらに▽7六歩と打たれては攻めが続いてしまった。
ここは▲8九桂と下段の桂に力ありで受ければしっかりしていた。(下図)
後手が単純に清算して攻めを繰り返せば、持ち駒が歩三枚なので3回でこと切れる。
金か銀がないと攻めれないのだ。

60手目の▽7六歩打が相当厳しく以下数手で詰んでしまった。
最終手▽7六歩打には金でむしり取るくらいだが、▽同飛に歩で受けても
▽6七金と手がかりに打たれる。要するにどうしようもなくなっているのだった。

決勝

決勝はtetti氏とkoha氏である。
tetti氏は中飛車党であることは知っているがkoha氏の将棋は、はじめてみる。
図は先手のtetti氏が▲4六角と出たところ。次に▲6四銀狙いだ。
▲7六歩を突いていないので▽4五歩は怖くないということだ。
▽4五歩はあるが、▲5五角で後手がどう動くべきか難しいだろう。(▲5七角は▽7四歩)
▽同角▲同歩に▽7四歩と銀を追っても良くなるか分からない。
もちろんkoha氏は読んでいたはずだが、形勢はあまり芳しく感じていなかったようで
▽6二飛車と妥協した。
▲8四歩 △同 歩 ▲同 銀 △8三歩 ▲9三銀成△同 玉 ▲9四歩 △8二玉 ▲9三歩成
ここで先手は積極的に動いた。▽6二飛車は後手の玉の脱出口を無くした意味で
この形で端を攻めたくなる。
美濃囲いの▲6二歩▽7一金型などよく現れるが、特にその例として典型的だ。
端の成り捨てに後手の▽同玉の応手は矢倉戦でもよく現れる手筋で、柔軟な受けである。
そして上図の▲5七角がややゆるい。ここは先に▲9四飛だった。
手番を渡したため、その間に後手は▽2二飛と戻し▽2三香と攻めの体勢を作った。

そして最終盤。▽2四角は詰めろではない。よって詰めろの連続で攻めれば
先手勝ちの変化があるはずである。
ここで▲8一銀の一手がある。これは受けるよりないが▽7一銀くらいである。
①▲7二銀成▽同銀▲8一銀は▽6一銀打で千日手模様。
②▲7二銀成▽同銀▲7一銀は▽6一玉で耐えていて難解。
③▲9三角成は目をつむって▽5七角成。以下▲7一馬▽5一玉に▲6一馬などで詰むか。
難解であり、上図では▲2七歩など平凡であるが受ける手もあった。
実戦では▲4八玉と逃げたので▽5七角成から寄せられてしまった。
序盤中盤は強引でも、終盤は誰だって神経質になるものだ。





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最終更新:2009年07月19日 09:19