対 右四間1

雁木実戦譜


対 右四間飛車1

棒銀と並び、雁木最大の難敵ともいえる対右四間飛車戦。御存知のとおり、右四間飛車も狙いは単純ながらその破壊力はバツグンで、決まれば棒銀をはるかに凌駕するほどの攻撃力をひめている。無論、その破壊力ゆえ、雁木側の主力攻撃策ともなっているのだが、相手に右四間を使われるとどうか? 雁木ははたして受け切れるのか? 
結論はキッチリ受けきれる。そもそも雁木は上部に手厚い構えであるので、上部から攻撃してくる右四間には比較的相性はいいハズである。が、しかし、きっちりとした受け方を知らなければ雁木といえどもたちまち攻めつぶされてしまう。雁木が未熟だったころは何度もそれで辛酸をなめてきた。ここでは対右四間の戦い方を解説していくので、その呼吸をしっかり身につけていただきたい。相手の右四間が未熟であれば、逆にカモにできるだろう。

雁木で右四間飛車と戦うにおいて、これまでのkure及び先人の研究より二型の迎撃陣形がある。言ってみれば、攻め一辺倒の右四間相手には雁木は「受け一辺倒」で迎え撃つのがよいと思われる。下手に攻めあっても右四間のほうが攻めも速く、攻撃力も高いため打ち勝てない。

まずは1つ目の迎撃型を紹介しながら解説していこう。



先手: 雁木
後手: 右四間飛車

▲7六歩 △8四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲6八銀 △6四歩
▲5六歩 △6三銀 ▲6七銀 △5四銀 ▲4八銀 △3四歩
▲5七銀 △6二飛 ▲7八金 △7四歩 ▲5八金 △7三桂
▲6九玉 △4二銀 ▲7七桂 △3二金 ▲6八金右 △4一玉
▲7九玉 △5一金 ▲3六歩 △3一玉 ▲3八飛 △6五歩
▲同 歩 △同 桂 ▲同 桂 △8八角成 ▲同 金 △6五銀
▲6六歩 △5四銀 ▲7三角 △6一飛 ▲6四桂 △6三銀
▲8二角成 △6四銀 ▲7二馬 △7五歩 ▲6一馬 △同 金
▲6三飛 △5一金 ▲6四飛成 △8二角 ▲7三銀 △同 角
▲同 龍 △7六歩 ▲同 銀 △4九角 ▲4八飛 △2七角成
▲7一龍 △5九銀 ▲5八飛 △6八銀成 ▲同 飛 △8五桂
▲同 銀 △同 歩 ▲6三桂 △6二銀 ▲9一龍 △7六桂
▲5一桂成 △6八桂成 ▲同 銀 △5一銀右 ▲5二銀 △3九飛
▲6九香 △7六桂 ▲7八金 △7七歩 ▲同 銀 △4九馬
▲7六銀 △同 馬 ▲6七金打 △5四馬 ▲4六桂 △8一金
▲5四桂 △9一金 ▲4二桂成 △同 銀 ▲5五角 △4九飛打
▲5八銀 △4四銀 ▲9一角成 △2二玉 ▲4九銀 △同飛成
▲4一銀不成△5八銀 ▲3二銀成 △同 玉 ▲6八金引 △7六桂
▲7一飛 △6八桂成 ▲同 金 △3三玉 ▲2五桂 △2四玉
▲4六馬 △3五歩 ▲1六桂 △2五玉 ▲2六歩 △3四玉
▲3五歩 △同 銀 ▲2五角 △3三玉 ▲3四金 △3二玉
▲2三金 △同 玉 ▲2一飛成
まで129手で先手の勝ち





【棋譜解説】
初手からの指し手
▲7六歩 △8四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲6八銀 △6四歩
▲5六歩 △6三銀 ▲6七銀 △5四銀(第1図)


後手が二手目に飛車先をついて居飛車を表明してきたので、先手は▲6六歩をつき振り飛車含みの雁木を狙う。それを見て後手は△6二銀。ここに銀が上がってくれば要注意だ。後手が攻めを目指してくるなら、まず右四間飛車がその選択肢の第一候補となる(△7二銀なら棒銀)。さらに△6四歩とついてくれば右四間で来ることはほぼ確定といってもいいだろう。先手の四間飛車模様に対して後手が右四間で対抗。実に普通の立ち上がりである。
四間飛車に自信があれば飛車を振って受けてもよいが、ここはやはり雁木で対抗だ。後手は△5四銀と早くも銀を腰掛けて右四間マンマンの構えだ。が、まだ角道すら開けておらず、仕掛けはしばらく先になるだろう。


第1図以下の指し手
▲4八銀 △3四歩 ▲5七銀 △6二飛 ▲7八金 △7四歩
▲5八金 △7三桂 ▲6九玉(第2図)


先手は▲4八銀と雁木を目指す。四間飛車だと思っていた後手はおそらく?だろう。とりあえず△3四歩とようやく角道を開ける。
角の聞いていない右四間飛車はただ飛車が4筋にいるだけにすぎないので絶対手だ。先手は▲5七銀と二枚銀をつくり、上部に厚みをもたせる。これで後手もそうやすやすとは仕掛けづらいだろう。以下、お互い着々と駒組みを進めていく。
後手の△7三桂で右四間の攻めの体勢はほぼ完成だ。が、しかし、さすがに居玉のままで仕掛けてくるのは反発がキツすぎるので、ここですぐの仕掛けはまずないだろう。先手も普通に雁木を完成させる。しかし、後手からいつ仕掛けられてもおかしくはない局面。ここから、どう指していくか?


第2図以下の指し手
△4二銀 ▲7七桂 △3二金 ▲6八金右 △4一玉 ▲7九玉
△5一金 ▲3六歩 △3一玉 ▲3八飛 △6五歩(第3図)


後手も居玉の仕掛けは無理とみて△4二銀から自陣の整備に入る。△4二銀~△3二金とカニ囲いの構えだろうか。通常は、△3二銀~△4二玉~△3一玉と左美濃風に組むことが多い。雁木の受けの陣形としてはまず△7七桂と左桂を跳ねる。これで角が使えなくなるため、実質、攻めを放棄することにもなる。来るなら、来いと完全に受けの体勢で迎え撃つ腹だ。この桂跳ねは基本的に後手が右桂を跳ねた後で跳ねるのがよい。できれば△7三桂の直後に▲7七桂と跳ねるタイミングがベストである。相手の桂が跳ねていないのにこちらが跳ねては角が使えなくなるし、桂頭も狙われてしまう。
後手が陣形を整えている間に先手も陣形を組み替える。▲6八金~▲7九玉とギュッと引き締めるのが対右四間の布陣その1である。覚えておいてもらいたい。これでひとまず、陣形は整ったので、次に反撃の態勢を築いていく。受けているだけでは勝てない。雁木の狙いは右四間飛車の攻めを受けきって凌ぎ、反発のカウンターを狙うことである。振り飛車に近い思想だ。飛車先をつかずに袖飛車からの反撃を狙うのがその一つ。対右四間で覚えておいてほしいのが、この戦型ではほぼ確実に角交換になるということ。つまり、仕掛けられる前に角の有効な打ちこみを消しておきたい所であり、この袖飛車はその攻防を兼ね備えた体勢になるのである。
後手からはいよいよ△6五歩の仕掛けが飛んできた!

第3図以下の指し手
▲同 歩 △同 桂 ▲同 桂 △8八角成 ▲同 金 △6五銀 ▲6六歩 △5四銀
▲7三角 △6一飛 ▲6四桂 △6三銀 ▲8二角成 △6四銀 ▲7二馬 △7五歩
▲6一馬 △同 金 ▲6三飛(第4図)


後手が仕掛けてくればそこから先はしばらく一直線の展開。▲6五歩△5四銀と銀を追い返して一段落。右四間の銀がさばけず引かされるようでは仕掛けは成功とはいえないだろう。二枚銀の雁木の上部に対する強さが実感でききる。そして、▲7三角が先手のかねてからの狙いの一手! △7三桂からの右四間の仕掛けに対してはこの角打ちが必ず先着の有効打となるのだ。
先手の雁木は比較的まとまっており、角の有効な打ち場所もないが、後手陣はスカスカでスキが多い。▲6四桂はイマイチだったが、飛車角交換して後手からの6筋からの脅威は完全に取り去った。


【変化A】
ここで先手雁木が仕掛けられる前に袖飛車ではなく、居飛車のままで反発を狙うとどうなるのかを見てみよう。重要な変化なので頭に入れておいてほしい。
第A図は27手目に▲3六歩に変えて▲2六歩と突き、△3一玉▲2五歩として△6五歩と仕掛けてきた所。
飛車筋の一路の違いがどうなるのかを見てみよう。

A図以下の指し手
▲同 歩 △同 桂 ▲同 桂 △8八角成 ▲同 金 △6五銀 ▲6六歩 △同 銀
▲同銀右 △3九角 ▲3八飛 △6六角成 ▲同 銀 △同 飛(B図)

仕掛けからしばらく同様に進んでいくものの、▲6六歩に強く△同銀と取られる筋が生じる。以下、△3九角~△6六角成~△同飛が後手の狙いだ。先手が居飛車だと、この△3九角からの強襲があるのだ。B図の局面ではほぼ互角だが、先手は飛車が使えていないし、守りも銀二枚がはがされ、歩切れもあり、後手が若干指しやすいようだ。この変化がイヤなので袖飛車のほうがいいだろう。
ただし、▲2六歩をついた状態で袖飛車にすると今度は△2七角と打たれるので注意だ!




第4図以下の指し手
△5一金 ▲6四飛成 △8二角 ▲7三銀 △同 角 ▲同 龍 △7六歩
▲同 銀 △4九角 ▲4八飛 △2七角成 ▲7一龍 △5九銀 ▲5八飛
△6八銀成 ▲同 飛 △8五桂 ▲同 銀 △同 歩 ▲6三桂 △6二銀
▲9一龍 △7六桂 ▲5一桂成 △6八桂成 ▲同 銀 △5一銀右 ▲5二銀(第5図)


先手の▲7三角打からしばらくは先手のターンだ。後手も△4九角から馬を作って反撃を試みるが、せっかく作った馬も使いづらい。雁木は金銀が左側に密集して玉を手厚く守っているので安泰だ。敵陣に竜を作ったので自陣飛車は守りに使うのがいいだろう。△8五銀にはあっさり▲同銀と取る。△7七金と打たれるとまずいし、これにより7筋に竜が通って自玉の上部が広く開けた。
入玉も視野に入れてよい展開だ。こうなればまず負けない。
△7六桂の両取りも逃げずに攻めあう。飛車を渡しても、広いので寄らないと判断。△6八桂成に▲同銀と取って自玉はまだまだ安泰。この銀引きが雁木の味の良さだ。


第5図以下の指し手
△3九飛 ▲6九香 △7六桂 ▲7八金 △7七歩 ▲同 銀 △4九馬 ▲7六銀
△同 馬 ▲6七金打 △5四馬 ▲4六桂 △8一金 ▲5四桂 △9一金 ▲4二桂成
△同 銀 ▲5五角 △4九飛打 ▲5八銀 △4四銀 ▲9一角成 △2二玉 ▲4九銀
△同飛成 ▲4一銀不成△5八銀 ▲3二銀成 △同 玉 ▲6八金引 △7六桂 ▲7一飛
△6八桂成 ▲同 金 △3三玉 ▲2五桂 △2四玉 ▲4六馬 △3五歩 ▲1六桂
△2五玉 ▲2六歩 △3四玉 ▲3五歩 △同 銀 ▲2五角 △3三玉 ▲3四金
△3二玉 ▲2三金 △同 玉 ▲2一飛成
まで129手で先手の勝ち(結果図)


△4九馬~△7六馬には▲6七金と手厚く受けて馬を追い払う。後手の必死の食らい付きにやや怪しくなってきた。
そこからしばらく微妙な終盤戦が続くが、なんとか勝利。もっと上手い勝ち方があっただろうが、2年くらい前の対局棋譜なので、まだkureの棋力・終盤力がヘボかったということで大目に見てください。(今もあまり進歩してないとかゆーな!)




終盤はさておき、対右四間の受けの陣形。これは参考にしてもらってもよいだろう。有段者の雁木や雁木伝説などにも載っている陣形なので確かだと思う。