予選その4 vs 右四間飛車

kureの24名人戦奮闘記 予選その4


予選その4


本日2局目の相手はrude boy氏(現R718、最高R938)。当時リーグ2位(5勝2敗)と強敵だ。居飛車党で棒銀、右四間飛車と攻撃的な棋風の持ち主のようだ。序盤から気の抜けない戦いになりそうである。


【名人戦6級リーグb 予選04局目(2010/01/08)】
 先手▲ kure90 後手△ rude boy

初手からの指し手
▲7六歩 △6二銀 ▲2六歩 △8四歩 ▲6六歩 △3二金 ▲6八銀 △6四歩
▲6七銀 △6三銀 ▲4八銀 △3四歩 ▲5六歩 △5四銀 ▲5七銀(第1図)

なんと今回も先手で4局連続先手。後手は速い攻めが得意そうなので、先手を取れてよかった処。先手▲7六歩に△6二銀! 居飛車党の自信をうかがわせる初手だ。だがこれで棒銀はなくなった。が、△7四歩から早繰り銀で繰り出してくる将棋も多く指しているので油断禁物。右四間の含みも当然ある。しばらく相居飛車の駒組みを進めるが△6四歩で後手は右四間飛車を表明。想定内だ。先手は・・・またも雁木右玉で受けるつもり! ▲6七銀として二枚銀を急ぐ。が、▲4八銀はやや危険な手だった。△3四歩▲5六歩に△6五歩! といきなりの仕掛けがあるからだ。角が浮いていて△同歩と取れないのがつらい。▲7八金とすべきだった。が後手は仕掛けを見送り、右四間に組み上げていく。見落としたのか、見逃したのか助かった処。▲5七銀と二枚銀を完成させて一安心。

第1図以下の指し手
△5二金 ▲7八金 △4一玉 ▲5八金 △7四歩 ▲3六歩 △3三角
▲3七桂 △2二銀 ▲4六歩 △4四歩 ▲4七金 △1四歩 ▲1六歩
△7三桂 ▲4八玉 △9四歩 ▲9六歩 △8五歩 ▲2九飛(第2図)

以下、第一局同様にお互い駒組を進めていく。後手は左美濃ではなくカニ囲い風。右四間をやるなら左美濃のほうが良いだろう。本譜はきっちり右桂も活用してきたので、▲2九飛まで先手の雁木右玉陣形がしっかり間に合った。ここまできっちり組み上がれば右四間の仕掛けは全く怖くない。集中攻撃する6筋とは明後日の方向に玉を逃げられていては、攻めの理想型も迫力がない。

第2図以下の指し手
△4三金右 ▲3八玉 △3一玉 ▲9七角 △6三銀 ▲7五歩 △同 歩 ▲同 角
△7四歩 ▲9七角 △9五歩 ▲8八角 △9六歩 ▲同 香 △同 香 ▲9七歩(第3図)

先手は一旦▲3八玉とより1路深く玉を寄せて、▲9七角と浮いた歩を狙って揺さぶりにかかる。雁木理想型vs右四間と違い、雁木右玉は組み上げた後もスキを作らずに比較的動きやすいのが長所。kureが雁木から雁木右玉に鞍替えした所以だ。7筋で一歩補充したものの角を追われて△9五歩と後手からも動かれる。これも一応は想定内。右玉では9筋の端を破られてもあまりたいしたことがない。場合によっては▲9九飛から逆襲も狙えることがある。本譜も▲9七歩でお互い香交換。お互い香を取り合ってほぼ互角か。結局、後手は右四間の仕掛けはできなかった。

第3図以下の指し手
△8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △8一飛 ▲9六歩 △8二香 ▲2五桂
△2四角 ▲3三香 △同 桂 ▲同桂成 △同 銀 ▲5五桂(第4図)

実はここでは後手がやや指せる。△8三香と打って露骨に8筋を狙って破ってしまえたのだ。しかし△8六歩が逸機。▲同歩△同飛と飛車先を突き捨ててからじっくり8、9筋に手をつけるつもりだったのだろう。しかしそこから△8二香も厳しい。部分的に8筋はもう受からない。だが、ここを破られても先手玉にはまだまだ響かない。先手は後手玉頭で動いて対抗するしかない。▲2五桂がその一歩。右玉ではこの桂跳ねの余地を残すため、飛車先の歩が切れそうにないときは▲2六歩のままでいたほうがいいのだ。
しかしこの手もいまいち。▲3三香もいかにも強引な手で、駒損。一応は継続の狙いはあったが、後手にかわされると不味いところだった。しかし▲同桂成を△同銀と取ってくれたのが狙いにハマってくれて助かった。▲5五桂が効いたからだ。だがこれでも先手が不利な処。ちょっと強引すぎた。

第4図以下の指し手
△5四銀 ▲4三桂不成 △同 銀 ▲7二金 △9一飛 ▲8二金
△9四飛 ▲7二金 △8四飛 ▲7三金 △4五歩 ▲2五桂(第5図)

第4図からは後手は両取りにかまわず、△8七香成と攻め合えば8筋を破って角金が取れそうで後手ハッキリよかった。玉頭の攻め合いは多少手抜いても後手陣は矢倉で固かったのだ。弱気な△5四銀が悪手。▲4三桂不成△同銀で銀矢倉を再生する狙いだったが、▲7二金が入ってしまっては逆転だ。以下8二の香を取ってしまって後手の攻めを潰して先手よし。後手の飛車が孤立してしまったので△4五歩と今度は角を使いにかかる。そこへ再び▲2五桂と矢倉を攻める。

第5図以下の指し手
△5四桂 ▲3三桂成 △同 金 ▲2五歩 △4六角 ▲同 銀 △同 歩
▲5七金 △4五桂 ▲4八玉 △5七桂成 ▲同 玉 △4五桂 (第6図)

△5四桂は緩手で、△4六歩▲同銀△5四桂のほうがスピードのある攻めだった。先手はすかさず銀を取って▲2五歩と要の角を攻める。
△1三角なら▲4五歩と取ってしまうのがいい。△4六角と切り込むのはつらい手のようだが、東大先生も推奨の勝負手。もちろん形成は先手優勢だ。
問題はこの勝負手にどう応じるか。角を取るのが自然だが▲同金が良かったか。△同歩が銀取りにならない。本譜は▲同銀△同歩で金取りに当たってしまい手抜けない。▲2四歩△同歩と利かせてから▲同金と取るのが最善だったようだ。続く▲5七金が危険な一手。▲4八金のがまだいい。ここらへん、後手気迫の勝負手に先手も変調で優劣がしきりに入れ替わる。△4五桂がまた厳しい。4、5筋をいくら受けていてもきりがなさそうだ。金を犠牲に▲4八玉と左側への逃げの活路を見出しにかかる。こうなっては▲3八玉の一手が悪い方向に働いてしまった。右玉からの玉頭の攻めは常に反撃が厳しい・・・。

第6図以下の指し手
▲6八玉 △5七銀 ▲7七玉 △7五歩 ▲8六歩 △7六香 ▲同 銀
△同 歩 ▲同 玉 △7四金 ▲同 金 △同 飛 ▲7五香(第7図)

△5七銀は緩手。△4七歩成▲7七玉△5七桂成で銀を温存したままのほうがいい。4筋の歩桂が立ち往生してしまった。△7五歩に▲8六歩とさらに左へ逃げ道を確保。玉が広く自在に逃げ回る右玉の指し回しだ。△7六香にノータイムで▲同銀。これでしのいだと思ったが、次に△6六銀成▲8七玉△7六歩で苦しかった。本譜は△同歩で▲同玉と上部へも開けてきた。▲7三金が地味に後手飛車の動きを牽制している。金をぶつけて△7四飛となんとか飛車を活用するが▲7五香が先手を取る受け。

第7図以下の指し手
△8四飛 ▲5一角 △6六銀成 ▲同 角 △6五銀 ▲8七玉
△6六桂 ▲4二銀 △2一玉 ▲2二金 △同 玉 ▲3三銀不成(結果図)
まで115手で先手の勝ち

と思ったのだが、△6六銀成とされるとまずかった! が後手は秒読み、先手の強気な受けに弱腰で△8四飛が勝敗を決めた悪手。▲8五歩でよっしゃ!完全にしのげたぜ、と考えたがまだ先手は時間があったのでちょっと深呼吸して局面を見直す。すると▲5一角という値千金の決め手があるではないか! コロコロと形成が行き来したがこの一手でハッキリ先手勝ちを確信。以下ようやく後手の△6六銀成がくるも時すでにお寿司。△6六桂に▲8四角成! などと飛車を取っている場合ではない。▲4二銀からきっちり即詰みに討ち取る。途中、▲2二金の捨て駒が寄せの決め手だ。
これで2勝2敗。リーグ5位。リーグ上位1位2位から金星を上げることができた。が、内容的にはいずれも負けていておかしくない、下手すれば4連敗だった処・・・。おーこわ。



開始日時:2010/01/08 22:14:53
棋戦:名人戦6級リーグb 予選04
戦型:雁木右玉・右四間飛車
先手:kure90
後手:rude boy

▲7六歩 △6二銀 ▲2六歩 △8四歩 ▲6六歩 △3二金
▲6八銀 △6四歩 ▲6七銀 △6三銀 ▲4八銀 △3四歩
▲5六歩 △5四銀 ▲5七銀 △5二金 ▲7八金 △4一玉
▲5八金 △7四歩 ▲3六歩 △3三角 ▲3七桂 △2二銀
▲4六歩 △4四歩 ▲4七金 △1四歩 ▲1六歩 △7三桂
▲4八玉 △9四歩 ▲9六歩 △8五歩 ▲2九飛 △4三金右
▲3八玉 △3一玉 ▲9七角 △6三銀 ▲7五歩 △同 歩
▲同 角 △7四歩 ▲9七角 △9五歩 ▲8八角 △9六歩
▲同 香 △同 香 ▲9七歩 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛
▲8七歩 △8一飛 ▲9六歩 △8二香 ▲2五桂 △2四角
▲3三香 △同 桂 ▲同桂成 △同 銀 ▲5五桂 △5四銀
▲4三桂不成△同 銀 ▲7二金 △9一飛 ▲8二金 △9四飛
▲7二金 △8四飛 ▲7三金 △4五歩 ▲2五桂 △5四桂
▲3三桂成 △同 金 ▲2五歩 △4六角 ▲同 銀 △同 歩
▲5七金 △4五桂 ▲4八玉 △5七桂成 ▲同 玉 △4五桂
▲6八玉 △5七銀 ▲7七玉 △7五歩 ▲8六歩 △7六香
▲同 銀 △同 歩 ▲同 玉 △7四金 ▲同 金 △同 飛
▲7五香 △8四飛 ▲5一角 △6六銀成 ▲同 角 △6五銀
▲8七玉 △6六桂 ▲4二銀 △2一玉 ▲2二金 △同 玉
▲3三銀不成
まで115手で先手の勝ち



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最終更新:2010年01月09日 18:31