895 名前:『ガンダムDX、行くぜ!』投稿日:2006/07/05(水) 20:10:18 ID:???
『過ちは繰り返すな』
その言葉が、耳の奥でまだ消えない―――――
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アスランは、叫んだ。叫び、自分の姫の手を取った
「こんなところで君を死なせるわけにいくか!!」
慣れた手つきでパネルをたたき、アスランはモビルスーツを起動させる
かつて、慣れ親しんだザフトの機体。世代が変わっても基本は変わらないようだ
ザク・・・・ユニウス条約締結後、プラントで開発された次世代モビルスーツ
モニターに示されたスペックは、かつての友が使っていたMS、ストライクガンダムをも上回っている
(どうする・・・・?)
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ・・・・・
パネルに入力しながら、アスランは瞬時に思考をめぐらせた
プラントのデュランダル議長と、オーブ代表カガリ・ユラ・アスハの非公式会見の途中、
突如起こったこの混乱状態。謎のモビルスーツが出現し、周囲は破壊の嵐に襲われた
この混乱状態における、アスラン・ザラ絶対の最優先事項、それは姫の生存
自分の背中にしがみついている、オーブ代表、カガリ・ユラ・アスハの生存
断じて争いに介入することではない。オーブ所属の自分が下手にMSを撃墜すれば、それは外交問題になりかねない
(逃げることだ)
ガシャン・・・・・・
にぶい地響きをあげ、ザクは立ち上がった
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896 名前:Xキャラ→種死世界 『ガンダムDX、行くぜ!』投稿日:2006/07/05(水) 20:11:31 ID:???
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オペレーターのメイリン・ホークは思わず血相を変えて叫んだ
「インパルス!? 発進が遅れています! どうしたんですか!?」
『そんなこと言ったって! 合体調整がずれてたんだよ!! プログラムを修正する、少し待ってくれ!』
そして、『運命』も、ずれた
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897 名前:Xキャラ→種死世界 『ガンダムDX、行くぜ!』投稿日:2006/07/05(水) 20:12:37 ID:???
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ブィン・・・フィンッ!
アスランとカガリを乗せた、ザクの目前をビームサーベルがかすめていく
アスランのプランはもろくも崩れ去った
ザクが起動したのは、よりによって新型・ガイアガンダムの目の前だったのだ
そのおかげで目をつけられ、いきなり戦闘状態に巻き込まれる羽目になる
(なんで・・・・ガンダム!? どこが作った・・・誰が動かしてる・・・・!)
アスランの胸に湧き上がる疑問。その謎を解くより、ガイアの攻撃の方が早い
迫り来る、ビームサーベル。自機のザク、押されている。性能差、明らか、つまり苦戦
「ッ・・・・! カガリ・・・・!」
叫ぶ。敗北の予感がする
「うわ・・・アスラン!」
カガリの声。振り返れば
「もう一機・・・!?」
また、新たなガンダムが背後から迫ってくる
898 名前:Xキャラ→種死世界 『ガンダムDX、行くぜ!』投稿日:2006/07/05(水) 20:15:29 ID:???
ザシュゥ!
突如あらわれたザフトの新型機・カオスガンダムのビームサーベルに、
アスランのザクは腕を無残に切り落とされた
(パイロットでカバーできる戦力差じゃないッ! このままじゃ負ける!?)
アスランが思った、その瞬間だった
フィィィィィン・・・・・・
聞きなれない音がした。まるでレーザーの発射されるような音だが、奇妙に静かな音だった
空。そう、空からその音がする
アスランは不覚にも空を見上げた。よそ見は戦闘の最中にやることではない
アスランほどのパイロットが、不覚にもその禁を破って、空を見上げた
そこにあったのは、一機のMS
背には巨大なキャノン砲と思われるものを二つも背負い、全体的に重量感を感じさせるMS
顔は、ガンダムだった
それがガンダムダブルエックスと呼ばれるものであることを、この世界の人間は知らない
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899 名前:Xキャラ→種死世界 『ガンダムDX、行くぜ!』投稿日:2006/07/05(水) 20:17:59 ID:???
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最初は光に包まれた
次に目を開けた時、世界は変わっていた
「ここは・・・・・どこだよ!?」
ガンダムDXのコクピットで、Gコンを握り締めながら、ガロード・ランは目を見開いた
(エスタルドじゃない・・・・!?)
フリーデンクルーは、新連邦軍と戦うエスタルドに、傭兵のような立場で所属していた
ガロードはエスタルドと新連邦の決戦の機運が高まる中、単独偵察に出ていたのだ
日没まで前線にいたが大した異変も見られないので、ガロードはエスタルドに帰ろうとした
その帰り道を、突如異変が襲ったのだ
月から、光が落ちてきた
サテライトキャノンは月からのガイドレーザーを受け、次にマイクロウェーブをチャージしてから発射する
だから月から光が落ちてくるのは、このガンダムDXという機体にとっておかしくないことのはずだった
しかし今回、受けた光は少し違っていた
マイクロウェーブの受信操作はしてないし、なにより受けた光の量が膨大だった
そして急にガンダムDXの操縦ができなくなり、次に世界は変わっていたのだ
「戦・・・・・場・・・?」
ガロードはモニターに広がる光景を、呆然とした瞳で見つめた
そこにあるのは、もうもうと立ち昇る煙。破壊された施設たち。戦闘中のMSと、逃げ惑う人々だった
そこは紛れもなく戦場だった
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900 名前:Xキャラ→種死世界 『ガンダムDX、行くぜ!』投稿日:2006/07/05(水) 20:20:10 ID:???
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ザクの腕を切り落とし、ガンダムDXを視認した瞬間、
カオスガンダムパイロットのスティングは通信回線を開いた
「ガンダムがもう一機!? どういうことだ・・・・あんな機体の情報は・・・・ アウル! こっちに来い!」
自分たちが受けた命令は、ガンダムの強奪だ
しかしパイロットの乗ったガンダムを捕獲するには戦力がいる
スティングはアビスガンダムを呼ぶことにした
「ステラ・・・・!」
スティングが通信回線を閉じた瞬間、ステラのガイアがガンダムDXに向かって行くのが見えた
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901 名前:Xキャラ→種死世界 『ガンダムDX、行くぜ!』投稿日:2006/07/05(水) 20:21:33 ID:???
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ガシュゥン!
迫り来るガイアのビームサーベルを、DXはハイパービームソードを抜き放ち、受け止めた
「なんだよ! いきなり、おまえら! 新連邦か!?」
ガロードはスピーカーに通信を切り替え、周囲へと思いっきり叫ぶ
エスタルドにガンダムがいるなんて話は聞いたことがないから、
相手が新連邦である可能性は高いとは思う
しかしガロードはさっきから違和感を感じていた
ニュータイプ能力がどうこう、という違和感ではない。普通の人間が感じる、普通の違和感である
(まるで・・・・・)
902 名前:Xキャラ→種死世界 『ガンダムDX、行くぜ!』投稿日:2006/07/05(水) 20:23:30 ID:???
世界が変わってしまったような
903 名前:Xキャラ→種死世界 『ガンダムDX、行くぜ!』投稿日:2006/07/05(水) 20:25:12 ID:???
ガロードは胸に浮かんだ想いをあわてて打ち消した
先ほどの呼びかけにも関わらず、目前のMSは攻撃の気配を止めない
「問答無用かよ!」
ガロードはガイアガンダムをにらめつけ、覚悟を決めた
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904 名前:Xキャラ→種死世界 『ガンダムDX、行くぜ!』投稿日:2006/07/05(水) 20:26:04 ID:???
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ガシィィン!
ソードインパルスの合体が完了した。演習でイヤと言うほど繰り返したことだった
「また戦争がしたいのか、あんたたちは!」
インパルスガンダムパイロット、シン・アスカは戦場に降り立ちながら、叫んだ
インパルスの背からレーザー対艦刀の『エクスカリバー』を引き抜き、合体させ、構える
しかしそこで見たのは奇妙な光景だった
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905 名前:Xキャラ→種死世界 『ガンダムDX、行くぜ!』投稿日:2006/07/05(水) 20:27:37 ID:???
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(こいつ・・・・操縦は上手いけど、なんか慣れてない!)
ガロードはコクピットで奇妙な確信を持った。それがガイアガンダムとの戦いの感想だった
ガシュゥン!
DXのハイパービームソードと、ガイアのビームサーベルがぶつかり合う
「ソードの出力は、こっちの方が上なのに! まだ格闘戦にこだわるように見せて・・・・!」
ぐぐっと、DXがガイアのビームサーベルを押し込んでいく。瞬間、ガイアの形が変わった
ガシャン! ビュゥゥゥン!
突如犬のような形になったガイアの背から、ビームが放たれる
「ミエミエの罠なんだよ! その手のガンダムとはイヤというほどやってるからなァ!」
上空にブーストし、それを避けた。同時にバスターライフルを引き抜き、ビームを放つ
バシュン、ドゴォォン!
犬のようなガイアの右前足が、粉微塵になって砕け散る
「もういっちょッ!」
バシュン、ドゴォォン!
さらのガイアの左前足が、粉微塵になった。その衝撃でガイアは地に落ち、力ない老犬のように横たわる
しかし援軍が飛来し、犬の前に立ちふさがった
カオスガンダム、アビスガンダム
その名をガロードが知るよしもないが、ガンダムタイプに油断が禁物なのはいやというほどわかっている
「まとめて面倒見てやるよ! ガンダムDX、行くぜ!」
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906 名前:Xキャラ→種死世界 『ガンダムDX、行くぜ!』投稿日:2006/07/05(水) 20:28:26 ID:???
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ガイアガンダムは圧倒された。カオスに乗るスティングには、少なくともそう見えた
「持って帰るガンダムが、撃墜されちゃ意味ないだろ!」
幸い、ガイアのスラスターは破壊されてないようだ。なら空は飛べる
スティングは謎のMS、ガンダムDXを捕獲しようという考えをすぐに捨てた
そういう生半可な考えでやりあえば、自分がやられる相手だということを、
背後に横たわるガイアが雄弁に教えてくれている
その時、空から一機にMSが舞い降りた。巨大な対艦刀を手に持ち、そして、その顔は・・・・
「もう一機ガンダム・・・・!? どうなってるんだ!」
ソードインパルス。秘密裏に建造されたそれは、カオスのデータにない謎のガンダムだった
『どーすんの、スティング! あんなの予定にないぜ! ステラももう役立たずになっちまったしよ!』
アビスから、アウルの通信が飛び込んでくる。
「逃げるしかないだろ。追撃されるのを覚悟してな!」
『冗談! 相手も二機、こっちも二機! それをステラ抱えて逃げるのかよ!』
「相手の体勢が整うまでに逃げるのが得策だろう! ステラ!」
スティングが通信回線を切り替える
「ステラ、動けるな!」
『うご・・・・ける』
どこか負傷したのか、うめくようなステラの声が聞こえた
「よし、逃げるぞ!」
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907 名前:Xキャラ→種死世界 『ガンダムDX、行くぜ!』投稿日:2006/07/05(水) 20:29:29 ID:???
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ソードインパルスが、カオスガンダムに切りかかっていく
「敵じゃないのか?」
突如あらわれたソードインパルスにガロードは戸惑いつつも、敵を攻撃していることに少し安堵した
(敵の敵は味方、ってか?)
エスタルドにガンダムが建造されたという話はやはり聞かないが、そんなことは忘れてDXを動かす
バシュン、バシュン、
バスターライフルでけん制しながら、もう片手にあるハイパービームソードでアビスに斬りかかる
ビームソード、避けられた。相手のビーム。避ける。ライフル、放つ。
アビスが両肩の装甲でビームをガードした瞬間、
後方にいたガイアガンダムがMS形態になり、大空高く飛び上がった。中破してるため、やや不恰好だった
(逃げる・・・・・?)
ガロードがそう思ったとき、アビスが両肩の装甲を開いた。
(ヤバ・・・・・!)
なにというわけでもない。長いMS戦闘の経験が、ガロードに危機を感じさせた。同時に、飛ぶ
その直感は正しく
バショォォォォ!
いくつものビーム砲が、アビスの両肩から放たれていく
それは凄まじい威力で、後方の施設や、起動しかけのMSをいくつも破壊していった
その隙にアビスも飛び立ち、インパルスと戦っていたカオスも離脱していく
908 名前:Xキャラ→種死世界 『ガンダムDX、行くぜ!』投稿日:2006/07/05(水) 20:30:45 ID:???
「終わった・・・のか?」
深く息をつき、ガロードはつぶやいた。追撃するつもりはもちろんない、状況もわからないのだ
モニター越しに飛び立った三機のガンダムを見つめる。インパルスがそれを追い、
さらに別のMSもガンダムを追撃していく。
ガロードが傷を負わせたガイアガンダムの動きは悪く、出力が上手く出ないようで、
他の二機がそれをごまかしごまかし逃げているようだ
瞬間、モニターを見つめるガロードの目が大きく見開かれた
三機のガンダムを追撃するMS群の中にそれはいた
見覚えのある、一つ目のMA。カニを思わせるようなシルエット
「ゲテモノガンダム・・・・・!?」
それは、オルバ・フロストの愛機、ガンダムアシュタロンだった
MA形態のアシュタロンから放たれたビーム砲が、ふらふらのガイアを狙う
ガイアは出力不足でうまくよけられない。直撃かに見えた
しかしアビスが突如ガイアの前に出て、ビームの直撃を受ける
その隙は致命的で、アシュタロンはMS形態に変形したかと思うと、
アビスの両腕を背後からカニの腕でがっしりとつかみ、捕獲したのだった・・・・・
「君!」
呼びかける声がする
思わぬ機体の出現に呆然としていたガロードは、その呼びかけで我に返った
モニターを見ると、一人の青年が手を振っている。コクピットを開けろと手で伝えていた
「なんだ・・・・誰だよ、アンタ?」
「アス・・・・いや、アレックス、という。君、ザフトのパイロットか? さっきは危ないところを・・・・」
「ザフトって・・・・はぁ? ザフトってなんだよ」
ガロードは空を見上げ、アシュタロンを見た。アビスをしっかりと捕獲したそれは、近くの戦艦に帰っていくところだった
つづく
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最終更新:2006年09月29日 14:52