論述練習
現代政治学Ⅰ 練習問題より
・フセイン政権後のイラクの状況を政治発展論の観点から理論的に論評せよ。
→フセイン政権下のイラクはロバート・ダールの提唱したポリアーキーの観点から見ると、
自由化・包摂性がともに乏しく、閉鎖的抑圧体制に近い政治体制であったといえる。
米軍によってフセイン政権が打倒され新たに成立した暫定政府では、これらの点を反省し、
自由化・包摂性を備えた民主主義的な政府を目指して体制が作られている。しかしながら、
ハンティントンのモデルによると包摂性の進歩は、それに見合うだけの政治的制度化がな
されていない場合、無秩序で不安定な政治につながる。このように現状のイラクの場合、
フセイン政権が崩壊し、制度的に不安定な状態のまま包摂性を進歩させてしまったために
情勢がいまだ不安定である。
・他の諸国と比べアメリカの政治では政策革新が起こりやすいという説がある。
日本政治とアメリカ政治の比較を念頭に置きながら、この説について論評せよ。
→日本政治とアメリカ政治の一番の大きな差異は、議員内閣制を採用しているか、
大統領制を採用しているかの違いである。大統領制は議院内閣制と比較した場合、
政治が停滞するという考え方と停滞しないという考え方があるが、上記の説は後者の
考え方に近い説である。(未完成)
・多様性を尊重する民主政治の下では多様な利益関心をなんらかの形で集約する必要がある。
しかし、オランダやベルギーなどの国々とアメリカとではまったく異なる方法がとられている。
この差異を論じなさい。
→オランダやベルギーなどの国ではアメリカと異なり、国家が多元的な社会構造の上に成り立っている。
レイプハルトによるとこのような状況でも、大連立、相互拒否権、比例性原理、集団の自立性といった、
状況を満たせば、それぞれのサブ・カルチャーを代表するエリートたちが協調的に行動することにより、
多様な利益関心を集約することができる。アメリカでは、同質的な社会構造の上に成り立っているため、
人々が二大政党のどちらかを選択し、投票することで利益関心を集約することができる。
・独裁政治と民主政治の差異は少数派による統治と複数の少数派による統治である点であるという主張に
ついて論評せよ。
穏健な多党制
穏健な多党制は以下の条件を満たしている状態を指す。
議席のある政党の数は、概ね3から5(とされていたが、それ以上の政党があっても、三つ以下のブロックにまとまっていれば、
条件から外れない)。
政党間に体制論争がない。
政党間の政策距離が小さいため、連立が組みやすい。
双系野党の不在(政党もしくは政党群が以下のような状態におかれていることを指す)
二ブロックに分かれている。
三ブロックに分かれていて、そのうち二ブロックが連立する。
三ブロックに分かれていて、そのうち二ブロックのうちどちらかが政権を担うが、
常に政権から排除されている政党ブロックがイデオロギー的に中道に位置している。
つまり、政党間に体制論争がないということは、それはすなわち政党間の政策距離が小さいというこ
とと同義である。そのため全ての政党が政権に参加する機会があると予測されるのである。たまたま
政権に参加する機会のない政党があったとしても、それが中道政党である場合には、それは体制論争
や政策距離のために政権から排除されているわけではないということを意味する。通常、政権を担っ
てきた政党もしくは政党群だけでは、いずれも過半数に届かず、膠着状態になったとしても、第三勢
力が中道政党である場合には、連立交渉が成り立つと予測されるのである。
なお、穏健な多党制に非常に似ているが、以下の条件を満たしている状態は二大政党制となる。
議席のある政党の数は3で、二ブロックに分かれている。
議席のある政党の数は3で、そのうち2党のどちらかが政権を担うが、常に政権から排除さ
れている政党がイデオロギー的に中道に位置している(例:イギリス)
事例 [編集]
西ヨーロッパや北ヨーロッパの成熟した議会制民主主義国家では、この「穏健な多党制」にある場合が多く
、比較的規模が大きい保守主義政党と社会民主主義政党が政権交代を行い、その他にその二党より規模が小さ
い自由主義・環境主義・共産主義・民族主義政党等が存在し、必要に応じて連立政権を組むというパターンが
一般的である。サルトーリは典型的な事例としてドイツ・ベネルクス三国・スカンディナヴィア三国を挙げている。
分極的多党制
政治シリーズ記事からの派生
政党政治
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政党制[表示]
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Portal:政治学
表・話・編・歴
分極的多党制(ぶんきょくてきたとうせい、英語:polarized pluralism)とは、政治学の用語で
、政党間のイデオロギー距離が大きく多極構造をもつ政党制を指す。政治学者のジョヴァンニ・サ
ルトーリが提唱した。
概要 [編集]
分極的多党制は以下のような状態を指す。
議席のある政党の数が6以上(とされていたが、本質的には3党であっても分極的になりうる)。
左右を問わず、有力な反体制政党が存在する。
政党間の政策距離が大きいため、連立が成立しにくい。
双系野党の存在(政党もしくは政党群が以下のような状態におかれていることを指す)
四ブロック以上に分かれている。
三ブロックに分かれていて、かつ、そのうち一ブロックのみで政権を担う場合おいて、
その政権政党ブロックが、イデオロギー的に中道に位置している。
右翼ブロック、中道ブロック、左翼ブロックに分かれていて、右翼と中道(あるいは
左翼と中道)で政権交代がある場合には、中道ブロックが政権を担っているときは、イデオロギー
的に左右に野党が存在することになる。これが「双系野党の存在」である。
つまり、政権に参加する機会のない反体制政党は、当然のことながら穏健な中道政党ではないと
予測される。反体制政党があるということは、それはすなわち政党間の政策距離が大きいという
ことと同義である。そのため、その反体制政党が政権に参加する機会がないので、しばしば政権
政党の資格があるとされている政党もしくは政党群だけでは、いずれも過半数に届かず、連立政
権が発足できずに膠着状態に陥ると予測されるのである。政権を担ってきた二つの政党ブロック
は激しく政権争いをして選挙を戦ってきたのはずなので、連立のための交渉は成立しにくい。し
かしながら第三勢力は反体制政党であるため、やはり連立のための交渉は成立しにくいと予測さ
れる。
かなり数の多い多党制が前提であるので、比例代表制でこの現象が起きやすいとされる。しかしなが
ら、同じ比例代表制でも、分極的多党制にならなかったスカンディナヴィア諸国の事例もある。分極
的多党制は、(阻止条項などの小政党進出をブロックする制度をもたない)比例代表制と他の条件が
重なった場合生じると解釈することができるだろう。
ドイツでは、結果として右翼全体主義を招いてしまった反省から、戦後のドイツ連邦共和国では、
5%以上の得票がなければ議席は与えない。(阻止条項。戦後の西ドイツがすぐに取り入れた制度で
はない)
議会制民主主義を否定する政党に対しては、結社を禁止できる(「戦う民主主義」)。
などの予防策を講じている。この政策により社会主義帝国党(社会主義ライヒ党)、ドイツ共産党などは
解散させられた。
国会機能
1.法律の制定
2.憲法改正の発議
3.条約の承認
4.弾劾裁判所の設置
5.内閣総理大臣の指名
6.財政の監督
最終更新:2011年07月25日 06:15