黒木玄氏の論考註釈

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◆Q31. 私にも蒸し返させて下さい。確かに抽象的な数の掛け算には交換法則 (可換性とも言うらしいですね)が成り立つので a×b と b×a の区別を 強調することはナンセンスです。しかし、算数では抽象的な数だけではなく、 「1あたり量」「いくつ分」のような意味を持った数を教えます。 「1あたり量×いくつ分」の意味での掛け算では交換法則は成立しません。 たとえば柴田義松監修、銀林浩・篠田幹男編著の 『算数の本質がわかる授業(2)かけ算とわり算』 (日本標準、2008年) の第1章 「乗除の学び方・教え方 『1あたり量×いくつ分=全体量』の射程と問題点」 にもそのように書いてあります。引用しましょう。 | かけ算の導入には,大きくいって3つの方針がありえます。 |(a)同数累加:同じ数をたすことの簡略化がかけ算だとする: |    2+2+2=2×3 |(b)倍:「2の3つ分を2の3倍といい,2×3と書く」 | (c)1あたり量×いくつ分=全体量(内包量×土台量=全体量) | 中略 | | サイコロキャラメルの場合は「下降型」ですから、認識の順序に式を書くこと |にすると、 |    3箱×2個/箱=6個 |となるでしょうが、本書では「1あたり量×いくつ分」で統一しています。 | |ただ、(c)の乗法は、かけられる2つの数量の性格が違いますから、それらの |数量を入れ替えることはできません。つまり交換法則は成り立たないのです。そ |こが単なる数の計算とは異なるところです(その点は(a)や(b)の乗法でも大 |なり小なり同じですが)。 | | 純粋な抽象数の場合には、先のかけわり図で「1あたり量」と「いくつ分」の |区別などありませんので、それらを除いて右側面から眺めれば、3×2に見えま |すから、 |      2×3=3×2 |となって交換法則が成り立つ道理です。 このように純粋に抽象的な数の掛け算の交換法則の成立を明確に認めた上で、 意味のある掛け算における交換法則の成立を否定しています。 銀林浩氏もまた算数教育の大家だと思います。やはり「1あたり量×いくつ分」 の意味での掛け算では交換法則が成立しないのではないでしょうか? ◇A31. いいえ。「1あたり量×いくつ分」の意味での掛け算でも可換性(交換法則) は成立しています。実際、2個/箱×3箱=6個=3個/箱×2箱ですよね。 たとえば、千円札が3枚入っている袋を5つもらっても、 千円札が5枚入っている袋を3つもらっても、15枚の千円札が手に入ることに 変わりはない、というようなことを理解できないようでは、 掛け算について理解したとは言えないでしょう? この程度のことを理解できないようでは日常生活に困ること間違い無しです。 すでに上の方のQ&Aでも述べていたことですが、算数の掛け算が応用可能な状況では 必ず掛け算の可換性が成立していなければいけません。掛け算の可換性が成立して いない状況に算数の掛け算は応用できません。当たり前のことなのでよく考えて みて下さい。 おそらく、銀林さんたちは、キャラメルが2個はいっている箱が3つある状況と キャラメルが3個はいっている箱が2つある状況は互いに異なることと、 掛け算の交換法則の話を混同してしまっているのでしょう。 (もしくは別の種類の解釈で異なる二つの状況を混同することと掛け算の交換法則 の話を混同しているのかもしれない。) (A) キャラメルが2個はいっている箱が3つあると説明しているのに、 キャラメルが3個はいっている箱が2つあると考えるのは誤りです。 ★↑コレハ大切。 (B) しかし、2個/箱×3箱=3個/箱×2箱は明らかに成立しています。 実際、キャラメルが2個はいっている箱が3つあっても キャラメルが3個はいっている箱が2つあっても どちらもキャラメルの総数は6個になります。 ★↑コレモ大切。 これらはまったく別の問題です。(A)を理由に掛け算の交換法則が成立しないと主張 するのは誤りだし、(B)を理由にキャラメルが2個はいっている箱が3つある状況 とキャラメルが3個はいっている箱が2つある状況はどちらも同じだと考えるのも 誤りです。 ★↑コレモ大切。 銀林さんたちに限らず、掛け算について変なことを言っている算数教育家たちには 「キャラメルが2個はいっている箱が3つある状況」と「2×3」という掛け算の 式をできるだけ同一視したがる傾向があるように思えます。 ★「同一視」は(数学者であるからそんなことは)していないと思うが、 「キャラメルが2個はいっている箱が3つある状況」で「1あたり量=2、いくつ分=3」 と考えて同数累加を掛け算の式で表したものを「2×3」とする。 というのは正しい。このとき 「キャラメルが5個はいっている箱が2つある状況」で「1あたり量=5、いくつ分=2」 と考えて同数累加を掛け算の式で表したものは「5×2」となって「2×5」とはならない。 「5×2」から「キャラメルが5個はいっている箱が2つある状況」であるとするのは無理でも、 『「キャラメルが5個はいっている箱が2つある状況」で「1あたり量=5、いくつ分=2」 と考えて同数累加を掛け算の式で表したものは「5×2」にも「2×5」にもなる。』 というのはマチガイ。 キャラメルの問題の文脈では「2×3」という式を書いただけで「キャラメルが 2個はいっている箱が3つある状況」を意味すると思い込んでいるのではないか? 実際にそのように思い込んでいるならば、その文脈で「3×2」という式を見た途端 にその式は「キャラメルが3個はいっている箱が2つある状況」を意味していると 思ってしまうことも理解できます。そのような思い込みを根拠にキャラメルの問題 の文脈では「2×3」と「3×2」は等しくない考えてしまう。他の種類の妙な 思い込みもあるようなので、これとは別の思い込みがある可能性もあります。 いずれにせよ、掛け算の可換性(交換法則)を否定してしまうような思い込みは デタラメなので教育の現場から根絶されるべきだと思います。 ★同様に 「キャラメルが2個はいっている箱が3つある状況」で「1あたり量=2、いくつ分=3」 と考えて同数累加を掛け算の式で表したものを「2×3」とするとき 『「キャラメルが5個はいっている箱が2つある状況」で「1あたり量=5、いくつ分=2」 と考えて同数累加を掛け算の式で表したものは「5×2」にも「2×5」にもなる。』 という思い込みもデタラメなので教育の現場に持ち込んではならない。 このように算数教育の大家は必ずしも信用できないので注意した方が良いです。 デタラメが書かれた本を参考にして算数の授業の仕方を研究しなければいけない 小学校の先生は本当に大変だと思います。 ★同様に 『「キャラメルが5個はいっている箱が2つある状況」で「1あたり量=5、いくつ分=2」 と考えて同数累加を掛け算の式で表したものは「5×2」にも「2×5」にもなる。』 と言っている数学者や物理学者も必ずしも信用できないので注意した方が良い。 (この質問への回答での黒木はまとも。ただしバイアスがかかっているのは相変わらず。) この話題の大きな特徴は同じような議論が何度も繰り返されることです。 それだけ馬鹿げた考え方が広まってしまっているということなのでしょうか? 馬鹿げた考え方を広めている人たちの責任は非常に重いと言わざるを得ません。 ★同様に 『「キャラメルが5個はいっている箱が2つある状況」で「1あたり量=5、いくつ分=2」 と考えて同数累加を掛け算の式で表したものは「5×2」にも「2×5」にもなる。』 という主張も何度も繰り返されている。 それだけ馬鹿げた考え方が広まってしまっているということだろう。 馬鹿げた考え方を広めている人たちの責任は非常に重いと言わざるを得ません。その通り。

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