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グラフィックボードの役割と、賢い選び方 / 2017年11月14日 (火) 20時56分45秒
PCゲーマー必須!ゲーム画面を高画質にしたい人へ
- PCゲームを高画質で、快適にプレイしたい場合に必要なのがグラフィックボード(ビデオカード、GPU)とよばれる周辺機器です。デスクトップPCに増設して使うことで、グラフィックス機能を大幅に強化できます。
目次
グラフィックボードを導入するメリット
PCゲームを高画質で楽しめる
- PCでゲームをプレイする理由のひとつが、リッチな画質です。高性能なグラフィックボードを装着すれば、最新のPCゲームを最高画質で、かつ滑らかに動く状態でプレイできます。1080p/60fpsで動作するのはもちろん、そのゲームが用意している最高設定の画質でゲームを楽しめるわけです。
▲一般的なPCゲームでは、PCの性能に応じて画質設定ができるようになっています。画像は、「THE CREW - ザ クルー」(Ubisoft)より。
- たとえば、ゲームの画質設定を落とさないと動きがカクカクする(フレームレートが落ちる)という場合、グラフィックボードを追加することで改善できるでしょう。PCに最初から備わっている機能(オンボードグラフィック)では、画質的に不利です。家庭用ゲーム機を越える「PCならでは」の体験したいのであれば、グラフィックボードを購入しましょう。
録画・ライブ配信時の負荷を減らせる
- ハードウェアエンコード機能は、ゲームを録画したい、ライブ配信をやりたいという人に向いています。端的にいうと、いままでよりも低負荷で高速に映像を処理できるようになります。これは、グラフィックボードに搭載されているGPUという部分が負担を軽減してくれるためです。
- 使い方は難しくありません。たとえば、PCゲームの録画・ライブ配信でPCが重いという場合、ハードウェアエンコード機能に対応したアプリで設定を変更します。そうすると、録画・ライブ配信中のPCの動作が軽くなるというわけです。同機能に対応するアプリとしては、BandicamやOBS Studioなどがあります。
▲ライブ配信ソフトであるOBS Studioでは、「エンコーダ」を「NVEnc H.264」に変更することでハードウェアエンコーダーを使用できます。
キャプチャー機能を使える
- ゲーム実況で役立つのがキャプチャー機能でしょう。たとえば、グラフィックボードがShadowPlay(Share)という機能に対応している場合、ゲームプレイにほとんど影響を与えることなく、1080p/60fpsで録画・ライブ配信可能です。軽快に動作し、初心者でも簡単にゲーム実況できるのが特長です。
- さらに、対応タイトルは少ないのですが、今後はAnsel(アンセル)という機能も注目されるかもしれません。これは、ゲーム内で時間を止めて自由にカメラアングルを変えつつ、スクリーンショットを撮影できる機能です。
VRに対応できる
- PCでVR(Oculus Rift、HTC Vive)を体験したいなら、性能のよいグラフィックボードを新調しましょう。VRは高負荷であるため、高度なグラフィック性能が重要になってきます。オンボードグラフィックでは、VRはできません。
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装着のイメージ
- グラフィックボードを装着できるのは、通常のデスクトップPCだけです。一体型デスクトップPC、およびノートPCでは対応できません。というのも、グラフィックボードはPCI Express x16スロットに接続する必要があるのですが、一体型デスクトップPC、およびノートPCには同スロットがないからです。
- グラフィックボードをPCに装着すると、映像をモニターに出力するための端子がPC背面から顔を出します。最終的には、映像出力端子とモニターをHDMIケーブルなどで接続することでPCに画面が映り、グラフィックボードを使用できるようになります。
- グラフィックボードを新しく交換する場合、厳密にはグラフィックドライバを事前に削除しておくのですが、まずは装着イメージを理解しておいてください。
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グラフィックボードの大まかな種類・メーカー
GeforceとRadeon
- グラフィックボードは、大きく2種類に分類できます。Geforce(ジーフォース)とRadeon(ラデオン、レイディオン)です。グラフィックボードを購入するまえに、最初にどちらかのブランドを選びましょう。 ここがスタート地点です。
- では、どちらのブランドがよいのでしょうか。じつは、性能・価格の観点からGeforce派とRadeon派で真っ二つに分かれることがあり、難しい問題です。ただ、もし初心者であればGeforceをお薦めします。PCゲーマーのシェア率が圧倒的に高いからです。Geforceかどうかは、製品名を見ればわかります(例 : Geforce GTX 10xx)。
GPUメーカー
- グラフィックボードでは、GPUとよばれるグラフィックチップがもっとも重要な部分と考えてください。なぜなら、グラフィックボードの基本的な性能はGPUで決まるからです。そして、このGPUを開発しているのが、Geforceの場合はNVIDIA(エヌヴィディア)というメーカーです。Radeonの場合はAMDというメーカーです。
ボードメーカー
- しかし、GPUだけではグラフィックボードとはいえません。基板上にGPUや冷却ファンなどを載せて、私たちがお店で見かけるような製品に組み立てる必要があります。それを行っているのがボードメーカー(ボードベンダ)です。Geforceの場合、下表のいずれかのメーカーの製品を購入することになるでしょう。
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読み方 |
説明 |
ASUS |
エイスース |
定番、高い知名度 |
EVGA |
イーブイジーエー |
日本では未展開 |
GALAXY |
ギャラクシィー |
ブランド名はGALAX(ギャラックス) |
GIGAVYTE |
ギガバイト |
定番、高い知名度 |
MSI |
エムエスアイ |
定番、高い知名度 |
Palit |
パリット |
ドスパラのみで販売されている |
InnoVISION |
イノヴィジョン |
ブランド名はInno3D |
ELSA |
エルザ |
安定性重視の設計 |
ZOTAC |
ゾタック |
ショートサイズの製品が人気 |
CFD販売 |
|
安い、ブランド名は「玄人志向」 |
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GPUを決めよう
- ここからは、具体的にグラフィックボードの選び方について見ていきます。
GeForce GTXシリーズにおけるGPUの種類
- まずは、どの程度の性能のGPUにするか決めましょう。下表をご覧ください。2018年現在、Geforce GTX(以下GTX) 10シリーズが最新世代です。同一世代では型番の数字が大きいほど高性能になり、そのぶん価格も高くなるという点を覚えておきましょう。また、高性能であるほど消費電力が高くなり、かつグラフィックボードのサイズが大きくなる傾向があります。
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性能 |
備考 |
GTX 1050/1050 Ti |
ローエンド(エントリーモデル) |
「Ti」のほうが性能が高い |
GTX 1060 |
ミドルレンジ |
お薦め |
GTX 1070/1070 Ti |
ハイエンド |
お薦め |
GTX 1080 |
ハイエンド |
|
GTX 1080 Ti |
ウルトラハイエンド |
|
GPUを選ぶ基準
- では、どのGPUにすればよいのでしょうか。結論からいうと、(1)予算と、(2)プレイするゲームを基準にして選びます。(2)は、ゲーム側が要求するスペック(推奨スペック、推奨動作環境)を調べて、それに合わせてGPUを決めるということです。ゲームの公式サイトに情報が掲載されているので、参考にしましょう。
- 最新のAAAクラスのゲームを、1080p/60fpsかつ高画質設定でプレイしたい場合は、GTX 1060が最低ラインです。この条件だとGTX 1050/1050 Tiでは厳しいのですが、解像度、フレームレート、画質のいずれかを落としてプレイするなら問題ありません。また、FFXIVのようなMMORPGをプレイする場合は、GTX 1050/1050 Tiでも高画質設定で楽しめます(参考)。
GPUの確認方法
- 参考までに、現在のPCのGPUを確認する方法は以下のとおりです。
- デバイスマネージャーを開く。
- 「ディスプレイ アダプター」をダブルクリックして展開する。
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サイズを確認しよう
長さ×幅×高さ
- グラフィックボードを購入するさい、性能にばかり目が行きがちです。しかし、グラフィックボードのサイズ確認を忘れないようにしましょう。環境によっては、グラフィックボードを物理的に装着できない場合があるからです。たとえば、グラフィックボードがほかのパーツ(HDD、電源ユニット)やケースと接触し、取りつけられないということがあります。
- このようなことがないように、あらかじめグラフィックボードのサイズ(長さ×幅×高さ)を確認しておきましょう。具体的には、ボードメーカーの公式サイトにアクセスしてサイズを確認します。そして、実際にPCのケースを開けて装着スペースを調べます。長さが30cm前後ある大きなグラフィックボードの場合は、じゅうぶんに注意してください。
- 高さというのは、製品の厚みのことです。公式サイトに「2スロット占有」などと記載されている場合、これはPCI Express x16スロット2個ぶんのスペースが必要という意味になります。GPUを冷やすための冷却機構に厚みがあるため、結果的に2スロット占有してしまうのです。
▲2スロットを占有するグラフィックボードを装着すると、PCの背面はこのようになります。2個の製品を装着しているわけではありません。
サイズに問題がある場合の対処法
- サイズ上の不安がある場合、ショートサイズ(ショート基板)のグラフィックボードを購入しましょう。その名のとおり、小型サイズの製品です。あるいは、ロープロファイル(LowProfile)という規格に対応した製品を購入すれば、スリムPC(省スペースPC)でも装着できるかもしれません。
- もしグラフィックボードを購入後に装着できないことが判明した場合、増設している内蔵HDDを取り外したり、他スロットの拡張ボードを取り外してスペースを作ります。どうしても物理的に装着が不可能であるときは、大きいPCケースに交換して中身を入れ替えたり、ほかのPCへ装着してください。
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補助電源と電源ユニットを確認しよう
グラフィックボードによっては補助電源が必要
- グラフィックボードは、PCI Expressスロットから供給される電力で動作します。しかし、高性能なグラフィックボードは消費電力が高いため、補助電源が必要になることがあります。といっても、難しいことをするわけではありません。PCのケースを開けて、電源ユニットから伸びている補助電源コネクタ(PCI Express用)をグラフィックボードの補助電源コネクタに接続しましょう。
- 補助電源が必要かどうかは、ボードメーカーの公式サイトに掲載されています。「6ピン×1」「8ピン×1」「6ピン+8ピン」などと書かれていますが、これはコネクタの種類・数を表しています。コネクタに6個の穴が空いていれば6ピン、8個の穴が空いていれば8ピンといいます。また、「6ピンx1」は、補助電源として6ピンが1個(1系統)必要という意味合いです。
- かりに、グラフィックボードの補助電源コネクタが6ピンである場合、電源ユニットの6ピンの補助電源コネクタと接続します。6ピンなら6ピンどうし、8ピンなら8ピンどうしを接続するわけです。補助電源が必要なグラフィックボードを購入するのであれば、電源ユニットが搭載するコネクタを事前に確認しておいてください。
- では、グラフィックボードの補助電源コネクタと、電源ユニットの補助電源コネクタが異なる場合は、どうすればよいのでしょうか。この場合は、変換ケーブルを使います。グラフィックボードによっては、変換ケーブルが付属されています。たとえば、6ピンx2を8ピンx1に変換するケーブルが存在します。
グラフィックボードの推奨電源ユニット容量
- もうひとつ、PCの電源ユニットの容量についても注意しましょう。グラフィックボードには、推奨電源ユニット容量が定められており、これを守らないとPCの動作が不安定になります。たとえば、グラフィックボードの推奨電源容量が500W以上であるなら、PCの電源ユニットの容量も500W以上あったほうがよいと考えてください。
- 電源ユニットの容量については、PCのケースを開けて電源ユニットを目視すればわかります。電源ユニットに貼ってあるシールに容量が記載されているはずです。また、グラフィックボードの推奨電源ユニット容量については、ボードメーカーの公式サイトで確認しましょう。電源容量が不足する場合は、電源ユニットを交換するか、グラフィックボードの性能を妥協します。
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各製品の特長をつかもう
- ここからは、ボードメーカーごとの個性が反映される部分を見ていきましょう。同じGPUを搭載したグラフィックボードであっても、最終的な評価が変わってきます。
動作クロック
- 動作クロックが高いほうが高性能になります。たとえば、1771MHzと1354MHzを比較した場合、前者のほうが高い性能であると考えてください。公式サイトでは、「ベースクロック」と「ブーストクロック」に分けて記載されています。
▲GIGABYTEの公式サイトより
- 動作クロックで併せて覚えておきたいのは、オーバークロック(OC)という概念です。これはGPUの性能を引き上げることを意味しており、ボードメーカーによっては積極的にOCを施し、独自の名称をつけてユーザーにアピールすることがあるほどです(OCモデル)。ただ、あえてOCをせずに定格で発売するボードメーカーもあります。
ビデオメモリ容量
- ビデオメモリ容量(VRAM)は、あまり難しく考える必要はありません。数字が大きいほど高性能であり、解像度や画質を上げてもスムーズに動きます。フルHD解像度(1920x1080)でゲームをプレイするのであれば、一般的には3GBあれば問題ありません。
冷却性、静音性、省電力性、安定性
- 冷却性や静音性は、ボードメーカーによる最新技術が結集されている部分といえるでしょう。OCモデルの場合は発熱量が増えるため、とくに冷却性・静音性の両立が重要です。
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説明 |
冷却性 |
・GPUを冷やすための冷却能力、冷却機構のこと ・製品によってファンの数、大きさ、形状が違う ・オリジナルファン(オリファン)、オリジナルクーラーともいう ・ファンがないモデルもある(ファンレス) ・ヒートシンク、ヒートパイプというパーツが特長のモデルもある |
静音性 |
・ファンの動作音がどの程度か ・GPUが低負荷のときにファンを止めるモデルが主流(セミファンレス) |
省電力性 |
・消費電力(TDP)がどの程度か ・GTX 10シリーズは省電力性に優れている |
安定性 |
・安定して動作するか ・ある程度使い込まないとわからない面がある |
出力端子の種類・数
- グラフィックボードに搭載されている出力端子は、PCモニターを接続する部分です。出力端子とPCモニターを接続しないと、画面が映りません。HDMI、DVI、DisplayPortを搭載する製品が一般的です。それぞれの端子の数は、製品によって異なります。
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GeForce GTXシリーズの製品例
- 最後に製品例を掲載しておきます。筆者の経験上、グラフィックボードは大きなハズレを引くことはありません。上述したポイントを抑えたうえで、Amazonのレビューを参考にして購入しましょう。
GTX 1050/1050 Ti搭載モデル
- 入門用に価格を抑えたいなら、GTX 1050/1050 Tiを搭載したグラフィックボードがお薦めです。GTX 1050は補助電源なしで、前世代のGTX 960相当の性能を実現します。1万円台で購入できるため、ゲームタイトルによっては最高のコスパを発揮するでしょう。ただ、最新のゲームタイトルを最高画質でプレイしたい場合は、GTX 1050では力不足です。VRも同様です。
GTX 1060搭載モデル
- GTX 1060はミドルレンジにあたり、数年程度の使用を視野に入れつつ、価格は抑えたいという人に向いているでしょう。消費電力も低く、全体として扱いやすくなっています。ビデオメモリ3GB版と6GB版があり、後者のほうが少し性能が上です。ただ、1080pでプレイするのであれば、前者を購入するのも手です。
GTX 1070搭載モデル
- GTX 1070はハイエンドモデルとなり、コアなPCゲーマー向けとなります。GTX 1060の性能に不安を感じるのであれば、GTX 1070にしましょう。
GTX 1080搭載モデル
- GTX 1080は、2017年2月に価格が改定され、以前よりも安く購入できるようになりました。
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その他
- 各ボードメーカーから発売されるリファレンスモデルとは、NVIDIAが定めた仕様に合致している標準的な製品のことです。GTX 10シリーズ以降は、Founders Edition(FE)ともいいます。リファレンスモデルが発売されたあと、しばらくしてからオリジナルモデル(独自設計モデル)が発売されます。一般的には、オリジナルモデルのほうが冷却性能は上です。
- グラフィックボードを2枚挿することをSLIといいます(Radeonの場合はCrossFire)。GPUの性能を上げることができますが、ゲーム側で対応している必要があります。また、GTX 1050/1050 Ti/1060はSLIに対応していません。上級者向けの方法です。
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最終更新:2017年11月14日 20:56