マンドラゴラ


別名、マンドレイク。
縛り首になった死刑囚が童貞であった場合、その死に際に苦しみの余り射精し、
地面へ精液が垂れ落ちると、そこから芽吹いた植物がマンドラゴラになるという。
また、縛り首になったのが女性の場合、その者が処女であり、かつ月経を迎えていると、
滴り落ちた経血から同様にマンドラゴラが生まれるのだという。

その根は儀式や錬金術、呪術やさまざまな秘薬に使用できる貴重な素材となるが、
採取には極めて大きな危険が伴う。
マンドラゴラの根は醜い人型をしており、これが引き抜かれる時に凄まじい悲鳴を
上げるため、まともに聞いた人間は発狂して死んでしまう。
安全に採取するには何らかの方法で音を完全に遮断するか、より有名な方法としては
――愛犬家にとっては許しがたい方法であろうが――自分によく懐いている犬の首輪と
マンドラゴラを紐で結び、十分離れた後で犬を呼び寄せて、その勢いで引き抜かせる
(犬は悲鳴で死んでしまうが、代わりにマンドラゴラが手に入る)といったものがある。

マンドラゴラは完全に成熟すると自ら土を掘り起こし地上に這い出てきて、しばらく
辺りを徘徊すると、どこへともなく消えてしまう。
根を手に入れたいならば、未熟な内に(安全策をとった上で)引き抜く必要がある。

+ ...
マンドラゴラ(マンドレイク)自体は現実に存在する、ナス科の多年草である。
「根を引き抜くと、人を死に至らしめる悲鳴を上げる」という伝説は、2裂した塊根に
生えた無数の小さい根による。これらが引き抜かれる際に千切れ、悲鳴のような不快音を
立てるのである。
また根自体も見ようによっては人型に見えること、摂取すると眩暈や幻覚、幻聴をともなう
中毒症状を引き起こすことなどから、伝説に一層拍車が掛かったものと思われる。

かつては他の薬草(毒草)とともに麻酔薬、瀉下薬などとしても使用されたが、薬効より
毒性が強すぎるため、現在では薬として利用される事はまずない。

実物に興味のある方は、やや高価ながら通販で種や苗が気軽に入手できるので、中世の
魔術師気分で育ててみてはいかがだろうか。
青紫色の可愛らしい花を咲かせるので、インテリアとして窓辺などに飾るのもオススメ。

但し、間違っても前述の幻覚作用を期待して口にするような事があってはならない。
根にはスコポラミン、アトロピン、ヒヨスチアミンという強い毒成分を含み、これら
三種の相互作用で幻覚や幻聴のみならず、瞳孔拡大や発熱、紅潮、重篤な症状では
痙攣や呼吸困難、意識の喪失を引き起こし最悪の場合は死に至る。
中世の魔術師になるのは気分だけに留め、くれぐれも薬の原料になどしないよう。

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最終更新:2014年09月03日 00:28