103 :名無しさん:2012/05/06(日) 19:46:41
【憂鬱世界のパンツじゃないから】

 憂鬱版ストライクウィッチーズ。
 その作成に辺り、夢幻会の担当者達が頭を捻ったのはそのメンバー構成だった。
 日本系はまだいい。
 ベテランの坂本少佐、新人の芳佳。
 この二人はそのまま出しても問題ないだろう。
 イギリスは現在関係改善が大分進んだ。この際、友人としてリーネも出せるだろう。
 フィンランド系のエイラ、イタリア系のルッキーニも問題はない。
 サーニャに関してはロシア帝国系とする事でこちらも何とかなるだろう。
 問題はそれ以外の面子だ。
 シャーリーは一見するとカリフォルニア共和国出身とする事で何とか出来るかも、と思うかもしれないが、この世界では音速突破どころかアメリカ系はエース自体がろくに生まれていない。というか記録もまともに残っていない為『自称エース』ぐらいしか残っていない。
 当然、原型となった音速破りも存在していないのだ。

 「……記録を抜くべく頑張る女性とするしかないか」

 「しかし、カリフォルニア共和国の軍人ってあんな能天気な性格の奴なんていないぞ……」

 世界最強の軍と呼ばれ、北アメリカに広大な勢力を誇っていた史実アメリカに対し、カリフォルニア共和国は西海岸を統治しているに過ぎず、ロッキー山脈の向こうにはテキサスという仮想敵国が。更に旧アメリカ地域とは未だ険悪な関係だ。
 こうした状況下で軍人が気軽で陽気なGIにはなれなかったのだ。
 あんまりに性格がいい加減なキャラクターにしてしまうと苦情が出る。
 やむをえず、軍務時は酷く真面目に、だが日常では本来の性格で割とおおらか且つ夢を追い続ける。倉崎の技術者に気に入られて、音速突破を目指す少女として描かれる事になった。

 「まあ、極端に見た目や性格が異なるって事にはならんだろう。だが、問題は……」

 ドイツ系の三人とフランス系のペリーヌだ。

 「……欧州戦線だからなあ。欧州系が多いのは納得してもらわざるをえないとはいえ……」

 そもそも欧州戦線に派遣するという事自体が受け入れられるだろうか?
 原型を元にするなら、最後は裏切られて終わり、という事になってしまう。
 どうしたものか、と一同は深い溜息をついた。 

 悩んだ末、完成した憂鬱版ストライクウィッチーズは当初はお互いに不信感を抱きつつも、その中で次第に友情と信頼を育んでゆく少女達。
 しかし、そんな少女達の思いを踏みにじるかのような上層部の思惑によって引き裂かれる少女達。
 そうしてクライマックス、処罰覚悟で、友を助ける為に駆けつける、そんな物語となった。
 日本では日本人の琴線に触れたのだろう、大ヒットとなり、海外でも国レベルでは衝突はあっても、個人レベルで友誼を結ぶのは可能、という面が将来の関係改善に働くと判断されたのか多少の修正を加えつつも報道が割と普通に行われ、かなりの人気を得る事に成功したようである……。

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最終更新:2012年05月19日 14:57