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少佐とモニカの戦いを投入したいと思います。
休日様の名もなき兵士の世界観を参考にしています。
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―――20XX年
大清連邦が大日本帝国領の樺太上陸作戦から始まった、極東大戦争の序盤は清・高麗が有利に進んだが
大日本帝国の大反撃により敗北に終わった。
その後は、「友邦であり、家族である日本を見捨てることができない」と派兵したブリタニア軍も加えて
戦時体制が整えるや否や、総力を挙げて高麗・清に侵攻していったのである。
2正面作戦ではあるが、圧倒的技術格差・物量差により、各地を制圧して行ったのである。
そして、高麗でいくつもある侵攻ルートの一つが山間部に差し掛かろうとしていた
山間部の獣道を行く大部隊があった、それは大日本帝国・ブリタニア連合軍の行軍であった。
彼らはウィンダムやヴィンセントなどの最新鋭のKMFを装備していたが、旧世代であるダガーやグロースターの姿も見られた。
これは、高麗に侮りがあったのではなく、全KMFを最新鋭機に交換する予算が無かったからである。
しかし、その機体でも改修などにより、開発当時よりも性能が向上していた。
彼らは、フロートシステム・ジェットストライカーを装備していたが、膨大な燃料を食うこともあって、普段は陸地で行軍していたのである。
「これほど楽な戦争はないわー」
「敵が勝手に逃げてくれるし、いたとしても少数機だし」
彼らは、お喋りしながら進軍する。なにせ、戦死者が少なく、敵も弱いときているのだ
これほど、楽な戦争はないだろう
時折、森が出ていたが、レーダーには反応が無いため、敵はいないと判断していた。
しかし、実際には高麗軍が隠れており、KMFサイズのギリスーツ、偽装網などでうまく姿を隠していた。
この部隊を指揮していたのは少佐であった。
「少佐。敵がもうすぐ、ポイントAにつきます」
「よし、罠にかかった後は先ほど言われたとおりだ。各自の行動に期待する」
「了解」
そういって、通信を切る。そして、モニターを見る。
敵の行軍が、ゆっくりとやってきている。ざっと見て、3個中隊ほどいるのではないか?
その全てが自分のところに来ているのではないか?と錯覚しそうになる
「・・・・慌てるな。敵は気付いてないぞ」
自分自身に言い聞かせるかのようにつぶやく
- どれほど長い時間が過ぎ去ったであろう。時間にしてほんの数分であったが
自分にとっては永遠に等しい時間であった。
やがて、先頭の小隊が突如、地面に滑り落ちた。
否、その表現は正しくない。あらかじめ、穴を掘り、念入りに偽装した穴へ滑り落ちたのであった。
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「今だ!点火しろ!」
その命令を受け、点火のスイッチを押し、穴の底に埋めた爆薬を爆発させ
穴の中にいたKMFを爆破させる。
その爆発とともに、足が止まったKMFがいた道路・道の周りにも隠しておいた爆薬を爆発させる。
うろたえるKMF、爆破されて転倒するKMFが多くみられた。
「全機!攻撃開始!」
少佐は叫びながら、アサルトライフルを構えて、攻撃開始する。
「もう、高麗へ戦いに来たのに、今すぐ出撃できないってどういうことですか!」
「すいません。フリーダムは頻繁に整備を受け無いといけないんですよ」
後方の格納庫には、モニカが怒っていた。
その理由は、自分の愛機である、フリーダムが使えないことであった。
フリーダムに使われた技術は、最新技術ばかりであったが、それは頻繁に整備をしなければいけなかったのである。
モニカも理解はしていたが、今すぐ戦いたいこともあって、フラストレーションがかなり溜まっていたのであった。
「わかりました!できるだけ急いでくだ「モニカ様大変です!日・ブ侵攻軍から救難信号が来ています!」司令部へ行きます!」
モニカは急いで司令部へと駆けつけた。
司令部に入って聞こえた、第一声が悲鳴であった。
日・ブの連合部隊は地獄を見ていた。
狭い隘路で陣形が整っておらず、浮足立ったところでの奇襲攻撃だ。
敵がいないと思われた、森の中から、銃の火線が飛んでくるのだ。中には重砲の直撃を受けたのか、大爆発を起こすKMFもあった。
パイロット達は悲鳴を上げながら、逃げ惑うほかなかった。
「慌てるな!空に上がって!キルゾーンを脱出するんだ!」
そういって、飛び上がったヴィンセントは次の瞬間、撃墜された。まるで何者かに撃たれたかのように
そして、周りにいたKMFも腕や頭が吹き飛ばされる。
「悪いな。1機も逃すなと少佐に言われているんでね」
そう言った、大尉は狙撃銃を構え、次々と撃つ
ウィンダムやヴィンセントも森などの撃ちこまれた方角に向かって撃ち返しているが
火線が減ったのを感じ取ることができなかった。
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「この場にいては埒が明かん!俺についてこい!」
そう言って、ウィンダムがブレイズルミナスを展開しながら、森に向かって突撃する
それ見た、他のウィンダムも付いていく。
火線がウィンダムに集中するが、ブレイズルミナスが無力化していく
「うおおおおおおおおお!!!!!」
ウィンダムのパイロットは叫び声をあげながら、森へ突入しようとしたが突如転倒する
「うわあ!!」
彼は悲鳴を上げるほかなかった。もちろん後続も同じ結果になった。
「痛たた・・・・一体なに」
彼の言葉は森の中から、出てきたジェンシーが中華刀を突き刺さした事で終わった。
他のウィンダムも同じ様に為すすべもなく討ち取られる。
彼らが転倒した理由は、地面にワイヤーが隠されており、彼らが接近してきたときに
張り出して、ウィンダムをこけさせたのである
もちろん、反撃により撃破されるジェンシーもいたが、日・ブの方が被害が大きかった。
「・・・・ここまでにするか。全機!煙を炊け!撤退する!慌てず後退するんだ!」
その命令に従い、煙を炊いて姿を隠し、ジェンシーがゆっくりと下がり、ガンルゥが重砲を解体・運搬する。砲兵も装甲車に乗って下がる
煙が消え去った後は、死屍累々横たわるKMFの部隊だけであった。
山間を駆け抜ける部隊があった。
先ほどの待ち伏せ攻撃により、日・ブの連合軍を壊滅させた少佐の部隊であった
警戒するジェンシーを先頭に重砲を運搬するガンルゥ、砲兵が乗った装甲車が後に続き、ジェンシーが後に続く
1機のジェンシーが少佐に近づき話しかける
「大成功でしたね。少佐」
「ああ。だが、2度目は通じないだろうが」
「でしょうね。惜しいですな。ガイストがあれば、もっと戦果が上げられたんですがねえ」
「しょうがないだろ。上の阿呆どもが部品を回さんのだからな」
2機配備されたガイストだが、上層部は少佐が反乱されるのを恐れて、部品を満足に配給させず
独自の行動を起こそうとすると、妨害行動を入れたのであった。
そんな状況だから、ガイストは戦闘不能になっていたのである。
さすがに宣戦布告した後は、部品も回ってきたが、すぐに直ることはできなかった。
「・・・・・うん。レーダーに反応。追撃部隊か。ガンルゥ部隊は第2中隊はそのまま下がれ!第1中隊は残れ」
そういって、少佐も足を止める。
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ガンルゥはそのまま行ったが、周りの部下も止まり散らばっていく。
「さあ。楽しませてくれよ。指揮官さん」
「見えた!あいつらが、襲った部隊ね」
モニカはフリーダムの代わりに黄緑色に塗った、ウィンダムに乗っていた。
彼女の視点の先には、逃げるガンルゥとジェンシーが映し出されていた。
「モニカ様!攻撃命令を!」
部下から催促する声が聞こえてくるがモニカは何も言わない
(おかしい。報告にあった数が一致しない。他のルートに逃げたならもっと数は減るはず
「散らばりなさい!」
モニカがそう命令するが時遅く、周囲の森の中から、火線が飛んできて、不運の親衛隊の1機を火球に変える。
「ヴァルデット!皆気を付けて!また来ます!」
そういって飛んでくるが、次々と躱す。
すると、効果が無いと認めたのか、森の中からジェンシーが中華刀を持って躍り出る。
その姿も認めたのか、親衛隊もブレードを持って飛び掛かる。
たちまち、その場は乱戦状態となった。
「シッ!次!」
モニカは目の前に躍り出たジェンシーを切り落とすと目標を探す。
周りは乱戦状態で、ジェンシーを落とす親衛隊もおれば、逆に落とされる親衛隊もいた。
その状態において、モニカは1機のジェンシーが気になりだした。
そのジェンシーの外装は他のジェンシーと一緒であったが、何かが違うと感じていた。
そして、1機の親衛隊が不用意に仕掛けてきた。
モニカが警告を発する前に、ジェンシーが目にもとまらぬ速さで、逆にヴィンセントを切り落とされた。
それを見たモニカは思わず、賞賛のため息が漏れる
(凄い・・・・高麗にもこんな騎士がいたなんて)
モニカは、そのジェンシーをその場における最優先撃破目標と定め突進する。
そして、ジェンシーに斬りかかったところで体が半身ずらされてかわし、逆に中華刀を振るう。
そして、モニカはよけるもウィンダムの片羽が切り取られる。
(・・・・強い!もしかしたら、ラウンズ級の腕前を持っている!)
モニカは油断せず、ブレードを構えながら通信を開く
『強いですね、あなたは・・・・・よろしければ名前を教えていただけませんか
私の名前は、ブリタニア軍総司令官モニカ・クルシェフスキーです』
やや間があって、通信が入る
『・・・・俺は少佐だ。どこにでもいるただの少佐だ』
(あなたのような人がただの少佐で済むんですか)
モニカは突っ込みながら通信を続ける
『では、最後まで戦わせていただきます!』
『来い!』
それから2機は激突する。
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モニカがスラッシュハーケンで突き刺そうとすれば、中華刀の剣先で軌道を変えさせる。
ジェンシーが袈裟切りするも、モニカが体をずらしブレードで横凪するも、バックステップでかわす
モニカがすかさず距離を詰め、逆袈裟掛け切りをするも、ジェンシーはかわしたばかりか、足を蹴り上げて回し蹴りをする。
モニカは思わず、腕でかばってしまい、硬直している間に、中華刀が振るってくる。
その攻撃をかわすことができたものの、腹にかすり傷を負ってしまった。
(無茶をする)
元々、ジェンシーというか第5世代機には肉弾戦という格闘戦は配慮されていなかった。
白兵戦は考慮されてはいたが、刀剣などの武器を用いてだ。
それなのに、回し蹴りという、無茶な芸当を行ってきた。
(勝てない・・・・どうやっても勝てない)
相手は第5世代機の機体なのにどうやっても勝てるビジョンが見えないのだ。
心臓と呼吸が速くなるのを感じた。
(シゲタロウ・・・・・サクラ・・・・・・)
モニカは愛する者たちの名前を呟く。
すると、不思議と心が落ち着きだした。
モニカはブレードを鞘に戻し、抜刀切りのように構える。
それを見た少佐は中華刀を構える。
静かな時が流れる
「「!」」
2機が同時に突進し交差する。
交差した結果、ウィンダムの頭が吹き飛び、ジェンシーは右腕と胴体の一部が斬られた
(遊びすぎた!)
少佐は決して油断した訳ではなかったが、初めて自分と同じ技量をもった人と出会えたことによって
ここまで引き延ばしたことを認めている。
(ここまでか)
「下がるぞ!」
そういって、部下をまとめて煙を炊いて姿をくらます。
一方、モニカも追撃は危険と判断し、素直に下がった。
この戦いは甚大なものであった。日・ブ連合軍の7割のKMFが撃破され、親衛隊も半数が落とされるという異常事態になった。
この甚大な損害をかんがみて、全軍に緩んだ空気の締めに取り掛り、慎重な作戦をするようになった。
一方、勝利した少佐の部隊であったが、親衛隊の戦闘で半数が落とされ
他の戦線で突破され、この地の防衛意義がなくなったため、後方に下がることとなった。
楽観的に見られた、日高戦争に終わりは見えなかった・・・・・・
最終更新:2013年09月06日 20:36