633 :ハニワ一号:2013/11/10(日) 00:45:09

ブリタニア大陸とローマ帝国

(まさか、グレートブリテン島が約10倍の大きさで日本同様に大陸になっているとは・・・。しかも大陸の支配者はキリスト教に汚染されてないローマの神々を崇めるローマ帝国だと。何の冗談だ。)

極東の日本大陸の支配者である大日本帝国の駐在武官として同盟国であるブリタニア帝国を訪れた若き嶋田はローマ建築の建物が並ぶロンドンの街並みを見てため息をついた。

嶋田が知るグレートブリテン島が10倍となったブリタニア大陸とそれを支配するローマ帝国(西ローマや東ローマと分かりやすく区別するためにブリタニア帝国とも呼ばれることもある)について語ろう。

グレートブリテン島とアイルランド島とその付属諸島が約10倍の大きさとなった大陸を総称して、ブリタニア大陸と呼ばれる地ですべてが始まったのはカエサルのブリタニア遠征のある出来事に原因だ。

ブリタニア遠征の途上にあったカエサルは、ある日遠い将来ローマが滅びる情景を幻視したと言われる。彼はこの幻視をローマの神々が彼に下された託宣であり、ブリタニアの大地を征服し、海軍を建設し海を天然の防壁として第二のローマを建設し、ローマの文化や文明を残し、いつの日か再興するための避難所とさせるように下されたと解釈した。
その後、カエサルは暗殺されたがブリタニアの大陸を征服し第二のローマを建設し、ローマ本国が滅んだときローマの文明を維持し再興する最後の拠点とする構想は後継者であるアウグストゥスに受け継がれることになる。
アウグストゥスはゲルマンに対してはライン川を越えず、代わりにブリタニア進出に力を入れることになる。これによって史実のトイトブルク森の戦いは発生することはなかった。

ローマ帝国が誕生し、カエサルや初代皇帝アウグストゥスの遺訓もあり、歴代のローマ皇帝はブリタニアの植民を最優先事項として推進した。その結果、大量のローマ人が植民しローマの文明や技術などが持ち込まれ、現地住民の同化も進められたブリタニアの地は第二のローマと呼ばれるほどに成長していくことになる。
五賢帝の時代の終焉後の帝位を巡る争いに介入せず、大陸に引きこもりブリタニア大陸の開発を進めていくことになる。混乱を嫌ったローマ本土の富裕層や技術者、市民たちを受け入れてローマの衰退を尻目に発展していくことになる。


634 :ハニワ一号:2013/11/10(日) 00:45:45

そして、史実でテトラルキアと呼ばれることになる、ローマ帝国を四名の皇帝と副帝で統治することになったが、ブリタニア大陸があるこの世界では、ブリタニア大陸を担当する皇帝と副帝が加えられて6名による帝国統治がされる事になる

そして、ローマ帝国の首都がローマでなくなり、東方のコンスタンティノープルに移されてローマの神々を廃し、キリスト教を国教とするとローマの神々を厚く信仰するブリタニア大陸の皇帝と民を激怒させ、元々独自路線だったのが事実上分裂し、この時期をブリタニア帝国の成立とみることができる。
なお、ブリタニア帝国の史観だと、ローマを捨て、ローマの神々を廃して異教の神を国教徒した時点でローマ帝国は終焉して「キリストの帝国」となったと考えており、自分たちこそが最後の正統なローマ帝国となったと考えるようになる。
そしてローマの神々を信仰し、キリスト教を嫌う者たちはブリタニア大陸に財産を持って亡命していくことになる。

キリスト教を国教としたテオドシウス1世の死後、分裂した西ローマ帝国と東ローマ帝国から古きローマの神々を放棄し、キリスト教を信仰するようにという使節が来たが拒否し、キリスト教徒を徹底的に弾圧し、ブリタニア大陸から追い出している。これに激怒した西ローマ帝国が武力で侵攻してくることもあったがブリタニア帝国の強力な海軍の前にブリタニア大陸の土を踏ませることはなかった。
正統なローマ帝国であるブリタニア帝国とキリスト教の戦いは西ローマ帝国が滅び、東ローマ帝国が滅んでも続くことになる。
ブリタニア帝国は「ローマへの帰還」を合言葉にキリスト教によって支配された欧州を開放してローマ帝国が復活することを夢見て欧州大陸に侵攻し、キリスト教はアンチ・キリストの帝国であるブリタニア帝国を滅ぼす聖戦と称して十字軍を編成してブリタニア帝国を攻めるということが恒例行事となってしまう。

キリスト教と戦った騎士帝や獅子心帝などは今なおブリタニア帝国で人気のある皇帝である。
特にアーサー皇帝物語のモデルとなった騎士帝は、欧州大陸のローマ領域を支配しローマ人の聖地であるローマを開放することに成功する。
だが一時の栄光にすぎなかった。東ローマのユスティニアヌス1世がローマ帝国を復活できなかったように、長期の支配地の維持・管理が困難であり、無理に維持すればブリタニア帝国を滅ぼしかねず無念の撤退をすることになる。


635 :ハニワ一号:2013/11/10(日) 00:46:21

東ローマ帝国に対しては、キリスト教を放棄してローマの神々を復活させればローマ皇帝の一人として認めてあげるというスタンスだったが当然のごとく認めるわけがなく、西欧のキリスト教国家を滅ぼしてキリスト教の総本山のあるローマを解放したら、次は東ローマ帝国を滅ぼす事がブリタニア帝国内部で決定されていた。

ブリタニア大陸が存在することによって起きた重要な変化は、キリスト教に対抗するためにイベリア半島のイスラム国家を支援してレコンキスタを妨害した事により、レコンキスタが失敗しイスラム国家が存続した事だ。
これは、キリスト教国家による大西洋の向こう側にある未知の大陸を征服して、新大陸の富で一発逆転することが不可能となったことを意味していた。
未来の話であるが大西洋の向こう側の新大陸はブリタニア帝国と大日本帝国の影響下に置かれることになる。

ブリタニア大陸に居を移したローマ人たちの栄光と苦闘の物語は、語ると長くなるので今宵はここまでにしよう。
詳しく知りたいのなら、ブリタニア帝国在住の作家・塩野七生のローマ人の物語を読むことをおススメしよう。皇紀2673年現在も完結してない未完の大作である。
著者はローマ帝国(ブリタニア帝国)の現代まで書き続けたいと述べている。

「まあ、ローマの文化や文明が残ったことで史実のイギリスのメシマズな料理を食わなくて済むし、ローマとは違ってローマ建築が遺跡ではなくブリタニア帝国では現役で使われているのだな。古代ローマ時代の雰囲気を実感して味わえるのもいいな。特にルシウス・モデストゥスが設計した公衆浴場や温泉にも入ってみるか。」
気分を切り替えてブリタニア観光に思いをはせる嶋田だった。

どことなく「将来、休暇を取る暇もなく忙しくなるので今のうちにゆっくりと骨休みしてください」
という辻の声がしたが幸か不幸かブリタニア観光に思いをはせていた嶋田がその声に気付くことはなかった・・・。


636 :ハニワ一号:2013/11/10(日) 00:46:58

あとがき
グレートブリテン島が10倍の大きさで大陸とした世界で現代まで生き残っているローマ帝国を見てみたかったのでちょっと時間犯罪を実行してみました。
テルマエ・ロマエの主人公も名前だけ登場しています。この世界では東洋の「平たい顔族」の妻と息子と共にブリタニア大陸の公衆浴場や温泉を建築設計・開発している事でしょう。
 

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最終更新:2014年01月20日 23:48