519 :わかる?のひと:2013/11/27(水) 01:07:44

>>427
思いついたので一筆。ドテラ撫子さんと絡めたやや空想的な内容なのでこういうのが嫌いな人はスルーして下さい。

「これは…変なところに出ましたね。小人さんのいうところの、リアル寄りの平行世界ですか。ここは」
落葉に地面を半ば占拠された広葉樹林に、突如、一つの人影が現れていた。
身長170cmとすこし。
両足に革草履を突っかけ、小袖袴にどてらを羽織った、ここオランダの地に於いてはいささかどころか極めて場違いに過ぎる女性だった。
すん、と彼女の鼻が鳴った。
「ふむ」
――血の臭い。それも人ではなく、猫。それと硝煙と…狗ですか。
いやな取り合わせですね、前の戦国の世でもあるまいし…と口の中でこぼしながら、ひょいひょいと足取り軽く臭いの元へ路をたどる。
――このあたりですか。
地面に倒れ伏した、血に汚れた白と茶色と黒の獣。
そしてそれらを取り巻く、暗色の軍服に身を包んだ男達と、そして軍用犬たち。
「誰だ!」
「動くな!…女!日系人か!?」
「ほおお…同志大尉、これは手柄ですな。この女は、このテロリズム活動に関わりがあるに違いない!」
落ち葉が積もるこの森で、一切の物音も気配を感じさせず、仮にも軍人である彼らのあるべき警戒域を遙か内側を割り込む距離に突如として現れた女性について、一体何を思ったのやら。
日頃の訓練も忘れ、一瞬にして尻尾を垂らし足の間にしまった軍用犬らのほうが、よほど察知能力が高いといえるだろう。
「すみませんいま私至極機嫌が悪くなりましたので伝統的にさっくりと済ませますね」
それまでにこやかだった表情が、その獣を目にし、そしてその獣に向けられた男達の銃を見たとたん、瞬時に凍結され、口調が早回しになり、そして――
ずどん!
まるで大砲の射撃のような踏み込みの音。
「っ撃」
指揮官の射撃の号令や、古参兵の反射的な射撃をもたやすく追い抜きながら、銀光が荒れ狂った。

「首、置いてけ」

一瞬の後、ちん、となにかが納められるような金属音が響いた。
ぼとぼとぼとぼとぼとり、と湿った音を立てて、少しばかり重いものが地面に次々と落ちた。
「私のもとに声を届かせたのはあなたですね…」
地面に落としたものなど気にも留めず、彼女はその伏した獣の額を優しく撫でる。
ふこー…とほんの微かに息があった。
次第に弱くなる呼吸と鼓動。
「ここにいては、汚されるでしょう。私のところに来ますか?」
くぅ…
ほんの僅かな呻き。
しかし、それは正しく受け取られた。

かのフェルトマイヤー大尉が率いた剣牙虎のうち三頭はフランス赤軍によって射殺されたとされる。これは大尉本人の記録に寄るところであり、それは様々な資料と比較され、おおむね誤りはない、とされている。
しかしながら、記録に残る限り、フランス赤軍がその死体が確認され、そしてフランス共産党幹部の『要望』によりその毛皮を剥がれたのは、二頭のみであるのも、歴史的事実である。
残る一頭がどこに行ったのか?それは歴史のミステリーともいわれている。

「こっちに来た猫さんは、毎日しろこぐまさんと縄張り争いをしているのですが…」
「くまー!」
「にゃー(ぺちん)」
「何となくこぐまさんをあしらっている気も…?」


521 :わかる?のひと:2013/11/27(水) 01:23:30

ちなみにこの犯行現場、広域捜索中だった他の小隊により発見されたのはいいのですが
「SHIMAZUじゃ!SHIMAZUが出たのじゃ!!」
と先の戦争で日本陸軍との連絡武官をやってたじいちゃんが錯乱するわ、どうみても猟奇的な状況だったわということで、さっくり公式資料からは抹殺されたとかいうことでひとつ。

オカルト系の資料には残ってていろんなネタになっているということで。島津の伝説がまた1ページ…

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最終更新:2014年01月30日 22:21