448 :13:2014/01/13(月) 10:29:56
夢の続きを書いてみた。
「もう・・・ここが現実でいいよ・・」
嶋田はまた、ため息を吹く
またまた、夢に見たコンサートホールの様な場所に来てしまったのだ
部屋は暗かったが、大勢のファンがいることだろう
「でも、あの後のモニカが気になったから幸いといっちゃ幸い」
そう、嶋田は前回見た夢の最後が凄く気になっていたのだ。あの女性は誰なのかなど
そして、自分はなぜ、モニカについていないのかと?
やがて、明りがついて、舞台が照らされたが・・・
モニカの顔は暗く、服も黒色を基調としていた
「みなさん。本日は来ていただいてありがとうございます・・・・
本日は私の大切な方の為に歌います」
そういって、お辞儀すると曲が始まった
「空に抱かれ・・・ 雲が流れてく・・・」
歌い始めたが・・・今までの歌った曲と比べて悲しげな歌だった
「私の隣にいて・・・ 触れてほしい・・・」
(・・・ここにいる俺は何処にいる!?どうしてモニカをこうなるまで放っておいたんだ!)
嶋田はこの世界に自分自身に憤って観客を見回して探していると
「遠い彼方へ旅立った 私を一人置き去りにして
傍にいると言った 貴方は 嘘つきだね」
(・・・うん?)
「もし、神様がいるとしたらあの人を返して
『生まれ変わっても愛し続ける』
僅かな願いを込めて・・・ I wanna see you」
(・・・・ここの俺はいないのか・・・)
怒りが下がっていく中、モニカは歌い続ける
「あの坂道を登る度に 思い出してしまう
私にくれた 大切な日々を
あの桜の木の下で待ち続ける 私の隣にいて触れてほしい」
その歌が終わると同時に、嶋田はコンサートを後にした
自分が、なぜ、この夢を見せ続けたのか。そして、自分の役目は何か?ということを理解したからだ
嶋田は坂道を上っていた。モニカがたびたび歌った坂道、そして桜といえば、ここしかないと思ったからだ
「ハア・・・・ハア・・・・夢の中なのにしんどい」
嶋田はそう言いながらも、登り続け、やがて頂上に着いた
ここは、知る人ぞ知る人しか知らない桜の花見スポットで、嶋田がモニカを連れて初めて桜を見せたところだった
そして、何度も一緒に登ったこともあった
もし、歌詞通りならモニカはここにいる筈だと嶋田は思っていたが
予想通り、喪服を着たモニカが桜の木の下にいた。
嶋田からは後ろ姿しか見えないが、モニカは泣いているのか、肩を上下していた
嶋田はゆっくりと近づいて、優しく抱きしめる
モニカは突然抱きついたことに、咄嗟に手を振りほどこうとしたその時
「・・・モニカ」
「えっ・・・?」
その懐かしの声に、手を止めてしまった
ゆっくりと顔を振り向くと、モニカにとっては大切な人がいたのだ
「シ・・・シゲタロウ・・・ですか・・?」
「ああ・・・・そうだよ・・・」
そういうや、モニカが体を反転させて勢いよく抱きついてきた
嶋田がそっとみると胸元で泣いていた。それで、そのままにしてあげた
449 :13:2014/01/13(月) 10:30:38
暫く経つと落ち着いたのか、モニカは顔を赤くして
「すみません。みっともないところをお見せしてしまって」
「いやいいよ。二度と会えなかった人ともう一度会えたら嬉しいだろ?」
「そうですね。・・・ところで、シゲタロウはずっといるのですか?」
来て欲しくない質問が来た。おそらくモニカは絶望するだろうが言わなければいけない
「いや・・・恐らく、僅かな時間しかいることしかできないと思う。ずっといてやれなくてすまない・・・」
嶋田がそう言うと、モニカは首をゆっくり振る
「いいのです。神様がくれた奇跡です。あなたも、どこか遠い彼方から来た方でしょう?
あなたを待ち続ける人がいるでしょう。ですから、私はほんの短い時間でも会えたことが嬉しいのです」
「でも!ここにいる君を・・・置き去りにはできない!」
「本当に・・・あなたは優しい人ですね。では、二つの我儘を聞いていただけませんか?」
「我儘?いいぞ、どんなことだ?」
嶋田がそう聞くと、モニカは笑顔で
「そうですね。一つ目は私と一緒にお昼寝をしていただけませんか?ほら、天気もいいでしょう?」
「確かに、昼寝にしてもよさそうだ?それだけでいいのか?」
「ええ、傍らでぬくもりを感じるだけでいいのです」
そういうと、二人は桜の木の下に座り込む。本当に太陽が暖かくて、すぐに眠ってしまいそうだった
「・・・これは・・・すぐに眠ってしまいそうだ・・。もう一つの我儘はなんだい?」
「そうでしたね。もう一つの我儘は」
嶋田は瞼が重たくなって、意識が途切れそうだった。それでも不思議と声ははっきりと聞こえた
「もう一人の私を大切にしてください。ずっと・・・ずっと・・・傍にいてやってください・・・。
私にできなかったことを、あの子にして上げてください」
そういうと、唇に暖かいものが触れた
「ハッ・・・」
目が覚めた嶋田さんの視界に入ったのは自分の部屋の天井
そして、隣にモニカがスースーと睡眠をとっており、髪は長いままだった
「ハァッ・・・・ハァッ・・・・・」
嶋田さんは深呼吸をして、モニカの頭を撫でながら言う
「約束するよ。ずっと傍にいると」
450 :13:2014/01/13(月) 10:32:22
終わり
前回の夢を書いてみた時、こんな感じの夢を書いてみたくなった。
悲しくもせつない感じに書きましたが、どうですか?
この夢シリーズもこれでおしまいになるかと
みなさん、ご観賞ありがとうございました
最終更新:2014年02月22日 17:32