550 :四〇艦隊の人:2014/01/06(月) 12:31:44

一面に広がる焼け野原に、焼け落ちた家々と道路の残骸が点在し、所々に高さ四メートルほどの人型の焼け焦げた手足や胴体が転がっていた。
誰か趣味人が作ったであろうすすだらけの真空管ラジオから音楽が流れていて、その音色と一緒に放射能を含んだ風が吹き抜けていく。(推奨BGM ttp://www.youtube.com/watch?v=xhcV6DBPvv8)
地上を動くモノは疎らで、その殆どは放射線によって奇怪な変異を遂げたミュータント達だ。
かつて地上の覇者であった人間は、この汚染された大地ではミュータントの獲物に過ぎないのだ。
この土地が国家であった時の最後の皇帝は「この世界は弱肉強食である」と言い、彼の国民達は侵略した他国の民をナンバーズと呼んで搾取してきたが、
皇帝は絞首台に吊るされ、皇族と貴族たちは皇帝と同様に吊るされるか人工の太陽で蒸発し、その国民たちは今や文字通り貪られる弱者であるのはなんとも皮肉な話である。
ここはキャピタル=ウェストランド。かつて神聖ブリタニア帝国という国家の首都があった土地である。


【ネタ】神聖ブリタニア帝国は滅亡しました(大陸ネタ×コードギアス×Fallout3)


そもそも何でこんなことになったのかと言うと西暦二〇一〇年の八月十日に遡る。
西暦二〇一〇年八月十日日本時間〇〇〇〇時、日本の日付が変わったちょうどそのとき全世界で同時に地震が観測された。
この地震はかなり大きなものだったが、津波や土砂崩れ、建物の崩壊は無く、人的被害も無いと言うきわめて奇妙なものであった。
そのため、官邸内に地震緊急対策本部を設置した神崎首相以下閣僚全員が狐につままれたような顔をしていたが、その直後に外務省からあがってきた北米のカナダ、アメリカ三国と連絡がつかないとの報告、そして兵部省からあがってきたハワイ基地と、そこに停泊、駐留していた艦隊、部隊と連絡がつかないと言う報告を受けて再び顔をしかめることとなる。
そして同日の〇三〇〇時ミッドウェー方面に偵察に出た偵察機からの「所属不明の大艦隊発見、空母五、戦艦四、その他多数、艦隊は後方に揚陸部隊を伴う」との報告を受けて地震対策本部は緊急安全保障会議へと変更された。
直ちに横須賀の第一、第六艦隊と佐世保の第二艦隊、室蘭の第四艦隊、トラックの第三、第五艦隊に緊急出撃が命令され、全ての空軍基地に総スクランブル体制が発令、全ての陸軍基地に出撃準備態勢が発令され、大日本帝国という国家は戦闘態勢に入った。
そして大日本帝国は神聖ブリタニア帝国から宣戦布告を受け後に第三次世界大戦という名の戦争が始まった。


551 :四〇艦隊の人:2014/01/06(月) 12:33:18

緒戦の結果日本側は北方南方から侵攻してくるブリタニア軍を殲滅したものの、中部から来た敵軍八万に房総半島への上陸を許し、さらに空挺部隊の帝都への降下を許してしまう。
この降下部隊も含めブリタニア軍はKMFという人型の機動兵器を運用していたが、この空挺部隊は大半を輸送機ごと撃墜され、残りも第一軍と近衛軍に各所で包囲、殲滅されたが一機が皇居に降下、今上陛下が負傷され、さらにこの傷が元でお隠れになられる事態まで引き起こしてしまう。
またこの頃ブリタニア軍に奪取された土地で降伏した将兵に対する虐殺が行われたことが衛星偵察によって判明、この事実に対し国際連合はブリタニアに対する懲罰決議を採択し国際連合軍の編成を決定、その第一陣としてイギリス本国艦隊がブリタニア東海岸に対する攻撃を開始した。
そして開戦から一月がたった頃、房総半島に上陸したコーネリア皇女指揮下のブリタニア軍残余三千が日本軍に降伏。

そしてミッドウェー島で日本=ブリタニア間の和平交渉が行われたが、この際の副使であるカラレスが言い放った一言が、世界を震撼させた。
「世界は我ら優良なるブリタニア帝国によって管理、運営されるべきであり、貴様ら劣等人種はただひれ伏して我々の支配を受け入れれば良い」
これに対して世界中が肝を冷やしながら見ていた、日本側の交渉責任者である高町大使は一言こうつぶやいた。
「少し頭冷やそうか」
そして歴史に残る大惨劇、「完全装備状態の戦略原潜がそのもてる破壊力を解き放ったらいかなる光景が生じるのか?」と言う問題の解答がブリタニアという国を解答用紙にして書き込まれた。

西暦二〇一〇年九月三〇日未明、大西洋のどこかの水中に潜んだ大日本帝国海軍戦略潜水艦隊所属戦略原子力潜水艦斗四号から四発の多弾頭型潜水艦発射弾道ミサイルと六発の巡航ミサイルが発射された。
それらの弾頭は通常ではなかった。
そして破滅がもたらされた。
一〇月三日ブリタニアは日本、国連の前に無条件降伏、日本側は生き残った全ての皇族とその八等親以内の血族、貴族の処刑を、国連はブリタニアの軍備の永久放棄を条件に降伏を受け入れ、第三次世界大戦は終結した。

そして冒頭の状況である。
驕れる者は久しからず、ただ春の夜の夢の如し。
猛き者も遂には滅びる、偏に風の前の塵に同じ。

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最終更新:2014年06月09日 22:25