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大陸日本孤立ルート第七話「太平洋戦争前の日本と世界情勢」
1943年8月29日にドイツを相手にしながらも最後まで粘っていた英国の実質的な降伏と共に、
第二次世界大戦が終結すると再び平和が訪れたと人々は思った。しかし実際には
ロシアでは反独のレジスタンスやそれに対する容赦のない弾圧が続き、生き残ったロシア人たちは、
ロシア臨時政府への亡命を余儀なくされた。さらに大英帝国の各地では独立を求める運動が激化していた。
そして極東及び太平洋地域では大戦中にペースダウンこそしたものの二つの大国が新鋭艦艇の建造と装備の近代化を推し進めていた。
特に太平洋を挟んで日本と対峙する米国は1944年の大統領選挙でアルフレッド・ランドンが再選され、更に同年の四月に死去していた、
ノックスの後任として大戦中の義勇軍で大きな戦果を挙げたジョージ・パットンを指名され当選した。このパットンの当選によって、
アメリカは日本に対し強硬な態度をとるようになる。一説には彼は両大戦間の結果、日本に対し悪感情を持っていたとも言われている。
「イエローモンキーの死の商人」それが大半の米国人の日本に対しての当時の一般的な感情だったという。
無論、この感情を抱いてていたのは米国人だけでなく英国人や独逸人もまた同じだった。独逸人の場合は、彼らが迫害をしているロシア人に対し、
日本人たちが膨大な援助を与えていると考えたからだ。(実際には対独関係を重んじた外務省や軍からの圧力により民間企業の進出もままならなかった)
勿論、常日頃から日本人に抑圧され、固有の領土を奪はれていると信じている中国人たちの日本人を見る目については言うまでもないだろう。
しかし、こうした感情を向けられていた当の日本人たちは「先の大戦で英国が滅びなかったのは帝国の援助があってこそ」とか「独逸は帝国の真の友邦」、
「シベリア・満蒙は超大国日本の生命線」といった新聞やラジオ、テレビ局の報道を信じ、超大国日本と自らの国を呼ぶようになった。
更に当時の経済発展がその意識を高めていた。内地では高速鉄道網が東京大阪だけでなく九州や東北にも伸び、
空港が次々と開港し、マイカーブームの到来によって自家用車の保有台数はうなぎのぼりとなった。それに伴い本格的な高速道路の整備が始まっていた。
更に、大都市では高層ビルが次々と建てられ、大阪では通天閣が改修され、帝都東京では帝都電波塔、通称東京タワーの建設が始まっていた。
仮に戦争がどこかの国が日本に戦争を仕掛けたとしても、無敵皇軍がこれを撃滅するはずだと固く信じていたし、そもそも日本経済圏(日本、朝鮮、満州、
モンゴル、ロシア)の国々で産出する資源、またはそれを加工して作られた物を日本が世界に対して輸出している現状では、他国人の敵視もただの妬みとして受け止められた。
一方当時の政治状況は、宇垣内閣により大戦を回避し、軍需景気による経済状況によって深刻な経済不況からも脱したため、挙国一致内閣は役目を終えたと
判断され再び議院内閣制へと戻ることになった。一方軍事面では、八八艦隊の代艦の建艦や独式戦車の装備など海のアメリカ、大陸の中国の両者を明確に
志向した軍備増強路線を歩んでいくことになる。こうした緊張が続く中で日本は孤立を深めていく、そのきっかけとなったのが1945年4月30日にベルリンで行われた、
ヒトラー・ランドン会談である。この会談で何が話されたかは今をもって明らかではないが、この会談以降、独逸は徐々にアメリカとの関係を改善させて行くことになる。
こうしたドイツの態度の変化を敏感に察知していた日本側だったが有効な手は打てなかった。そんな日本の苦悩を余所に1945年8月1日に米極東艦隊の増強が、
更に同月15日には、インド・及び極東地域での反英暴動に対処するためとして英東洋艦隊の増強が相次いで決定すると、これに日本政府は猛反発し帝国海軍による特別大演習を
翌月2日に行うと決定した。この時、日本と米英の三国ではそれぞれ相手が奇襲攻撃を仕掛けてくるのではないかと疑心暗鬼に陥り先制攻撃を真剣に検討さえしたという。
結局、帝国海軍による特別大演習は何事もなく成功したが、極東で緊張が高まっているのは誰の目にも明らかだった。そして、各国の間で新型爆弾を研究中とのうわさが流れ始めると、
各国、特に日米は先制奇襲攻撃による敵国の撃滅を志向し始めた。同年に飛行したB-36と富岳は正に新型爆弾を敵首都へ叩き込むための兵器だった。一部の識者の中にはこれらの兵器の
保有国同士が対峙することによって平和が訪れるとの主張も見られたが、結果的にこれらの兵器の増強と他国との保有数のギャップへの不安が太平洋戦争の勃発の一因となったというのが、
現在での一般的な見方である。

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最終更新:2015年02月01日 19:51