771 :yukikaze:2015/06/29(月) 20:37:51
つい勢いで作った。暴走していることには反省をする。

川内型巡洋艦

全長:175.6メートル
全幅:17.2メートル
喫水:6.2メートル
基準排水量:7,000トン
満載排水量:10,500トン
機関:石川島播磨FWD2 2胴水管型缶2基2軸(10万馬力)
発電機:主蒸気タービン発電機(2400kw)+500kwディーゼル発電機2基
速力:33ノット(公試時)
武装:Mk 26 GMLSMod 1 2基
   Mk.42mod7 5インチ単装砲 2基
   Mk.16 8連装アスロック発射機 1基
   62式対艦ミサイル発射機3連装2基(Yシステム)
   3連装対潜短魚雷発射管2基
CIWS 2基
C4Iシステム
   統合作戦戦術システム
   海軍戦術情報システム(CDS+リンク 11 / 14)
   ターター-D・システム(Mk.13 WDS[1]+Mk.74 ミサイルFCS×2)
   Mk.86 砲FCS (5インチ砲用) 1基
   Mk.116 水中FCS 1基
レーダー
   AN/SPS-48 3次元式 1基
   AN/SPS-40 対空捜索用(※後にAN/SPS-49に換装) 1基
   AN/SPS-67 対水上捜索用 1基
   AN/SPG-51 SAM射撃指揮用(※Mk.74 ミサイルFCSのサブシステム) 2基
   AN/SPQ-9A 砲射撃目標捜索・追尾用(※Mk.86 砲FCSのサブシステム) 1基
   AN/SPG-60 砲射撃指揮用(※Mk.86 砲FCSのサブシステム) 1基
ソナー
   AN/SQS-53A 船首装備式 1基
電子戦システム
   AN/SLQ-32 統合電子戦装置
Mk.36デコイ発射装置2基

(解説)

1970年代に国防海軍が建造した旗艦用巡洋艦である。
この時期、国防海軍は、葛城型空母の代艦である大鳳、1960年代から建造していた防空駆逐艦天津風型と、改天津風型と言われる太刀風型(ボフォース対潜ロケット砲やDASH運用を捨てる代わりに、FCS等の強化を図っている。後に天津風型もこれに準拠する)、そして対潜駆逐艦である初春型(史実2500トン型護衛艦。ただし機関はディーゼル)の就役により、2個空母機動艦隊編制(空母1 対空駆逐艦4 対潜駆逐艦5)の完成を見ることになったのだが、しかしながら同時にこの編制は、空母機動艦隊として見れば十分に強力であったものの、あまりにも戦力を集中させすぎてしまい、柔軟な運用に支障をきたすことが指摘されていた。
また、同艦隊編制においては、水上打撃能力の不足も取りざたされることになった。
予算の制約上、初春型は艦対艦ミサイルを装備しておらず(改装時にハープンを連装2基搭載)、敵艦隊との交戦になった場合、風型防空駆逐艦しか有効な打撃戦ができないのである。
こういう時の為に存在したのが、酒匂と雪風型駆逐艦なのだが、彼女達も既に耐用年数の限界に達しており、これらの代替戦力は愁眉の急であった。

こうした事態に拍車をかけたのがカンボジア紛争であった。
この一件において、共産主義に対する国際世論の嫌悪感が高まったことを受けて、ソ連は中国を名指しで批判する一方で、自国勢力の引き締めを図る目的で、陸軍のみならず、地中海艦隊(根拠地:タルトゥース)及び太平洋艦隊(根拠地:旅順)の増強を決定する。
勿論、増強と言っても、アメリカのような大艦隊整備など不可能と言ってよく、どちらもフリゲートとコルベット併せて数隻程度であったのだが、その一方で、当初計画していた重原子力巡洋艦計画を破棄して、改カーラ型巡洋艦の建造に着手したり、現地生産で大型ミサイル艇の配備を進めたりと、戦力強化を怠ってはいなかった。

772 :yukikaze:2015/06/29(月) 20:38:34
このような事態に対し、大平内閣は、1974年の国防会議において、今後国防海軍は、大型空母を基幹とする空母機動艦隊2個と、水上艦隊2個の4個艦隊編制にすることを決定。
それに伴い、今後20年間で、空母型揚陸艦4隻、旗艦用巡洋艦6隻、対空駆逐艦4隻、3,500t型汎用駆逐艦20隻の整備という大幅な増強計画を打ち立てることになる。
後に「六六艦隊整備計画」と言われる、この一大リニューアル計画は、幾ら何でも予算がかかりすぎるという各方面からの批判の前にいくつかの修正をかけることになるのだが、こうした動きに対しアメリカ合衆国は『日本は同盟国としての役割を果たしている』と絶賛し、数多くの便宜を計ることを承諾している。
アメリカにしてみれば、パクス・アメリカーナの安定の為に軍備を増強し、且つ参戦で協力するなど頼りになる同盟国以外の何物でもない訳で、カンボジア紛争の結果、東南アジアやインドでの覇権を完全に握ったことから生じる利益の分け前を渡すのは、盟主として当然の責務であった。まあその分け前が、M113の大量供与および低価格のライセンス許可、イロコイ及びコブラの大量供与および低価格のライセンス許可、イーグルのライセンス許可、ホーネットの共同開発許可(英含む)最新のターターシステム売却等というのが、アメリカの気前の良さを示すと共に『お前一体どれだけ稼いだんだよ』と突っ込まれる所以なのだが・・・
かくして国防海軍は、酒匂建造以来30年ぶりに巡洋艦建造に取り掛かることになる。

まず彼らが重要視したのは、旗艦としての高い指揮管制能力である。
当然であろう。彼らにとって巡洋艦とは、隷下の駆逐艦部隊を手足のように振る舞う為の存在なのだ。
防空戦にせよ、水上打撃戦にしろ、水上艦艇を統率する存在の有無がどれだけ重要かは、あのソロモン海で彼らは嫌というほど理解していた。

次に彼らが重要視したのは、対空戦闘能力である。
これもまた頷けるものであった。アメリカのようにトムキャットが購入出来れば話は別であったろうが、日本における空母艦載機とは攻撃の槍であり、限られたリソースをそこに集中する為に、艦隊防空はどうしても水上艦艇にかかる割合が大きかった。
だからこそ国防海軍は、これ以降、イージス巡洋艦8隻保有という計画を打ち立てる訳だが、その傾向はこの段階でも生きており、アメリカ海軍の主力巡洋艦であった、カリフォルニア級巡洋艦の防空システムを同盟国価格で購入している。
アメリカとしても同盟国海軍強化は望むところだし、更にその中枢システムが自国のシステムである以上共同運用の容易さ兼、万が一日本が敵対した場合でも、供給元を握っているという点から、快くシステムの売却にゴーサインを出している。(勿論、カンボジアでの奮戦に、アメリカの政治家達が好意的であったことも大きいが)

そして彼らは対水上戦闘にも力を入れていた。
搭載数こそ吹雪型と比べて少ないが、一発の威力が強力なY(N)-2Sミサイルを6発積んでおり、未だモンタナ級の対抗として(予備艦だが)存在しているソユーズ級に大打撃を与える牙を有していた。
これは、以降の水上艦艇の中でもこれ以上積んだ艦はなく、必然的に同級が最大の攻撃量を持った艦として君臨することになるが、一方でシステムが複雑な分、調達数が制限されており『抜かずの名刀』とも言われることになる。

773 :yukikaze:2015/06/29(月) 20:39:23
同級で最も有名になるのが艦名選びである。
この艦名については、大鳳と同様、公募という形をとったのだが、海軍が積極的に広報に努めたからか応募数は多かったものの、そこで一番多かったのが、ある意味予想されていたが『大和』『武蔵』『長門』『陸奥』の4戦艦名であった。
勿論海軍としては命名規則から外れる為、後ろ髪をひかれたものの、これらの案を落選にしたのだが、「だったら命名規則を変えろ」という声が出てしまい、担当者が頭を抱えることになる。
おまけに当時の国防大臣からは『山岳名ということなら』と党の有力政治家の地元選挙区の山を推薦されたり(ちなみに推薦した名前は『赤城』であった)混乱に次ぐ混乱を重ねることになり、とうとう担当者が阿部大将の所に泣きつくという騒ぎにまでなった。

さしもの阿部も心の底から呆れたというが、『4隻建造(6隻建造計画は三木内閣の時に修正された)なんだろ。阿賀野型でいいじゃないか』と、投げやり気味に返答。
担当者も、阿部の意向を聞けたことと、これ以上この件で阿部を関わらせると、阿部の怒りが爆発しかねない(事実、彼はアメリカ海軍と共に、アセアン海軍の強化をどう図っていくかで、詰めの作業に入っていた)ことから、阿賀野型の艦名で決まろうとしていた。

しかしここに最後のどんでん返しが待っていた。
三木内閣における重鎮として頭角を現していた男。山中貞則。
税制のスペシャリストとして、民主党の財政政策のドンとして一目置かれることになるこの男だが、同時にこの男は史実において74式戦車を『山中式戦車にしろ』と言ってのけた男である。
そんな男が、こうした状況において口を挟まない訳はないのである。

『阿賀野型に内定したというが、酒匂や沖縄までいった能代はともかく、矢矧や武勲があまりない阿賀野を艦名にするのはいかがなものか』

瑞鶴を守るために奮戦して沈んだ矢矧乗組員が聞けば激怒しかねない発言であるが、この男にとっては蚊に刺されたようなもんである。そして山中の発言は際立っていた。

『そもそも酒匂は記念艦だろう? 記念艦をすぐに名乗るのはいかがなものか。三笠だって名乗っていないじゃないか。それよりも、長く水雷戦隊旗艦を演じた川内型にすればいい。最後の一隻は連合艦隊旗艦を一時期務めた大淀があるじゃないか』

さてここで問題です。今上げた艦の内、ある2隻には共通点があります。それはなんでしょう。


解答:『川内と大淀は鹿児島を通っています。なお山中の選挙区は鹿児島』


厚顔もここまで来ると凄まじいが、山中の理論の腹の立つところは、川内型は、能代と北上・大井を除けば突出した武勲を挙げており、川内型を選ぶのは別段おかしくはないのである。
そして大淀は、わずかな期間ではあるが、連合艦隊旗艦を務めたのも事実。
武勲こそ派手ではないが、船団護衛作戦を成功させたり、防空戦で活躍したりと、縁の下の力持ち的な役割を果たしていた。艦名にしても別に問題はないのである。
税制問題から大蔵省とのパイプも太かった山中の機嫌を損ねるには、海軍はいささか金を使いすぎていた。

かくして、1977年10月、ネームシップである『川内』が就役し、以後一年おきに『神通』『那珂』『大淀』が就役することになる。
もっとも、名前のゴタゴタとは裏腹に、同級の運用は『極上』であると言われ、特に航洋性能については『乗っていて楽しい艦』であることを、多くの将兵が証言している。
もっとも、機関が蒸気タービンであり、ガスタービン艦が増えるにつれて、運用コストが次第に嵩むようになり、自慢のターターシステムも陳腐化が著しくなったことから、妙高型イージス巡洋艦が導入されたことを受けて惜しまれつつ2010年以降退役することになる。

なお、余談だが、4番目の艦隊が編成されるとき、その名称を何にするかで議論があったのだが、たまたま『那珂』が旗艦になった事により『第四水雷戦隊』になったというエピソードがある。

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最終更新:2021年04月05日 01:35