274 :ひゅうが:2016/07/17(日) 00:56:47
神崎島ネタSS――「国防は軍人の専有物に…」



――西暦1937(昭和12)年3月4日 帝国陸軍 富士裾野演習場


「撃てぇ!」

統制官天幕からの号令に従い、巨大な鉄の猛獣が脈動した。
刹那も置かずに砲口から巨大な火炎がほとばしり、砲口制退器から左右に砲煙が噴出した。
発砲可能を示す赤い小旗が爆風と衝撃波にたなびき、数秒遅れて天幕に轟音が響いた。

「まるで重砲だ。」

「その通りです。主砲は122ミリ。もとは軍団砲兵のカノン砲です。」

「ロスマン中佐。ドイツは、こんな怪物を運用するのか。」

「いいえ。これはWW2後期のソ連軍の重戦車の系譜に属するものですね。前線突破用にソヴィエトはこれを8000両ほど生産しています。」

「は・・・」

戦車第8連隊長 原乙未生大佐の絶句を横目に、陸戦隊妖精さん――エディータ・ロスマンと今は名乗っている――は双眼鏡で標的を確認した。
うん。全弾命中。

「重量は52トン。安定して毎時40キロ台を叩きだす機動力を有しています。」

「しかしそれでは、本土では運用できません…。」

だからこそこれを持ってきたのだ。とロスマンは思った。
陸海軍を問わず、軍隊というものは目の前に高性能なおもちゃをぶら下げられたらそれをほしがるものなのだ。

「港湾の起重機の限界、橋脚の耐久度。そして道路ですね。」

「ええ。20トン…頑張っても30トンが限界に近い。」

原は悔しそうにいった。
彼の周囲にいる陸軍の将帥たちも同様だ。

「ならば、これはどうです?」

ロスマンが振り返った先には、やや小ぶりな戦車が毎時50キロ以上の高速で演習場に進入しつつあった。

「M24チャーフィー軽戦車。主砲は75ミリ。」

「これが軽戦車?」

原はもとより、陸軍の人々は比較用に持ち込まれた89式中戦車と、自信満々で持ち込んだ試作戦車を交互に見つめている。

「重量18トン。この種の車両としては極めて軽快な運動性と防御力を有します。
90ミリ砲を搭載する61式戦車もありますがこちらは35トンあります。」

「う…」

「どちらにせよ、現状では世界最強と目される試作戦車でも、改良を怠ればこのような鉄の怪物たちが闊歩する戦場で撃破されることになります。」

ロスマンは、自分には向いていない武器商人としての役割を演じながら、いった。

「お好みの車両は?
我々は帝国陸軍に対して最大限の助力を惜しみません。」

さぁどうする?
外地で遊ぶ皆さん?
本土防衛という軍と政府の至上命題に、抗うことができるなら…それはすなわちその国の政府でも軍でもないことになるが…




【あとがき】――これもまたひとつの謀略。
登場人物には第三帝国氏のネタを採用させていただきました。

278 :ひゅうが:2016/07/17(日) 01:05:30
帝国陸軍「悔しい…でも輸入しちゃう!(ビクンビクン)」
ロスマン「さぁ、日本列島のインフラを整備しようか(にっこり)」

283 :ひゅうが:2016/07/17(日) 01:22:45
なんか有償とはいえ格安で供与してくれるらしいですよ。
それを聞いた陸軍のみなさんは

「君たちのこと誤解していた。君たちはいい海軍だったんだね!」

という反応。ちょろい。(そんなんだから蒋介石とかにいいようにしてやられるんだ。)

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最終更新:2023年11月12日 15:28