177 :ハニワ一号:2016/07/21(木) 16:22:11
艦これ 神崎島ネタSS――「1937年の富嶽」

1937年の日本の空を全長:46.00 m 全幅:63.00 m 全高:8.80 mにもなる6発機の超巨大な機体が自身の実用上昇限度限界を目指して空高く舞っていた。

「皆様、いよいよ高度15,000 mの世界に到着します。」

この巨大な機体を操縦する神崎鎮守府のパイロットからのアナウンスが招待された帝国関係者に乗員するこの機体が高度15,000 mの世界に突入することを告げていた

招待された帝国の陸海軍の高官や政治家、官僚、そして帝国の航空機メーカー各社の重鎮や技術者たちを乗せた巨大航空機の名は史実では「Z飛行機」という名で計画されながらついに完成することなかった大型長距離戦略爆撃機すなわち「富嶽」の名で知られる機体だった。

史実の計画によれば

全長:46.00 m
全幅:63.00 m
全高:8.80 m
主翼面積:330.00 m²
発動機:中島ハ54空冷式4列星型36気筒(ハ219複列星型18気筒を2台串型置) 6,000馬力(3725 kw)6発
プロペラ:VDM定速6翅・8翅・二重反転4翅(いずれかで計画)
プロペラ直径:4.5 - 4.8 m
自重:42 t
全備重量:122 t
最大速度:780 km/h(高度:10,000 m)
実用上昇限度:15,000 m 以上
航続距離:19,400 km 以上

武装
20 mm 機関砲 4門
最大20 t までの爆弾
航空魚雷20本(雷撃仕様機)

という完成できれば恐るべき性能で連合国に脅威を与えたであろう機体であったが史実日本の国力や技術力の不足によって完成する事のなかった幻の機体だ。

その史実では幻となった機体を神崎鎮守府では開発・実用化に成功していた。しかも妖精の謎技術によって史実の計画の性能が実現された挙句に最高品質の資材で製造されあらゆる新技術が投入されているために史実の本来の計画値よりも性能が強化されているおまけ付きだった。

178 :ハニワ一号:2016/07/21(木) 16:22:52
「一目見たときからとんでもない機体である事がわかっていたが実際に乗ってみるとこの機体が化け物機体である事が様々な面で実感できるな・・・。この機体が量産され帝国に配備された暁にはかのアメリカとて屈するかもしれん・・・。もっとも数百どころか数千単位の機体が必要となるかもしれんが・・・。しかしこの富嶽に採用されている新技術は帝国にとって垂涎ものだ。与圧室だったか航空を飛んでいるのに酸素マスクの装備、防寒着の着用もいらず快適に過ごせるというのは便利なものだ。旅客機にこそ与圧室の需要がありそうだ。」

招待された航空機メーカーの重鎮の一人である中島飛行機の創始者である中島知久平は引き連れてきた自社の技術者同様に興味心を隠し切れずに富嶽を観察しながら他人に聞こえない程度の声で乗機した富嶽の感想を興奮交じりに呟いていた。そこに神崎島鎮守府の妖精士官が中島知久平に声をかけてきた。

「中島さん、富嶽の旅はどうでしたか。」
「ええ、とても最適ですよ。それにしてもこの機体、富嶽と言いましたか。私が将来に開発を提言するはずであった機体であり、貴官ら神崎鎮守府によって完成した富嶽に私が乗員しているのは不思議な感じがしますよ・・・。」

そういって中島知久平は苦笑するのだった。

「残念ながらあなた方日本は我々の史実では国力の不足によって富嶽は完成しませんでしたが・・・。」
「あなたたち神崎鎮守府からの情報によればアメリカでは1935年に誕生したB-17を超えるB-29そしてB-36といった超巨大機体を今後10年以内に開発・量産し・・・そして特にB-29によって我が国を焼き尽くす事になる・・・。」

祖国である日本とアメリカの国力のあまりの違いに思いをはせる中島知久平。

「ですがいつかはあなた方神崎島の技術を吸収して自力で富嶽のような巨大航空機を開発・製造出来るようになって世界の軍用・民間航空業界に一大シェアを築いてやりますよ。もっとも他の航空機メーカーも同じ気持ちでしょうが」

と機内にいる富嶽の機体と性能に興奮している自社やライバル会社の技術者やライバル会社の重鎮たちを見ながら島知久平は決意を込めていった。

「そうですか、その日が確実に来る事を私たちも願っていますよ。まだまだ富嶽の遊覧飛行の時間はありますのでこれからも富嶽の空の旅をお楽しみください。」

そういって妖精士官は中島知久平と雑談を終えて握手した後、他の賓客を接客に向かうのだった。

179 :ハニワ一号:2016/07/21(木) 16:23:32
あとがき
この世界で史実では未完成に終わった富嶽に富嶽の立案者である中島知久平を乗せて見たくて本作を執筆しました。うまくその情景をかけたが不安ですが拙作で描ききれなかった部分は皆様の脳内で補完してくれればうれしいです。
恐らく烈風改や震電改など他の機体でもでも史実の烈風や震電の設計陣が開発するはずの烈風改や震電改と邂逅するドラマが展開しているでしょうね。
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最終更新:2016年08月08日 11:34