91 :yukikaze:2016/06/19(日) 17:08:25
取りあえず投下。修正あればよろしく。

74式自走高射機関砲


全長:  9.245m
全幅:  2.490m
全高:  3.060m
全備重量:18.990t
乗員:  4名
最大出力:385ps
最大速度:95km/h
武装:  90口径35mm高射機関砲KDA×2 (238発×2)


(解説)

国防陸軍が、M15A1対空自走砲の後継として配備した車両である。
アメリカは、ソ連を中心とする共産主義陣営に対抗するため1950年代に「MAP」(Military Assistance Program:軍事支援プログラム)を策定し、このプログラムに基づいて余剰となったアメリカ軍の各種装備品を西側友好国に積極的に供与することで軍事力の支援を図った訳だが、史実よりはだいぶ優遇されていたとはいえ、それでも第二次大戦レベルの型落ち兵器の供与は、国防陸軍にとっては、本当の意味での戦力強化になりえないと、上層部は判断していた。
故に、国防陸軍としては、第二次大戦レベルでも遜色のないM114 155mm榴弾砲やジープ、更に機関銃等や現状でもまだ対応可能なM48には諸手を挙げて歓迎したものの、それ以外の物については、早期の国産化かアメリカからのライセンス生産で対応をしようとした。(その最大の例が61式中戦車)

しかしながら、そうした中で手つかずだったのが対空火器であった。
ここら辺はアメリカと日本の認識の違いでもあったのだが、基本的に制空権優勢の中で戦闘を行うパターンが多いアメリカと違い、制空権が劣勢状態での中で戦うことを強いられていた日本とは、部隊に対する防空の重要性という点で優先度にずれが生じており、日本側が求めるレベルについては、アメリカ側にもないというのが実情であった。

では他国からライセンスするか自国開発するかだが、これもそう簡単にはいかなかった。
西側諸国で日本側が求めるレベルの全天候型自走対空砲が出るのは、1970年代のゲパルトであり、完成するには10年以上も待たないといけなかった。
そして、この時期、ドイツとの仲は控えめに言っても冷え切っていた(主にドイツ政府のせい)ことから、ライセンスなど望むだけ無駄であった。
ならば国産はというと、史実87式レベルについては『技術力が追いつかねえ』で終了し、シルカレベルなら何とかなるかもしれないが、根本的な要因として『量産できるだけの金がねえ』で議論が終わってしまうのである。
乏しい予算を、とにかく砲兵と機甲戦力に全振りすることで、可能な限り部隊の攻撃力を維持しようとする国防陸軍にとって、全天候型の自走対空砲は高根の花であった。
(もっとも、60年代初頭にゲパルトそのものと言っていい自走対空砲の概念を完成させ、レーダ配置について特許を取っていたため、ドイツ側はアメリカの仲介の元、日本に金を払う羽目になったのだが、それはまた別の話である)

92 :yukikaze:2016/06/19(日) 17:08:57
なので、日本の自走対空砲については、不満たらたらではあったが、M15A1対空自走砲が主力という時代が続いたのだが(それでも史実の倍は供与されていたのだから、史実自衛隊が聞けば贅沢ぬかすなであったろうが)、60年代後半には『幾らなんでもこれはアカン』ということで白羽の矢が立ったのが、エリコン社が売り出していたエリコンKD 35mm機関砲であった。

1950年代末にエリコン社は、「GDF-001」と呼ばれる牽引式の35mm連装高射機関砲システムを開発していたのだが、GDF-001は威力と発射速度に優れる90口径35mm高射機関砲KDAを「ズーパーフレーダーマウス」と呼ばれるレーダーFCSとリンクさせており、当時としては非常に高度な対空迎撃能力を備えたシステムであった。
国防軍においては、まず国防空軍が基地防空用としてGDF-001の改良型を「35mm二連装高射機関砲 L-90」の名称で採用することを決めたのだが(何気にFCS開発に三菱が絡んでおり、手ごろな値段でライセンスできている)、この高性能に目を付けた国防陸軍も導入を決定することになる。

と・・・ここまでは史実陸自と同じなのだが、ここからが変化が生じている。
原則、本土防衛戦だけを考えておけばよかった陸自と違い、国防陸軍の場合は、本土防衛戦のみならず半島有事等が発生した場合の逆上陸戦力としての役割も担わされていた。
それだけ国防陸軍の優秀さをアメリカが認めていた事と、同時に韓国に対する評価が地の底(韓国が頼りになるのなら、韓国軍を使えばいいだけの話である)である話なのだが、これにより、史実ではそれほど機動性を考えなくても良かったものも、ある程度は考慮する必要が生じたのである。
L-90はまさにそれに該当しており、史実では4輪のゴムタイアを備える砲架に搭載された二連装の35mm高射機関砲KDA、ズーパーフレーダーマウスFCS搭載車、光学照準システム搭載車、およびこれらに電源を供給する電源車3両で構成されるシステムだったのだが、トラックによる牽引式であるため機動性に難があり、システムの展開にも時間が掛かる上操作要員も多く必要という問題を許容範囲のコストでクリアしないといけなくなったのである。

こうした問題について、国防軍はある意味割り切りを見せた。
まず、35mm高射機関砲から、光学照準システムまでの3システムについては、国防陸軍が採用を決定していた三菱の7tトラックに搭載し、車体には発電用に補助エンジンを搭載し、電源車を必要としないようにしている。
また、高射機関砲搭載車両においては4ヶ所の油圧式ジャッキが搭載されており、射撃時には車体を持ち上げて安定化させるようにしている。
勿論、トラックである為に路外踏破能力は装軌車両と比べると格段に落ちることになるし、防御力も低くそもそもFCSと光学照準システムに接続しないと力を発揮しない為、部隊移動中に襲われればまともに対応できない問題があるのだが、史実八七式はバカ高すぎるし、M163も全天候能力がない以上雨や雪の多い日本では意味がなく、装軌式車両は維持コストが高い。
ならば、基本は固定陣地での運用であり(移動中の制空権はアメちゃんが握っているだろうという割り切り)それならば維持運用コストの安いトラックに積むのが現実的と判断したのである。
ベストではないことは百も承知であったが、ベストを追い求めても無理なものは無理なのである。

かくして、1974年において、国防陸軍は74式自走高射機関砲として導入を開始する。
1984年までの間に、各師団において2個中隊×7の14個中隊。旅団において富士旅団に2個中隊分、これに第三、第六、第七旅団分に1個中隊分の合計19個中隊、76両導入されている。(史実では70セット)
なお第一と第八旅団については、富士と第七機甲師団が八五式自走高射機関砲を導入した時にあぶれた分が導入されることになる。

同車両は、就役時には国防陸軍の防空火力を高めることに貢献したが、93式近距離地対空誘導弾が開発されて以降は急速に退役が進んでいる状態である。
その一方で、基地防空にはまだ使えるということで、国防陸軍から退役したものを国防空軍が改修した上で運用している状況である。

94 :yukikaze:2016/06/19(日) 17:14:43
投下終了。
以前ネタとして出したなんちゃって自走高射機関砲を形にしてみました。
まあ、運用とか考えると、陣地戦なら史実の方が面倒がないわなあというのが自分の感想。

L-90については資料が少なくて、GDF-001についてもエリコン単独というのもあれば三菱と組んで作ったのがGDF-001(=L-90)というのもあって、どっちやねんという気分に。ついでに言えば、GDF-OO5はそれなりに売れているけど、最新鋭の007はチリとタイ位にしか売れていない(スペインは005のアップグレード)こと考えると、国防空軍もあっさり退役させそうだなあという気も。

これ考えると、それなりに防空車両充実させているロシアって、腐っても陸軍大国だという事と中国は贅沢な事してんなあという気が。

95 :ひゅうが:2016/06/19(日) 17:18:11 乙です。
ところで「74式」ですよね?

98 :yukikaze:2016/06/19(日) 18:27:31 >>95
おっと失礼。74式ですわ。

4式を74式に修正

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最終更新:2021年04月15日 10:52