843 :第三帝国:2016/08/23(火) 22:50:35

艦これ×神崎島ネタSS――――閑話「魔王」


太陽が間もなく昼に別れを告げようとする時間帯。
それは太平洋特有の青い空と海が最も美しくなる時間帯だ。

しかしその青い空を黒胡麻でまぶす者たちがいた、
その者たちは何れも6つの鉄の心臓を持つ怪鳥であり、
名は日ノ本で著名な山の名を頂いており――――「富嶽」と呼ばれた。

『こちら第2中隊、敵影見えず』

『第3中隊も同じく敵影は見えません』

「了解、スターズ01より全機へ。
 作戦に変更はなし、繰り返す、作戦に変更はなし、前進を継続せよ」

蒼穹の空を背景飛ぶ巨人機の群れは神崎島鎮守府に所属する第6航空隊。
指揮官の名前から通称高町部隊と称され、先の帝国との演習でも本土爆撃に成功させた精鋭たちだ。

そんな精鋭たちが100機以上もの巨人機が飛行機雲を描きつつ、
雲の遥か上を飛んでいく姿は圧巻、という感想以外の言葉が出ない。

その腹には演習と違い「本物」の爆弾を爆弾を抱えており、
投射される鉄量は中華民国空軍が上海で行った空爆など比較するに値しない程だ。

もしもこれらを中華民国の首都、南京。
あるいは上海郊外に投下すれば東京大空襲以上の惨禍が生まれるだろう。


しかし、怪鳥たちの目標は違う。


「なの・・・失礼、司令。
 現地で潜入しているブラスコヴィッチ大尉と通信が繋がりました。
 物資、ならびに人員の集約地点に変化は見られず、このまま誘導するとのことです」

「うん、分かった」

彼女にとって幼馴染みである金髪の少女(飛行帽で髪が殆ど隠れているが)の言葉に頷く。
目標は都市ではなく、上海郊外を包囲する中華民国軍の後方拠点であり、
先に景雲での偵察で得られた情報と現地に潜入している人間の誘導でその全てを吹き飛ばす予定だ。

蘇州に展開する20万、
さらに予備兵力50万に上海を攻撃している15個師団と合わせれば100万に達する大兵力だが、
これらを支える補給拠点、集約地点を破壊することで、その衝撃力を弱めることを狙っていた。

彼女が率いる部隊以外に演習に参加した日本の陸攻隊も後からついてきており、
攻撃は一度で終わらず、反復して行う予定でそのための準備もこれまでしてきた。


「阿片戦争以来の屈辱を晴らす機会なのは知っているなの、でもね・・・」


自ら怪鳥、符号名スターズ01を操る高町なのは少将は三日月形の笑みを浮かべる。
日本との図上演習、仮想ダウンフォール作戦で眉1つ動かさず都市の爆撃、原爆、毒ガスの投下を指揮。
当たり前かのように1000万単位の死者を生み出してもなお平然とし相手から魔王、あるいは白い悪魔と恐れられた表情を浮かべた。


「少し、頭冷やそうか」








おわり

846 :第三帝国:2016/08/23(火) 22:55:11
ひゅうが氏が想定する上海事変とは違うと思いますが、
こんな妄想が浮かんだので書いてみました。

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最終更新:2023年11月23日 13:36