463: 第三帝国 :2016/12/23(金) 10:48:15


艦これ×神崎島ネタSS――――閑話「証言」


「潜水艦を見つけることは本当に難しかったですね。
 聴音の性能もハッキリ言って悪いから、先手を取られるばかりでした」

語り部の名は不知火。
かつて魚雷を受けて船体を切断した状態で帰還。
となかなかない経験をした不知火の言葉に誰もが耳を傾けていた。

「対潜訓練の頻度は?」

「それはここと同じであったと述べましょう。
 駆逐艦の役割として夜戦を重視して訓練する一方で、対潜訓練は後回しになっていましたからノウハウの蓄積が非常に不足していました」

その言葉にバツが悪そうにする将校達。
特に水雷屋は漸減するはずが逆に漸減された「史実」を知るだけに余計にであった。

加えて戦争初期では魚雷の早期起爆による戦果誤認。
戦争中盤以降では自慢の夜戦では逆に電探射撃で相手すら視認できぬ間に一方的に撃たれる。

などと水雷屋の面目丸つぶれな史実に意気消沈状態であった。
      • もっとも水雷兵器としては日陰者扱いであったが、神崎島の戦訓を理由に今後組織として拡大することが決定されている対潜部門での影響力の拡大を虎視眈々と狙っていた。

「おまけに戦争が進むにつれて対空戦闘の機会が増えましたが、知っての通り、今私達駆逐艦が標準装備している長10なら兎も角、12.7センチ連装砲は「対空戦闘がついでに可能な艦砲」な砲にすぎませんから時間当たりの投射量が全く足りませんでした」

せめて射撃指揮装置が九四式高射装置だったなら・・・と不知火が表情を歪める。
この不知火の反応に今度は鉄砲屋が気まずい表情を浮かべる。

対空射撃は二の次扱いしていただけに彼女の言葉には来るものがあった。
加えて「闇夜の提灯」と主張していたレーダーが想像を絶する兵器へと変わることに気づけず、「史実」で今は少女の姿をしているかつての彼女らの悉くを沈ませる原因を作った負い目もあった。

      • 今後の駆逐艦は既に対空火器の大幅な増量が決定されており、対空火器(鉄砲)が増えることで拡大するポストに内心小躍りしているのは公然の秘密である。

「ではレイテやマリアナではどうやって戦っていたのか?」

「回避ですね」

不知火らしく疑問に対して最初に結論を答えた。

「皆さまは既に承知している通り、当時の帝国海軍の防空火力は当てになりませんでした、
 加えてアメリカのようにシステム化された艦隊単位の防空は不可能。
 なので個艦ごとの回避能力を頼りにしていました・・・そこら辺の詳しい話は伊勢と日向に聞けばいいでしょう」

あの2人は今でも回避の達人ですから、と不知火が続ける。

「そろそろお昼時ですね。
 どうですか?間宮食堂へ行きませんか?
 今日のランチメニューはアジフライ定食でこれがなかなか美味しいもので・・・」

続きは食堂で、
と不知火の言葉に反対する者はいなかった。






おわり

464: 第三帝国 :2016/12/23(金) 10:51:24
ひゅうが様が投稿した幕間「調査」
で不知火がチラッと出ていたので書いてみました。

ただし内容が薄いのは多めに見てくれますと助かります。

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最終更新:2023年11月23日 13:38