トゥヘァ氏や休日氏やトーゴー氏やスレ住人の世界観をごちゃまぜ参考にした休日系。
ただし休日=平和ってますが戦争もされてるっす。
オセアニアがはっちゃけまくってるっす。
コメディとシリアスが入り混じりまくってまっす。
日武がどう動くのかは御想像にお任せしまっす






ラウンズの戦場に敗北はない→条約がなければ戦えない→戦場に立てなければ敗北もできない→外交にラウンズの戦場はないっ!!





ナイトオブラウンズとは 神聖ブリタニア帝国代々の皇帝を守護せし皇帝直属の騎士たちのことである。
彼等は�・ごとに与えられるインペリアルガードの更に直属として受け持つ部隊と併せて 一個人にして一軍と言わしめし強者揃いだ。
多くの特権を持ちブリタニアの国家内階級ナイトとしては異例ながらも大公爵よりも一階級上位の階級として扱われていた。

階級も 立場も 実力も すべては有事の折りに皇帝と臣民を守護するために持ちし彼等は命を捨てて戦わねばならないこともある。
その有事が 長き平穏を引き裂いてついにこの世界で起きたのである。

有事を引き起こした国の名は合衆国オセアニア。

俗称南側と呼称されるオセアニアの衛星国群に とうとうオセアニア衛星国に含まれてしまったプレトリア民主共和国連合という名に国家名称の改名まで行った赤道以南アフリカを国土とする旧E.U.が 同盟国のイラクや高麗共和国。
第二次宦官革命など蔑称で呼ばれる 大宦官が一人高亥宦官を高麗を通じて繋がるという他の宦官とオセアニアの陰謀によって追放に追い込まれる暴挙の果てに南側同盟に加わった大清連邦。

オセアニアは 東アフリカ イエメン 南ニューギニア イラク 清 高麗と七カ国連合軍を以て中華連邦に攻め込んだのだ。
しかし戦争とは外交の敗北 或いは外交の延長線上で起きうる最終最後の手段であり なにもなく起きることなどあり得ない。
歴史上の戦争を解析しても近代に近付くほどに国益と外交とが密接に関わった末に起きていることであり 此度の戦争にも明確なる名目が存在していた。

まず先兵としてイラク社会主義共和国とイエメン民主共和国が 合衆国東アフリカの精鋭軍と共にサウジアラビアを始めとした中東の中立国連合に攻め込み わずかひと月の内にクウェート以外の中東諸国を攻め落としてしまったのだ。
小国クウェートが難を逃れたのは超大国大日本帝国の傘の下に入っていたかrのことでけして偶然でもなんでもなく 南側は日本との全面戦争の可能性だけは避けた。
日本一国ならばまだしも南側の全力を持てば共倒れにまでは持ち込めよう そうなる前に講和交渉と名となるのが関の山で損害を鑑みればやるだけ無駄。

しかも日本と事を構えるなら日本以上の超大国ブリタニアまでもが日本側から参戦してくる これもブリタニア一国が相手ならば損害を考えて結局は講和となろう。
しかし日本とブリタニアが同時に相手とならば話は反転してしまい講和では済まず全面降伏を迫られることに繋がってしまうだろうことすでに明白。

だいたいが此度の大戦争 第二次が後の世にあるとするのならば第一次となるこの世界大戦では 中核国オセアニアは日本ともブリタニアともことを構えるつもりはなかった ヒトラー ヴェランスの統治下に置かれた現欧州とも。

ではどこが相手となるかだがもう決まっている ロシアンE.U.とか名乗る旧ロシア州を含めたユーラシア大陸全土。
事細かく説明するのなら中華連邦加盟国すべてとロシア 中東という広大な戦場となろう勢力相手の大戦であった。
さてその戦争理由に話は戻る。

まず中東だが クウェートを除いた中東全土は元々イラクが統治するべき土地であると明言して サウジアラビアなどへの全面侵攻を開始したのだ。
もちろん 直近の中華連邦ペルシャ軍区 ペルシャ帝国がどういった動きを取るのかわからないためにいままでは避けていたが バックに合衆国オセアニアが確実に付いたいまは遠慮などしないイラク共産党書記長サダム・フセインは ついに悲願であった中東全土の制圧をたったのひと月で成し遂げたのである。
要約するなら失地回復戦争だったのだ 彼等的にはという疑問が投げ掛けられようが。

それを言い出せば世界は超古代文明国が統治していた 超古代文明国時代にはオセアニアの起源勢力との争いに勝利していた日本とブリタニアにのみ世界を支配する権利があるとも云えるわけで収拾が付かなくなる。
プレトリアはロシアを 清は中華をそれぞれ失地回復を宣言して オセアニアが全面支援をするとし 南ブリタニア大陸紛争以来久方振りに本国艦隊と 太平洋戦争以来となる本国の全軍を動かしたのだ。
ときは2027年 以前よりも強大化したオセアニアが中東陥落後 中東方面よりオセアニア陸軍とイラク赤軍 現地重用した元中東各国の軍などをペルシャに向けて当方国境沿いからの全方位侵攻をさせて 自らは本来の相手日武にぶつけるためにと開発配備していた約二万発の長中距離弾道ミサイルを凡そ一割の二千発の単位で発射するなど初手より大攻勢に打って出た。

ペルシャへはテヘラン イスファハン タブリズ シーラーズ カンダハル マザリシャリフ カブール。
インドにはカラチ ハイデラバード ラホール イスラマバード デリー ニューデリー ベンガル カルカッタ ダッカ。
ビルマにはラングーン マンダレー。
中華帝国には洛陽 北京 南京 成都 香港 広州 重慶 上海 武漢 威海衛。
その他の軍区にもアシガバット ドゥシャンベ タシケント ビシュケク サマルカンド。
さらにロシアに対してもモスクワ エカテリンブルク ヤクーツク ウランウデ グラスノヤルスク ノヴォシビルスク オムスク。

首都や大都市 戦略的要衝への容赦なき通常 BC弾頭搭載のミサイル攻撃に加えて 南方方面より実に自国の現有機動部隊十六個の半数となる 八個空母打撃群と同数の四万t級強襲揚陸艦やその他の揚陸艦から編成された遠征打撃群を第二波とする全方位侵攻を開始。
むろんこれには南側各国海軍プレトリア四隻 東アフリカ二隻 イエメン一隻も加わるため。
総計十五個の空母打撃軍が 世界初となる弾道ミサイル攻撃を撃破方法もなくまともに受けてしまい 多くの犠牲者と損害を受けたばかりのペルシャとインドへ襲いかかった。
とき同じくして東側からは百五十万の大清連邦軍と六十万の高麗軍 計二一〇万となる大軍を以て中華連邦中核 中華帝国へと雪崩込むみ 清国からは八十万の 高麗からは五十万の重用戦力を別途シベリア防衛への任務に就かせた。

オセアニア発案の作戦名は 正しき所有者。

攻撃される側を小馬鹿にしたような名称だが失地回復を名目とするからにはあながち間違いでもなかった。
注意点としては中華帝国と西モンゴルのみが清国の失地回復の地と認めてその他はオセアニアの傀儡とさせる予定という点だろう。
ペルシャ軍区についてはイラクに支配権を譲り遺跡周辺のみをオセアニア領として割譲させることで話が付いていた。
彼等は国や土地など第二目標に過ぎない 本当の目標は中華とロシアに眠る超古代遺跡なのだ。


ペルシャ帝国軍

「司令っ西方より押し寄せてくるイラク赤軍が首都テヘランより西方六十㎞の地点で進軍を停止しましたっ!!」

大混乱をきたす連邦ペルシャ帝国軍。
仕方が無かろう まさか主要都市や要衝に加えてペルシャ帝国首都 ペルシャ軍区行政府が置かれているテヘランにまで百を超える大型ミサイルの弾頭らしきものによる一斉攻撃 無差別爆撃を受けていたのだ。
ミサイル攻撃はペルシャのみに及ばず連邦軍区全土にE.U.ロシアにまで及び 推計で二千発を超える大型ミサイルが成層圏を越えた彼方の空より降り注いだという。
落下し爆発した弾頭にはサリンやマスタードと思わしい効果を持つガスを撒き散らした物があり 一部都市では突然の熱病に倒れる市民が続出していた。

そして歩調を合わせるかのようにペルシャと国境を接するイラク社会主義共和国よりイラク赤軍が侵攻を開始した つい三ヶ月前には東アフリカやイエメンと共にクウェートを除く中東全土を攻め落としたイラク赤軍が ペルシャ軍区にペルシャ帝国に進軍を開始してきた。
ペルシャを恐れて第一次中東戦争によりヨルダンとサウジアラビアに侵攻しその後領土を拡大したものの動かなかったイラクがついに動いたのだ。

「停止だと? テヘランを迂回して別の場所へと戦力を迂回させるつもりなのか?」

ペルシャ軍前線司令部 司令は思っていた これはとてつもなく大きなバックアップがあるに違いないと。
予想は的中した イラクの進軍と時を同じくして空からの攻撃が来たのだ これを無関係であると考える阿呆はこの司令部にはひとりもいなかった。
やったのはどこか? イラクの如き野蛮な共産主義かぶれの小国の支援をしたのはいったいどこの国なのか? 答えなどひとつしかない この様な大規模戦略攻撃を可能としている国はこの世界には三国だけしか存在しないのだから。
大日本帝国に神聖ブリタニア帝国 そして超大国に次ぐ強大国等と前記二国の国民より揶揄されていた合衆国オセアニアだ。
そして三国の内で中華連邦を単独撃破しうるため動く可能性があったのはただ一国のみ。

《オセアニアだっ クソォっ!! フセインめっ オセアニアに縋り付きやがったんだっ!!》

攻撃を受けて初めて理解した この三国と他国ではこれほどまでに国力と軍事力技術力に差が開いていたのだとして戦慄を覚えた。
日本の駐中華ペルシャ軍区担当大使は第二次中東戦争でイラクが勝利したときより中華連邦に対して警告を発していた。

《第二次中東戦争がおままごとに見えてしまうほどの大規模な戦略攻撃が近く帰国を襲う可能性があります 阻止するには日中平和友好条約を締結するなり軍区ごとの 貴国ペルシャが独立宣言を発するなりして自国行動を起こし日本でもブリタニアでもいい どちらかの傘の下に入るしか回避する道はございません》

等警告してきた担当大使はひと月前に日本より召還命令が下り帰国することになった 日中関係がいま以上に悪化したわけではないというのにだ。
世話になった挨拶をと帰国前テヘランにて一杯飲んだときも。

《もう時間はありませんよ ペルシャ軍区 ペルシャ帝国首脳部にお早く訴えかけてください これが最後の警告です このままでは中華連邦は早晩滅亡いたします》

そう哀しそうな声音で伝えてきたことを司令は思い出していた。

「司令っ! 如何致しましょうっ! 赤軍に占領された血の奪回作戦を行いますかっ?!」

進言してくる部下に司令は待ったを掛けた。

「いいやっ これより我が部隊は続く進軍に併せて行動をするっ! それまで待機だっ!」

イラク赤軍が止まったのは偶然ではない何かがある。
撤退も前進も転進も いまは身動きひとつできなかった。

このころ指揮系統の混乱していたペルシャ海軍は 南方より侵攻を開始してきた東アフリカ海軍とイエメン海軍を相手に戦いながら 格下の両国に苦戦を強いられていた。
東アフリカは手強いがイエメンなど目にも映らないペルシャ海軍がである 理由はひとつ 両国海軍の後方より姿を現せた とてつもなく巨大で 海を覆い尽くすような大艦隊が迫ってきて交戦状態に入った為であった。
巨大艦隊の戦闘艦に翻る軍旗を確認したペルシャ艦隊司令官は叫んだ。

「てっ! 敵はっ! 敵の首魁は合衆国オセアニアだっ!!」

ここにはいないインド海軍とビルマ海軍にも伝えろと伝令を出す艦隊司令 いまの世界 空から見えると言ってもまさかその空 宇宙からのミサイル攻撃等 巡航ミサイルや大型電磁砲が長距離攻撃の基本であるこの世界の国々には想定外であった。
インドもペルシャ同様中核都市に化学兵器を搭載した弾頭や 細菌兵器を搭載した弾頭を打ち込まれて情報が錯綜し もはや首脳部が生き残っているのかもさえ確認できない状態にあった。
東よりは大清連邦に高麗共和国軍が連合して攻め寄せてきており 西モンゴルも中華帝国も同じ超長距離高々度ミサイルによる攻撃を受けていた為 まともな対処が出来なくなっていると伝え聞いていた。
中華帝国は弱りすぎてもうあてにならない 自分たちが食い止めるしかない そうでなければ中華連邦は滅亡する そう判断したペルシャ艦隊司令だったが 彼はその闘いに参戦する間もなく次の瞬間 オセアニア艦隊の放った長距離超電磁主砲レールガンの艦橋直撃により蒸発して消えた。

中華帝国


洛陽は瓦礫の山と化していた。
誰も想像しなかったことだ 空から二百に迫る鉄塊が降り注いでこようなど。

「星刻・・・・」

不安な声を上げているのは長い銀髪の幼さを残す少女中華連邦天子 蒋麗華。
彼女が不安な顔を向ける相手は名目上中華連邦軍の最高司令の地位に就く青年星刻。

「大丈夫です天子様 必ずや 必ずやこの所行に対する罰を我が手で下して見せましょう そして」

星刻は小さな少女の前に片膝を付き その手をとった。

「あなた様を 御護り致します」

悲壮な決意だった。
この小さな少女ひとり守ること適わずという結果を招くやもしれぬ事態であった。
東からは宦官と高麗の連合軍が 西方南方からはイラク軍と南側諸国 そしてこの惨状を引き起こした首魁である合衆国オセアニアが攻め寄せてきている。
十五個空母打撃軍に十五個遠征打撃軍を中核としたペルシャからインド ビルマ沿岸を覆い尽くしながら進撃中だという。
中華連邦海軍総力を挙げてもこの数にはとても対抗できない上に オセアニア本国にはまだ八個艦隊の控えがいる。
いずれも八万トン級から十万トン級の航空母艦を中核とした十六個空母打撃軍をオセアニアのみで保有していた これにプレトリア四隻や東アフリカ二隻にイエメン一隻 南ニューギニア一隻 清国の新たに開発した新型艦一隻を加えた二隻と 大中小機動部隊が加われば総数は二十六個。
中華連邦には全軍併せても八万トン級から十万トン級十個 それも個艦性能ごとにオセアニアの艦よりも性能が劣る とても二十六個もの機動部隊を迎え撃つことなど。
ましてこのミサイル攻撃を第一波 続く大侵攻を第二波とするなら いまペルシャ軍区で見せているという不穏な動きが第三波である可能性があり それがいったいどういう攻撃なのか見当すら付かない状況なのだ。

そして最終的には中華連邦の降伏に終わることはもう目に見えていた。


《反日派を抑えることが出来ていたならば》

悔やまれるのはこの事だ。
オセアニアの侵攻は日武の手の及ばない場所に来る。
簡単な話で三国が全面戦争でもすれば いまの彼の国々が保有する戦略兵器を使用すれば 人類滅亡の危険性さえあるからだ。
すでに日武は公開実験を行っていた おそらく二十年も前には開発完了していたのだろう恐るべき戦略兵器 消滅兵器フレイヤの実験を。
そして日武の大使はいつも口にしている やつらも開発に成功した可能性は極めて高いと。
日武の言うやつらとはオセアニアの事だろう 原理不明のこの兵器を彼の国が保有した可能性に星刻は戦慄を覚えて事を思い出していた。
といって今ここで日本との友好条約となれば 四千年の歴史を持つ中華帝国は超古代国家日本の臣下となったという謗りはまぬかれまい。

「それでも私はっ!」

この小さな少女だけは命に替えても守り抜く。
決意を新たに彼は南側諸国 イラク 清国 高麗 そして首魁オセアニアを迎え撃つべく朱禁城を飛び立っていった。


ともかくも世界は大きく揺れ動いている。
たとえいまは自国や将来連合国家として親族国として 歴史にも記されていない大昔のようなひとつの国となる予定の日本に直説的な災いがないといっても いつどうなるかわからない情勢であった。

褐色肌の緑がかる長い黒髪を三つ編みにして纏めている妙齢の美女 ナイトオブラウンズ�・4 ドロテア・N・エルンストはだからこそいま自分が動かなければと必死になって引き剥がそうとしていた ブルーのマントと白い騎士服に着替えようとする従者やメイドたちを。

「ええいはなせきさまらっ! いまは国家の重大事の時なのだぞ!」

ラウンズ�・4の私がのんびりと休暇をしているなど悠長であってもいいのかと叫ぶドロテア。
夫のチュウイチ・ナグモ・エルンストは日本での対策会議に出ているため邸にはいない。
そのことが彼女の義憤を大きくしていたのだ 夫は国の為に動いているのに自分だけどうしてと。

「ドロテア様にはお子をお守りなされる大切な次期なのですっ! 家臣一同いまのドロテア様にその騎士服を身に纏うようなことだけは断じて許容することはできないのですっ!」
「子供? それが陛下の座する間に馳せ参じぬ理由となるかっ! �・12のモニカを見よっ! もうすでに陛下の召集に応じ子を残してクルシェフスキー領を出立したというではないかっ!」

同僚にして後輩ナイトオブラウンズ�・12 トゥエルブの称号を持つモニカにも子はいた。
モニカの夫シゲタロウ・シマダ・クルシェフスキーも日本を真に動かす組織の召集に応じて日本へと帰参している。
似たような立場にイソロク・ヤマモト・ヴェルガモンや、リーライナ・Y・ヴェルガモンなども子を残して緊急召集に応えていた。

「そんな中 私だけ邸に引き籠もっていろとでも言いたいのか貴様等っ!!」

彼等彼女等はその子を理由に召集に応ぜずなどといった不忠を行ったのかとドロテアは息巻いた。


とーっても とーっても! 大きなお腹とマタニティドレス姿で。










「クルシェフスキー卿もヴェルガモン卿もすでにお子をお生みになられてよりしばらく経っておられますっ!! 現在ご懐妊中にて間もなく臨月を迎えるドロテア様とはお立場が違うのですっ!!」

怒り心頭 いい加減にしろよこの小娘がっ!!
妊娠中のお腹で陛下の御前に立てるのかっ!!
あのお優しいオデュッセウス陛下にお気を使わされるのかっ!!
嶋田や自身の主人である南雲達と同世代の老執事は言う事を聞かない孫をどやしつけた。

「黙れっ それをこそしてでも馳せ参じる忠義が私にはあ」

るのだと言い掛けた所で電話が鳴った ドロテアの電話だ。
相手は�・12モニカ・S・クルシェフスキー。

「なんだモニカ私は忙しいんだっ」

《あのエルンスト卿 まさか陛下の召集に馳せ参じようとされているのではないのですか?》

「なっなぜわかった」

《夫とサクラ ああ私の子の名ですが 夫と子を持つ母でありラウンズでもある者としての感 でしょうか なんとなくわかるのですよ》

「聡いな我が後輩 ではおまえも私のペンドラゴン行きに待ったをかけたりはすまいな?」

《いいえ 私は待ったをかけさせていただきますよエルンスト卿》

「なぜだっ!」

話ながらドロテアは怒る。
おまえは私と同じ立場のはずだというのになぜ裏切ると彼女は食って掛かった。

《同じだからです》

モニカは静かに語る。
自分の経験談を。

《愛するひとからの愛を受けて子を授かる 女として生まれてきてこれほどの幸せを私はあのとき始めて知りました・・・・ですから あなたの身に負担の掛かるようなことは避けて欲しいのです あなたにもあの幸せを知って欲しい そう願うからこそ それに陛下も同じお気持ちですよ? 召集令が届かなかったラウンズはあなたおひとりだけ それは陛下の意思です》

ラウンズには皆緊急召集がかかった。
中東侵攻に続くロシア 中華連邦各国への大規模なミサイル攻撃という前代未聞の事態に対して。
弾道ミサイルの技術はこの世界には無い。
持ち込んだのは日本のある人達だがそれも友邦ブリタニアにのみフレイヤ KMFといった各種の技術と同盟など各種条約の引き替え材料の一つとしてだ。
これを独力で開発してきたのがオセアニアであり近くインド洋でフレイヤ実験を行う可能性まで示唆していた。
その弾道ミサイルを約二千発も発射して罪なき民間人を大虐殺したのだから 優しいオデュッセウス皇帝はあまりの怒りに声を荒げて批難したという。
そのオデュッセウス皇帝 ドロテアにだけ召集令を掛けてないのだ。

「妊娠中の彼女に遠くペンドラゴンまで来させるなんて僕にはできないよ」

オセアニアが相手だ 世界中どこにでも攻撃が可能な彼の国の前には安全など無い。
言葉は悪いがエルンスト領はエニアグラム領と同じでどちらかと言えば田舎の方。
オセアニアの大規模ミサイル攻撃の目標はすべてが都市圏だった
せめて少しでも安全な自宅と所領にて静かにしていてほしいという彼の願いだった。

《そういうことであなたは所領にて待機 安静に待機すること 私の望みでもあり陛下の願いでもあります》

ドロテアは先輩だ。
年齢としても武人としても自分より経験豊富な先輩。
その先輩を諭す後輩のモニカだが。

《母親としての経験値は私のほうがエルンスト卿よりもずっと先輩なのですから》

後輩の先輩としての助言と望み。
陛下よりの優しさと温情を前にドロテアは承知したと頷くしかなかった。

所変わって帝都ペンドラゴンの皇宮。



「ふうっ なんとかといったところですね」

携帯を切りライトグリーンのマントと長い金糸を翻しながら陛下の待つ間へと歩むモニカ。
説得に失敗したら不敬にも陛下にお願いして貰うしかなかったが上手く行って良かったという顔で。

「ははっその感じでは妊婦さんは大人しく引っ込んだのだな?」

背後より歩んできた短い浅葱色の髪に紫のマントを着用した年上の女性が話し掛けてきた。

「エニアグラム卿」

「ノネットでいいと言ってるだろう」

「性分ですので」

「まったく可愛い顔して頑固な女だよおまえは 前皇帝陛下や現皇帝陛下への忠誠心でおまえに適う人間はラウンズの中にはいないぞ? 遊び心がないというか硬い お堅いお嬢様といったところだね」

「陛下はすべてを治め統治なされる御方・・・・この国その物とも云える御方ですので私には忠義を尽くさぬ理由など欠片ほどもありません」

「んん?それは嘘だな モニカにはもう一人いるだろう忠義を尽くす方がさあ」

鋭い指摘にびくんと震えるモニカの肩。
マントも長い金髪も震えに併せて波打ち心の動揺が身体に出てしまったことをしっかり語っていた。

「んなっ!? ちっ違いますその方にはモニカ・クルシェフスキーとしての忠義を尽くしているのであってラウンズとしてではっ」

「あっはっは わかってるさねそんなこと でもねえ個人として忠義を尽くす相手の方が実はマジに大切な相手だってのもあるんだぞ?」

言われて真っ赤になったモニカは俯く。

「し、シゲタロウさんは私のすべてです・・・・・ それだけです」

嶋田繁太郎。
もうひとつの名をシゲタロウ・シマダ・クルシェフスキー。
モニカの愛する夫。

「けどまあたしは最初驚いたもんさ 恋に年は関係無いっていうがモニカとシマダ卿みたいに孫と祖父並に年の離れた恋愛が上手く行ってさ 結婚して子供まで生まれたんだから ドロテアにしても元インペリアルガードのリーライナ・ヴェルガモンにしてもだけどさ あれかい マジの恋をすればどんな障害も超えていけるってやつかい?」

「そんな 深い話では ありません 私が 私がシゲタロウさんをお慕いするようになって シゲタロウさんがこの恋に応えてくださった それだけのことなのです」

「いいねぇ~ そういうの いやあたしは好きだよそういう純愛っての? こんな落ち着きのない世界情勢だからさ尚更いいようん」

にかっと笑うノネット。
豪快な性格の彼女はいつもながらに明るく笑う。

「ああそういやあ訊きたかったんだけどねえサクラちゃん あの子を生むときってやっぱり痛かったのかい?」

子を生んだことのない女性ならばだれでも気になることだろう。
ノネットはその気になったことをズバッと訊いていた。

「し 出産の時の事ですか? あの あれは痛いとか そんな言葉で表現できるものでは・・・・・ そうですね 喩えるのならば剣で腹部から下肢にかけての身体の内側を滅多切りにされるような痛さとでも言いますか お腹の中で爆弾が爆発」

「いいっ! いいっ! やっぱやめとくよっ! すっごく痛いってのはわかったからその視線を外して身体振るわせて語るのはやめてくれないか」

そして二人は皇帝の間。
皇帝個人の部屋へと着く。
入る。


「なるほど 国民意識の問題ですか」

「ええっ厄介なものでしてに日中戦争からこちらの宦官による反日教育が原因でいまも三割少しの反日論者が中華にはおりますし日本にも一時期反中教育に染まった時期がありまして似たようなところが」

入ると政治を語っているオデュッセウスとモニカの夫 嶋田繁太郎。

「狙いは中華とロシアの遺跡だろうね 中東がサウジの一地域の支配権をオセアニアに譲る形でイラクに統一される方向に話が進んでいるところをみても しかし一度に二千発もICBM IRBMを発射するなんて驚いたよ 多弾頭もあるだろうから二千五百前後の弾頭が中華連邦とロシアに落下したって事か」

「そういえばサウジにも小規模の遺跡がありましたね やはりイラクを倒してでも早めに確保しておくべきでしたか このままでは近くペルシャ帝国とインド帝国が善戦した後に降伏を余儀なくされます 東南からは南側連合軍 東からは南側と同盟を結んだ清と高麗 ・・・・・フレイヤに類する兵器の所持も疑われる最新鋭の兵器で揃えたオセアニア主力軍が相手では KMF擬きと世代の劣る戦車にインド海軍ペルシャ海軍を撃破後に総力を挙げて本格的な上陸作戦および地上戦が始まれば ロンダンやターロンダンを以てしても中華では技術力に差が開きすぎておりますし 最悪の場合向こう数年内に中華連邦全体の陥落が有り得ます 私はオセアニアがフレイヤに類する兵器を保有しているかどうかをもっとも懸念しているのです 良くも悪くも時代も進みましたのでね」

「あの世界を蝕む毒虫共めぇ まぁだなにかを企んでおるのかぁ」

「シャルルおじさんシャルルおじさん そういう国だよ私たちの・・・・・・明確なる敵ってさ」

前皇帝にして上皇シャルルにシャルルの兄君で本来なら上皇の地位に就くはずであったV.V.殿下と殿下のご息女クララ・ランフランク。
周囲をラウンズと日本夢幻会の直属SPが囲み そして嶋田自身の友人達が数人集まっていたそんな裏事情満載の光景。

「おっクルシェフスキー卿来たね」

手を上げておいでおいでと誘導するオデュッセウスにモニカはなにがなにやらと誘導されるままに嶋田の椅子のすぐ隣に立たされる事になった。

「第一に守護する人はシマダ卿だろう?」

「でっですが」

「かまわぬ モニカには儂よりナイトオブゼロとしてラウンズを超えるラウンズの立場を与えておるのだからな」

ナイトオブゼロ。非公式だった嶋田の騎士モニカ・クルシェフスキーにのみ与えられた自由裁量権で 後にはラウンズであり嶋田家またはクルシェフスキー家出身であること そのうえで時のラウンズ中での実力がもっとも高いこと といった条件を満たした者にのみ特例として与えられる事となる位階のことだった。
現在ではビスマルクをも凌駕する実力を身に付け名実共にラウンズ最強となったモニカにトゥエルブと兼任する形で与えられているナイトオブラウンズその物の指揮権限位でもあった。
ブリタニア軍の最高司令官は言うまでもなくオデュッセウス皇帝が司令官だが その皇帝代行としてラウンズの指揮権までが与えられるという特別な地位。
体面上はビスマルクと同等の地位ながら 意見が割れた際には彼女の意見が採用される特別地位であるために無論責任も重大だ。

「・・・・・わかりました上皇陛下 皇帝陛下 イエス・ユア・マジェスティ!!」

さてことは日本に帰っているはずの嶋田が何故この場に居るのかになるが簡単な話だった。

「日中平和友好条約の締結・・・・上手く運べばいいのですがねえ」

予てより懸念されていたことだ。
日中の不仲はまだ解消されておらず 日中戦争の講和条約を結んだ後でも平和友好は結んでいない いまだ取り除かれていなかった事項であった。
今回のオセアニアの中華 ロシア 中東への全面的大侵攻はあるやなしやとこれ自体が意見の分れていた事項であったが とにかく日中間 武中間では防衛に対しての条約がない。

国民感情の問題もある。

日本にはたかが中華如き弱国がいつまで楯突くのかといった 宦官政治時代に残されていた感情が燻っていたのだ。
そこをブリタニアが仲介して日中平和友好条約をといった流れに付かせたい というのが今回の議題だった。
オセアニアを止めるにはいまのところそれくらいしかない。

日武同盟で戦ってもオセアニアとその同盟 衛星国家群との総力戦ともなれば甚大な被害が出る。
勝つには勝ててもダメージが大きいのだ 相手方より手を出されなければ国内世論も非戦を選ぶだろう。
フレイヤ弾頭を無効化する技術も開発済みではあるのだが。

「日武に対してそれぞれ数千発のミサイルが発射されたとして すべてに対処することは出来ないしねえ」

表情を暗くするオデュッセウス だから相手側から手を引かせる 日武とオセアニアは非戦を通す お互いの国力が分かっているから連中も手を引く そのための条約だ。
連中の狙っているものが連中の手に渡ることがあまりに危険を伴うからこそなんとかしなければならなかった。

「大日本帝国では現在第一級警戒態勢を陸海空海兵隊四軍にはすでに出させています 場合によってはアジアの衛星国防衛を名目に衛星圏内の各国への本格的な進駐まで視野に入れて」

嶋田が言うと。

「こちらも陸海天空騎士団と特別騎士団にインペリアルガードまですべて準戦時体制を取らせています 南ブリタニア諸国と連携進駐を模索しながら」

オデュッセウスが言う。

あとは外交だ。
日武中三ヵ国の事前協議を何処でどの機会にどれだけ具体的にやるかだった。

日中間の国民感情次第だがそれが為に国益を損ない犠牲を生むのだけは避けなければ。

嶋田は肩に暖かみを感じた。
目だけで見遣ると隣に立つライトグリーンの目に優しい色をしたマントに金色の長い髪の女性が毅然と立ち前を見据えていた その身体を嶋田に触れさせる態勢で。
マントとその下の長袖の騎士服越しでも暖かい己の騎士としてのモニカの姿。

素直にかっこよく頼もしい。

感じた嶋田はふっと目を伏せ彼女を感じながら続く議題に口を開く。

ここはラウンズの戦場ではない。
彼女はだからマントの下に隠された剣を抜き放つことはない。
その本領もKMHの技量も発揮することはない。
ただ守るべき主の傍らにて佇むのみ。

しかしこの会談の一週間後 テヘラン中心部を起点にして 周囲五十㎞を砂漠に変えてしまうという天の光のような大爆発が起き事態は急展開を擁す 残った都市や軍は奮闘しているようだが中華連邦ペルシャ軍区の陥落は間もなくだろう。
そうなれば次は海上戦で物量技術両面で端から圧されっぱなしのインドでも地上戦が始まる。
インドもまたオセアニア要する南側に抗しきれず脱落する可能性が現実味を帯びてきた。

だがライトグリーンのマントを身に付け風に翻し、流れるような金髪を靡かせながら隣を歩く自分の騎士と共に 国会は貴族院議会議場へと歩みを進める嶋田には微塵ほどの焦りもなかった。
すでに予期されていたことに一々慌ててどうする?

ここは俺達政治家の戦場だ。
言葉と言葉で戦う言論闘争の戦場なのだ。

この世界大戦で世界中の政治家に知らしめなければならなかった。

日本の政治家に敗北は無いことを。

嶋田繁太郎の戦場には敗北などないことを。




あとがき
うむ 書き終えてなんだがなにを中心に書きたかったのかわからんなあこれじゃ。
あいかわらず数字の統一もできとらんし困ったちゃんだわ。
んーでもこの過疎が続くようなら次は100レスとか1000レス分のネタでも用意して一斉投下するしかないかね?
盛り上げるためにさ。
しょうもないネタや短編のネタなら思い付きでいくらでも書けっし。

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最終更新:2017年04月02日 19:23