169: 第三帝国 :2017/05/29(月) 06:02:12
銀河連合日本×神崎島ネタSS――——「東京訪問」
――――千葉県沖
多川信次一佐は今年で40代。
パイロット、それも戦闘機乗りとして正直限界に近い年だ。
加えて松島基地の副司令の地位にいるため空を飛ぶよりも地上に居る事の方が多くなる頃合いだ。
しかしパイロットとしての腕は確かであり、
今回神崎島からの訪問者の出迎え役に選ばれた。
加えてヤル研のオモチャ・・・もといティ連合由来の技術によって生み出された機材のテストパイロット役。
という繋がりからその出迎えにヤルバーンと共にすることに相成ったが・・・。
「だからといってまさかあんなSF染みた乗り物と一緒に飛ぶとは・・・」
愛機のF2の隣に飛ぶ巡航形態のヴァズラーを見て思わず嘆息する。
航空力学を無視した『エ型』の形状で1万メートル上空をF2と共に音速で飛行する姿に今なお違和感を覚えている。
これまでの常識が容赦なく崩して行くヤルバーンの魔法染みたスケールが大きい科学力が第一に来るが・・・。
『飛行艇デ来ルト言ッテイタガ、
本当ニ「フィブニー効果」ダケデ此処マデ飛ベルナンテ』
ヴァズラーを操作するシエの呟きが無線を通じて多川の耳に入る。
ヤルバーンの人々と接する中で覚えた違和感はこれだ。
どうも知識がちぐはぐなのだ。
重力制御という地球からすれば夢の技術を使いながら、
航空力学の基本中の基本である揚力を使用した航空機を知らないなどと首を傾げたくなる様な事が多々あるのだ。
『こちら神崎島鎮守府所属、大型輸送飛行艇「蒼空」
無線符牒は「ハマナ」、聞こえますか?こちら・・・』
不意に第三者の声が無線越しに入る。
「おっと、来たか」
「お客さん」を乗せた飛行艇が近くまで来たのだ。
顔を左右に動かし機影を探す―――――いた、正面にいる。
「目視でも確認した。
ようこそ日本へ、『ハマナ』」
『ヤルバーンモオマ・・・貴殿ノ訪問ヲ歓迎スル』
『ありがとうございます。
では予定通りこれより着水に入ります』
「了解した『ハマナ』」
8発のエンジンを持つ巨人飛行艇が緩やかに降下を始める。
多川のF2とシエのヴァズラーが後方から追従する。
雲海を抜けて海が見えた所で多川とシエは上空で見守る位置に旋回を始める。
飛行艇はそのまま降下を続けて海面に着水する体勢を取る。
波も事前の予想通り高くなく平穏であったので予定通り着水。
エンジンの回転数を下げて、水しぶきを上げつつ停止した。
「エスコートはこれで完了ってところだな。
しかし改めて見るとデカいな・・・・・・」
多川が改めて見て思わずそんな呟きが口から洩れる。
何せ見慣れたUS-2よりも遥かに巨大な姿、全長は単純に2倍もあるのだから。
そして海面を滑っている人影。
艦娘たちの姿に再度自分が見ている物が常識を打ち破る者だと再確認する。
それにしても、艦娘たちの動きを見ていると隊列を作っているように見えるが間隔が長すぎないか?
まるで本物の船と同じような間隔で、いや待て。
まさか――――。
「な、」
「何ガ起コッタ!?」
突然であった。
先ほどまで海の上をスケートのごとく滑っていた人影はなく無数の軍艦が浮かんでた。
駆逐艦、空母、巡洋艦、そして海の王者たる戦艦がそこにおり多川とシエは揃って絶句する。
「空挺によって展開される艦隊か、
報告を聞いたときは冗談かと思ったがとんでもないな・・・」
続々と隊列を整える大艦隊を前に呆然と呟く。
海自知り合いから艦娘のアレコレを聞いて正直眉唾であったが撤回せざるを得ない。
「これは、すごいな」
ヤルバーンが地球に来て以来の興奮を覚えた多川が素直な感想を口にした。
おわり
170: 第三帝国 :2017/05/29(月) 06:04:23
以上です。
最近忙しかったので投稿できませんでした。
最終更新:2017年06月17日 18:17