306: 第三帝国 :2018/02/18(日) 23:06:53
銀河連合日本×神崎島ネタSS――——――「悪い大人たちの密談」
とある高級ホテルのバー。
普段ならばそこそこの値段ということもあり、宿泊客以外にバーの会員もそれなりに入店しているが扉の前には「貸し切り」の札が掛かっている。
バーという密室空間。
さらに音楽が常に流れている環境は密談するには相応しく、ウィスキーと葉巻が似合いそうな渋い男たち3人が集まっていた・・・。
「・・・ったく、あの国は何を考えている?
犯人の引き渡しを拒否した挙句帰国させて英雄扱いとかあり得ねぇ。
折角総理とはティ連と国交成立を祝って一緒に祝い酒でもしようと考えていたのにお陰様でパーだぜ」
と、愚痴を零すと共に高級葉巻を勢いよく吹かす三島副総理。
「外務省も強く抗議はしていますけど、
やれ、慰安婦だ強制連行だ、賠償金云々で、そもそも話が通じてないと頭を抱えています。
加えて『誰』と裏から話を通じさせれば良いかもわかりません」
新見国際情報統括官が渋い顔で答える。
今まで通りなら外交官という表の外交だけでなく、引退した大物政治家などを通じた裏の外交をしていたが、前の前の大統領が親日派の粛清を始めて以来そうした動きも出来ないようになりつつあった。
「それに大陸の動きも不穏極まります。
ティ連と国交が成立した途端に首都で軍事パレードを開催する旨の発表。
日中友好議員連盟を通じて確認してもはぐらかされるばかりな上に、向こうの担当者も気づけば強硬派とされる人間へすり替わっている始末です」
続けて春日幹事長が大陸の情勢を述べる。
中国が行う軍事パレードと言えば抗日戦争で勝利した日と認定している9月3日が相場である。
が、その時期でもないにも関わらずまったく突然の発表で各国はその意図を探っている最中である。
「ちっ、これもガーグというべき奴かもな。
あの国の内部の混乱は予想以上に進んでいるとしか言いようがねぇ」
そういうなり三島はウィスキーを一気に飲み干した。
「こうした状況である以上柏木さんには一刻も早く、何が何でも政治家になってもらわなくてはいけませんね。
天岩戸作戦といい、彼なしではとてもでないですがやっていけません」
と、春日が呟く。
307: 第三帝国 :2018/02/18(日) 23:08:21
「おう、幹事長の言うとおりだ。
吉高先生は喜んで勇退してくださる以上、あの突撃馬鹿にはもっとデッカイ仕事をしてもらおう!
それと新見君・・・本人に言うときは白木君も連れてきてくれ、気心が知れた人間が傍にいた方が緊張感を与えなくて済むはずだ」
「お気遣い、感謝します先生」
100万ドルに匹敵するいい笑顔で三島が言う。
新見はその気遣いに心から感謝の言葉を告げた。
「で、話は変わるけどフェルフェリアさんと柏木のヤローとはいつ結婚するんだ?」
話題転換。
単純に興味本位。
ということもあるが何やら企んでいる表情を三島は浮かべている。
「いやあ、先生。
具体的な話はまだです。
ただ白木から聞くに柏木は覚悟を決めているようで、
近々自分の親にフェルフェリアさんを紹介するそうです」
「なるほど、そーかそーか。
いよいよ年貢の納め時を決めたか・・・なら行けるな!」
新見の回答に対してパンっと三島が拍手を鳴らす。
「・・・何かあるのですか?」
バランタインの香りを楽しんでいた春日が質問する。
「おう、あるとも!
向こうの議長から態々あの突撃バカ宛に招待状が贈られただろ?
それを利用して『日本だけが宇宙に外交官を送ってずるい』という非難を和らげる策が!」
と言って「ちょっと耳を貸せ」とジェスチャー。
カウンターにいるバーテンダーは「そういう店」の人間ゆえに静かに離れる。
「・・・い、言われてみれば彼らは日本初どころか世界初でしたね。
ティ連の方でも男女の付き合いをしている日本人が多いせいで忘れていましたけど」
と新見が驚愕する。
「おまけに陛下も動かすとなると・・・また歴史に残りそうですね。
ですが、これならば外交官云々で非難するよりも世界初の行事に祝福するムードにならざるを得ません」
続けて春日も驚愕しつつ冷静に分析する。
「だろ?
最近アイツに振り回されてばかりだったし、ここは一つ、意趣返しも兼ねて派手にやろうぜ」
2人の反応に満足しつついい笑顔で三島が言った。
さて、何やら本人が知らぬ間に何やら決まったようだ。
柏木の運命や如何に!?
次回乞うご期待!
おわり
308: 第三帝国 :2018/02/18(日) 23:12:39
以上です。
金剛のセリフがカッコよかったのでテンション上がって書けました。
最終更新:2018年02月23日 10:22