嶋田モニカのイチャラブ言うか寝てるだけ




眠たいの




その日、書類仕事も激務であると改めて思い知らされた日

疲れを隠さずに駐日ブリタニア大使館を退館したモニカ・クルシェフスキーは、帰宅後間も置かず、嶋田分の補給を行っていた

「嶋田さん…」

すり付ける頬
なすり付ける自分の匂い

モニカは大日本帝国赴任後から、自分がとても我が儘で独占欲の深い人間になったと考える
人は誰かを愛するとき、どこまでも強く、どこまでも弱くなれると彼女はこの国で学んだ

それが嶋田繁太郎を愛した自分の事だとよく自覚していた

嶋田繁太郎とは、モニカ・クルシェフスキーが恋慕の情を寄せ、自身の愛に応えてくれた老紳士の事であった
平均寿命120年のいま、彼とは60年ほど連れ添える
愛しき人、民を愛し、国を支える為に在るべき貴族騎士としてナイトオブトゥエルブとなったモニカ・クルシェフスキーではなく
実も録も無きモニカ・クルシェフスキーという個人として剣を捧げた人

激務の為に遅くなる

仕事上の問題や気疲れ

溜まる疲労を回復する時、モニカは嶋田繁太郎から採取できる嶋田分の補給を必ず行う

「モニカさん、仕事疲れた?」
「疲れました」

疲れたからこうして抱き着き頬擦りするのだ
60を越えても瑞々しい嶋田の肌に、モニカはすりすりを続け、別の要望も出す

「嶋田さん、私の頭を撫でてください。髪を撫でてください。背中を撫でてください」

厚かましくも頼み事ばかりだ
嶋田分の補給は満タンでも足りないくらいに減少中なので頼まざるを得ない
でもモニカは彼がこの要望を断らないと知っていた

「わかったわかった。よーしよし、モニカさん、いい子いい子」
「んふー♪」

右手が体を抱き止め
左手が頭から髪を撫でる

気持ちいい

一日の疲れが彼の手に吸い込まれていくように消えていく

「にゅ~です」
「にゅ~ってなに?」

時々口走る彼女の寝言だが、まさかもう寝るのかと嶋田は焦る

「眠たいですぅ」

頬擦り、抱き着き、抱きしめ返され、頭撫でられ、髪撫で透かれ
これでは嶋田分の過剰摂取だ

過剰摂取はモニカの体に優しい
彼女の体に優しいから眠たくなる

「眠たいって」

嶋田は蛍光灯に照らされて輝く、真っ直ぐに臀部まで伸びる黄金色の長い髪を撫で下ろしながら当惑
モニカは帰宅したばかりで夕飯もまだ食べてない
日課の嶋田分補給とか話して抱き着いてきたと思えば、頬をすり付けながら眠い眠いと呟くのだから困ったものだ

「騎士服もマントも着替えなきゃダメじゃないか。皺になるよ」
「眠たいです~」
「お~いモニカさん起きてるか~い?」
「寝てますぅ~」

起きてるじゃないか

といってもこれはもう半分寝ているようなもの
条件反射で応えているだけで寝てるも同然だった



嶋田は彼女の頭と髪を撫で撫でしていた手を止めて、彼女を横抱きにする

「こ、腰にくるんだがなぁ」

美女をお姫様抱っこ

聞こえはいいが、嶋田としては腰にくるお年頃
抱き上げるだけでも大変である

しかし家人は誰も手を貸さない
見ていても見て見ぬふりで温かく見守るだけ

嶋田とモニカのいつものスキンシップに口や手を出すような野暮な人間など嶋田家にはいなかった


「よいしょっと」

二人の寝室までやって来た嶋田はお姫様抱っこしていたモニカを静かに寝かせる

白い敷布団に広がる彼女のマント
マントの裏側生地が紫色だから綺麗だ
敷布団の白、マントの紫、騎士服の白には纏められた横髪が金色の清流を二本作り、流れに巻き付く赤いリボンが螺旋模様を描いている

「色合い的には綺麗だな」

一つ欠けても完成しない絵画のようだと嶋田は笑い彼女から離れようとする

「嶋田さん~」

もう寝言となっていた彼女の言葉に、広げられていた手が嶋田の首に回された

「うわっ」

引き寄せられた嶋田は黄金色広がる枕に顔を叩き付けられた

「ぶふっ?!」

洗濯された枕からは太陽の匂い
広がる金色の髪からはシャンプーの匂い

ちょうどいい案配でミックスされた香りが嶋田の鼻をくすぐっていた

(い、息がっ、柔らかいしちょっとモニカさんっ、)

首を引き寄せられ、顔を髪の毛広がる枕に押し付けられた嶋田の息が詰まる
胸板には彼女の柔らかい二つの山
彼の体重に押し潰されながらもモニカの胸は柔らかさを失わないで彼を受け止めていた

(空気、空気をっ、)

せめて空気を吸うためと、嶋田は強引に枕を引きずりモニカの方に顔を向けた

「はぁ、はぁ、く、苦しかったっ、」

荒い息の嶋田にモニカは何処吹く風
彼の存在を感知して頭を彼の側に向きな押させながら、もう寝ていた

「むにゃむにゃ」
「夕飯…どうするんだ」

せっかく作ってもらったのに

勿体ないと考えた彼だが、襖から覗く家政婦の顔にはお任せくださいという文字が浮かんでいるように見えた

「晩飯無し、か」

仕方ない

ブリタニアの現役最強騎士ナイトオブラウンズの一人であるナイトオブトゥエルブのモニカに捕まっては抜け出したくても抜け出せない

単純な力の差である

行儀悪く足でひっぺがした掛け布団にも、手ばかりか足を伸ばしても届かなくなっていた
こうなると掛け布団無しである

抜け出せない
抜け出せないから晩飯食べられない
抜け出せないから着替えもできない
掛け布団無しで寝なければならない
力量差から離れるにも離れられない

嶋田は諦めて自分も部屋着のまま寝ることにした

「部屋の暖房は、よし」

着いていた

「しかしこの体勢って寝れるのかな俺」

モニカの体に覆い被さるようにしたままで寝なければならない
暖房は着いていたので、寒さで風邪を引く心配こそ無いが、首だけ左に向けて体はうつ伏せで彼女に被さり寝る

役得のように見えて中々辛い体勢だった

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最終更新:2018年03月10日 00:11