甘く短くいきましょー砂糖をね



腕の中の眠り姫



暦の上ではまだ正月。モニカさんは黄緑色の艶やかな着物を来て嶋田さんと商売繁盛の神様にお参りに

帰宅後に二人だけのささやかな新年会

飲めないモニカさんもこの日だけは日本酒を飲んでます

ぐびぐび飲んでます

嶋田さんにペースが早いよと注意されるも破目外して飲んでます

やがて一升瓶を空にしてしまっモニカさんは嶋田さんにしなだれかかってきては「しまらさん好きれすぅ~」と抱き着いてきました

凛々しくも清楚な彼女のらしくない姿は酔いすぎが原因でしょう

ろれつは回っておらず碧い瞳もうるうるして頬も熱っぽくなっています

ポニーテールに結い上げられた金砂の髪がさらりと揺れて嶋田さんの頬に鼻にすれてはフローラルな香りを振り撒きます

鼻腔をくすぐってくる酒の臭いにも負けないモニカさんの香りに嶋田さんはどうしようかとテンパります

よくよく見るとモニカさんの着物の胸元が乱れてはだけていました

モニカさんは気づいていません

抱き着いたそのままに眠ってしまったからです

彼女は嶋田さんのほっぺに口づけるようにして嶋田さんの肩にてこてんと頭を横にしています

その拍子に結い上げられた金砂の長いポニーテールが嶋田さんの首もとをくすぐりながら彼の背中へ流れ落ちていきました

首もとのさらさらした触感に嶋田さんはますますテンパります

モニカさんは大人の女性です

かわいらしい子供がやってるのではないのです

それは男としてテンパりもします
まして近頃のモニカさんは嶋田への好意を隠していません
嶋田さんもモニカさんを女性として思い始めています
だからといって両思いになりつつあるからとなにをしても良いわけではないのです
嶋田さんはこういった状況になれてるわけでもありません
モニカさんは凛々しく力強い頼りになる剣ですがクルシェフスキー侯爵家という良家の子女
二人とも恋には奥手なのです
嶋田さんは前世では結婚経験ありですが今世での長い独身生活の中で思い切りある行動ができなくなって以来久しいのです

嶋田さんに抱き着いて寝入ってしまったモニカさん

着物の胸元に隠された膨らみが体に押し付けられてその柔らかさを伝えてきます
見るとモニカさん、着物の裾もはだけてしまっていて白い太ももまでが見せつけられるようにして見えてしまってます

嶋田さん、男を見せるとき!
いやいや寝込みをどうこうなどと男のすることではありません

さあどうしようか?

嶋田さんは考えに考えた末にそうしました

ぎゅっとモニカさんを抱き締め返してあげたのです

モニカさんを支えていなければ駄目な嶋田さんは眠ることができません
眠り姫はただこの腕の中で、肩を枕に静かな寝息を立てています
嶋田さんはこの酔いつぶれた眠り姫を守るように抱いたまま、そうっと背中を撫でてあげます

「俺も好きだよモニカさん」

誰も聞いていない嶋田さんの囁き
しかし嶋田さんには、肩を枕にしている眠り姫の寝顔が少し和らいだように見えました

明くる朝

眠り姫は目を覚ます
愛しい主の腕の中で

嶋田さんはおはようと挨拶
モニカさんはおはようございますと挨拶

酔いも覚めたのに体は熱く胸の奥がうずくモニカさん

離れよう

その思いとは裏腹にモニカさんの腕は動きません
たた嶋田さんを抱き締めているままにその力を緩ませようとしません

嶋田さんも離れようと思いました
しかしその思いとは裏腹にモニカさんを離そうとはしません

理性ではなく心が離れたくないとして抱き締めあった二人を縛り付けているように

お互いに顔を会わせたまま
瞳と瞳は捉えあったまま
嶋田さんの黒い瞳はモニカさんの碧の瞳を見つめ
モニカさんの碧い瞳は嶋田さんの黒の瞳を見つめています

二人の頬は見事に熟した林檎色
言葉も交わさず見つめあったまま抱き締めあったまま動きません

こうして朝から見つめ会う二人が離れたのは、嶋田家の家政婦がその足音を響かせてきた頃になってからでした

一時間近く抱き締めていた互いの温もりはまだ二人の腕の中に残されていました

しかし家政婦さんは見ました
嶋田さんの背中に付いていた一筋の細い糸に
それが何かを知ることができるのはきっと長年の家政婦さんの感というもの
職人の感と似たようなものだったのでしょう

何事もなく始まった朝食は、嶋田さんとモニカさんが不意に瞳を交差させては恥ずかし気味に逸らさせる
そんないつもと違う朝食風景となるのでした

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2018年03月25日 12:00