242: 第三帝国 :2018/06/10(日) 22:03:55

絶対に笑ってはいけない神崎島女学校24時――——――感謝SS「酒宴」


「無事収録を終えることができたのと、
 日本、神崎島両国の友好と発展を願いまして―――――乾杯!」

「乾杯!」

「絶対に笑ってはいけない神崎島女学校24時」の収録を終えたその日の夜。
番組に関わった艦娘、妖精、そして日本のテレビスタッフ達に本家の方々を交えた酒宴が始まった。
人数は最後体育館で生徒約役として集合した艦娘達も参加しているのでなかなかの大酒宴である。

そのため野外に臨時に設営した座席とテーブルで対応している。
とはいえ、「笑ってはいけない鎮守府」に続いて主役を文字通り体で張った、長門以下の面々と提督、それとゲストとしてシリーズ本家の方々は屋内に座ることができた。

「1杯だけでいいから、飲んで飲んで~、ほらほら~♪」

「あ、はい。どうも」

ゲストとして招待された松本は恐縮しつつ勧めに従う。
芸人、という仕事柄様々な人間に出会うが人間とは違う種族は流石に初めてで緊張を覚える。

グラスに焼酎を注いでくれるアッシュブラウンの長い髪を持つ外人さん。
その正体はザラ級重巡洋艦3番艦「ポーラ」である。
笑ってはいけない神崎島女学校では引率役を担当した。

そこまで知っているが、何せ「現実に現れた二次元のキャラ」という点が接するにあたって気後れしてしまう。
なお相方はといえば海防艦「占守」に酌をされて動揺を隠せていない。
(何せどう言いつくろっても見た目は小学生であるため)

自分もまた動揺を隠すように、
あまり飲めないがとりあえず唇を濡らす程度に一口だけ口にして―――――。

「・・・結構、おいしいな」

「えへへへ~。
 この焼酎(語感を伸ばしつつ)おいしいでしょ~?
 島ではサトウキビからライムも作るけど焼酎も作っているの~」

松本の回答にポーラが破顔する

「サンマーの刺身も食べて~。
 二水戦のみんなが捕ってきたおいしいサンマーだよ~」

続けて勧められたサンマの刺身に箸を動かす。
口に入れて、秋刀魚の油と新鮮なうまさに思わず表情が蕩ける。

「うまい、うまいな」

243: 第三帝国 :2018/06/10(日) 22:04:42
気づけば夢中に箸を動かし料理を続々と口にしていた。
秋刀魚の塩焼き、かば焼き、龍田揚げ、などと秋刀魚尽くしのメニューを攻略する。
周囲もまた秋刀魚にさながらイベント海域に挑むがごとく無我夢中で秋刀魚を食べている。

そして酒を飲んでは他愛もない話で大いに弾み、盛り上がる。
これに艦娘と人間に区別はなく、場の空気は宴に相応しく騒がしくも楽しい気分となる。

「えっへへ~。
 たーのーしーいー」

いつものごとく鯨飲して、したたかに酔ったポーラが嬉しそうに言う。
服の前ボタンはとっくのとうに外している上に今にでも脱ぎそうな勢いだ。

「・・・君、飲みすぎ」

思わず丁寧な口調で松本は言う。
なにせ「知ってはいた」とはいえ、1人で焼酎のボトルを1本開けて2本目へ突入するとは流石に予想していなかった。
しかもやれビールだ、ワインなどとちゃんぽんした上での飲酒である。

「酔ってな~い。
 酔ってませーん。
 松本さんが2人に見えるけど酔ってませーん」

いや、酔ってるだろ。
と思わず内心で突っ込みをいれる。

「酔っぱらいは5分前の記憶も曖昧に―――――」

松本がここまで発言してふと思いつく。
突然現れた神崎島、創作作品でのキャラクター達の登場。
加えて宇宙人の登場ととても現実とは思えない出来事が今の日本で立つ続けに起こっている。

それこそこれまでの常識を覆す出来事であり、
まるで世界が1から作り直されたような―――――――。


「我思う、ゆえに我あり」

突然ポーラが呟いた。
瞳に酩酊による乱れはなく松本を見据える。

「ポーラはイタリアの軍艦としての記憶。
 そして艦娘としての記憶と感情があります。
 人はこれを不可解な現象と言うが、私が思っているからここにいる」

先ほどまでの酔いはなく淡々と言葉を綴る。

「私は?私たち艦娘とは何か?
 そんな事はどうでもいい、夢幻の存在でも構わない。
 亡者は亡者らしく、好き勝手欲望に正直かつ忠実に生きるのみ。
 例え世界が5分前にできたと言われても、5分後の楽しみを考えるだけ」

人の形をした人でない「何か」が松本の前にいた。
未知の存在に対する本能的な警戒感と緊張で脂汗が流れ―――――。

「うっぷ、吐きそう・・・」

「ちょ!?」

なんてシリアスな空気であったが、
毎度のごとく飲み過ぎで口元を押さえるポーラ。
慌てて受け止める容器を用意するが・・・・・・まあ、結果は察してほしい。


翌日神崎提督から直接ポーラに対する禁酒命令が下されたのをここに記す。







おわり

244: 第三帝国 :2018/06/10(日) 22:07:40
以上です。
今回は本編ではなく笑ってはいけないシリーズです。
日頃頑張っている194様へ感謝を込めて書きました。


なおこれはあくまでフィクションです。
現実の芸能関係とは何の関係もありません。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2018年06月20日 10:26