584: 弥次郎 :2018/06/22(金) 21:55:07
銀河連合日本×神崎島 絶対に笑ってはいけない神崎島女学校24時支援SS---「撮影前研修」





《注意》

このネタは第三帝国氏の「銀河連合日本×神崎島」および194氏の「銀河連合日本×神崎島」の「笑ってはいけない」シリーズの支援ネタです。
「艦これ 神崎島」および「銀河連合日本シリーズ」の双方の人物・キャラクターなどが登場します。
どちらかと言いますと「艦これ」要素が「銀河連合日本シリーズ」の要素よりも強めとなっておりますのであしからず。
これはあくまでフィクションです。現実の芸能関係や報道局とは何の関係もありません。

原作者の皆様を始め、他の方々にご迷惑がかかるかもしれないので、
本SSの転載は「提督たちの憂鬱 支援SSほか@ まとめウィキ」のみにお願いします。
そのほかへの転載はご遠慮くださいませ。






          • 20××年某月



「絶対に笑ってはいけない神崎島女学校24時 会議室はこちら」 

そんな文字が躍る看板を抱えた海防艦「松輪」や「択捉」にうながされ、日〇テ〇ビのスタッフたちは、横浜某所のビルをいくつもの書類や機材を抱えた状態で進んでいく。
総勢で50名を超える彼等は、にこやかに案内役を務める彼女らに面を喰らいつつも、会議室へと歩んでいった。



「絶対に笑ってはいけない神崎島女学校24時」の収録は、当然ながらも神崎島にて行われる予定だ。
しかし、忘れてはならない。神崎島は、言うなれば軍事政権が領有する島であり、ある種の独立国だということを。 
その全島は、所謂「民間」の領域も含まれるとはいえ、ほとんどが軍事関連のために用意されている。
もっと極端なことを言えば--全島とその主権領域が、治外法権の領域。
日本国内にありながらも、日本国の憲法や法の力の及ばぬ地域となっている。
分かりやすく言えば、日本列島各地にある米軍基地のようなものなのだ。 

だが、それはあくまでも「他国」アメリカのものであるが故に、ある程度の納得はある。
ややこしいのは、神崎島がある種日本的な要素を含んでいることであった。
神崎島のトップであり、艦隊司令官たる提督は神崎博之という、少なくとも外見と名前は日本人であり、所属する艦娘の多くが外見はともかくとして嘗ての大日本帝国海軍の艦艇の、言うなれば魂が人の形を得たもの。

その他、通用する言語・法・住人・風習・習慣などが極めて日本と酷似しながら、それでいて「他国」ともあれば、同族あるいは「ゲームのキャラクター」とみなして親近感を覚えている日本人には、どうしようもない違和感として印象付けられた。

そうでなくとも、宇宙人---それも、映画「MIB」のように複数の種族---とのコンタクトの方がまだ楽である。
「一方的に知っている」という、自分達が脳内に描き出したキャラクター性とのギャップが大きいこともある。
艦〇れがサービス開始となってからかなりの期間が経ち、一種の社会現象とまではいかなくとも、ブームを生み、多くの人間に対して影響を与えたのだ。「アイドルは○○をしない」などというある種の幻想といってもよいだろう。 

この二つを統合すれば、日本国民に対して多いな困惑を生んでいたのも無理ではないこと。
しかし、収録を行うにあたり、それを受け入れる必要がある。
「絶対に笑ってはいけない神崎島女学校24時」のスタッフの多くは、その入島前から諸注意を受けることになった。
諸注意を受けるというより、もはやそれは研修だった。
「他国」神崎島への第一歩は、そんな幻想を忘れ、現実とは思い難い現実と向き合うことから始まった。

585: 弥次郎 :2018/06/22(金) 21:57:12

「それでは皆様、本日はよろしくお願いします」

担当…というより講師役になったのは、選抜された艦娘たちであった。艦種ごとに最低一名は参加。
さらに、海外の艦艇からも各国ごとに一名は参加しており、彼女らはひどく真剣な面持ちだ。
神崎島側のスタッフとして活動する妖精さん達も非常に気を張っている。
そんな状態なのを察することが出来ないほど、スタッフたちは鈍いわけなどない。

「アイドルがまじめに勉強しているところにいあわせてしまったような…」

「ですね…」

撮影スタッフの仲の良い二人組、カメラと音声担当の松谷と草野儀は、そんな彼女たちを前に少し戸惑っていた。
彼ら以外もそうであるが、基本的に『静止画』の彼女らが二次元から三次元に出て表情をコロコロ変えるというのは、勝手すぎることは承知だが、違和感が付きまとう。

「いや、だが本来の彼女達は『こっち』なんだろう」 

「『こっち』、ですか」 

「華のように微笑んでも、煌びやかな衣装に身を包んでも、結局軍艦なんだよ」

例えるならば、彼女らは日本刀や銃のようなもの。
外身を美しく飾り立て、自分たちの好みに置いて観賞することはできる
だが、彼女らの本当の役目は飾られることではない。その姿を以て武を示し、しかるべき時にその力を振るう。
自国の自衛官達もイベントなどでは面白おかしく騒いでいる時があるが、それはあくまで彼らの側面に過ぎない。
艦娘たちも、それとおなじだ。

「浮かれてられないですね」

「おう、気ぃ張って行こうぜ」

始まった会議は、多忙を極める神崎提督に代わって秘書官の大淀が挨拶を行った。
そして、プロデューサー以下、番組スタッフの挨拶が行われた後に、具体的な打ち合わせに入った。
撮影の箇所については、まずスタッフが物理的に安全な場所、そして機密に触れない場所が選ばれた。
建造ドックや修復のためのドック、艦娘たちのプライベートのある寮、鎮守府の各所にある軍事関連の書類が詰まった書庫、武器弾薬の他各種資源を保管するための保管庫、その他神崎島本島・周辺諸島問わず軍事施設とその関連施設などは基本的に除外。
リストアップされた場所は嫌というほど膨れ上がっていた。軽く顔を引きつらせるスタッフと出演者たちだったが、神崎島側も番組として絵になる場所を候補地としてセッティングする用意があると伝えている。 

特に危険物が絡む保管庫や大型のクレーンが並ぶ湾港設備などにおいては嫌というほど注意を受けた。
担当だった「神崎大鳳」がひどく真剣に言うのは、自身の「記憶」もそうであるが、ちょっとした火種が大惨事になりかねないためだ。
爆発が起こったのにさらっと終戦まで生き延びた伊勢・日向の例があるのだが、あれはむしろ例外である。 
撮影スタッフにも喫煙者がいるので火種となるライターやマッチがあることはほぼ確実だ。
また、投光器などでも、ほんの少しの火花が散ればドカン、という可能性だってある。
そうすればどれほどの事故に発展するのか、そしてそれが日本国と神崎島の間にどれほどの日々を入れるか、分かったものではない。
勿論そういう場所は撮影場所からは外されているのだが、何が起こるか分かったものではない。
最大限の対策をうったうえで、撮影は行われるべきだった。

586: 弥次郎 :2018/06/22(金) 21:58:39
それにしても、と松谷はつぶやいた。

「マジの軍事施設とか、本当に使うとは思わなかったな…」

「あちらが好意的でよかったけど、本当ならカメラお断りだろうしなぁ」

この企画が持ち上がった時こそ正気を疑い、また神崎島側の拒否を予測していた上層部の考えとは裏腹に、神崎島側は番組を通じて広く神崎島について認知してもらい、日本国民のイメージを良くしたいと考えていた。
軍艦。第二次世界大戦後の軍事アレルギーは、未だに残り続けている。世界大戦後の規範(ドグマ)において、軍事とは忌避されるものというイメージが数世代にわたり刷り込まれたのだ。
近年では阪神淡路大震災をはじめとした災害への出動を重ね、日本を含む極東地域における情勢の不穏化も合わさって、イメージはだいぶ緩和されているし、心象は良くなっている。 

実際に、給仕にちょこちょこと歩き回る海防艦や駆逐艦の艦娘たちの姿に、短い時間で慣れている自分達もいる。
小学生かそれ以下か、そんな彼女らがいることに違和感を覚えないのは、彼女らが外観とは裏腹にとても大人びているからだろうか。
だが、それでも、一度抱いたイメージに固執し、信じて疑わない層というのが存在した。
時刻を取り巻く情勢が刻々と変化し、そもそも国家というものに合法化された暴力装置が必須なことなど、歴史が語っている。
それに目を背け、知ろうとしない。その無知こそが戦前の焼き直し、あるいは二番煎じにも似た、日本人特有の悪癖とでもいうべきもの。

ならばそれを、面白おかしく解決してやろう。
酷く真剣に軍事を危険だと説く連中をしり目に、親しくなって、イメージを変えてやろう。
神崎島の意思はそのようなものだ。こういうのもなんだが、馬鹿騒ぎの番組だ。高尚なドキュメンタリーなどとは違う。

「でも、真面目だな」

「ですね」

馬鹿騒ぎに一切手を抜く気はないようだ。
それはこちらも同じこと。電波を通じてエンターテイメントを提供することにかけては、真剣だ。
彼等の心意気に恥じぬように、頑張らねば。

 「では、次の資料に移ります……お約束の、お仕置き役についてですが…」

次の議題に映るようだ、と二人は表情をさらに引き締めた。
もっとも、蝶〇役に該当するロールを担当する艦娘たちの名前には流石に彼ら二人で泣く、〇テレスタッフの多くが噴いてしまうのであったが。










\ででーん/


【完】

587: 弥次郎 :2018/06/22(金) 21:59:46
以上、wiki転載はご自由に
いつも楽しませてもらっています194氏への支援ネタ…的なアレで投下しました。
どうにも最近調子がよろしくなくてSSが書けなかったので、今回はリハビリ的なものになりました。
こういうのもあったんだろうなぁという妄想ですので、ご一笑くだされば。

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最終更新:2018年06月25日 12:04