342: 第三帝国 :2018/07/21(土) 20:40:55
銀河連合日本×神崎島ネタSS――——――外伝「神崎島の夏休みⅡ」


夕方まで時間があるので市内の百貨店で女性陣はワイワイ騒ぎながら買い物を楽しんでいた。
目的は今夜の納涼祭で着る浴衣だけであったのだが・・・女性3人が集まった上に荷物持ちの男衆2人がいれば、まあ察して欲しい。

「これもいいわね・・・どうかな五十鈴?」

「良いんじゃない?
 浴衣改装された瑞鶴の力、存分に提督に見せてあげることができるわよ」

エンガノ岬仕様の迷彩柄浴衣を手にする瑞鶴の問いに答える五十鈴。

「どうデスカ、この浴衣は!?」

「猫さんの浴衣かぁ・・・結構、ばっちりじゃない!」

全体にゆるい猫の表情を配置させた浴衣を羽織るニーラ博士に伊勢が称賛の言葉を発する。

「ほらほら、面倒くさがらない。
 折角の美人がもったいないですわよ」

「むぅ・・・」

麗子の着せ抱え人形状態となって面倒くさそうな表情を浮かべる日向。
などと、フェル達と同じく浴衣目当てあった瑞鶴、五十鈴、伊勢、日向が百貨店で偶然合流。
意気投合して女性陣は7人とかなりの大所帯となって楽しく和気あいあいとしているのはいいのだが、男性陣からすれば待ちぼうけを延々と受ける苦行に等しく、柏木と白木は2人して付近のベンチで大人しく座っていた。

「女の子の買い物は何時になっても長いなぁ・・・」

柏木は買ってきたタピオカミルクティーをズボボボーと吸いながらぼやく。
そこにはネットで逸般人だのクソゲー売りだの、何となく大臣になった男だの揶揄される人間でなく、家族サービスで休日のショッピングモールに来たけど何をすれば良いのか分からないただのオッサンであった。

「ぷっ、」

と、そこで隣でスマホを見ていた白木が噴き出す。

「くくく、見てみろよここの社説」

柏木が暇つぶしに質問するより先に白木がスマホを差し出す。
画面には某左派の電子新聞版の社説が映っていた。

343: 第三帝国 :2018/07/21(土) 20:41:51

▼大ティエルクマスカ展も盛況である。
消費税増税の延期も相まって引き続き日本は異星人景気に沸いている。
呉で開催されている神崎島鎮守府展と相まって地方経済が活発化しており非常に好ましい。
異星人と神崎島に住まう新たな「日本人」達との交流を深めることは大変けっこうな話である。
▼だが、ちょっと待ってほしい。地球人として異星人との関りを深めるより前にからあったアジアとの絆を疎かにしていないだろうか?
▼例えば中国からは侵略戦争を反省してないと主張するような声もあり、二藤部首相の真摯な姿勢が、今ひとつ伝わってこない。
▼一部で昨今の中国の行き過ぎた反日行為、軍事パレードに気象衛星の破壊といった問題を挙げるが心配のしすぎではないか。
▼その主張は一見一理あるように聞こえる。しかし、だからといって本当に中国は危険と主張できるのであろうか?的はずれというほかない。
▼事の本質はそうではではない、その前に過去アジアに対してしてきたことを思い出すべきではないだろうか?今こそ冷静な議論が求められる。


「電波乙」

突っ込みどころ満載な社説に柏木がそう総括した。

「前に読んだ社説は科学部が関わっていたからまだましだったが・・・いやー朝晴新聞はやっぱこうじゃなきゃこまるな、電波浴的に」

白木がニヤニヤと笑いながら柏木からスマホを受け取る。
「だが、ちょっと待ってほしい」といったその新聞が得意とする数々の言い回しと、導き出された結論の電波濃度にご満足のようだ。

「ソムリエかよ・・・つーか、ネットでは炎上してるだろうなぁ」

柏木がボヤく。
なおネット上で予想通りと言う言うべきか大炎上していることを記す。
等と男2人でネタ話に興じていていると、ようやく女性陣の買い物が済んだようで店から出て来た。

「おまたせ、柏木さん!」

と迷彩柄の浴衣を着た瑞鶴と北方迷彩仕様の五十鈴が出てくる。

「少し歩きずらいデスぅ」

と猫さん浴衣姿のニーラ博士。

「ふふん、どうかしら?」

赤い牡丹柄の派手な浴衣を選んだ麗子。
全員それぞれ色んな華があり男2人は思わず鼻の下を伸ばす。

344: 第三帝国 :2018/07/21(土) 20:42:45
「マ、マサトサン!
 感想聞かせてくださいナノデス!」

そして最後にフェル、それに伊勢、日向が出てくるが・・・。

「お、どんなのを・・・・ぶふぉ!!?」

「うぉ!?ちょ、これは・・・」

柏木と白木が揃って噴き出す。

「・・・何か可笑しいデスカ、マサトさん?」

「い、いやいやいやいや、変じゃない、
 変じゃないけいど・・・その、なんだ、すごーく予想外で・・・」

浴衣姿のフェルさん。
確かに普段とは違う姿であることも加わって、
予想通り非常に魅力的であったのだが・・・浴衣全体の色は濃緑。
そこまではまだいい、しかし肩や腰の垂直に走る灰銀のラインに黄色の帯。
袖には白線で囲んだ日の丸が、背には「瑞雲魂」と真っ赤な字がデカデカと描かれていた。

アレだ。
瑞雲の壁板と掛け軸を浴衣にしたバージョンだ。
本当に(以下略)

「あ、あーフェル。
 本当にそれでいいのか?」

「何を言っているデスカ!
 とってもカッコいいから選んだのデスヨ!
 第一ズイウーンはイゼイラでも深海浮輪と並んでとても人気なのデスヨ」

「・・・・・・マジ?」

「うっそだろ・・・」

瑞雲&深海浮輪の宇宙デビュー。
というパワーワードに柏木と白木がぽかーんと惚ける。

「・・・・・・ふっ」
「むふふふ・・・」

フェルの反応に同じく瑞雲使用の浴衣を羽織った日向、伊勢が柏木に対してこれ以上ないドヤ顔を浮かべる。
対して柏木は何とも表現しがたい敗北感に包まれる。

瑞雲。
ほんの少し前まであまり知られちなかった存在だが、今では無限の可能性を秘めた無敵の存在出ることを柏木は再度確認したのであった。






おわり

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2018年07月30日 10:16